第二二一回
閣第六一号
刑事訴訟法の一部を改正する法律案
第一条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
第四十条第一項中「書類」の下に「(刑事確定訴訟記録法(昭和六十二年法律第六十四号)第二条第一項に規定する訴訟の記録(訴訟終結後のものに限る。)を含む。第四十七条を除き、以下同じ。)」を加える。
第四百四十二条ただし書中「但し」を「ただし」に、「請求についての裁判がある」を「判決が確定する」に改め、同条に次の一項を加える。
管轄裁判所に対応する検察庁の検察官は、前項ただし書の規定により死刑の執行を停止したときは、刑法第十一条第二項の規定による拘置を停止することができる。
第四百四十八条に次の一項を加える。
前項の規定により死刑の執行を停止したときは、決定で刑法第十一条第二項の規定による拘置を停止することができる。
第四百五十条中「、第四百四十八条第一項」を削り、「前条第一項の」の下に「規定による」を加え、同条の次に次の二条を加える。
第四百五十条の二 第四百四十八条第一項の規定による決定に対しては、当該決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限り、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告を棄却する決定又は前条の即時抗告(第四百四十六条又は第四百四十七条第一項の規定による決定に対するものに限る。)が係属する抗告裁判所の第四百四十八条第一項の規定による決定に対する第四百三十三条第一項の抗告は、当該決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限り、これをすることができる。
政府は、次の各号のいずれかに該当するときは、遅滞なく、当該各号に定める事項を公表するものとする。
一 第四百四十八条第一項の規定による決定(最高裁判所がしたものを除く。)があつたとき その旨並びに検察官が当該決定に対する即時抗告又は第四百三十三条第一項の抗告をしたかどうか及び当該即時抗告又は抗告をした場合におけるその理由
二 第一項の即時抗告を棄却する決定があつたとき その旨並びに検察官が当該決定に対する第四百三十三条第一項の抗告をしたかどうか及び当該抗告をした場合におけるその理由
第四百五十条の三 第四百四十七条第一項又は第四百四十八条第一項の規定による決定に対する即時抗告の提起期間は、第四百二十二条の規定にかかわらず、十四日とする。
前項の即時抗告に係る抗告裁判所の決定に対する第四百三十三条第一項の抗告の提起期間は、同条第二項の規定にかかわらず、十四日とする。
第二条 刑事訴訟法の一部を次のように改正する。
第百八十八条の二第二項中「者」の下に「又は開始決定再審請求者」を、「自白」の下に「若しくは供述」を、「より、」の下に「被告人であつた者が」を加え、「前項」を「前二項」に改め、同条第一項の次に次の一項を加える。
前項に定めるもののほか、再審開始の決定が確定した事件について、無罪の判決が確定したときは、国は、当該再審開始の決定に係る再審の請求をした者(検察官を除く。以下この章において「開始決定再審請求者」という。)に対し、その再審の請求の手続に要した費用の補償をする。ただし、開始決定再審請求者の責めに帰すべき事由によつて生じた費用については、補償をしないことができる。
第百八十八条の三第一項中「前条第一項の」を「次の各号に掲げる」に、「被告人であつた」を「当該各号に定める」に改め、同項に次の各号を加える。
一 前条第一項の補償 被告人であつた者
二 前条第二項の補償 開始決定再審請求者
第百八十八条の三第二項中「六箇月」を「六月」に改める。
第百八十八条の六第一項を次のように改める。
次の各号に掲げる費用の範囲は、当該各号に定めるものに限るものとし、その額に関しては、刑事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十一号)の規定中、被告人若しくは被告人であつた者又は開始決定再審請求者については証人、弁護人であつた者については弁護人に関する規定を準用する。
一 第百八十八条の二第一項又は第百八十八条の四の規定により補償される費用 被告人若しくは被告人であつた者又はそれらの者の弁護人であつた者が公判準備及び公判期日に出頭するに要した旅費、日当及び宿泊料並びに弁護人であつた者に対する報酬
二 第百八十八条の二第二項の規定により補償される費用 開始決定再審請求者又はその弁護人であつた者が同項の再審の請求に係る審判の手続に出頭するに要した旅費、日当及び宿泊料並びに弁護人であつた者に対する報酬
第百八十八条の六第二項中「又は公判期日」を「若しくは公判期日又は前項第二号の審判の手続」に、「前項」を「同項各号」に改める。
