第二二一回
閣第五八号
ヒトゲノム編集胚等の取扱いの規制に関する法律案
(目的)
第一条 この法律は、ヒト胚(はい)又はヒト生殖細胞に対してゲノム編集技術等を用いることが予測し得ない遺伝子改変をもたらす可能性があり、これにより、ヒト胚及び人の発育に重大な影響を及ぼすおそれがあること並びに当該遺伝子改変の影響が将来の世代にわたって個人や社会に重大な影響を及ぼすおそれがあることに鑑み、ヒトゲノム編集胚等を人又は動物の胎内に移植することを禁止するとともに、ヒトゲノム編集胚等の作成、譲受け及び輸入並びに使用を規制し、その他ヒトゲノム編集胚等の適正な取扱いを確保するための措置を講ずることにより、人の生命及び身体の安全の確保を図り、併せて科学技術の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 ヒト胚 ヒトの一の細胞(ヒト生殖細胞を除く。)又は細胞群であって、そのまま人又は動物の胎内において発生の過程を経ることにより一の個体に成長する可能性のあるもののうち、胎盤の形成を開始する前のものをいう。
二 ヒト生殖細胞 ヒトの精子(精子に変化する過程にある細胞を含む。)又は未受精卵(未受精の卵細胞及び卵母細胞をいい、これらに変化する過程にある細胞を含む。)をいう。
三 ゲノム編集技術等 ゲノム編集技術(デオキシリボ核酸(別名DNA)を構成する塩基の配列に関し、特定の配列若しくはその近傍の塩基の配列における塩基間の結合を切断し、又は当該特定の配列若しくはその近傍の塩基の配列を改変する技術をいう。)その他の核酸その他の遺伝子の発現と密接な関係を有する物の構造又は機能に影響を及ぼすことで遺伝子の発現に影響を与え得る技術であって政令で定めるものをいう。
四 ヒトゲノム編集胚等 ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律(平成十二年法律第百四十六号)第四条第一項に規定する特定胚以外のヒト胚又はヒト生殖細胞であって次に掲げるものをいう。
イ ゲノム編集技術等を用いて加工されたヒト胚(当該ヒト胚が一回以上分割されることにより順次生ずるそれぞれのヒト胚を含む。)
ロ ゲノム編集技術等を用いて加工されたヒト生殖細胞(当該ヒト生殖細胞が一回以上分裂その他の変化をすることにより順次生ずるそれぞれのヒト生殖細胞を含む。)
ハ ロに掲げるヒト生殖細胞と他のヒト生殖細胞との受精により生ずるヒト胚(当該ヒト胚が一回以上分割されることにより順次生ずるそれぞれのヒト胚を含む。)
五 動物 哺乳綱に属する種の個体(ヒトを除く。)をいう。
六 胎内 女性又は動物の雌の内生殖器をいう。
(禁止行為)
第三条 何人も、ヒトゲノム編集胚等を人又は動物の胎内に移植してはならない。ただし、ヒトゲノム編集胚等を動物の胎内に移植する場合で、その胎内において胎盤の形成を開始する可能性がないものとして政令で定める要件に該当するときは、この限りでない。
(指針)
第四条 厚生労働大臣、内閣総理大臣及び文部科学大臣は、ヒトゲノム編集胚等が人又は動物の胎内に移植された場合に、ヒト胚及び人の発育に重大な影響を及ぼすおそれがあること並びに予測し得ない遺伝子改変の影響が将来の世代にわたって個人や社会に重大な影響を及ぼすおそれがあることに鑑み、次に掲げる取扱い(以下「ヒトゲノム編集胚等の取扱い」という。)の適正を確保するため、生命現象の解明に関する科学的知見を勘案し、ヒトゲノム編集胚等の取扱いに関する指針(以下「指針」という。)を定めなければならない。
一 ヒトゲノム編集胚等の作成(当該作成のために行うヒトゲノム編集胚等の使用を含む。以下同じ。)
二 ヒトゲノム編集胚等の譲受け又は輸入
三 ヒトゲノム編集胚等の使用(第一号のヒトゲノム編集胚等の使用を除く。第六条第三項第三号ハ及び附則第三条第四項第三号ハを除き、以下同じ。)
四 前三号に掲げるもののほか、その保有するヒトゲノム編集胚等の管理その他の取扱い
2 指針においては、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 許容されるヒトゲノム編集胚等を取り扱う用途の要件に関する事項
二 ヒトゲノム編集胚等の作成に必要なヒト胚又はヒト生殖細胞の提供者の同意が得られていることその他の許容されるヒトゲノム編集胚等の作成の要件に関する事項
三 譲り受け、又は輸入するヒトゲノム編集胚等が適正な取扱いが行われたものであることその他の許容されるヒトゲノム編集胚等の譲受け又は輸入の要件に関する事項
四 許容されるヒトゲノム編集胚等の使用の要件に関する事項
五 その保有するヒトゲノム編集胚等の管理方法が適切であることその他の許容されるその保有するヒトゲノム編集胚等の管理の要件に関する事項
六 前各号に掲げるもののほか、ヒトゲノム編集胚等の取扱いに関して配慮すべき手続その他の事項
3 厚生労働大臣、内閣総理大臣及び文部科学大臣は、指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、総合科学技術・イノベーション会議の意見を聴かなければならない。
4 厚生労働大臣、内閣総理大臣及び文部科学大臣は、指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(遵守義務)
