第二一七回
閣第三一号
森林経営管理法及び森林法の一部を改正する法律案
(森林経営管理法の一部改正)
第一条 森林経営管理法(平成三十年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
目次中「第五章 災害等防止措置命令等(第四十二条・第四十三条)」を
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第五章 経営管理の集約化の推進 |
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第一節 定義(第四十二条) |
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第二節 地域経営管理集約化構想の作成等(第四十三条−第五十条) |
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第三節 権利集積配分一括計画の作成等(第五十一条−第五十六条) |
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第六章 経営管理支援法人(第五十七条−第六十一条) |
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第七章 災害等防止措置命令等(第六十二条・第六十三条) |
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に、「第六章」を「第八章」に、「第四十四条−第四十六条」を「第六十四条−第六十六条」に、「第七章」を「第九章」に、「第四十七条−第五十一条」を「第六十七条−第七十一条」に、「第八章」を「第十章」に、「第五十二条・第五十三条」を「第七十二条・第七十三条」に改める。
第一条中「、経営管理権集積計画を定め」を削る。
第二条第三項中「第五章」を「第七章」に改める。
第四条第三項中「実施されることにより経営管理が行われるよう」を「実施されるよう」に改め、同条第四項中「いう」の下に「。第四十三条第五項第一号及び第五十一条第五項第二号において同じ」を加え、同条第五項に次のただし書を加える。
ただし、数人の共有に属する集積計画対象森林について経営管理権(その存続期間が五十年を超えないものであって、当該経営管理権に基づいて行われる経営管理の内容が間伐(これに係る木材の販売を含む。)及び保育のみであるものに限る。第十条及び第五十一条第五項第三号ただし書において「間伐等経営管理権」という。)を設定する場合における当該集積計画対象森林について所有権を有する者の同意については、当該集積計画対象森林の立木竹及び土地のそれぞれについて二分の一を超える共有持分を有する者の同意が得られていれば足りるものとする。
第五条の見出しを「(意向調査)」に改め、同条中「(第四十八条第一項第一号において「経営管理意向調査」という。)」を削り、同条に次のただし書を加える。
ただし、当該集積計画対象森林について、既に第四十五条第二項の規定による調査を行っている場合は、当該調査の実施をもって、この条の規定による調査の実施に代えることができるものとする。
第十条中「全部」を「うちいずれかの者」に改め、「とき」の下に「(当該共有者不明森林について間伐等経営管理権を設定する場合において、当該共有者不明森林の立木竹及び土地のそれぞれについて二分の一を超える共有持分を有する者が当該経営管理権集積計画に同意しているときを除く。)」を加える。
第十一条第六号及び第二十五条第三号中「六月」を「二月」に改める。
第四十条第一項中「、第十五条第二項」を「又は第十五条第二項」に、「又は」を「若しくは」に改め、「第三十二条第二項」の下に「(これらの規定を第五十三条において準用する場合を含む。)」を加える。
第五十三条を第七十三条とする。
第五十二条中「第四十二条第一項」を「第六十二条第一項」に改め、同条を第七十二条とする。
第八章を第十章とする。
第七章中第五十一条を第七十一条とし、第五十条を第七十条とし、第四十九条を第六十九条とする。
第四十八条第一項第一号中「経営管理意向調査」を「第五条又は第四十五条第二項の規定による調査の実施」に改め、同項に次の二号を加える。
五 集約化構想の作成に関する事務
六 権利集積配分一括計画の作成に関する事務
第四十八条を第六十八条とする。
第四十七条中「第二十五条」の下に「(これらの規定を第五十三条において準用する場合を含む。)」を加え、同条を第六十七条とする。
第七章を第九章とする。
第六章中第四十六条を第六十六条とし、第四十五条を第六十五条とし、第四十四条を第六十四条とする。
第六章を第八章とする。
