第二二一回
閣第四七号
種苗法の一部を改正する法律案
種苗法(平成十年法律第八十三号)の一部を次のように改正する。
目次中「・第十四条」を「−第十四条の二」に、「第七十五条」を「第七十六条」に改める。
第二条第五項第一号中「譲渡の」を「譲渡若しくは貸渡しの」に改め、「譲渡し」の下に「、貸し渡し」を加える。
第十四条の見出しを「(出願公表に係る出願品種の利用に関する補償金の支払請求)」に改める。
第二章第二節に次の一条を加える。
(出願公表に係る出願品種等の種苗又は収穫物を輸出する行為に関する差止請求権)
第十四条の二 出願者は、出願公表があった後に第二十一条の二第一項第一号に定める事項その他出願品種の内容を記載した書面を提示して警告をした場合において、その警告後品種登録前に、その出願品種(同号に定める事項について同項の規定による届出がされたものに限る。以下この項において同じ。)、当該出願品種と特性により明確に区別されない品種又は当該出願品種が品種登録された場合に第二十条第二項各号に該当することとなる品種(以下この項において「出願品種等」と総称する。)の種苗を輸出し、又は最終消費以外の目的をもって出願品種等の収穫物を輸出する者(当該出願品種の育成をした者よりも先に当該出願品種と同一の品種又は特性により明確に区別されない品種の育成をした者を除く。次項において「出願品種等の種苗又は収穫物を輸出する者」という。)に対し、その輸出する行為により回復することが困難な損害が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、当該輸出する行為をやめることを請求することができる。
2 出願者は、前項の規定による請求をするに際し、当該請求に係る出願品種等の種苗又は収穫物を輸出する者に対し当該請求に係る輸出する行為を組成した種苗又は収穫物の廃棄その他の当該輸出する行為を防止するために必要な行為を請求することができる。
3 前二項の規定による請求権の行使は、前条第一項の規定による請求権の行使を妨げない。
4 出願公表後に品種登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、品種登録出願が拒絶されたとき、第四十九条第一項第一号若しくは第四号の規定により品種登録が取り消されたとき、品種登録についての審査請求が理由があるとしてこれを取り消す裁決が確定したとき、又は品種登録を取り消し、若しくは無効を確認する判決が確定したときは、第一項及び第二項の規定による請求権は、初めから生じなかったものとみなす。
5 出願者が第一項及び第二項の規定による請求権の行使をした場合において、品種登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、品種登録出願が拒絶されたとき、第四十九条第一項第一号若しくは第四号の規定により品種登録が取り消されたとき、品種登録についての審査請求が理由があるとしてこれを取り消す裁決が確定したとき、又は品種登録を取り消し、若しくは無効を確認する判決が確定したときは、当該出願者は当該請求権の行使により相手方に与えた損害を賠償する責に任ずる。
6 第三十六条から第三十七条の二まで及び第四十条から第四十三条までの規定は、第一項及び第二項の規定による請求権を行使する場合に準用する。
7 出願者が第一項及び第二項の規定による請求に係る訴えを提起したときは、裁判所は、当該請求の相手方の申立てにより、決定で、相当の担保を立てるべきことを当該出願者に命ずることができる。
第十五条の四を第十五条の五とし、第十五条の三を第十五条の四とする。
第十五条の二第一項中「前条第二項」を「第十五条第二項」に改め、同条を第十五条の三とし、第十五条の次に次の一条を加える。
(出願品種の審査における優先審査)
第十五条の二 農林水産大臣は、品種登録出願に係る出願品種を当該品種登録出願の出願者でない者が業として利用していると認めるときその他の出願者の保護のためその品種登録出願が第十七条第一項各号のいずれかに該当するかどうかの判断を早期にすべき場合として政令で定める場合において必要があるときは、当該品種登録出願に係る出願品種の審査を他の品種登録出願に係る出願品種の審査に優先してすることができる。
第十七条第一項第二号中「第十五条の二第一項」を「第十五条の三第一項」に、「第十五条の四第一項」を「第十五条の五第一項」に改め、同条第二項中「第十五条の二第一項」を「第十五条の三第一項」に、「第十五条の二第四項」を「第十五条の三第四項」に改める。
第十七条の二第六項中「から第十五条の四まで」を「及び第十五条の三から第十五条の五まで」に改め、同条第七項中「第十五条の四第一項」を「第十五条の五第一項」に改める。
第十九条第二項中「二十五年」を「三十五年」に、「三十年」を「四十年」に改める。
第二十一条第一項第二号及び第三号中「譲渡の」を「譲渡若しくは貸渡しの」に改め、「譲渡し」の下に「、貸し渡し」を加え、同条第二項中「加工品が」の下に「日本国内で」を加え、同項ただし書を次のように改める。
ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
一 当該登録品種等の種苗を生産する行為
二 当該登録品種につき品種の育成に関する保護を認めていない国に対し当該登録品種等の種苗を輸出し、又は当該国に対し輸出する目的をもって保管する行為
三 前号に規定する国に対し最終消費以外の目的をもって当該登録品種等の収穫物を輸出し、又は当該国に対し最終消費以外の目的で輸出する目的をもって保管する行為
