衆議院

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第二一七回

参第七号

   労働安全衛生法及び特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案

 (労働安全衛生法の一部改正)

第一条 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第七章の二 快適な職場環境の形成のための措置(第七十一条の二−第七十一条の四)」を

第七章の二 快適な職場環境の形成のための措置(第七十一条の二−第七十一条の四)

 

 

第七章の三 職場における顧客等による社会通念上許容される範囲を超えた言動に関する措置(第七十一条の五−第七十一条の八)

 に改める。

  第七章の二の次に次の一章を加える。

    第七章の三 職場における顧客等による社会通念上許容される範囲を超えた言動に関する措置

  (事業者の講ずべき措置等)

 第七十一条の五 事業者は、職場において行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業者の行う事業に関係を有する者の言動であつて、その使用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該言動への対処の方針の明示及び実施並びに当該労働者からの相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備を行うとともに、当該言動に係る正確な事実の把握、記録の作成及び保存等の事後対応、仮処分命令の申立ても含む当該言動の抑止のための措置その他の必要な措置を講じなければならない。

 2 厚生労働大臣は、前項の規定により事業者が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下この条において「指針」という。)を定めるものとする。

 3 厚生労働大臣は、指針を定めようとするときは、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴くものとする。

 4 厚生労働大臣は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

 5 前二項の規定は、指針の変更について準用する。

 6 その業務の全部又は一部を委託する者は、当該委託を受けた事業者が当該委託に係る業務について第一項の規定により講ずべき措置を適切かつ有効に実施することができるよう、必要な配慮を行うものとする。

  (助言、指導及び勧告並びに公表)

 第七十一条の六 厚生労働大臣は、前条第一項の規定の施行に関し必要があると認めるときは、事業者に対し、助言、指導又は勧告をすることができる。

 2 厚生労働大臣は、前条第一項の規定に違反している事業者に対し、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる。

  (調査研究等)

 第七十一条の七 政府は、第七十一条の五第一項の言動に関し、その実態の調査、当該言動により労働者の就業環境が害されることの効果的な防止及び当該言動への適切な対処の方法に関する研究その他の調査研究並びに情報の収集、整理及び分析を行うとともに、これらの成果の普及及び当該成果を踏まえた啓発活動を行うものとする。

  (国の援助)

 第七十一条の八 国は、第七十一条の五第一項の規定により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため、相談、情報の提供その他の必要な援助に努めるものとする。

  第百六条第一項中「及び第七十一条の四」を「、第七十一条の四及び第七十一条の八」に改める。

 (特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の一部改正)

第二条 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和五年法律第二十五号)の一部を次のように改正する。

  第十四条第一項中「当該業務委託」の下に「又はこれに係る業務の遂行」を加え、同項に次の一号を加える。

  四 顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の業務委託に係る業務に関係を有する者の言動であって、特定受託業務従事者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより当該特定受託業務従事者の就業環境を害すること。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次条第一項及び附則第五条の規定は、公布の日から施行する。

 (労働安全衛生法の適用を受けない国家公務員、船員等に関する措置等)

第二条 政府は、労働安全衛生法の適用を受けない国家公務員、船員等について、第一条の規定による改正後の同法第七章の三の規定を踏まえ、必要な措置を講ずるものとする。

2 政府は、特定受託業務従事者(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律第二条第二項に規定する特定受託業務従事者をいう。次条第二項において同じ。)に準ずる個人事業者等について、顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該個人事業者等の行う事業に関係を有する者の言動であって、その従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものによりその就業環境が害されることを防止するための施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (労働者の就業環境を害する言動全般に関する労働安全衛生法による措置等)

第三条 政府は、この法律の施行後三年を目途として、他の者の言動により労働者の就業環境が害されることの全般について、労働安全衛生法において必要な措置を講ずることを事業者に義務付けるための法制上の措置を講ずるものとする。

2 政府は、前項に定めるもののほか、他の者の言動により労働者及び特定受託業務従事者の就業環境が害されることの全般に関しより効果的に防止するための施策の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正)

第四条 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。

  第四十五条第一項中「及び第七十条」を「、第七十条及び第七十一条の五第一項」に改め、同条第十五項中「第七十一条の四」の下に「、第七十一条の六、第七十一条の八」を加え、「同法第九十条」を「同法第七十一条の六中「前条第一項の規定」とあるのは「前条第一項の規定(労働者派遣法第四十五条の規定により適用される場合を含む。)」と、同条第二項中「前項の規定」とあるのは「前項の規定(労働者派遣法第四十五条の規定により適用される場合を含む。)」と、同法第七十一条の八中「第七十一条の五第一項の規定」とあるのは「第七十一条の五第一項の規定(労働者派遣法第四十五条の規定により適用される場合を含む。)」と、同法第九十条」に改める。

 (政令への委任)

第五条 この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。


     理 由

 職場における顧客等による社会通念上許容される範囲を超えた言動により労働者及び特定受託業務従事者の就業環境が害されることを防止するため、当該言動に関し事業者及び特定業務委託事業者の講ずべき措置等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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