第四十三条第四項を削り、第五章中同条を第六十三条とし、第四十二条を第六十二条とする。
第五章を第七章とし、第四章の次に次の二章を加える。
第五章 経営管理の集約化の推進
第一節 定義
第四十二条 この章において「経営管理の集約化」とは、一体経営管理森林(自然的経済的社会的諸条件、その周辺の地域における土地の利用の動向その他の事情を勘案して、一体として経営管理を行うことが適当と認められる森林をいう。次条第一項及び第二項第一号並びに第四十五条第一項において同じ。)の区域において、必要な作業路網の整備その他の措置を講じつつ、当該区域内の森林ごとに必要な経営管理実施権の設定その他の措置を講ずることにより、一体的かつ効率的な経営管理の実施を実現することをいう。
2 この章において「適合事業者」とは、第四十四条第二項の規定により、経営管理を効率的かつ安定的に行う能力を有し、かつ、経営管理を確実に行うに足りる経理的な基礎を有すると都道府県が認めて公表している民間事業者をいう。
第二節 地域経営管理集約化構想の作成等
(地域経営管理集約化構想の作成)
第四十三条 市町村は、単独で又は他の市町村若しくは都道府県(当該市町村又は当該他の市町村の区域をその区域に含む都道府県に限る。第三項において同じ。)と共同して、政令で定めるところにより、第四十五条第一項の協議の結果を踏まえ、一以上の一体経営管理森林が存する地域ごとに、当該地域における経営管理の集約化に関する構想(以下「集約化構想」という。)を定めることができる。
2 集約化構想においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 一体経営管理森林の区域
二 前号に掲げる区域における経営管理の方針
三 前号に掲げる方針を踏まえた経営管理の集約化に関する目標
四 前号に掲げる目標を達成するために必要な作業路網の整備その他の措置に関する方針
3 市町村(当該市町村が他の市町村又は都道府県と共同して集約化構想を定める場合にあっては、当該市町村及び当該他の市町村又は当該都道府県。以下「市町村等」という。)は、集約化構想において、前項第三号に掲げる目標として次に掲げる事項を定めるとともに、これらの事項を記載した地図を作成するものとする。
一 前項第一号に掲げる区域において経営管理が円滑に行われるよう経営管理実施権の設定その他の措置を講ずべき森林
二 適合事業者(次条第一項の規定による公募において、集約化構想が定められる場合に前項第一号に掲げる区域を含む同条第一項に規定する公募区域において経営管理を行うことを希望した適合事業者に限る。第七項及び第四十五条第一項において同じ。)の中から選定された前号に掲げる森林において経営管理を行うべき適合事業者
4 集約化構想においては、第二項各号に掲げる事項のほか、同項第一号に掲げる区域における経営管理の集約化に関する次に掲げる事項を定めることができる。
一 林道の開設及び改良に関する事項
二 前項第二号に掲げる適合事業者が同項第一号に掲げる森林の森林所有者等(森林法第十条の七に規定する森林所有者等をいう。第四十九条において同じ。)となった場合における施業実施協定(同法第十条の十一第一項に規定する施業実施協定であって、同項に規定する森林施業の共同化及びそのために必要な施設の整備に関する措置を内容とするものをいう。第四十九条において同じ。)又は施業施設協定(同法第十条の十一の九第一項に規定する施業施設協定をいう。第四十九条において同じ。)の締結に関する事項
5 集約化構想は、次に掲げる要件に該当するものでなければならない。
一 集約化構想を定める市町村が森林法第十条の五第一項の規定によりたてた市町村森林整備計画(第四十五条第一項において単に「市町村森林整備計画」という。)、当該市町村の区域をその区域に含む都道府県の治山事業の実施に関する計画その他地方公共団体の森林の整備及び保全に関する計画との調和が保たれたものであること。
二 経営管理の集約化を図るため必要なものとして農林水産省令で定める基準に適合するものであること。
6 集約化構想を定めた市町村等は、情勢の推移により必要が生じたときは、当該集約化構想を変更するものとする。
7 市町村等は、集約化構想を定め、又はこれを変更する場合には、あらかじめ、適合事業者及び第四十五条第一項の地域の関係者の意見を聴くものとする。ただし、農林水産省令で定める軽微な変更については、この限りでない。
8 市町村等は、集約化構想を定め、又はこれを変更する場合(前項ただし書の農林水産省令で定める軽微な変更をする場合を除く。)には、農林水産省令で定めるところにより、その旨を公告し、当該集約化構想の案を当該公告の日から二週間公衆の縦覧に供するものとする。この場合において、利害関係人は、当該縦覧期間満了の日までに、当該集約化構想の案について、当該市町村等に意見書を提出することができる。