第五条 ヒトゲノム編集胚等の取扱いは、指針に従って行わなければならない。
(取扱計画書の届出)
第六条 ヒトゲノム編集胚等の取扱いを行う者は、ヒトゲノム編集胚等の取扱いに関する計画書(以下「取扱計画書」という。)を作成し、主務省令で定めるところにより、次の各号に掲げる場合に応じ、当該各号に定める日までに、あらかじめ、これを主務大臣に届け出なければならない。ただし、保有するヒトゲノム編集胚等の譲渡し、輸出若しくは廃棄又は滅失については、この限りでない。
一 ヒトゲノム編集胚等の作成、譲受け又は輸入をする場合 次のイ又はロに掲げる場合に応じ、当該イ又はロに定める日
イ ヒトゲノム編集胚等の作成のために他のヒトゲノム編集胚等の作成、譲受け又は輸入をする場合 ヒトゲノム編集胚等の作成、譲受け若しくは輸入の日又は当該他のヒトゲノム編集胚等の作成、譲受け若しくは輸入の日のうちいずれか早い日
ロ イに掲げる場合以外の場合 ヒトゲノム編集胚等の作成、譲受け又は輸入の日のうちいずれか早い日
二 前号に掲げる場合以外の場合 ヒトゲノム編集胚等の使用を行う場合における当該使用の日
2 前項の規定による届出は、次に掲げる用途ごとに、これをしなければならない。
一 研究に関するものとして、次に掲げるいずれかの用途
イ 臨床研究(医薬品等(臨床研究法(平成二十九年法律第十六号)第二条第三項に規定する医薬品等をいう。)を人に対して用いることにより、当該医薬品等の有効性又は安全性を明らかにする研究をいう。以下この号において同じ。)以外の研究であって、生殖医療に係る研究その他のこども(こども家庭庁設置法(令和四年法律第七十五号)第三条第一項に規定するこどもをいう。)及び妊産婦その他母性の保健の向上に係る研究として政令で定めるもの
ロ 臨床研究以外の研究であって、公衆衛生の向上及び増進に係る研究(イの政令で定めるものを除く。)として政令で定めるもの
ハ 臨床研究以外の研究であって、イ及びロに掲げるもの以外のもの
ニ 臨床研究
二 研究以外の用途
3 取扱計画書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 届出者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 その取扱いを行うヒトゲノム編集胚等の種類及び個数その他の分量
三 ヒトゲノム編集胚等の作成を行う場合にあっては、次に掲げる事項
イ 当該ヒトゲノム編集胚等の作成の方法
ロ 当該ヒトゲノム編集胚等の作成の予定日
ハ 当該ヒトゲノム編集胚等の作成のために、他のヒトゲノム編集胚等の使用をする場合にあっては、当該他のヒトゲノム編集胚等の種類及び個数その他の分量
ニ ハの他のヒトゲノム編集胚等の作成を行う場合にあっては、次に掲げる事項
(1) 当該他のヒトゲノム編集胚等の作成の方法
(2) 当該他のヒトゲノム編集胚等の作成の予定日
ホ ハの他のヒトゲノム編集胚等の譲受け又は輸入をする場合にあっては、次に掲げる事項
(1) 当該他のヒトゲノム編集胚等に用いられたゲノム編集技術等の内容
(2) 当該他のヒトゲノム編集胚等の譲受け又は輸入の予定日
四 ヒトゲノム編集胚等の譲受け又は輸入をする場合にあっては、次に掲げる事項
イ 当該ヒトゲノム編集胚等に用いられたゲノム編集技術等の内容
ロ 当該ヒトゲノム編集胚等の譲受け又は輸入の予定日
五 ヒトゲノム編集胚等を前項第一号に掲げる用途で取り扱う場合にあっては、当該研究の内容及び当該研究での使用の内容
六 ヒトゲノム編集胚等を前項第二号に掲げる用途で取り扱う場合にあっては、主務省令で定める研究以外の用途の区分に応じ、ヒトゲノム編集胚等の研究以外の用途の内容及び当該用途での取扱いに関する事項として主務省令で定めるもの
七 前各号に掲げるもののほか、ヒトゲノム編集胚等の取扱いに関する事項として主務省令で定める事項
4 第一項の規定による届出をした者は、その届出をした取扱計画書(この項若しくは次項本文の規定による変更の届出又は同項ただし書の規定による変更があったときは、その変更後のもの。以下「届出取扱計画書」という。)に係る前項各号に掲げる事項について主務省令で定める重要な変更(次条第一項及び第十二条の規定による届出取扱計画書に記載された事項の変更の命令に基づく変更を除く。)をしようとするときは、主務省令で定めるところにより、主務大臣に届け出なければならない。
5 第一項の規定による届出をした者は、前項の場合を除き、届出取扱計画書に係る第三項各号に掲げる事項につき変更をしたときは、遅滞なく、主務省令で定めるところにより、当該変更の内容を主務大臣に届け出なければならない。ただし、主務省令で定める軽微な変更をしたときは、この限りでない。
(届出に係るヒトゲノム編集胚等の取扱いに対する措置命令)
第七条 主務大臣は、前条第一項又は第四項の規定による届出があった場合において、その届出に係るヒトゲノム編集胚等の取扱いが指針に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から六十日以内に限り、その届出をした者に対し、当該ヒトゲノム編集胚等の取扱いの中止又はその方法の改善、届出取扱計画書に記載された事項の変更その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