第二十一条の二第一項第一号イ中「前条第二項ただし書」を「前条第二項第二号」に改め、同号ロを次のように改める。
ロ 次に掲げる行為を制限する旨
(1) 前条第二項第二号に規定する国以外の国であって指定国以外の国(以下この(1)及び(2)において「非指定国」という。)に対し種苗を輸出し、又は非指定国に対し輸出する目的をもって保管する行為
(2) 非指定国に対し最終消費以外の目的をもって収穫物を輸出し、又は非指定国に対し最終消費以外の目的で輸出する目的をもって保管する行為
第二十一条の二第五項中「譲渡する者」を「譲渡し、又は貸し渡す者」に、「譲渡する場合」を「譲渡し、又は貸し渡す場合」に、「譲渡する種苗」を「譲渡し、若しくは貸し渡す種苗」に改め、同条第六項中「譲渡」を「譲渡又は貸渡し」に改める。
第二十二条中「譲渡の」を「譲渡若しくは貸渡しの」に、「又は譲渡する」を「譲渡し、又は貸し渡す」に改める。
第三十四条第一項中「その譲渡した種苗、収穫物又は加工品の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に、育成者権者又は専用利用権者がその侵害の行為がなければ販売することができた種苗、収穫物又は加工品の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、育成者権者又は専用利用権者の利用の能力に応じた額を超えない限度において、」を「次に掲げる額の合計額を、当該」に改め、同項ただし書を削り、同項に次の各号を加える。
一 当該育成者権者又は専用利用権者がその侵害の行為がなければ販売することができた種苗、収穫物又は加工品の単位数量当たりの利益の額に、自己の育成者権又は専用利用権を侵害した者が譲渡した種苗、収穫物又は加工品の数量(次号において「譲渡数量」という。)のうち当該育成者権者又は専用利用権者の利用の能力に応じた数量(同号において「利用相応数量」という。)を超えない部分(その全部又は一部に相当する数量を当該育成者権者又は専用利用権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量(同号において「特定数量」という。)を控除した数量)を乗じて得た額
二 譲渡数量のうち利用相応数量を超える数量又は特定数量がある場合(当該育成者権者又は専用利用権者が、当該育成者権者の育成者権についての専用利用権の設定若しくは通常利用権の許諾又は当該専用利用権者の専用利用権についての通常利用権の許諾をし得たと認められない場合を除く。)におけるこれらの数量に応じた当該育成者権又は専用利用権に係るその侵害の行為を組成した登録品種等の種苗、収穫物又は加工品の利用に対し受けるべき金銭の額に相当する額
第三十四条第三項中「登録品種等」を「侵害の行為を組成した登録品種等の種苗、収穫物又は加工品」に改め、同条第四項中「前項」を「第三項」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項の次に次の一項を加える。
4 裁判所は、第一項第二号及び前項に規定する利用に対し受けるべき金銭の額に相当する額を認定するに当たっては、育成者権者又は専用利用権者が、自己の育成者権又は専用利用権に係る当該利用の対価について、当該育成者権又は専用利用権の侵害があったことを前提として当該育成者権又は専用利用権を侵害した者との間で合意をするとしたならば、当該育成者権者又は専用利用権者が得ることとなるその対価を考慮することができる。
第三十五条の三第三項中「から第十五条の四まで」を「及び第十五条の三から第十五条の五まで」に改め、同条第四項中「第三十五条の三第三項」を「第三十五条の四第三項」に、「第十五条の四第一項」を「第十五条の五第一項」に改め、同条を第三十五条の四とし、第三十五条の二の次に次の一条を加える。
(登録品種の名称に係る推定)
第三十五条の三 登録品種の名称を使用して業として種苗の譲渡若しくは貸渡しの申出をし、又は種苗を譲渡し、若しくは貸し渡した場合には、当該種苗は、当該登録品種の種苗であると推定する。
第三十七条の次に次の一条を加える。
(第三者の意見)
第三十七条の二 育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴えが提起された裁判所は、当該訴えに係る訴訟の第一審において、当事者の申立てにより、必要があると認めるときは、他の当事者の意見を聴いて、広く一般に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、相当の期間を定めて、その者の選択により書面又は電磁的方法(民事訴訟法第百三十二条の二第一項に規定する電磁的方法をいう。以下この条において同じ。)のいずれかにより意見を提出することを求めることができる。
2 前項に規定する裁判所が第一審としてした終局判決に対する控訴が提起された裁判所は、当該控訴に係る訴訟において、当事者の申立てにより、必要があると認めるときは、他の当事者の意見を聴いて、広く一般に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、相当の期間を定めて、その者の選択により書面又は電磁的方法のいずれかにより意見を提出することを求めることができる。
3 当事者は、裁判所書記官に対し、前二項の規定により提出された書面の閲覧若しくは謄写若しくはその正本、謄本若しくは抄本の交付又はこれらの規定により電磁的方法によって提出された意見に係る電磁的記録の閲覧若しくは複写若しくはその内容の全部若しくは一部を証明した書面の交付若しくはその内容の全部若しくは一部を証明した電磁的記録の提供を請求することができる。