第百八十八条の七中「被告人又は」を「被告人若しくは」に、「者」を「者又は開始決定再審請求者」に改める。
第四百三十八条の次に次の一条を加える。
第四百三十八条の二 裁判官は、再審の請求があつた事件について、原判決に係る被告事件についての次に掲げる裁判に関与したときは、職務の執行から除斥される。
一 第三百三十三条、第三百三十四条又は第三百三十六条の規定による判決
二 前号に掲げる判決に係る第三百九十六条の規定による判決
三 略式命令
裁判官が、再審開始の決定が確定した事件について、当該再審開始の決定に係る再審の請求についての次に掲げる決定に関与したときも、前項と同様とする。
一 第四百四十四条の二第二項(第二号に係る部分に限る。)又は第四百四十七条第一項若しくは第四百四十八条第一項の規定による決定
二 前号に掲げる決定に対する即時抗告又は第四百二十八条第二項の異議の申立てを棄却する決定(当該即時抗告又は異議の申立ての手続がその規定に違反したことのみを理由とするものを除く。)
第四百四十一条の次に次の一条を加える。
第四百四十一条の二 再審の請求をするには、その理由を記載した書面を管轄裁判所に差し出さなければならない。
前項の書面には、証拠書類又は証拠物及び原判決の裁判書の謄本(裁判書が電磁的記録である場合にあつては、当該裁判書に記録されている事項の全部を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録であつてその内容が当該裁判書に記録されている事項と同一であることの証明がされたもの。以下この項において同じ。)を添えなければならない。ただし、第二百七十一条の二第一項若しくは第三百十二条の二第一項(第四百四条において準用する場合を含む。)の規定による求めがあつた場合又は第二百九十九条の四第一項、第三項、第六項若しくは第八項若しくは第二百九十九条の五第三項(これらの規定を第四百四条(第四百十四条において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定による措置がとられた場合であつて、原判決の裁判書の謄本を添えることができないときは、証拠書類又は証拠物及び原判決の裁判書の抄本(裁判書が電磁的記録である場合にあつては、当該裁判書に記録されている事項の一部を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録であつてその内容が当該裁判書に記録されている事項と同一であることの証明がされたもの)であつて、これらの求めに係る個人特定事項又はこれらの措置に係る氏名若しくは住居の記載又は記録がないものを添えれば足りる。
第四百四十四条の次に次の一条を加える。
第四百四十四条の二 再審の請求を受けた裁判所は、遅滞なく、その請求について調査しなければならない。
前項の裁判所は、同項の規定による調査の結果に基づいて、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める決定をしなければならない。
一 次に掲げる場合 再審の請求を棄却する決定
イ 再審の請求が法令上の方式に違反したものであると認めるとき。
ロ 再審の請求が請求権の消滅後にされたものであると認めるとき。
ハ 第四百四十一条の二第一項の書面に記載された再審の請求の理由が明らかに第四百三十五条各号又は第四百三十六条第一項各号に掲げる場合に該当しないと認めるとき。
二 再審の請求が理由のあるものであることが明らかであると認める場合 再審開始の決定
三 前二号に掲げる場合以外の場合 審判を開始する旨の決定(以下「審判開始の決定」という。)
前項(第二号に係る部分に限る。)の規定による決定をしたときは、決定で刑の執行を停止することができる。
前項の規定により死刑の執行を停止したときは、決定で刑法第十一条第二項の規定による拘置を停止することができる。
第四百四十五条中「再審の請求を受けた」を「審判開始の決定をした」に、「取調」を「取調べ」に改め、同条に第一項として次の一項を加える。
再審の請求を受けた裁判所は、審判開始の決定をした後でなければ、事実の取調べをすることができない。
第四百四十五条に次の一項を加える。
再審の請求をした者(検察官を除く。以下「再審請求者」という。)、弁護人又は検察官は、審判開始の決定をした裁判所に対し、事実の取調べを請求することができる。
第四百四十五条の次に次の九条を加える。
第四百四十五条の二 審判開始の決定をした裁判所は、再審の請求の理由に関連すると認められる証拠について、その関連性の程度その他の当該再審の請求についての裁判をするために提出を受けることの必要性の程度並びにその提出を受けた場合に生じるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮し、相当と認めるときは、再審請求者若しくは弁護人の請求により又は職権で、決定で、検察官に対し、当該証拠の提出を命じなければならない。
