第二一七回
閣第四七号
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)の一部を次のように改正する。
目次中「第五十七条」を「第五十八条」に改める。
第四条第一項第二号イ中「又は第五十条第一項」を「、第五十条又は第五十一条第一項」に改め、同項第十一号中「第九号」を「第六号まで又は第八号から第十号」に改め、同号を同項第十二号とし、同項第十号ただし書中「及び次号」を「(第七号を除く。)、次号及び第十三号」に改め、同号を同項第十一号とし、同項第九号中「第七号に規定する」を「第八号イに掲げる」に、「同号」を「同号イ」に、「又は」を「若しくは」に、「者で」を「者又は同号ロに掲げる期間内に分割により同号ロの立入りに係る風俗営業を承継させ、若しくは分割により当該風俗営業以外の風俗営業を承継した法人(分割について相当な理由がある者を除く。)若しくはこれらの法人の当該立入りが行われた日前六十日以内に役員であつた者で、」に改め、同号を同項第十号とし、同項第八号中「前号に規定する」を「前号イに掲げる」に、「法人又は」を「法人若しくは」に、「前号の」を「前号イの」に、「者で」を「者又は同号ロに掲げる期間内に合併により消滅した法人若しくは同項第一号の規定による許可証の返納をした法人(合併又は風俗営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)の前号ロの立入りが行われた日前六十日以内に役員であつた者で、」に改め、同号を同項第九号とし、同項第七号中「第二十六条第一項の規定による風俗営業の許可の取消処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間」を「次のいずれかに掲げる期間内」に改め、同号に次のように加える。
イ 第二十六条第一項の規定による風俗営業の許可の取消処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間
ロ 第三十七条第二項の規定による風俗営業の営業所への立入りが行われた日から聴聞決定予定日(当該立入りの結果に基づき第二十六条第一項の規定による風俗営業の許可の取消処分に係る聴聞を行うか否かの決定をすることが見込まれる日として国家公安委員会規則で定めるところにより公安委員会が当該立入りを受けた者に当該立入りが行われた日から十日以内に特定の日を通知した場合における当該特定の日をいう。)までの間
第四条第一項中第七号を第八号とし、第六号の次に次の一号を加える。
七 当該許可を受けようとする者(法人に限る。イ及びハにおいて同じ。)と密接な関係を有する次に掲げる法人が第二十六条第一項の規定により風俗営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者である者
イ 当該許可を受けようとする者の株式の所有その他の事由を通じて当該許可を受けようとする者の事業を実質的に支配し、又はその事業に重要な影響を与える関係にある者として国家公安委員会規則で定めるもの(ロにおいて「親会社等」という。)
ロ 親会社等が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、又はその事業に重要な影響を与える関係にある者として国家公安委員会規則で定めるもの
ハ 当該許可を受けようとする者が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、又はその事業に重要な影響を与える関係にある者として国家公安委員会規則で定めるもの
第四条第一項に次の一号を加える。
十三 第三号に該当する者が出資、融資、取引その他の関係を通じてその事業活動に支配的な影響力を有する者
第七条第三項中「の申請をした相続人」を削る。
第七条の二第二項後段及び第七条の三第二項後段を削る。
第十八条の二の次に次の一条を加える。
(客の正常な判断を著しく阻害する行為の規制)
第十八条の三 第二条第一項第一号の営業を営む風俗営業者は、その営業に関し、次に掲げる行為をしてはならない。
一 第十七条に規定する料金について、事実に相違する説明をし、又は客を誤認させるような説明をすること。
二 客が、接客従業者に対して恋愛感情その他の好意の感情を抱き、かつ、当該接客従業者も当該客に対して同様の感情を抱いているものと誤信していることを知りながら、これに乗じ、次に掲げる行為により当該客を困惑させ、それによつて遊興又は飲食をさせること。
イ 当該客が遊興又は飲食をしなければ当該接客従業者との関係が破綻することになる旨を告げること。
ロ 当該接客従業者がその意に反して受ける降格、配置転換その他の業務上の不利益を回避するためには、当該客が遊興又は飲食をすることが必要不可欠である旨を告げること。
三 客が注文その他の遊興又は飲食の提供を受ける旨の意思表示(第二十二条の二第一号において「注文等」という。)をする前に遊興又は飲食の全部又は一部を提供することにより、当該客を困惑させ、それによつて当該遊興をさせ、若しくはしたものとさせ、又は当該飲食をさせること。
第二十二条の見出しを「(風俗営業を営む者の禁止行為等)」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(接待飲食営業を営む者の禁止行為)
第二十二条の二 第二条第一項第一号の営業を営む者は、その営業に関し、次に掲げる行為をしてはならない。
一 客に注文等をさせ、又は当該営業に係る料金の支払その他の財産上の給付若しくは財産の預託若しくはこれらに充てるために行われた金銭の借入れ(これと同様の経済的性質を有するものを含む。)に係る債務の弁済(次号において「料金の支払等」という。)をさせる目的で、当該客を威迫して困惑させること。