9 市町村等は、集約化構想を定め、又はこれを変更したときは、農林水産省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を公告するものとする。
(民間事業者の公募及び公表)
第四十四条 都道府県は、農林水産省令で定めるところにより、定期的に、都道府県が定める区域(第五十条第一項において「公募区域」という。)ごとに、集約化構想が定められる場合に当該集約化構想において定められる前条第二項第一号に掲げる区域内の森林について経営管理を行うことを希望する民間事業者を公募するものとする。
2 都道府県は、農林水産省令で定めるところにより、前項の規定による公募に応募した民間事業者のうち次に掲げる要件に適合するもの及びその応募の内容に関する情報を整理し、これを公表するものとする。
一 経営管理を効率的かつ安定的に行う能力を有すると認められること。
二 経営管理を確実に行うに足りる経理的な基礎を有すると認められること。
(協議の場の設置等)
第四十五条 市町村等は、集約化構想を定める場合には、市町村森林整備計画を勘案して一以上の一体経営管理森林が存すると見込まれる地域ごとに、農林水産省令で定めるところにより、当該地域における一体経営管理森林の区域及び当該区域における経営管理の方針その他経営管理の集約化を図るために必要な事項について、適合事業者及び当該地域内の森林の森林所有者、木材関連事業者(木材の製造、加工、輸入、輸出又は販売をする事業、木材を使用して建築物その他の工作物の建築又は建設をする事業その他木材を利用する事業を行う者をいう。)その他の当該地域の関係者による協議の場を設け、その協議の結果を取りまとめるものとする。
2 集約化構想を定める市町村は、前項の協議を行う場合には、農林水産省令で定めるところにより、同項の地域(当該市町村の区域内のものに限る。)内の森林の森林所有者(第六条第一項の規定による申出に係るものを除く。)に対し、当該森林についての経営管理の意向に関する調査を行うものとする。ただし、当該森林について、既に第五条の規定による調査を行っている場合は、当該調査の実施をもって、この項の規定による調査の実施に代えることができるものとする。
3 市町村等は、第一項の協議を行う場合には、同項の地域の関係者の理解と協力を得るため、当該地域内の森林に関する地図を活用し、当該森林の森林所有者の当該森林についての経営管理の意向、当該森林に係る森林資源の状況その他の経営管理の集約化に資する情報を提供することその他の必要な措置を講ずるものとする。
(関係権利者に関する情報の提供)
第四十六条 市町村等は、集約化構想を定めた場合には、農林水産省令で定めるところにより、構想森林(第四十三条第三項の規定により当該集約化構想において定められた同項第一号に掲げる森林をいう。以下同じ。)ごとに、構想適合事業者(同項の規定により当該集約化構想において定められた同項第二号に掲げる適合事業者をいう。以下同じ。)の求めに応じ、当該集約化構想の実現のために必要な限度において、当該構想適合事業者に対し、当該構想森林について所有権、地上権、質権、使用貸借による権利、賃借権又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者(以下この条において「関係権利者」という。)の氏名その他の関係権利者に関する情報を提供することができる。
(不動産登記法の特例)
第四十七条 市町村等は、集約化構想を定めた場合において、一筆の土地(当該集約化構想において定められた第四十三条第二項第一号に掲げる区域内の森林の土地に限る。)及びこれに隣接する他の土地であって、森林法第百九十一条の四第一項に規定する林地台帳に同項第三号に掲げる事項として当該一筆の土地と当該他の土地との境界に関する測量が実施された旨が記載されており、かつ、当該境界が特定されていないものがあるときは、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第百三十一条第二項の規定にかかわらず、これらの土地の所有権登記名義人等(同法第百二十三条第五号に規定する所有権登記名義人等をいう。)のうちいずれかの者の同意を得たときは、同法第百二十五条に規定する筆界特定登記官に対し、当該一筆の土地と当該他の土地との筆界(同法第百二十三条第一号に規定する筆界をいい、同法第十四条第一項の地図が作成されていないものに限る。)について、同法第百二十三条第二号に規定する筆界特定の申請をすることができる。
(林道の開設及び改良に係る地域森林計画の変更等の要請)