裁判所は、前項の決定又は同項の請求を却下する決定をするには、検察官の意見を聴かなければならない。
第一項の決定又は同項の請求を却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
第四百四十五条の三 裁判所は、前条第一項の決定をするか否かの判断をするに当たり、必要があると認めるときは、検察官に対し、当該判断の対象となる証拠の提示を命ずることができる。この場合において、当該証拠の全部又は一部が電磁的記録であるときは、当該電磁的記録については、その内容を表示したものを閲覧し、又はその内容を再生したものを視聴する方法により、提示を受けるものとする。
裁判所は、前条第一項の決定をするか否かの判断をするに当たり、必要があると認めるときは、検察官に対し、その保管する証拠であつて、裁判所の指定する範囲に属するものの標目の一覧表を提示することを命ずることができる。この場合において、検察官が当該一覧表を電磁的記録をもつて作成したときは、当該一覧表については、その内容を表示したものを閲覧する方法により、提示を受けるものとする。
前二項の場合においては、裁判所は、何人にも、第一項の証拠又は前項の一覧表の閲覧又は謄写をさせることができない。
前三項の規定は、前条第三項の即時抗告が係属する抗告裁判所について準用する。
第四百四十五条の四 弁護人は、再審の請求の手続において、裁判所が審判開始の決定をした後に検察官から提出を受けた証拠を謄写したときは、その証拠に係る複製等を適正に管理し、その保管をみだりに他人に委ねてはならない。
第四百四十五条の五 再審請求者、弁護人又は弁護人であつた者は、前条に規定する証拠に係る複製等を、次に掲げる手続又はその準備に使用する目的以外の目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供してはならない。
一 当該再審の請求に係る事件についての再審の請求の手続
二 前号に掲げる手続において再審開始の決定が確定した場合における被告事件の審理その他の当該被告事件に係る裁判のための審理及び当該被告事件に関する第二百八十一条の四第一項第二号に掲げる手続(同号ホに掲げるものを除く。)
前項の規定に違反した場合の措置については、再審請求者の再審の請求に係る利益又は再審における被告人の防御権を踏まえ、複製等の内容、行為の目的及び態様、関係人の名誉又はその私生活若しくは業務の平穏が害されているかどうか、当該複製等に係る証拠が公判期日において取り調べられたものであるかどうか、その取調べの方法その他の事情を考慮するものとする。
第四百四十五条の六 再審請求者が、第四百四十五条の四に規定する証拠に係る複製等を、前条第一項各号に掲げる手続又はその準備に使用する目的以外の目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供したときは、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
弁護人又は弁護人であつた者が、第四百四十五条の四に規定する証拠に係る複製等を、対価として財産上の利益その他の利益を得る目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供したときも、前項と同様とする。
第四百四十五条の七 審判開始の決定をした裁判所は、審理を終結するまでに、再審の請求について、再審請求者(再審請求者が第四百三十九条第一項第三号に掲げる者である場合にあつては、再審請求者及び有罪の言渡しを受けた者)、弁護人及び検察官の意見を聴かなければならない。
審判開始の決定をした裁判所は、審理を終結するには、審理を終結する日(以下この条において「審理終結日」という。)を定めなければならない。この場合においては、あらかじめ、審理の終結について、再審請求者又は弁護人及び検察官の意見を聴かなければならない。
審判開始の決定をした裁判所は、再審請求者、弁護人若しくは検察官の請求により、又は職権で、審理終結日を変更することができる。
審理終結日を変更するには、裁判所の規則の定めるところにより、あらかじめ、再審請求者又は弁護人及び検察官の意見を聴かなければならない。ただし、急速を要する場合は、この限りでない。
審理終結日は、再審請求者、弁護人及び検察官に通知しなければならない。
第四百四十五条の八 審判開始の決定をした裁判所は、審理を終結したときは、速やかに、再審の請求について決定をする日(以下この条において「決定日」という。)を定めなければならない。
審判開始の決定をした裁判所は、決定日を変更することができる。
前条第五項の規定は、決定日について準用する。
