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第二二二回

閣第一二号

   特定貨物保険契約及び特定船舶保険契約の履行の確保に関する特別措置法案

 (趣旨)

第一条 この法律は、特定国産原油等を対象物品とする外国政府等(外国の政府又は条約その他の国際約束により設立された国際機関(我が国が加盟しているものを除く。)をいう。以下同じ。)により講じられる特定貨物保険契約及び特定船舶保険契約についての再保険の引受けを禁止する措置により、当該特定貨物保険契約及び特定船舶保険契約の締結又は継続が困難となることに対応して、特定貨物保険者支払総額が特定貨物保険契約に係る再保険共同行為に関する支払予定総額を上回る場合又は特定船舶保険者支払総額が特定船舶保険契約に係る再保険共同行為に関する支払予定総額を上回る場合において、特定貨物保険者又は特定船舶保険者に対し、政府がそれぞれ交付金を交付する制度を設ける等の特別の措置について定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 一 特定国産原油等 我が国に輸入される原油、石油製品及び液化天然ガス(第八号において「原油等」という。)であってその安定的な輸送を確保することが特に必要なものとして政令で定める国を原産地又は船積地(第九号において「原産地等」という。)とするものをいう。

 二 再保険共同行為 危険の分散又は平準化を図るためにあらかじめ損害保険会社(保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第四項に規定する損害保険会社をいう。以下この条において同じ。)と他の損害保険会社(外国損害保険会社等(同法第二条第九項に規定する外国損害保険会社等をいう。以下この号において同じ。)を含む。)との間で、共同して再保険することを定めておかなければ、保険契約者又は被保険者に著しく不利益を及ぼすおそれがあると認められる場合に、当該再保険することを定める再保険契約(以下単に「再保険契約」という。)又は再保険契約に係る保険契約につき同法第百一条第一項第二号イからニまで(同法第百九十九条において準用する場合を含む。)に掲げる行為の全部又は一部に関し損害保険会社が他の損害保険会社(外国損害保険会社等を含む。)と行う共同行為をいう。

 三 特定貨物輸送 我が国への特定国産原油等の輸送(これに伴う保管を含む。以下この号において同じ。)を開始する時から当該輸送を完了する時までの間における特定国産原油等の輸送をいう。

 四 特定貨物保険契約 貨物保険契約(商法(明治三十二年法律第四十八号)第八百十九条に規定する貨物保険契約をいう。)であって、特定貨物輸送に伴って生ずる特定国産原油等に係る損害(以下「特定貨物損害」という。)を填補するものをいう。

 五 特定貨物保険者 特定貨物保険契約の保険者であって、特定貨物保険契約の引受けに係る事業において当該特定貨物保険契約に係る再保険共同行為について保険業法第百二条第一項(同法第百九十九条において準用する場合を含む。第十一号において同じ。)の認可を受けた損害保険会社であるものをいう。

 六 特定貨物保険契約に係る再保険共同行為に関する支払予定総額 前号の認可を受けた損害保険会社が特定貨物保険契約に係る再保険共同行為により共同して支払うことを約した金銭の金額の総額の範囲内で、当該再保険共同行為の内容その他の事情を勘案して相当と認められる金額として、毎会計年度、政令で定める金額をいう。

 七 特定貨物保険者支払総額 特定貨物保険契約に基づく債務の履行としての金銭の支払(次条に規定する特定海上財物保険履行確保契約の締結の時の属する会計年度(以下「契約締結年度」という。)における特定貨物損害に係るものに限る。)をした全ての特定貨物保険者に係る当該支払をした金銭の金額の総額をいう。

 八 特定船舶 特定国産原油等をその全部又は一部とする原油等(次号において「積込原油等」という。)の輸送の用に供する船舶(我が国のみにおいて原油等の取卸しをするものに限る。)をいう。

 九 特定船舶運航 特定船舶が特定国産原油等の積込みのために当該特定国産原油等の原産地等である国に向けて運航を開始する時から我が国において当該積込みをした積込原油等の取卸しを完了する時までの間における特定船舶の運航をいう。

 十 特定船舶保険契約 船舶保険契約(商法第八百十八条に規定する船舶保険契約をいう。)であって、特定船舶運航に伴って生ずる特定船舶に係る損害及び費用(被保険者が負担しなければならないものに限る。)(以下「特定船舶損害等」という。)を填補するものをいう。