第四十八条 市町村(集約化構想を市町村と共同して定めた都道府県の区域内の市町村を除く。)は、集約化構想において第四十三条第四項第一号に掲げる事項を定めた場合には、当該市町村の区域をその区域に含む都道府県の知事に対し、農林水産省令で定めるところにより、当該集約化構想において定められた当該事項に関連して必要となる森林法第五条第一項の地域森林計画(以下この項及び次項において単に「地域森林計画」という。)をたて、又はこれを変更することの要請をすることができる。この場合においては、当該要請に係る地域森林計画の素案を添えなければならない。
2 前項の規定による要請を受けた都道府県知事は、遅滞なく、当該要請を踏まえた地域森林計画(当該要請に係る地域森林計画の素案の内容の全部又は一部を実現することとなる地域森林計画をいう。次項において同じ。)をたて、又はこれを変更する必要があるかどうかを判断し、その必要があると認めるときは、その案を作成しなければならない。
3 第一項の規定による要請を受けた都道府県知事は、当該要請を踏まえた地域森林計画をたて、又はこれを変更する必要がないと判断したときは、遅滞なく、その旨及びその理由を、当該要請をした市町村に通知しなければならない。
(森林法の特例)
第四十九条 構想適合事業者が構想森林の森林所有者等となった場合において、集約化構想(第四十三条第四項第二号に掲げる事項が定められているものに限る。)に従って当該構想適合事業者が締結する施業実施協定又は施業施設協定に関する森林法第十条の十一の三第一項(同法第十条の十一の九第三項において読み替えて準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定の適用については、第四十三条第九項の規定による公告があったことをもって、同法第十条の十一の三第一項の規定による公告及び縦覧があり、かつ、同項の縦覧期間が満了したものとみなす。
(適合事業者による集約化構想の作成の申出)
第五十条 適合事業者は、農林水産省令で定めるところにより、第四十四条第一項の規定による公募において集約化構想が定められる場合に経営管理を行うことを希望した公募区域内の森林の区域について、当該森林の所在地の市町村に対し、集約化構想を定めるべきことを申し出ることができる。
2 前項の規定による申出を受けた市町村は、当該申出に係る森林の区域について集約化構想を定めないこととしたときは、その旨及びその理由を、当該申出をした適合事業者に通知するよう努めるものとする。
第三節 権利集積配分一括計画の作成等
(権利集積配分一括計画の作成)
第五十一条 市町村は、集約化構想を定めた場合において、当該集約化構想の実現のため、当該集約化構想において定められた構想森林の全部又は一部について、当該市町村への当該構想森林の経営管理権の集積及び当該経営管理権に基づく構想適合事業者への経営管理実施権の設定を一括して行うことが必要かつ適当であると認めるときは、権利集積配分一括計画を定めるものとする。
2 権利集積配分一括計画においては、当該権利集積配分一括計画に従って行われる次の各号に掲げる行為の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める事項を定めるものとする。
一 市町村への経営管理権の集積 次に掲げる事項
イ 市町村が経営管理権の設定を受ける構想森林(以下「一括計画対象森林」という。)の所在、地番、地目及び面積
ロ 一括計画対象森林の森林所有者の氏名又は名称及び住所
ハ 市町村が設定を受ける経営管理権の始期及び存続期間
ニ 市町村が設定を受ける経営管理権に基づいて行われる経営管理の内容
ホ 販売収益から伐採等に要する経費を控除してなお利益がある場合において森林所有者に支払われるべき金銭の額の算定方法並びに当該金銭の支払の時期、相手方及び方法
ヘ 一括計画対象森林について権利を設定し、又は移転する場合には、あらかじめ、市町村にその旨を通知しなければならない旨の条件
ト ハに規定する存続期間の満了時及び第九条第二項又は第五十三条において準用する第十五条第二項、第二十三条第二項若しくは第三十二条第二項の規定によりこれらの規定に規定する委託が解除されたものとみなされた時における清算の方法
チ その他農林水産省令で定める事項
二 構想適合事業者への経営管理実施権の設定 次に掲げる事項
イ 経営管理実施権の設定を受ける構想適合事業者の氏名又は名称及び住所
ロ 構想適合事業者が経営管理実施権の設定を受ける一括計画対象森林の所在、地番、地目及び面積
ハ ロに規定する一括計画対象森林の森林所有者の氏名又は名称及び住所
ニ 構想適合事業者が設定を受ける経営管理実施権の始期及び存続期間
ホ 構想適合事業者が設定を受ける経営管理実施権に基づいて行われる経営管理の内容