第四百四十五条の九 審判開始の決定をした裁判所は、適当と認めるときは、再審請求者、弁護人若しくは検察官の請求により、又は職権で、決定で、終結した審理を再開することができる。
第四百四十五条の十 審判開始の決定があつた場合において、再審請求者が死亡したときは、再審の請求の手続は、中断する。この場合において、第四百三十九条第一項第二号から第四号までに掲げる者は、その手続を受け継ぐことができる。
前項後段の規定による受継の申立ては、再審請求者の死亡の日から一月以内にしなければならない。
第一項の規定による中断があつたときは、即時抗告又は第四百三十三条第一項の抗告の提起期間は、進行を停止する。この場合においては、第一項後段の規定による受継があつた時から、新たに全期間の進行を始める。
第二項の期間内に同項の申立てがないときは、審判開始の決定をした裁判所は、決定で再審の請求を棄却しなければならない。
第四百四十六条中「再審」を「審判開始の決定をした裁判所は、審理の結果、再審」に、「ある」を「あることが判明した」に改める。
第四百四十七条第一項中「再審」を「審判開始の決定をした裁判所は、審理の結果、再審」に、「とき」を「ものであると認めるとき」に改め、同条第二項中「決定」を「規定による決定」に改める。
第四百四十八条第一項中「再審の」を「審判開始の決定をした裁判所は、審理の結果、再審の」に、「とき」を「ものであると認めるとき」に改め、同条第二項中「再審開始の」を「前項の規定による」に改める。
第四百五十条中「第四百四十六条」を「第四百四十四条の二第二項(第一号に係る部分に限る。)、第四百四十六条」に改める。
第四百五十条の二第一項中「第四百四十八条第一項」を「第四百四十四条の二第二項(第二号に係る部分に限る。第三項第一号において同じ。)又は第四百四十八条第一項」に改め、同条第二項中「抗告裁判所の」の下に「第四百五十条の五第一項において準用する」を加え、同条第三項第一号中「第四百四十八条第一項」を「第四百四十四条の二第二項又は第四百四十八条第一項(第四百五十条の五第一項において準用する場合を含む。)」に改める。
第四百五十条の三の次に次の二条を加える。
第四百五十条の四 第四百四十四条の二第二項(第三号に係る部分を除く。)の規定による決定に対する即時抗告が係属する抗告裁判所は、当該即時抗告について調査しなければならない。
前項の抗告裁判所は、第四十三条第三項の規定にかかわらず、事実の取調べをすることができない。
第一項の即時抗告が理由のあるときは、第四百二十六条第二項の規定にかかわらず、決定で、原決定を取り消して、事件を再審の請求を受けた裁判所に差し戻さなければならない。
前三項の規定は、第一項の即時抗告に係る抗告裁判所の決定に対する第四百三十三条第一項の抗告が係属する抗告裁判所について準用する。
第四百五十条の五 第四百四十五条第二項及び第三項、第四百四十五条の二、第四百四十五条の三、第四百四十五条の七(第一項を除く。)から第四百四十五条の九まで、第四百四十五条の十第四項並びに第四百四十六条から第四百四十八条までの規定は、第四百四十六条、第四百四十七条第一項又は第四百四十八条第一項の規定による決定に対する即時抗告が係属する抗告裁判所について準用する。この場合において、第四百四十五条の八第一項中「再審の請求」とあるのは、「即時抗告」と読み替えるものとする。
第四百四十五条第二項及び第三項、第四百四十五条の二第一項及び第二項、第四百四十五条の三第一項から第三項まで、第四百四十五条の十第四項並びに第四百四十六条から第四百四十八条までの規定は、前項の即時抗告に係る抗告裁判所の決定に対する第四百三十三条第一項の抗告が係属する抗告裁判所について準用する。
第四百五十一条第二項中「左の」を「次の」に改め、同項第一号中「見込」を「見込み」に改め、同項第二号中「言渡」を「言渡し」に、「見込」を「見込み」に改め、同条第三項ただし書中「但し」を「ただし」に改め、同条第四項中「再審の請求をした者」を「再審請求者」に、「附しなければ」を「付さなければ」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第三条、第十五条及び第十六条の規定 公布の日
二 第一条の規定並びに附則第五条及び第六条の規定 公布の日から起算して二十日を経過した日
三 第二条中刑事訴訟法第百八十八条の二、第百八十八条の三、第百八十八条の六及び第百八十八条の七の改正規定並びに附則第七条の規定 公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日
(検討)
第二条 政府は、この法律の施行後五年ごとに、この法律による改正後の規定の施行の状況等を勘案し、再審の制度の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