2 主務大臣は、前条第一項又は第四項の規定による届出に係る事項の内容が相当であると認めるときは、前項に規定する期間を短縮することができる。この場合において、主務大臣は、その届出をした者に対し、遅滞なく、当該短縮後の期間を通知しなければならない。
(届出に係るヒトゲノム編集胚等の作成等の制限)
第八条 第六条第一項又は第四項の規定による届出をした者は、その届出が受理された日から六十日(前条第二項後段の規定による通知があったときは、その通知に係る期間)を経過した後でなければ、それぞれ、届出取扱計画書に基づくヒトゲノム編集胚等の作成、譲受け若しくは輸入又は使用をしてはならない。
(偶然の事由によるヒトゲノム編集胚等の生成の届出)
第九条 第六条第一項の規定による届出をした者は、偶然の事由により届出取扱計画書に係るヒトゲノム編集胚等から別のヒトゲノム編集胚等が生じたときは、主務省令で定めるところにより、速やかに、次に掲げる事項を主務大臣に届け出なければならない。ただし、当該生じたヒトゲノム編集胚等の廃棄を直ちに行う場合は、この限りでない。
一 届出者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 生じたヒトゲノム編集胚等の種類及び個数その他の分量
三 生じたヒトゲノム編集胚等の生成の時期
四 生じたヒトゲノム編集胚等の管理の方法
五 前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項
(記録)
第十条 第六条第一項又は前条の規定による届出をした者は、主務省令で定めるところにより、届出取扱計画書又は同条の規定による届出に係るヒトゲノム編集胚等について、次に掲げる事項に関する記録を作成しなければならない。
一 作成、譲受け若しくは輸入をし、若しくは保有をし、又は偶然の事由により生じたヒトゲノム編集胚等の種類及び個数その他の分量
二 届出取扱計画書に係るヒトゲノム編集胚等の作成、譲受け若しくは輸入の時期又は偶然の事由により生じたヒトゲノム編集胚等の生成の時期
三 届出取扱計画書に係るヒトゲノム編集胚等の取扱いの経過又は偶然の事由により生じたヒトゲノム編集胚等の取扱いの経過
四 前三号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項
2 前項の記録は、主務省令で定めるところにより、保存しなければならない。
(ヒトゲノム編集胚等の譲渡し等の届出)
第十一条 第六条第一項又は第九条の規定による届出をした者は、届出取扱計画書又は同条の規定による届出に係るヒトゲノム編集胚等の譲渡し、輸出若しくは廃棄をし、又はそのヒトゲノム編集胚等が滅失したときは、主務省令で定めるところにより、遅滞なく、次に掲げる事項を主務大臣に届け出なければならない。
一 届出者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 譲渡し、輸出若しくは廃棄をし、又は滅失したヒトゲノム編集胚等の種類及び個数その他の分量並びに当該ヒトゲノム編集胚等に係るゲノム編集技術等の内容
三 ヒトゲノム編集胚等の譲渡し、輸出若しくは廃棄又は滅失の時期及び廃棄又は滅失の場合にあっては、その態様
四 前三号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項
(ヒトゲノム編集胚等の取扱いに対する措置命令)
第十二条 主務大臣は、第六条第一項又は第九条の規定による届出をした者がヒトゲノム編集胚等の取扱いを開始した後、当該ヒトゲノム編集胚等の取扱いが指針に適合しないものであると認めるときは、その届出をした者に対し、当該ヒトゲノム編集胚等の取扱いの中止又はその方法の改善、届出取扱計画書に記載された事項の変更その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(個人情報の保護)
第十三条 第六条第一項の規定による届出をした者は、届出取扱計画書に係るヒトゲノム編集胚等の作成に用いられたヒト胚又はヒト生殖細胞の提供者の個人情報(個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。以下この条において同じ。)の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。
(報告徴収)
第十四条 主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、第六条第一項又は第九条の規定による届出をした者に対し、届出取扱計画書又は同条の規定による届出に係るヒトゲノム編集胚等の取扱いの状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
(立入検査)