ヘ ロに規定する一括計画対象森林に係る前号ホに規定する金銭の額の算定方法並びに当該金銭の支払の時期、相手方及び方法
ト 市町村に支払われるべき金銭がある場合(チに規定する清算の場合を除く。)における当該金銭の額の算定方法及び当該金銭の支払の時期
チ ニに規定する存続期間の満了時及び第四十一条第二項の規定により同項に規定する委託が解除されたものとみなされた時における清算の方法
リ その他農林水産省令で定める事項
3 前項第一号ホに規定する算定方法を定めるに当たっては、計画的かつ確実に伐採後の造林及び保育が実施されるよう、伐採後の造林及び保育に要する経費が適切に算定されなければならない。
4 市町村は、集約化構想を定めた場合において、当該集約化構想の実現のため、第二項各号に定める事項のほか、当該集約化構想において定められた構想森林(一括計画対象森林を除く。以下この項において同じ。)の立木竹及び土地を対象として、構想適合事業者への所有権の移転の促進を行おうとするときは、権利集積配分一括計画に次に掲げる事項を定めることができる。
一 所有権の移転を受ける構想適合事業者の氏名又は名称及び住所
二 構想適合事業者が所有権の移転を受ける構想森林の立木竹及び土地の所在、地番、地目及び面積
三 構想適合事業者に前号に規定する構想森林の立木竹及び土地について所有権の移転を行う者の氏名又は名称及び住所
四 構想適合事業者が移転を受ける所有権の移転の後における森林の立木竹及び土地の利用目的並びに当該所有権の移転の時期並びに移転の対価及びその支払の方法
五 その他農林水産省令で定める事項
5 権利集積配分一括計画は、次に掲げる要件に該当するものでなければならない。
一 権利集積配分一括計画の内容が集約化構想の実現に資するものであること。
二 森林法第十条の五第一項の規定によりたてられた市町村森林整備計画、都道府県の治山事業の実施に関する計画その他地方公共団体の森林の整備及び保全に関する計画との調和が保たれたものであること。
三 第二項第一号に定める事項について、一括計画対象森林ごとに、当該一括計画対象森林について所有権、地上権、質権、使用貸借による権利、賃借権又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者の全部の同意が得られていること。ただし、数人の共有に属する一括計画対象森林について間伐等経営管理権を設定する場合における当該一括計画対象森林について所有権を有する者の同意については、当該一括計画対象森林の立木竹及び土地のそれぞれについて二分の一を超える共有持分を有する者の同意が得られていれば足りる。
四 第二項第二号に定める事項について、一括計画対象森林ごとに、同号イに規定する構想適合事業者の同意が得られていること。
五 前項各号に掲げる事項を定める場合にあっては、次のいずれにも該当すること。
イ 前項第二号に規定する構想森林の立木竹及び土地ごとに、同項第一号に規定する構想適合事業者並びに当該構想森林の立木竹及び土地について所有権、地上権、質権、使用貸借による権利、賃借権又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者の全部の同意が得られていること。
ロ 前項第一号に規定する構想適合事業者が、所有権の移転が行われた後において、同項第二号に規定する構想森林の立木竹及び土地を同項第四号に規定する森林の立木竹及び土地の利用目的に即して適正かつ確実に利用することができると認められること。
(権利集積配分一括計画の公告等)
第五十二条 市町村は、権利集積配分一括計画を定めたときは、農林水産省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を公告するものとする。
2 前項の規定による公告があったときは、その公告があった権利集積配分一括計画のうち、前条第二項第一号に定める事項に係る部分にあっては前項の市町村が経営管理権集積計画を定めて第七条第一項の規定により公告したものと、前条第二項第二号に定める事項に係る部分にあっては前項の市町村が経営管理実施権配分計画を定めて第三十七条第一項の規定により公告したものとそれぞれみなして、この法律の規定を適用する。この場合において、第三十五条第二項第六号中「第四条第二項第五号」とあるのは「第五十一条第二項第一号ホ」と、第四十条第二項第二号中「第三十六条第二項各号」とあるのは「第四十四条第二項各号」とする。
3 第一項の規定による公告(前条第四項各号に掲げる事項が定められた権利集積配分一括計画に係るものに限る。第五十四条から第五十六条までにおいて同じ。)があったときは、その公告があった権利集積配分一括計画の定めるところにより所有権が移転する。
(権利集積配分一括計画の作成手続の特例)