 十一 特定船舶保険者 特定船舶保険契約の保険者であって、特定船舶保険契約の引受けに係る事業において当該特定船舶保険契約に係る再保険共同行為について保険業法第百二条第一項の認可を受けた損害保険会社であるものをいう。

 十二 特定船舶保険契約に係る再保険共同行為に関する支払予定総額 前号の認可を受けた損害保険会社が特定船舶保険契約に係る再保険共同行為により共同して支払うことを約した金銭の金額の総額の範囲内で、当該特定船舶保険契約により引き受ける危険の種別(以下単に「危険の種別」という。)ごとに当該再保険共同行為の内容その他の事情を勘案して相当と認められる金額として、毎会計年度、政令で定める金額をいう。

 十三 特定船舶保険者支払総額 特定船舶保険契約に基づく債務の履行としての金銭の支払(契約締結年度における特定船舶損害等に係るものに限る。)をした全ての特定船舶保険者に係る当該支払をした金銭の金額であって、危険の種別ごとのそれぞれのものの総額をいう。

 (特定海上財物保険履行確保契約)

第三条 政府は、特定国産原油等が外国政府等により講じられる特定貨物保険契約及び特定船舶保険契約についての再保険の引受けを禁止する措置の対象物品となるときは、当該特定貨物保険契約及び特定船舶保険契約の履行の確保のため、特定貨物保険者又は特定船舶保険者(以下「特定海上財物保険者」と総称する。)を相手方として、政府が当該特定海上財物保険者に対し、次に掲げる金額(再保険契約の再保険金額の国際的な水準その他の事情を勘案して相当と認められる金額を限度とする。)の交付金(以下「特定海上財物保険履行確保契約交付金」という。)を交付することを約し、当該特定海上財物保険者が手数料を納付することを約する契約(以下「特定海上財物保険履行確保契約」という。)を締結することができる。

 一 契約締結年度における特定貨物保険者支払総額が特定貨物保険契約に係る再保険共同行為に関する支払予定総額を上回る場合において、当該特定貨物保険者が当該特定貨物保険契約に基づく債務の履行として支払う金銭の金額(当該特定貨物保険者が前条第五号の認可を受けた特定貨物保険契約に係る再保険共同行為による再保険契約に基づく債務の履行として外国保険業者(保険業法第二条第六項に規定する外国保険業者をいう。以下この条において同じ。)から金銭の支払を受ける場合にあっては、当該外国保険業者から支払を受ける金銭の金額を控除した金額)に相当する金額(当該特定貨物保険者が支払う金銭の金額が当該特定貨物保険者支払総額から当該特定貨物保険契約に係る再保険共同行為に関する支払予定総額を控除した金額を上回る場合にあっては、当該控除した金額に相当する金額)

 二 契約締結年度における危険の種別ごとの特定船舶保険者支払総額が特定船舶保険契約に係る再保険共同行為に関する支払予定総額を上回る場合において、当該特定船舶保険者が当該特定船舶保険契約に基づく債務の履行として危険の種別ごとに支払う金銭の金額(当該特定船舶保険者が前条第十一号の認可を受けた特定船舶保険契約に係る再保険共同行為による再保険契約に基づく債務の履行として外国保険業者から金銭の支払を受ける場合にあっては、当該外国保険業者から支払を受ける金銭の金額を控除した金額)に相当する金額(当該特定船舶保険者が危険の種別ごとに支払う金銭の金額が当該特定船舶保険者支払総額から当該特定船舶保険契約に係る再保険共同行為に関する支払予定総額を控除した金額を上回る場合にあっては、当該控除した金額に相当する金額)

 (特定海上財物保険履行確保契約の期間)

第四条 特定海上財物保険履行確保契約の期間は、その締結の時から契約締結年度の末日までとする。

 (手数料)

第五条 第三条の手数料の金額は、特定貨物保険契約及び特定船舶保険契約の区分ごとに、それぞれ再保険料の金額の国際的な水準を勘案して政令で定める金額とする。

 (特定海上財物保険履行確保契約の締結の限度)

第六条 政府は、一会計年度内において、特定海上財物保険履行確保契約交付金の金額の総額が会計年度ごとに国会の議決を経た金額を超えない範囲内で、特定海上財物保険履行確保契約を締結するものとする。

 (通知)