第十五条 主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、第六条第一項若しくは第九条の規定による届出をした者の事務所若しくは研究施設に立ち入り、その者の書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により職員が事務所又は研究施設に立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(主務大臣等)
第十六条 この法律における主務大臣は、次の各号に掲げる第六条第一項の規定による届出をした者の同条第二項各号に掲げる用途の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める大臣とする。
一 第六条第二項第一号イに掲げる用途 内閣総理大臣及び文部科学大臣
二 第六条第二項第一号ロに掲げる用途 厚生労働大臣、内閣総理大臣及び文部科学大臣
三 第六条第二項第一号ハに掲げる用途 文部科学大臣
四 第六条第二項第一号ニ又は第二号に掲げる用途 厚生労働大臣
2 第十四条及び前条第一項の規定による主務大臣の権限は、前項(第一号又は第二号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、厚生労働大臣、内閣総理大臣又は文部科学大臣がそれぞれ単独で行使することを妨げない。
3 厚生労働大臣、内閣総理大臣及び文部科学大臣は、第一項各号に掲げる用途に係る事務を円滑に実施するため、取扱計画書の共有その他の必要な情報の交換を行うことその他相互の密接な連携の確保に努めるものとする。
4 この法律における主務省令は、厚生労働省令・内閣府令・文部科学省令とする。
(権限の委任)
第十七条 この法律に規定する内閣総理大臣の権限(政令で定めるものを除く。)は、こども家庭庁長官に委任する。
2 前項の規定によりこども家庭庁長官に委任された権限の一部は、政令で定めるところにより、地方厚生局長又は地方厚生支局長に委任することができる。
3 この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。
4 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。
(経過措置)
第十八条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
(罰則)
第十九条 第三条の規定に違反したときは、当該違反行為をした者は、十年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第二十条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
一 第六条第一項又は第四項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしてヒトゲノム編集胚等の作成、譲受け若しくは輸入又は使用をしたとき。
二 第七条第一項の規定による命令に違反したとき。
三 第十二条の規定による命令に違反したとき。
第二十一条 第八条の規定に違反したときは、当該違反行為をした者は、六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
第二十二条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第六条第五項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
二 第九条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
三 第十条第一項の規定による記録を作成せず、又は虚偽の記録を作成したとき。
四 第十条第二項の規定に違反したとき。
五 第十一条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
六 第十四条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
七 第十五条第一項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述せず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
第二十三条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第十九条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行する。ただし、附則第五条及び第六条の規定は、公布の日から施行する。
(検討)
第二条 政府は、この法律の施行後五年以内に、この法律の施行の状況、ゲノム編集技術等を取り巻く状況の変化等を勘案し、この法律の規定に検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、所要の措置を講ずるものとする。
(ヒトゲノム編集胚等の取扱いに関する経過措置)