第五十三条 第二章第二節の規定は、権利集積配分一括計画のうち第五十一条第二項第一号に定める事項に係る部分を定める場合において、当該部分に係る一括計画対象森林のうちに、共有者不明森林、確知所有者不同意森林又は所有者不明森林があるときについて準用する。この場合において、第二十一条第一項及び第三十条第一項中「第七条第一項」とあるのは、「第五十二条第一項」と読み替えるものとする。
(登記の特例)
第五十四条 第五十二条第一項の規定による公告があった権利集積配分一括計画に係る土地の登記については、政令で、不動産登記法の特例を定めることができる。
(森林法の特例)
第五十五条 第五十二条第一項の規定による公告があったときは、森林法第十条の七の二第一項本文の規定による届出があったものとみなす。
(勧告)
第五十六条 市町村の長は、第五十二条第一項の規定による公告があった権利集積配分一括計画の定めるところによる所有権の移転を受けた構想適合事業者が当該権利集積配分一括計画において定められた森林の立木竹及び土地の利用目的に従って森林の立木竹及び土地を利用していないと認めるときは、当該構想適合事業者に対し、相当の期限を定めて、当該利用目的に従って森林の立木竹及び土地を利用すべきことを勧告することができる。
第六章 経営管理支援法人
(経営管理支援法人の指定)
第五十七条 市町村の長は、特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人、一般社団法人若しくは一般財団法人又は経営管理の実施を支援する活動を行う法人であって、次条各号に掲げる業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、経営管理支援法人(以下「支援法人」という。)として指定することができる。
2 市町村の長は、前項の規定による指定をしたときは、当該支援法人の名称又は商号、住所及び事務所又は営業所の所在地を公示するものとする。
3 支援法人は、その名称若しくは商号、住所又は事務所若しくは営業所の所在地を変更するときは、あらかじめ、その旨を市町村の長に届け出なければならない。
4 市町村の長は、前項の規定による届出があったときは、当該届出に係る事項を公示するものとする。
(支援法人の業務)
第五十八条 支援法人は、次に掲げる業務を行うものとする。
一 森林所有者、民間事業者その他経営管理を行おうとする者に対し、経営管理の実施に関する情報の提供又は相談その他の経営管理の実施のために必要な支援を行うこと。
二 経営管理の実施に関する調査研究を行うこと。
三 経営管理の実施に関する普及啓発を行うこと。
四 委託に基づき、現に経営管理が行われていない森林の森林所有者(第六十条第二項において単に「森林所有者」という。)の探索を行うこと。
五 前各号に掲げるもののほか、経営管理の実施を支援するために必要な事業又は事務を行うこと。
(監督等)
第五十九条 市町村の長は、前条各号に掲げる業務の適正かつ確実な実施を確保するため必要があると認めるときは、支援法人に対し、その業務に関し報告をさせることができる。
2 市町村の長は、支援法人が前条各号に掲げる業務を適正かつ確実に実施していないと認めるときは、支援法人に対し、その業務の運営の改善に関し必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
3 市町村の長は、支援法人が前項の規定による命令に違反したときは、第五十七条第一項の規定による指定を取り消すことができる。
4 市町村の長は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示するものとする。
(情報提供等)
第六十条 国及び地方公共団体は、支援法人に対し、その業務の実施に関し必要な情報の提供又は指導若しくは助言をするものとする。
2 市町村の長は、支援法人から第五十八条第四号に掲げる業務の遂行のため森林所有者を知る必要があるとして、森林所有者に関する情報(以下この項及び次項において「所有者関連情報」という。)の提供の求めがあったときは、当該森林所有者の探索に必要な限度で、当該支援法人に対し、所有者関連情報を提供するものとする。
3 前項の場合において、市町村の長は、支援法人に対し所有者関連情報を提供するときは、あらかじめ、当該所有者関連情報を提供することについて本人(当該所有者関連情報によって識別される特定の個人をいう。)の同意を得なければならない。
4 前項の同意は、その所在が判明している者に対して求めれば足りる。
(支援法人による経営管理権集積計画等の作成の申出)
第六十一条 支援法人は、農林水産省令で定めるところにより、当該支援法人を指定した市町村に対し、当該市町村の区域内の森林について経営管理権集積計画を定め、又は当該区域内の森林の区域について集約化構想を定めるべきことを申し出ることができる。