二 客に対し、威迫し、又は誘惑して、料金の支払等のために当該客が次に掲げる行為により金銭その他の財産を得ることを要求すること。
イ 売春防止法その他の法令に違反する行為をすること。
ロ 対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交類似行為等(性交類似行為をし、又は他人の性的好奇心を満たす目的で、当該他人の性器等(性器、肛(こう)門又は乳首をいう。以下ロにおいて同じ。)を触り、若しくは当該他人に自己の性器等を触らせることをいう。)をすること。
ハ 第二条第六項第一号若しくは第二号又は第七項第一号の営業において異性の客に接触する役務を提供する業務に従事すること。
ニ 性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律(令和四年法律第七十八号)第二条第三項に規定する性行為映像制作物への出演をすること。
ホ 外国において売春をすること。
第二十三条の見出しを「(遊技場営業を営む者の禁止行為)」に改め、同条第一項及び第二項中「、前条第一項の規定によるほか」を削る。
第二十四条第二項第二号中「又は第六号から第九号」を「、第六号又は第八号から第十号」に改める。
第二十八条に次の一項を加える。
13 第二条第六項第一号又は第二号の営業を営む者は、営業所で異性の客に接触する役務を提供する業務に従事しようとする者の紹介を受けた場合において、当該紹介をした者又は第三者に対し、当該紹介の対価として金銭その他の財産上の利益を提供し、又は第三者をして提供させてはならない。
第三十一条の三第一項中「規定は、」を「規定は」に改め、「者について」の下に「、同条第十三項の規定は第二条第七項第一号の営業を営む者について、それぞれ」を、「なつて」と」の下に「、同条第十三項中「営業所で異性」とあるのは「異性」と」を加える。
第三十一条の十五第一項中「第四十九条第五号及び第六号」を「第五十条第一号及び第二号」に改める。
第三十一条の二十三の表第四条第一項第六号及び第七号の項中「及び第七号」を「から第八号まで」に改める。
第三十六条の二第一項第三号イ中「在留期間」の下に「の満了の日」を加える。
第五十七条を第五十八条とする。
第五十六条中「代表者、法人又は」を「代表者又は法人若しくは」に、「が、」を「が、その」に、「営業」を「業務」に、「第四十九条、第五十条第一項又は第五十二条から前条まで」を「次の各号に掲げる規定」に、「又は人に対し、」を「に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して」に改め、同条に次の各号を加える。
一 第四十九条 三億円以下の罰金刑
二 第五十条、第五十一条第一項又は第五十三条から前条まで 各本条の罰金刑
第五十六条に次の一項を加える。
2 前項の規定により第四十九条の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、同条の罪についての時効の期間による。
第五十六条を第五十七条とする。
第五十五条中「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同条各号中「者」を「とき。」に改め、同条を第五十六条とする。
第五十四条中「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同条各号中「者」を「とき。」に改め、同条を第五十五条とする。
第五十三条中「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同条第一号及び第二号中「者」を「とき。」に改め、同条第三号中「した者」を「したとき。」に改め、同条第四号から第七号までの規定中「者」を「とき。」に改め、同条を第五十四条とする。
第五十二条中「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同条第一号中「者」を「とき。」に改め、同条第五号中「者」を「とき。」に改め、同号を同条第六号とし、同条第四号中「者」を「とき。」に改め、同号を同条第五号とし、同条第三号中「者」を「とき。」に改め、同号を同条第四号とし、同条第二号中「者」を「とき。」に改め、同号を同条第三号とし、同条第一号の次に次の一号を加える。
二 第二十二条の二の規定に違反したとき。
第五十二条に次の一号を加える。
七 第二十八条第十三項(第三十一条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
第五十二条を第五十三条とし、第五十一条を第五十二条とする。
第五十条第一項中「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同項各号中「者」を「とき。」に改め、同条を第五十一条とする。
第四十九条中「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同条各号を次のように改める。
一 第三十一条の十三第一項において準用する第二十八条第一項の規定に違反したとき。
二 第三十一条の十三第一項において準用する第二十八条第二項の規定に基づく都道府県の条例の規定に違反したとき。
三 第三十一条の十五、第三十一条の二十、第三十一条の二十一第二項第二号、第三十一条の二十五、第三十四条第二項、第三十五条、第三十五条の二又は第三十五条の四第二項若しくは第四項第二号の規定による公安委員会の処分に違反したとき。