第三条 この法律の施行の際現にその保有するヒトゲノム編集胚等についてヒトゲノム編集胚等の取扱いを行う者においては、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)から起算して六月を経過する日までの間(当該期間内に次項の規定により届出をした者においては、当該届出までの間。以下「猶予期間」という。)は、第五条及び第六条第一項の規定は適用しない。
2 前項のヒトゲノム編集胚等の取扱いを行う者が、猶予期間を経過して引き続き当該ヒトゲノム編集胚等の取扱いを行う場合においては、猶予期間を経過する日までの間におけるヒトゲノム編集胚等の取扱いの内容及び同日後におけるヒトゲノム編集胚等の取扱いに関する計画を記載した書類を作成し、主務省令で定めるところにより、同日までの間に、これを主務大臣に届け出なければならない。
3 第六条第二項の規定は、前項の規定による届出について準用する。この場合において、同条第二項中「前項」とあるのは、「附則第三条第二項」と読み替えるものとする。
4 第二項に規定する書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 届出者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 猶予期間を経過する日における取扱いに係るヒトゲノム編集胚等の種類及び個数その他の分量
三 施行日前にヒトゲノム編集胚等の作成を行い、又は施行日においてヒトゲノム編集胚等の作成を行っている場合にあっては、次に掲げる事項
イ 当該作成を行い、又は当該作成を行っているヒトゲノム編集胚等の作成の方法
ロ 当該作成を行ったヒトゲノム編集胚等の作成の日又は当該作成を行っているヒトゲノム編集胚等の作成の予定日
ハ 当該作成を行い、又は当該作成を行っているヒトゲノム編集胚等の作成のために、他のヒトゲノム編集胚等の使用をし、又は使用をしている場合にあっては、当該他のヒトゲノム編集胚等の種類及び個数その他の分量
ニ ハの他のヒトゲノム編集胚等の作成を行い、又は作成を行っている場合にあっては、次に掲げる事項
(1) 当該作成を行い、又は当該作成を行っている他のヒトゲノム編集胚等の作成の方法
(2) 当該作成を行った他のヒトゲノム編集胚等の作成の日又は当該作成を行っている他のヒトゲノム編集胚等の作成の予定日
ホ ハの他のヒトゲノム編集胚等の譲受け又は輸入をした場合にあっては、次に掲げる事項
(1) 当該他のヒトゲノム編集胚等に用いられたゲノム編集技術等の内容
(2) 当該他のヒトゲノム編集胚等の譲受け又は輸入の日
四 施行日前にヒトゲノム編集胚等の譲受け又は輸入をした場合にあっては、次に掲げる事項
イ 当該ヒトゲノム編集胚等に用いられたゲノム編集技術等の内容
ロ 当該ヒトゲノム編集胚等の譲受け又は輸入の日
五 ヒトゲノム編集胚等を前項において準用する第六条第二項第一号に掲げる用途で取り扱う場合にあっては、当該研究の内容及び当該研究での使用の内容
六 ヒトゲノム編集胚等を前項において準用する第六条第二項第二号に掲げる用途で取り扱う場合にあっては、主務省令で定める研究以外の用途の区分に応じ、ヒトゲノム編集胚等の研究以外の用途の内容及び当該用途での取扱いに関する事項として主務省令で定めるもの
七 前各号に掲げるもののほか、ヒトゲノム編集胚等の取扱いに関する事項として主務省令で定める事項
5 第二項の規定による届出は第六条第一項の規定による届出と、第二項の規定による届出に係る同項に規定する書類は同条第四項に規定する届出取扱計画書とそれぞれみなして、同項及び同条第五項並びに第七条から第十六条までの規定(これらの規定に係る罰則を含む。)を適用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。
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第六条第四項 |
次項本文 |
附則第三条第五項の規定により読み替えて適用する次項本文 |
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同項ただし書 |
同条第五項の規定により適用する次項ただし書 |
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前項各号 |
同条第四項各号 |
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次条第一項 |
同条第五項の規定により読み替えて適用する次条第一項 |
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第六条第五項 |
前項 |
附則第三条第五項の規定により読み替えて適用する前項 |
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第三項各号 |
同条第四項各号 |
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第七条第一項 |
前条第一項又は第四項の規定による届出があった |
附則第三条第二項の規定による届出をした者が同条第五項の規定により読み替えて適用する前条第四項の規定による届出をした |