(森林法の一部改正)
第二条 森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)の一部を次のように改正する。
第六条第五項第一号中「及び第三号」を「から第四号まで」に改め、同項第三号を同項第四号とし、同項第二号の次に次の一号を加える。
三 前条第二項第七号に掲げる事項のうち森林経営管理法(平成三十年法律第三十五号)第四十八条第一項の規定による同項に規定する市町村からの要請に係る部分 農林水産大臣及び当該市町村の長に協議すること。
第十条の二第一項中「こえる」を「超える」に改め、同項ただし書中「一に」を「いずれかに」に改め、同項各号中「行なう」を「行う」に改め、同条第二項第二号中「かん養」を「涵養」に改め、同条第四項中「条件を附する」を「擁壁、排水施設その他の森林の有する公益的機能を維持するために必要な施設を設置し、又は維持管理すべきことその他の条件を付する」に改める。
第十条の三中「附した」を「付した」に改め、同条に次の一項を加える。
2 都道府県知事は、前項の規定による命令を受けた者が、正当な理由がなくて当該命令に従わなかつたときは、その旨及び当該命令に係る森林の土地の地番その他必要な事項を公表することができる。
第十条の八第一項中「森林所有者等は」を「森林所有者等(市町村がその区域内において伐採する場合の当該市町村を除く。以下この条において同じ。)は」に改める。
第十条の十一第一項中「この項」の下に「及び第十条の十一の九第一項」を加え、同条第三項第二号イ及びロ中「申請」を「認可の申請」に改める。
第十条の十一の四第一項中「全てに」を「いずれにも」に改め、同項に次の一号を加える。
四 第十条の十一第一項の認可の申請に係る施業実施協定にあつては、森林経営管理法第四十三条第一項に規定する集約化構想が定められている場合において、当該集約化構想において定められた同条第二項第一号に掲げる区域が施業実施協定の対象とする森林の区域の全部又は一部を含むものであるときは、施業実施協定の内容が当該集約化構想の実現に資すると認められるものであること。
第十条の十一の八の次に次の一条を加える。
(施業施設協定)
第十条の十一の九 対象森林の森林所有者等及び当該対象森林の施業を実施するために必要な作業路網その他の施設(以下この条において「施業施設」という。)の施設所有者等(当該施業施設の所有者、その敷地である土地の所有者又は当該土地の使用及び収益を目的とする権利(臨時設備その他一時的に使用する施設のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者をいう。)は、当該市町村の長の認可を受けて、当該対象森林について一定の区域を定め、その区域内の森林の施業を実施するために必要な施業施設の設置又は維持運営に関する協定(以下この条において「施業施設協定」という。)を締結することができる。
2 施業施設協定においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 施業施設協定の目的となる前項の森林の区域及びその面積並びに施業施設の位置
二 施業施設の設置又は維持運営に関する事項
三 施業施設協定の有効期間
四 施業施設協定に違反した場合の措置
3 第十条の十一(第四項及び第五項に限る。)から前条までの規定は、施業施設協定並びに当該施業施設協定の対象となる森林及び施業施設について準用する。この場合において、第十条の十一第四項中「森林の土地の所有者」とあるのは「施業施設協定の対象となる施業施設の施設所有者等(第十条の十一の九第一項に規定する施設所有者等をいう。以下同じ。)」と、第十条の十一の三第一項及び第十条の十一の四第一項中「第十条の十一第一項又は第二項」とあるのは「第十条の十一の九第一項」と、同項第二号中「森林」とあるのは「森林及び施業施設協定の対象とする施業施設」と、同項第四号中「第十条の十一第一項の認可の申請に係る施業実施協定にあつては、森林経営管理法」とあるのは「森林経営管理法」と、同条第二項中「明示し」とあるのは「明示し、かつ、施業施設協定の対象とする施業施設である旨を当該施業施設内の見やすい場所に、又は当該施業施設が存する旨をその敷地である土地の区域内の見やすい場所に明示し」と、第十条の十一の五第一項、第十条の十一の七第一項及び前条第二項中「森林の土地の所有者」とあるのは「施設所有者等」と、第十条の十一の六中「森林の土地の所有者」とあるのは「施業施設協定の対象とする施業施設の施設所有者等」と、第十条の十一の七第一項中「第十条の十一第一項若しくは第二項」とあるのは「第十条の十一の九第一項」と、前条第一項中「第十条の十一第一項若しくは第二項」とあるのは「次条第一項」と読み替えるものとする。