四 第三十一条の二十二の規定に違反して同条の許可を受けないで特定遊興飲食店営業を営んだとき。
五 偽りその他不正の手段により第三十一条の二十二の許可又は第三十一条の二十三において準用する第七条第一項、第七条の二第一項若しくは第七条の三第一項の承認を受けたとき。
六 第三十一条の二十三において準用する第十一条の規定に違反したとき。
第四十九条を第五十条とし、第七章中同条の前に次の一条を加える。
第四十九条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三条第一項の規定に違反して同項の許可を受けないで風俗営業を営んだとき。
二 偽りその他不正の手段により第三条第一項の許可又は第七条第一項、第七条の二第一項若しくは第七条の三第一項の承認を受けたとき。
三 第十一条の規定に違反したとき。
四 第二十六条、第三十条、第三十一条の五第一項若しくは第二項又は第三十一条の六第二項第二号若しくは第三号の規定による公安委員会の処分に違反したとき。
五 第二十八条第一項(第三十一条の三第二項の規定により適用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
六 第二十八条第二項(第三十一条の三第二項の規定により適用する場合を含む。)の規定に基づく都道府県の条例の規定に違反したとき。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第六条の規定 公布の日
二 第四条第一項の改正規定(同項第二号イの改正規定を除く。)、第二十四条第二項第二号の改正規定及び第三十一条の二十三の表第四条第一項第六号及び第七号の項の改正規定 公布の日から起算して六月を経過した日
(調整規定)
第二条 この法律の施行の日(次項及び附則第五条において「施行日」という。)が刑法等の一部を改正する法律(令和四年法律第六十七号)の施行の日(以下この項において「刑法施行日」という。)前である場合には、刑法施行日の前日までの間におけるこの法律による改正後の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第四十九条の規定の適用については、同条中「拘禁刑」とあるのは、「懲役」とする。刑法施行日以後における刑法施行日前にした行為に対する同条の規定の適用についても、同様とする。
2 施行日が刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和四年法律第六十八号)の施行の日前である場合には、同法第九十六条のうち風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第四十九条、第五十条第一項、第五十一条及び第五十二条の改正規定中「第四十九条、第五十条第一項、第五十一条及び第五十二条」とあるのは、「第五十条、第五十一条第一項、第五十二条及び第五十三条」とする。
(酒税法の一部改正)
第三条 酒税法(昭和二十八年法律第六号)の一部を次のように改正する。
第十条第七号の二中「第五十条第一項第四号」を「第五十一条第一項第四号」に、「禁止行為等」を「風俗営業を営む者の禁止行為等」に、「第五十条第一項第五号」を「第五十一条第一項第五号」に、「第五十条第一項第八号」を「第五十一条第一項第八号」に、「第五十六条」を「第五十七条第一項(第二号」に改め、「第八号に」の下に「係る部分に限る。)に」を加える。
(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正)
第四条 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号。次条において「組織的犯罪処罰法」という。)の一部を次のように改正する。
別表第二中第五号を削り、第六号を第五号とし、第七号から第三十七号までを一号ずつ繰り上げる。
別表第三第十一号の次に次の一号を加える。
十一の二 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第四十九条(無許可営業等)の罪
(組織的犯罪処罰法の一部改正に伴う経過措置)
第五条 組織的犯罪処罰法第九条第一項から第三項まで、第十条及び第十一条の規定は、施行日前に財産上の不正な利益を得る目的で犯したこの法律による改正前の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第四十九条第二号から第六号までの罪(この法律による改正後の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第五十条各号(第四号を除く。)の罪に相当するものを除く。)の犯罪行為(日本国外でした行為であって、当該行為が日本国内において行われたとしたならばこれらの罪に当たり、かつ、当該行為地の法令により罪に当たるものを含む。)により生じ、若しくは当該犯罪行為により得た財産又は当該犯罪行為の報酬として得た財産に関して施行日以後にした行為に対しても、適用する。この場合において、これらの財産は、組織的犯罪処罰法第二条第二項第一号の犯罪収益とみなす。
(政令への委任)
第六条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
理 由
最近における風俗営業等をめぐる情勢に鑑み、接待飲食営業に係る遵守事項等を追加するとともに、風俗営業の許可に係る不許可事由を追加する等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。