(再審の請求の手続の迅速化等)
第三条 再審の請求の手続については、近年における再審の手続に関する諸事情に鑑み、裁判の迅速化に関する法律(平成十五年法律第百七号)第二条第一項の目標が実現されるよう、適正かつ迅速に行われなければならない。
2 再審の請求をした者(検察官を除く。)、弁護人及び検察官は、再審の請求の手続が迅速に行われるよう、裁判所に進んで協力しなければならない。
(証拠の提出命令による証拠の提出の在り方)
第四条 近年における再審の手続に関する諸事情に鑑み、第二条の規定(附則第一条第三号に掲げる改正規定を除く。附則第六条第一項において同じ。)による改正後の刑事訴訟法(以下「第二条改正後刑事訴訟法」という。)第四百四十五条の二第一項の規定による決定については、再審の請求の理由に関連すると認める証拠の範囲が不当に狭くならないように留意されなければならない。
(再審開始の決定に対する不服申立て等に係る審理期間)
第五条 近年における再審の手続に関する諸事情に鑑み、再審開始の決定に対する不服申立てであって附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日(以下この条及び次条において「第二号施行日」という。)以後にされたもの又は当該決定に対する不服申立てに係る裁判所の決定に対する不服申立てであって第二号施行日以後にされたものについては、それぞれ事件が受理された日から一年以内にその係属する裁判所の決定がされるように努めなければならない。
(再審の請求に係る決定に対する即時抗告等の提起期間に関する経過措置)
第六条 第一条の規定による改正後の刑事訴訟法(次項及び附則第十二条において「第一条改正後刑事訴訟法」という。)第四百五十条の三第一項の規定は、第二条の規定による改正前の刑事訴訟法(以下この条及び附則第十二条において「第二条改正前刑事訴訟法」という。)第四百四十七条第一項又は第四百四十八条第一項の規定による決定(附則第九条の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるものを含む。次項及び附則第八条において「第二条改正前決定」という。)であって第二号施行日以後にされたもの及び第二条改正後刑事訴訟法第四百四十七条第一項又は第四百四十八条第一項の規定による決定(次項において「第二条改正後決定」という。)に対する即時抗告(刑事訴訟法第四百二十八条第二項の異議の申立てを含む。以下この条において同じ。)について適用し、第二号施行日前にされた第二条改正前刑事訴訟法第四百四十七条第一項又は第四百四十八条第一項の規定による決定に対する即時抗告については、適用しない。
2 第一条改正後刑事訴訟法第四百五十条の三第二項の規定は、第二条改正前決定又は第二条改正後決定に対する即時抗告に係る抗告裁判所の第二号施行日以後にされた決定に対する刑事訴訟法第四百三十三条第一項の抗告について適用し、第二条改正前刑事訴訟法第四百四十七条第一項又は第四百四十八条第一項の規定による決定に対する即時抗告に係る抗告裁判所の第二号施行日前にされた決定に対する刑事訴訟法第四百三十三条第一項の抗告については、適用しない。
(再審請求手続に関する費用補償に関する経過措置)
第七条 第二条の規定(附則第一条第三号に掲げる改正規定に限る。)による改正後の刑事訴訟法第百八十八条の二第二項及び第三項の規定は、再審開始の決定が確定した事件について同号に掲げる規定の施行の日以後に無罪の判決が確定した場合における当該再審開始の決定に係る再審の請求の手続に要した費用であって同日前に生じたものについても適用する。
(再審公判における裁判官の除斥に関する経過措置)
第八条 第二条改正後刑事訴訟法第四百三十八条の二第二項の規定は、再審開始の決定が確定した事件について、当該再審開始の決定に係る再審の請求についての次に掲げる決定に関与した裁判官にも適用する。
一 第二条改正前決定
二 第二条改正前決定に対する即時抗告又は刑事訴訟法第四百二十八条第二項の異議の申立てを棄却する決定(当該即時抗告又は異議の申立ての手続がその規定に違反したことのみを理由とするものを除く。)
(再審の請求に関する調査手続及び審判手続に関する経過措置)
第九条 第二条改正後刑事訴訟法第四百四十四条の二から第四百四十五条の三まで、第四百四十五条の七から第四百四十五条の九まで、第四百四十六条、第四百四十七条、第四百四十八条第一項及び第二項、第四百五十条、第四百五十条の二、第四百五十条の四並びに第四百五十条の五の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に再審の請求があった事件について適用し、施行日前に再審の請求があった事件(次条及び附則第十一条において「施行前請求事件」という。)については、なお従前の例による。
