第二一九回
参第七号
政党交付金の交付を受ける政党の組織及び管理運営の透明性及び公正性の向上を図るための制度の導入に関する法律案
目次
第一章 総則(第一条−第三条)
第二章 基本方針
第一節 主要な組織、意思決定の手続等の公表及び監査に係る体制の強化等(第四条−第十三条)
第二節 その他の措置に関する検討(第十四条・第十五条)
附則
第一章 総則
(趣旨)
第一条 この法律は、政党の政治活動の公明と公正の確保のためにはその組織及び管理運営の透明性及び公正性の向上が求められること、とりわけ政党交付金の交付を受ける政党については、政党交付金が議会制民主政治における政党の機能の重要性に鑑みて国民から徴収された税金その他の貴重な財源により交付されるものであることから、その向上が特に求められることに鑑み、政党交付金の交付を受ける政党の組織及び管理運営の透明性及び公正性の向上を図るために必要な制度(以下この章において「組織及び管理運営の透明化等のための制度」という。)の導入を早期に行うため、その導入について、基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めるものとする。
(基本理念)
第二条 組織及び管理運営の透明化等のための制度は、政党交付金の交付を受ける政党について、主要な組織、意思決定の手続等を国民に明らかにするとともに、監査に係る体制を強化すること等により、当該政党が自らその政治活動の公明と公正の確保を図ることを推進することを基本とするものとする。
2 組織及び管理運営の透明化等のための制度の導入に当たっては、政党の政治活動の自由に配慮するとともに、政党の活動や組織の特性及び政党交付金の交付を受ける政党の事務負担に留意するものとする。
(制度の導入等)
第三条 前条の基本理念にのっとり、かつ、次章に定める基本方針に基づき、組織及び管理運営の透明化等のための制度が導入されるものとし、このために必要な法制上の措置その他の措置が講ぜられるものとする。
2 前項の措置のうち次章第一節に定める基本方針に係る法制上の措置については、第十三条の検討の状況を踏まえつつできる限り速やかに、講ぜられるものとする。
第二章 基本方針
第一節 主要な組織、意思決定の手続等の公表及び監査に係る体制の強化等
(関係法律の整備)
第四条 政党交付金の交付を受ける政党の主要な組織、意思決定の手続等の公表及び監査に係る体制の強化等のために必要な措置については、次条から第十三条までに定める基本方針に基づき、別に法律で定める。
(党則等の公表)
第五条 政党交付金の交付を受ける政党は、その党則等(党則、規約その他の政党の組織、管理運営等に関する重要な事項を定める基本的な規則をいう。以下この節において同じ。)を公表しなければならないものとする。この場合において、これを変更したときは、その変更後の党則等を速やかに公表しなければならないものとする。
(最高議決機関に関する定め)
第六条 政党交付金の交付を受ける政党は、その党大会その他の最高議決機関に党則等の制定及び変更を担わせるものとし、党則等において、その機関の名称、権限、構成、議決の手続その他の重要な事項を定めなければならないものとする。
(代表権を有する者その他事務を執行する権限を有する機関等に関する定め)
第七条 政党交付金の交付を受ける政党の代表権を有する者については、党則等において、その選任方法、権限その他の重要な事項を定めなければならないものとする。この場合において、その選任方法は、民主的かつ公正なものでなければならないものとする。
2 政党交付金の交付を受ける政党に、代表権を有する者のほかに、当該政党の重要な事務を執行する権限を有する機関が設置される場合には、党則等において、その名称、権限、選任方法その他の重要な事項を定めなければならないものとする。
3 政党交付金の交付を受ける政党に、最高議決機関及び前項の機関のうち合議体であるもののほかに、当該政党の政策の基本方針その他の重要な事項について当該政党の意思決定としての議決をする機関が設置される場合には、党則等において、その名称、権限、構成、議決の手続その他の重要な事項を定めなければならないものとする。
(監査を行う機関の設置等)
第八条 政党交付金の交付を受ける政党は、次に掲げる事項の監査を行う機関を置かなければならないものとする。この場合において、政党の支部の全部又は一部の監査について、政党の本部の監査を行う機関と異なる機関に行わせることができるものとする。
一 当該政党の会計の状況
二 前号に掲げるもののほか、当該政党の管理運営の法令及び党則等その他の規則への適合性
2 前項の機関については、党則等において、その名称及び権限、同一の者が兼ねることができない機関の範囲その他の同項の機関に関する重要な事項を定めなければならないものとする。
3 政党交付金の交付を受ける政党は、その会計の状況について、弁護士、公認会計士若しくは税理士又は監査法人等による外部監査を受けなければならないものとする。ただし、政党の支部の会計の状況をその外部監査の対象とするかどうか及び当該対象とする場合のその支部の範囲については、各政党において判断することができるものとする。
