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   安倍内閣不信任決議案(第一六六回国会、決議第八号)


 本院は、安倍内閣を信任せず。
  右決議する。

     理 由
 「美しい国」を標榜する安倍内閣の下で、国民の不信と不安が増大している。その原因の一つは、社会保険庁による「年金記録」のずさんな管理から生じた五千万件にのぼる、「消えた年金」の問題である。安倍総理は、この問題で国民の批判が高まると、社会保険庁の責任をうやむやにし、かえって天下りを推進するだけの、いわゆる「社会保険庁改革♀ヨ連法案」の成立に危機感を抱き、急遽、「年金時効特例法案」を与党に提出させ、衆議院で、たった一日、わずか四時間の審議で強行採決させた。これには付け焼刃、場当たり的との批判が絶えない。そして、今、これらの法案を参議院で再び強行採決し、成立させようとしている。
 また、安倍総理は、五千万件の年金記録の照会を一年で終えると公約し、柳澤厚生労働大臣は来年五月までに作業を終えると記者会見で明らかにした。その実現性にも疑問符がつくが、作業に要する費用とその財源が全く明らかにされていないことは問題である。さらには、柳澤大臣の記者会見後、新たに最大一四三〇万件に及ぶ該当者不明の年金記録の存在が明らかになった。まさに底なしである。百年安心の年金改革が聞いてあきれる。国民は国の年金管理にただでさえ強い不安を抱いている。そうした国民の年金に対する不信と不安を増幅させる深刻な事態であるが、安倍内閣は、相変わらずその場しのぎの対応に終始している。
 そもそも、この問題は、昨年六月に国会で村瀬社会保険庁長官が野党議員に追及され、調査を約束したことから始まっている。しかし、柳澤厚生労働大臣は、委員会審議を通じて、一貫して要求された調査を拒否し、資料も提出せず、何の対応策も示さなかった。二十兆円を超えると報道された五千万件の消えた年金の総額は、いまだに明らかにされていない。歴代社会保険庁長官の責任も非常に重い。しかし、行政府の最高責任者である安倍総理が、他人事のように社会保険庁長官の責任を云々するのはいかがなものか。その歴代社会保険庁長官の一人が、いわゆる「渡り」で三億六千六百万円を超える収入を得ていたことも明らかになった。安倍内閣はこの天下りを公然と認める、「国家公務員法等の一部改正案」の成立に固執しているが、「天下りバンク法案」と揶揄され、国民の怒りが頂点に達していることを忘れてはならない。安倍内閣の対応は、参議院議員選挙を意識した見え透いたパフォーマンスにすぎず、いたずらに国民の年金不信を煽るだけの極めて無責任な態度だ。
 さらに、「政治とカネ」の問題がある。政治資金、特に事務所費や光熱水費をめぐる問題などで安倍内閣の閣僚が相次いで疑惑を指摘された。昨年末の佐田前行革担当相の辞任に始まり、再三にわたり疑惑を否定し、真相を明らかにしようとしなかった松岡前農林水産大臣は、ついに自殺にまで追い込まれた。真相は全て闇の中である。松岡前農林水産大臣の任命権者であり、説明責任を回避する松岡前農林水産大臣をかばい続けて国民の政治不信を増大させた安倍総理の責任は重大である。
 最早、誰が見ても安倍内閣は機能停止に陥っている。繰り返される軽薄なパフォーマンスなど論外である。速やかに退陣すべきだ。
 以上が本決議案提出の理由である。

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