第十条の十二の三第四号中「六月」を「二月」に改める。
第二百六条中第四号を第五号とし、第三号を第四号とし、同条第二号中「第十条の三」を「第十条の三第一項」に改め、同号を同条第三号とし、同条第一号の次に次の一号を加える。
二 第十条の二第一項の許可に付した同条第四項の条件(擁壁、排水施設その他の森林の有する公益的機能を維持するために必要な施設を設置し、又は維持管理すべきことを内容とするものに限る。)に違反し、開発行為をした者
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(共有者不明森林及び所有者不明森林に係る特例に関する経過措置)
第二条 第一条の規定による改正後の森林経営管理法第十一条及び第二十五条の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後にされる公告について適用し、施行日前にされた公告については、なお従前の例による。
(伐採及び伐採後の造林の届出に関する経過措置)
第三条 第二条の規定による改正後の森林法(次条及び附則第五条において「新森林法」という。)第十条の八第一項の規定は、施行日以後にされる伐採について適用し、施行日前にされた伐採については、なお従前の例による。
(施業実施協定に関する経過措置)
第四条 新森林法第十条の十一の四第一項(第四号に係る部分に限る。)及び第十条の十一の八第一項(同号に掲げる要件に係る部分に限る。)の規定は、施行日以後に新森林法第十条の十一第一項の認可の申請のあった同項に規定する施業実施協定について適用し、施行日前に第二条の規定による改正前の森林法第十条の十一第一項の認可の申請のあった同項に規定する施業実施協定については、なお従前の例による。
(共有者不確知森林の共有者による森林の施業の円滑化に関する経過措置)
第五条 新森林法第十条の十二の三の規定は、施行日以後に森林法第十条の十二の二第一項の規定による公告の申請があった場合における当該申請に係る公告について適用し、施行日前に同項の規定による公告の申請があった場合における当該申請に係る公告については、なお従前の例による。
(検討)
第六条 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後の森林経営管理法及び森林法の規定の施行の状況等を勘案し、当該規定に基づく規制の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
(住民基本台帳法の一部改正)
第七条 住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)の一部を次のように改正する。
別表第二の五の四十一の項及び別表第四の四の四十一の項中「経営管理意向調査の実施」を「調査」に改め、「第二十四条」の下に「(これらの規定を同法第五十三条において準用する場合を含む。)」を加え、「又は同法第四十二条第一項」を「、同法第四十五条第二項の調査、同法第五十一条第一項の権利集積配分一括計画の作成又は同法第六十二条第一項」に改める。
(木材の安定供給の確保に関する特別措置法の一部改正)
第八条 木材の安定供給の確保に関する特別措置法(平成八年法律第四十七号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項中「民間事業者」の下に「、同法第四十二条第二項に規定する適合事業者」を加える。
(独立行政法人農林漁業信用基金法の一部改正)
第九条 独立行政法人農林漁業信用基金法(平成十四年法律第百二十八号)の一部を次のように改正する。
第十二条第三項中「第四十六条」を「第六十六条」に改める。
(地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律の一部改正)
第十条 地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律(令和六年法律第十八号)の一部を次のように改正する。
第二十条第二項中「及び当該市町村」を削り、「認定連携市町村等」を「認定連携活動実施者」に改める。
理 由
最近における森林の経営管理をめぐる状況に鑑み、森林の循環利用を促進するため、市町村等が経営管理の集約化に関する目標等を定める構想を定めた場合に、市町村はその実現のため経営管理権及び経営管理実施権を一括で設定することを可能とするとともに、施業実施協定に加え、施設整備等の共同化に関する協定を追加する等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。