4 前項の外部監査については、党則等において、これを行う者の権限その他の重要な事項(当該政党の支部の会計の状況を対象とする場合にあっては、その旨を含む。)を定めなければならないものとする。
(事務の執行の適正を確保するために必要な体制の整備)
第九条 前二条に定めるところによるほか、政党交付金の交付を受ける政党は、その規模、機関の設置の状況等を踏まえ、必要に応じて、その役職員の職務の執行が法令及び党則等その他の規則に適合することを確保するための体制その他当該政党の事務の執行の適正を確保するために必要な体制を整備するよう努めなければならないものとする。
2 政党交付金の交付を受ける政党は、前項に規定する体制を整備している場合においては、前条第一項の機関に、当該体制の運用状況等の監査を行わせなければならないものとする。
(党員に関する定め)
第十条 政党交付金の交付を受ける政党の党員については、党則等において、当該党員となるための手続、その権利及び遵守すべき事項その他の当該党員に関する重要な事項を定めなければならないものとする。
(その他意思決定の手続等に関する定め)
第十一条 政党交付金の交付を受ける政党は、第六条から第八条まで及び前条に定めるもののほか、党則等において、次に掲げる事項について定めるよう努めなければならないものとする。
一 当該政党の政策の決定その他重要な政治活動に関する意思決定の手続
二 当該政党に所属する公職の候補者及び当該政党が支援の対象とする公職の候補者の選定の手続
三 当該政党の党則等に違反する行為その他当該政党の内部規律に違反する行為をした党員の処分の手続
四 当該政党の予算及び決算に関する事項
(支部に係る事項の公表)
第十二条 政党交付金の交付を受ける政党のうち支部を有するものは、当該支部の数、名称その他の基本的な情報及び当該支部ごとの政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第十二条第一項の報告書その他の法令に基づき公表されている当該支部の会計等に関する重要な資料を整理し、定期的に、これを公表しなければならないものとする。この場合において、その整理及び公表は、国民に分かりやすい形で行われるものとする。
(措置の実効性の確保)
第十三条 第五条から第八条まで、第十条及び前条に定める基本方針に基づき整備される措置の実効性の確保については、次に掲げるところによるものとし、その具体的な内容については、政治資金監視委員会等の設置その他の政治資金の透明性を確保するための措置等に関する法律(令和七年法律第三号)に基づき別に法律で定めるところにより設置される政治資金監視委員会(第三号及び次条において「政治資金監視委員会」という。)において検討されるものとする。
一 政党交付金の交付を受ける政党が当該措置に係る義務を履行しない場合においては、当該政党に対し、その是正を求める措置が講ぜられるものとすること。
二 前号の是正を求める措置が講ぜられてもなお改善がされないときは、当該政党に対し、政党交付金についての交付の停止、減額その他の措置が講ぜられるものとすること。
三 第一号の是正を求める措置及び前号の交付の停止、減額その他の措置について、政治資金監視委員会が関与する仕組みが設けられるものとすること。
四 第一号の義務の履行の状況について、同号の是正を求める措置及び第二号の交付の停止、減額その他の措置を講ずる者が把握することができるようにするための仕組みが設けられるものとすること。
第二節 その他の措置に関する検討
(管理運営が適正を欠く場合における措置に関する検討)
第十四条 前条に定めるもののほか、政党交付金の交付を受ける政党の管理運営が適正を欠く場合における政党交付金についての交付の停止、減額その他の措置に関する制度の在り方について、政治資金監視委員会において検討が加えられ、その結果に基づき、必要な措置が講ぜられるものとする。
(会計処理等に関する検討)
第十五条 政党交付金の交付を受ける政党に対し、原則として企業会計原則による会計処理を行い、及びこれにより作成された財務諸表を公表することを義務付けることについて、速やかに検討が加えられ、必要があると認められるときは、所要の措置が講ぜられるものとする。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
理 由
政党の政治活動の公明と公正の確保のためにはその組織及び管理運営の透明性及び公正性の向上が求められること、とりわけ政党交付金の交付を受ける政党については、政党交付金が議会制民主政治における政党の機能の重要性に鑑みて国民から徴収された税金その他の貴重な財源により交付されるものであることから、その向上が特に求められることに鑑み、政党交付金の交付を受ける政党の組織及び管理運営の透明性及び公正性の向上を図るために必要な制度の導入を早期に行うため、その導入について、基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