第七条 特定海上財物保険履行確保契約の相手方である特定海上財物保険者は、経済産業省令で定めるところにより、特定貨物保険契約に係る特定貨物輸送を開始する日時又は特定船舶保険契約に係る特定船舶運航を開始する日時、特定貨物保険契約に係る特定貨物損害の状況又は特定船舶保険契約に係る特定船舶損害等の状況及び特定貨物保険契約又は特定船舶保険契約に基づく債務の履行としての金銭の支払の状況を政府に対し通知しなければならない。

 (報告の徴収)

第八条 政府は、この法律の施行に必要な限度において、特定海上財物保険履行確保契約の相手方である特定海上財物保険者に対し、特定貨物保険契約に係る特定貨物輸送の状況又は特定船舶保険契約に係る特定船舶運航の状況その他必要な事項について報告を求めることができる。

 (時効)

第九条 特定海上財物保険履行確保契約交付金の交付を受ける権利は、これを行使することができる時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。

 (代位等)

第十条 政府は、特定海上財物保険履行確保契約により特定海上財物保険履行確保契約交付金を交付した場合において、当該特定海上財物保険履行確保契約交付金の交付を受けた特定海上財物保険者が第三者に対して求償権を有するときは、次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額を限度として当該求償権を取得する。

 一 当該特定海上財物保険者に政府が交付した特定海上財物保険履行確保契約交付金の金額

 二 当該求償権の金額

2 特定海上財物保険履行確保契約により特定海上財物保険履行確保契約交付金の交付を受ける特定海上財物保険者が第三者に対する求償権の行使により支払を受けたときは、政府は、次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額の限度で、特定海上財物保険履行確保契約交付金の交付の義務を免れる。

 一 当該特定海上財物保険者が当該求償権の行使により支払を受けた金額

 二 当該特定海上財物保険履行確保契約に基づき、政府が特定海上財物保険履行確保契約交付金の交付の義務を負う金額

 (特定海上財物保険履行確保契約の解除)

第十一条 政府は、特定海上財物保険履行確保契約の相手方である特定海上財物保険者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該特定海上財物保険履行確保契約を解除することができる。

 一 解除その他の事由により特定貨物保険契約又は特定船舶保険契約を締結している者でなくなったとき。

 二 政令で定める期限までに第三条の手数料を納付しなかったとき。

 三 第七条の規定による通知をせず、又は虚偽の通知をしたとき。

 四 第八条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

 五 保険業法の規定に違反したとき。

 六 当該特定海上財物保険履行確保契約の条項に違反したとき。

2 前項の規定による特定海上財物保険履行確保契約の解除は、当該特定海上財物保険履行確保契約の相手方である特定海上財物保険者が解除の通知を受けた日から起算して七日を経過した日から将来に向かってその効力を生ずる。

 (業務の管掌)

第十二条 この法律に規定する政府の業務は、経済産業大臣が管掌する。

2 経済産業大臣は、特定海上財物保険履行確保契約を締結しようとする場合には、あらかじめ、内閣総理大臣、外務大臣及び財務大臣に協議しなければならない。

3 経済産業大臣は、特定海上財物保険履行確保契約を解除しようとする場合には、あらかじめ、内閣総理大臣及び外務大臣に協議しなければならない。

 (経済産業省令への委任)

第十三条 この法律に定めるもののほか、特定海上財物保険履行確保契約の締結の手続その他この法律を実施するために必要な事項は、経済産業省令で定める。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (令和八年度における特定海上財物保険履行確保契約の限度額)

2 令和八年度において政府が特定海上財物保険履行確保契約を締結する場合には、第六条の規定にかかわらず、その特定海上財物保険履行確保契約交付金の金額の総額が八千九百十三億三千八百八十万九千六百八十五円を超えない範囲内において、これをするものとする。ただし、同条の規定に基づく国会の議決がなされた場合には、この限りでない。


     理 由

 我が国に輸入される原油、石油製品及び液化天然ガスであってその安定的な輸送を確保することが特に必要なものとして特定の国を原産地等とするものを対象物品とする外国政府等により講じられる貨物保険契約及び船舶保険契約についての再保険の引受けを禁止する措置により、当該貨物保険契約及び船舶保険契約の締結又は継続が困難となることに対応して、当該貨物保険契約又は船舶保険契約の保険者に対し、当該保険者がこれらの契約に基づく債務の履行として支払う金銭の金額が当該保険者が再保険共同行為により共同して支払うことを約した金銭の金額を上回る場合において、政府が交付金を交付する制度を設ける等の特別の措置について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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