第二一七回
閣第五二号
独立行政法人男女共同参画機構法案
目次
第一章 総則(第一条−第六条)
第二章 役員及び職員(第七条−第十一条)
第三章 業務等(第十二条・第十三条)
第四章 雑則(第十四条)
第五章 罰則(第十五条・第十六条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、独立行政法人男女共同参画機構の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めることを目的とする。
(名称)
第二条 この法律及び独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号。以下「通則法」という。)の定めるところにより設立される通則法第二条第一項に規定する独立行政法人の名称は、独立行政法人男女共同参画機構とする。
(機構の目的)
第三条 独立行政法人男女共同参画機構(以下「機構」という。)は、男女共同参画促進施策(男女共同参画社会基本法(平成十一年法律第七十八号。以下この条及び第十二条第一号において「基本法」という。)第八条に規定する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策をいう。以下同じ。)に係る関係者相互間の連携及び協働の促進、男女共同参画促進施策の策定及び実施に関する業務に従事する職員等に対する研修、男女共同参画促進施策の策定及び実施に資する専門的な調査及び研究等を行うことにより、男女共同参画促進施策の推進を図り、もって男女共同参画社会の形成(基本法第二条第一号に規定する男女共同参画社会の形成をいう。第十二条第三号において同じ。)の促進に寄与することを目的とする。
(中期目標管理法人)
第四条 機構は、通則法第二条第二項に規定する中期目標管理法人とする。
(事務所)
第五条 機構は、主たる事務所を埼玉県に置く。
(資本金)
第六条 機構の資本金は、附則第四条第一項の規定により政府から出資があったものとされた金額とする。
2 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、機構に追加して出資することができる。
3 機構は、前項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする。
第二章 役員及び職員
(役員)
第七条 機構に、役員として、その長である理事長及び監事二人を置く。
2 機構に、役員として、理事一人を置くことができる。
(理事の職務及び権限等)
第八条 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して機構の業務を掌理する。
2 通則法第十九条第二項の個別法で定める役員は、理事とする。ただし、理事が置かれていないときは、監事とする。
3 前項ただし書の場合において、通則法第十九条第二項の規定により理事長の職務を代理し、又はその職務を行う監事は、その間、監事の職務を行ってはならない。
(理事の任期)
第九条 理事の任期は、二年とする。
(役員及び職員の秘密保持義務)
第十条 機構の役員及び職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(役員及び職員の地位)
第十一条 機構の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三章 業務等
(業務の範囲)
第十二条 機構は、第三条の目的を達成するため、次に掲げる業務を行う。
一 基本法第八条に規定する基本理念に関する国民の理解を深めるための啓発活動及び広報活動を行うこと。
二 男女共同参画促進施策に関係する国及び地方公共団体の機関並びに民間の団体その他の関係者相互間の連携及び協働の促進を行うこと。
三 女性教育関係者その他の国及び地方公共団体において男女共同参画促進施策の策定及び実施に関する業務に従事する職員並びに民間の団体において男女共同参画促進施策に関する活動に従事する者並びに外国の機関の職員であってその国における男女共同参画社会の形成の促進に関する業務に従事するものに対する研修を行うこと。
四 女性教育に関する専門的な調査及び研究その他の国及び地方公共団体の男女共同参画促進施策の策定及び実施に資する専門的な調査及び研究を行うこと。
五 女性教育に関する情報及び資料その他の国及び地方公共団体の男女共同参画促進施策の策定及び実施並びに民間の団体が行う男女共同参画促進施策に関する活動に資する情報及び資料を収集し、整理し、及び提供すること。
六 前各号に掲げる業務に関し、男女共同参画促進施策に関係する国及び地方公共団体の機関並びに民間の団体に対し、助言を行うこと。
七 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
(積立金の処分)
第十三条 機構は、通則法第二十九条第二項第一号に規定する中期目標の期間(以下この項において「中期目標の期間」という。)の最後の事業年度に係る通則法第四十四条第一項又は第二項の規定による整理を行った後、同条第一項の規定による積立金があるときは、その額に相当する金額のうち内閣総理大臣の承認を受けた金額を、当該中期目標の期間の次の中期目標の期間に係る通則法第三十条第一項の認可を受けた中期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの)の定めるところにより、当該次の中期目標の期間における前条に規定する業務の財源に充てることができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による承認をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。