(再審請求手続において謄写された証拠の複製等の適正管理等に関する経過措置)
第十条 第二条改正後刑事訴訟法第四百四十五条の四及び第四百四十五条の五の規定は、施行前請求事件の再審の請求の手続において裁判所が検察官から提出を受けた証拠が謄写されたときにおけるその証拠に係る複製等(刑事訴訟法第二百八十一条の三に規定する複製等をいう。次項において同じ。)についても適用する。この場合において、第二条改正後刑事訴訟法第四百四十五条の四中「審判開始の決定をした後に検察官」とあるのは、「検察官」とする。
2 第二条改正後刑事訴訟法第四百四十五条の六の規定は、施行前請求事件の再審の請求の手続において裁判所が検察官から提出を受けた証拠が施行日以後に謄写されたときにおけるその証拠に係る複製等についても適用する。
(再審請求手続の受継に関する経過措置)
第十一条 第二条改正後刑事訴訟法第四百四十五条の十の規定は、施行前請求事件に係る再審の請求をした者(検察官を除く。)が施行日以後に死亡した場合についても適用する。この場合において、同条第一項中「審判開始の決定があつた場合において、再審請求者が」とあるのは「再審の請求をした者(検察官を除く。)が刑事訴訟法の一部を改正する法律(令和八年法律第▼▼▼号)の施行の日以後に」と、同条第四項中「審判開始の決定をした」とあるのは「再審の請求を受けた」とする。
(死刑確定者の拘置の停止に関する経過措置)
第十二条 施行日以後における第一条改正後刑事訴訟法第四百四十八条第三項の規定の適用については、第二条改正前刑事訴訟法第四百四十八条第二項の規定による死刑の執行停止(附則第九条の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるものを含む。)は、第二条改正後刑事訴訟法第四百四十八条第二項の規定による死刑の執行停止とみなす。
(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部改正)
第十三条 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年法律第六十三号)の一部を次のように改正する。
第十七条に次の一号を加える。
十一 再審開始の決定が確定した事件について、次に掲げる裁判に関与した者
イ 原判決に係る被告事件についての次に掲げる裁判
(1) 刑事訴訟法第三百三十三条、第三百三十四条又は第三百三十六条の規定による判決
(2) (1)に掲げる判決に係る刑事訴訟法第三百九十六条の規定による判決
(3) 略式命令
ロ 当該再審開始の決定に係る再審の請求についての次に掲げる決定
(1) 刑事訴訟法第四百四十四条の二第二項(第二号に係る部分に限る。)又は第四百四十七条第一項若しくは第四百四十八条第一項の規定による決定
(2) (1)に掲げる決定に対する即時抗告又は刑事訴訟法第四百二十八条第二項の異議の申立てを棄却する決定(当該即時抗告又は異議の申立ての手続がその規定に違反したことのみを理由とするものを除く。)
(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第十四条 前条の規定による改正後の裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第十七条(第十一号ロに係る部分に限る。)の規定は、再審開始の決定が確定した事件について、当該再審開始の決定に係る再審の請求についての附則第八条各号に掲げる決定に関与した者にも適用する。
(情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律の一部改正)
第十五条 情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律(令和七年法律第三十九号)の一部を次のように改正する。
第二条のうち刑事訴訟法第四十条第一項の改正規定中「及び証拠物」を」を「書類」の下に」に、「及び証拠物(」を「」を、「及び証拠物」の下に「(」に、「に改め」を「を加え」に改める。
(政令への委任)
第十六条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
理 由
近年における刑事事件の再審の手続をめぐる諸事情に鑑み、同手続が非常救済手続としてより適切に機能するようにするため、再審請求審における証拠の提出命令、再審開始の決定に対する検察官の不服申立て、再審の手続における裁判官の除斥、再審請求審において審理を要するものを選別するための調査手続、審理を要すると判断されたものについての審判手続その他の再審の手続等に関する規定の整備を行う必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