4 民事訴訟法第九十一条第五項(同法第九十一条の二第四項において準用する場合を含む。)の規定は、第一項及び第二項の規定により提出された書面の閲覧及び謄写並びにこれらの規定により電磁的方法によって提出された意見に係る電磁的記録の閲覧及び複写について準用する。
5 第一項及び第二項の規定により裁判所に提出された書面及び電磁的記録を記録した記録媒体については、民事訴訟法第百三十二条の十三の規定は、適用しない。
第四十七条第三項中「第十五条の二」を「第十五条の三」に改める。
第五十五条第一項中「譲渡する」を「譲渡し、又は貸し渡す」に改め、同条第二項中「譲渡」を「譲渡又は貸渡し」に改める。
第五十六条第二号中「譲渡又は譲渡」を「譲渡、貸渡し又は譲渡若しくは貸渡し」に改め、同条第三号中「譲渡する」を「譲渡し、又は貸し渡す」に改める。
第七十四条中「第十五条の二第五項」を「第十五条の三第五項」に、「第三十五条の三第三項」を「第三十五条の四第三項」に改める。
第七十五条第二号を削り、同条第三号中「第一号」を「前号」に改め、同号を同条第二号とし、同条を第七十六条とし、第七十四条の次に次の一条を加える。
(名称使用義務等の違反に対する過料)
第七十五条 第二十二条の規定に違反した者は、二十万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、令和八年十二月一日から施行する。ただし、第十九条第二項の改正規定及び第二十一条第二項の改正規定(「加工品が」の下に「日本国内で」を加える部分に限る。)並びに附則第三条、第四条及び第七条の規定は、公布の日から施行する。
(出願公表に係る出願品種等の種苗又は収穫物を輸出する行為に関する差止請求権に関する経過措置)
第二条 この法律による改正後の種苗法(附則第五条において「新法」という。)第十四条の二の規定は、この法律の施行の日(以下この条並びに附則第五条及び第六条において「施行日」という。)において現に出願公表がされている出願品種(その品種登録出願がこの法律による改正前の種苗法(附則第五条において「旧法」という。)第十七条第一項各号のいずれかに該当するかどうかの判断がされていないものに限る。)及び施行日後に出願公表がされる出願品種について適用する。
(育成者権の存続期間に関する経過措置)
第三条 附則第一条ただし書に規定する改正規定による改正後の種苗法第十九条第二項の規定は、当該改正規定の施行の日(以下この条及び次条において「一部施行日」という。)に現にその存続期間が満了していない育成者権について適用し、一部施行日前に存続期間が満了した育成者権については、なお従前の例による。
第四条 前条の規定により附則第一条ただし書に規定する改正規定による改正後の種苗法第十九条第二項の規定の適用を受けることとなる育成者権であって、当該改正規定の施行がないとした場合にその存続期間が一部施行日から起算して三十日を経過する日までに満了するものに係る当該存続期間の満了の年の次の一年分の種苗法第四十五条第一項の規定による登録料の納付についての同条第六項及び同法第四十九条第四項の規定の適用については、同法第四十五条第六項中「前年」とあるのは「種苗法の一部を改正する法律(令和八年法律第▼▼▼号)附則第一条ただし書に規定する改正規定の施行の日から起算して三十日を経過する日」と、同法第四十九条第四項第三号中「第四十五条第六項に規定する期間が経過した」とあるのは「種苗法の一部を改正する法律附則第四条に規定する存続期間が満了した」とする。
(輸出等の行為に係る制限の公示に関する経過措置)
第五条 施行日前に旧法第二十一条の二第一項第一号に規定する事項について同条第三項の規定によりされた公示で、この法律の施行の際現に効力を有するものは、新法第二十一条の二第三項の規定によりされた公示とみなす。
(罰則に関する経過措置)
第六条 施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第七条 附則第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
(検討)
第八条 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後の規定の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、当該規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構法の一部改正)
第九条 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構法(平成十一年法律第百九十二号)の一部を次のように改正する。
第十四条第二項第一号中「第十五条の二第一項」を「第十五条の三第一項」に、「第三十五条の三第三項」を「第三十五条の四第三項」に改める。
理 由
育成者権侵害の多様化が進んでいる状況に鑑み、育成者権の保護の強化及びその円滑な行使の確保のため、育成者権の存続期間の延長、品種登録出願中の出願品種の種苗等の輸出の差止めに係る制度の創設、登録品種の名称に係る推定規定の創設、損害額の算定において育成者権者の利用能力を超える一定の数量を加算できるような損害額の推定規定の見直し等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