3 機構は、第一項に規定する積立金の額に相当する金額から同項の規定による承認を受けた金額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならない。
4 前三項に定めるもののほか、納付金の納付の手続その他積立金の処分に関し必要な事項は、政令で定める。
第四章 雑則
(主務大臣等)
第十四条 機構に係る通則法における主務大臣は、次のとおりとする。
一 役員及び職員並びに財務及び会計その他管理業務に関する事項については、内閣総理大臣
二 第十二条第三号に掲げる業務(女性教育関係者に対する研修に係る部分に限る。)及び同条第四号から第六号までに掲げる業務(女性教育に関する業務に係る部分に限る。)並びにこれらの業務に附帯する業務に関する事項については、文部科学大臣
三 第十二条に規定する業務のうち、前号に規定する業務以外のものに関する事項については、内閣総理大臣
2 機構に係る通則法における主務省令は、主務大臣の発する命令とする。
第五章 罰則
第十五条 第十条の規定に違反して秘密を漏らし、又は盗用した者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
第十六条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした機構の役員は、二十万円以下の過料に処する。
一 第十二条に規定する業務以外の業務を行ったとき。
二 第十三条第一項の規定により内閣総理大臣の承認を受けなければならない場合において、その承認を受けなかったとき。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、令和八年四月一日から施行する。ただし、第十四条並びに附則第三条、第四条及び第十条の規定は、公布の日から施行する。
(機構の成立)
第二条 機構は、通則法第十七条の規定にかかわらず、この法律の施行の時に成立する。
2 機構は、通則法第十六条の規定にかかわらず、機構の成立後遅滞なく、政令で定めるところにより、その設立の登記をしなければならない。
(会館の解散等)
第三条 独立行政法人国立女性教育会館(以下「会館」という。)は、機構の成立の時において解散するものとし、次項の規定により国が承継する資産を除き、その一切の権利及び義務は、その時において機構が承継する。
2 機構の成立の際現に会館が有する権利のうち、機構がその業務を確実に実施するために必要な資産以外の資産は、機構の成立の時において国が承継する。
3 前項の規定により国が承継する資産の範囲その他当該資産の国への承継に関し必要な事項は、政令で定める。
4 会館の解散の日の前日を含む事業年度(次項において「最終事業年度」という。)及び通則法第二十九条第二項第一号に規定する中期目標の期間における業務の実績についての通則法第三十二条第一項(第三号に係る部分に限る。)の規定による評価は、機構が受けるものとする。この場合において、同条第二項の規定による報告書の提出及び公表は機構が行うものとし、同条第四項前段の規定による通知及び同条第六項の規定による命令は機構に対してされるものとする。
5 次に掲げる業務については、機構が行うものとする。
一 会館の最終事業年度に係る通則法第三十八条の規定による財務諸表、事業報告書及び決算報告書の作成等に関する業務
二 会館の最終事業年度に係る通則法第四十四条第一項及び第二項の規定による利益及び損失の処理に関する業務
6 前項(第二号に係る部分に限る。)の規定による処理において、通則法第四十四条第一項又は第二項の規定による整理を行った後、同条第一項の規定による積立金があるときは、当該積立金の処分は、機構が行うものとする。この場合において、附則第七条の規定による廃止前の独立行政法人国立女性教育会館法(平成十一年法律第百六十八号。以下この項及び次条第一項において「旧会館法」という。)第十二条の規定(同条の規定に係る罰則を含む。)は、なおその効力を有するものとし、同条第一項中「文部科学大臣」とあるのは「内閣総理大臣」と、「当該中期目標の期間の次の」とあるのは「独立行政法人男女共同参画機構の令和八年四月一日に始まる」と、「次の中期目標の期間における前条」とあるのは「中期目標の期間における独立行政法人男女共同参画機構法(令和七年法律第▼▼▼号)第十二条」と、同条第二項及び旧会館法第十五条第二号中「文部科学大臣」とあるのは「内閣総理大臣」とする。
7 第一項の規定により会館が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
(機構への出資)
第四条 前条第一項の規定により機構が会館の権利及び義務を承継したときは、その承継の際、機構が承継する資産の価額(同条第六項の規定によりなおその効力を有するものとして読み替えて適用される旧会館法第十二条第一項の規定による承認を受けた金額があるときは、当該金額に相当する金額を除く。)から負債の金額を差し引いた額は、政府から機構に対し出資されたものとする。
2 前項に規定する資産の価額は、機構の成立の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。
3 前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。