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第七条第二項 |
前条第一項又は第四項 |
附則第三条第二項の規定による届出をした者がした同条第五項の規定により読み替えて適用する前条第四項 |
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第八条 |
第六条第一項又は第四項の規定による届出をした者 |
附則第三条第二項の規定による届出をした者であって、同条第五項の規定により読み替えて適用する第六条第四項の規定による届出をしたもの |
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前条第二項後段 |
附則第三条第五項の規定により適用する前条第二項後段 |
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それぞれ、届出取扱計画書 |
届出取扱計画書 |
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第十六条第一項 |
同条第二項各号 |
附則第三条第三項において準用する第六条第二項各号 |
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第六条第二項第一号イ |
附則第三条第三項において準用する第六条第二項第一号イ |
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第六条第二項第一号ロ |
附則第三条第三項において準用する第六条第二項第一号ロ |
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第六条第二項第一号ハ |
附則第三条第三項において準用する第六条第二項第一号ハ |
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第六条第二項第一号ニ又は第二号 |
附則第三条第三項において準用する第六条第二項第一号ニ又は第二号 |
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第十六条第二項 |
前項 |
附則第三条第五項の規定により読み替えて適用する前項 |
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第十六条第三項 |
第一項各号 |
附則第三条第五項の規定により読み替えて適用する第一項各号 |
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第二十条第一号 |
第六条第一項又は第四項 |
附則第三条第五項の規定により読み替えて適用する第六条第四項 |
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第二十条第二号 |
第七条第一項 |
附則第三条第五項の規定により読み替えて適用する第七条第一項 |
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第二十一条 |
第八条 |
附則第三条第五項の規定により読み替えて適用する第八条 |
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第二十二条第一号 |
第六条第五項 |
附則第三条第五項の規定により読み替えて適用する第六条第五項 |
第四条 前条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたときは、当該違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同項の罰金刑を科する。
(施行前の準備)
第五条 厚生労働大臣、内閣総理大臣及び文部科学大臣は、施行日前においても、第四条第一項から第三項までの規定の例により、指針を定めることができる。
2 厚生労働大臣、内閣総理大臣及び文部科学大臣は、前項の規定により指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
3 第一項の規定により定められ、前項の規定により公表された指針は、施行日において第四条の規定により定められ、公表されたものとみなす。
(政令への委任)
第六条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
理 由
ヒト胚又はヒト生殖細胞に対してゲノム編集技術等を用いることが予測し得ない遺伝子改変をもたらす可能性があり、これにより、ヒト胚及び人の発育に重大な影響を及ぼすおそれがあること並びに当該遺伝子改変の影響が将来の世代にわたって個人や社会に重大な影響を及ぼすおそれがあることに鑑み、ヒトゲノム編集胚等を人又は動物の胎内に移植することを原則として禁止するとともに、ヒトゲノム編集胚等の作成、譲受け及び輸入並びに使用を規制し、その他ヒトゲノム編集胚等の適正な取扱いを確保するための指針を策定する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