(会館の職員から引き続き機構の職員となった者の退職手当の取扱いに関する経過措置)
第五条 機構は、機構の成立の日の前日に会館の職員として在職する者(独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備に関する法律(平成十八年法律第二十四号。以下この条において「平成十八年整備法」という。)附則第四条第四項の規定の適用を受けた者に限る。)で引き続いて機構の職員となったものの退職に際し、退職手当を支給しようとするときは、その者の国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第二条第一項に規定する職員としての引き続いた在職期間を機構の職員としての在職期間とみなして取り扱うべきものとする。ただし、その者が平成十八年整備法の施行の日以後に会館を退職したことにより退職手当(これに相当する給付を含む。)の支給を受けているときは、この限りでない。
2 機構の成立の日の前日に会館の職員として在職する者(平成十八年整備法附則第四条第四項の規定の適用を受けた者であって、平成十八年整備法の施行の日以後引き続き会館の職員として在職する者に限る。)が、引き続いて機構の職員となり、かつ、引き続き機構の職員として在職した後引き続いて国家公務員退職手当法第二条第一項に規定する職員となった場合におけるその者の同法に基づいて支給する退職手当の算定の基礎となる勤続期間の計算については、その者の平成十八年整備法の施行の日以後の会館の職員としての在職期間及び機構の職員としての在職期間を同項に規定する職員としての引き続いた在職期間とみなす。ただし、その者が同日以後に会館又は機構を退職したことにより退職手当(これに相当する給付を含む。)の支給を受けているときは、この限りでない。
(機構の役員又は職員についての通則法の適用に関する経過措置)
第六条 機構の役員又は職員についての通則法第五十条の四第一項、第二項(第一号及び第四号に係る部分に限る。)及び第六項並びに第五十条の六の規定の適用については、次の表の上欄に掲げるこれらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。
通則法第五十条の四第一項 |
の中期目標管理法人役職員であった者 |
の中期目標管理法人役職員であった者(独立行政法人男女共同参画機構法(令和七年法律第▼▼▼号。第六項において「機構法」という。)附則第三条第一項の規定により解散した独立行政法人国立女性教育会館(以下「旧会館」という。)の中期目標管理法人役職員であった者を含む。以下この項において同じ。) |
通則法第五十条の四第二項第一号 |
であった者 |
であった者(旧会館の中期目標管理法人役職員であった者を含む。) |
通則法第五十条の四第二項第四号 |
当該中期目標管理法人 |
当該中期目標管理法人(旧会館を含む。) |
通則法第五十条の四第六項 |
したこと |
したこと(機構法附則第七条の規定による廃止前の独立行政法人国立女性教育会館法(平成十一年法律第百六十八号。以下この項において「旧会館法」という。)又は旧会館が定めていた業務方法書、第四十九条に規定する規程その他の規則(以下この項において「旧会館規則」という。)に違反する職務上の行為をしたことを含む。次条において同じ。) |
|
させたこと |
させたこと(旧会館の役員又は職員にこの法律、旧会館法若しくは他の法令又は旧会館規則に違反する職務上の行為をさせたことを含む。次条において同じ。) |
|
であった者 |
であった者(旧会館の役員又は職員であった者を含む。) |
通則法第五十条の六第一号 |
であった者 |
であった者(旧会館の中期目標管理法人役職員であった者を含む。) |
|
定めるもの |
定めるもの(離職前五年間に在職していた旧会館の内部組織として文部科学省令で定めるものが行っていた業務を行う当該中期目標管理法人の内部組織として主務省令で定めるものを含む。) |
通則法第五十条の六第二号 |
うち、当該中期目標管理法人 |
うち、当該中期目標管理法人(旧会館を含む。) |
通則法第五十条の六第三号 |
、当該中期目標管理法人 |
、当該中期目標管理法人(旧会館を含む。以下この号において同じ。) |
(独立行政法人国立女性教育会館法の廃止)
第七条 独立行政法人国立女性教育会館法は、廃止する。
(独立行政法人国立女性教育会館法の廃止に伴う経過措置)
第八条 会館の役員又は職員であった者に係るその職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない義務については、この法律の施行の日以後も、なお従前の例による。
(罰則に関する経過措置)
第九条 この法律の施行前にした行為及び前条の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第十条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
理 由
男女共同参画社会の形成の促進に関する施策に係る関係者相互間の連携及び協働の促進、当該施策の策定及び実施に関する業務に従事する職員等に対する研修、当該施策の策定及び実施に資する専門的な調査及び研究等を行うことにより、当該施策の推進を図り、もって男女共同参画社会の形成の促進に寄与するため、独立行政法人男女共同参画機構を設立し、その名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。