総務大臣武田良太君不信任決議案（第二〇四回国会、決議第一号）
本院は、総務大臣武田良太君を信任せず。
右決議する。
理 由
日本国憲法に明記しているとおり、すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。しかし、平成十年に発覚した大蔵省接待汚職事件に象徴されるように、かつて公務員が特定の業界、業者と癒着し、行政を大きく歪める事件がしばしば発生した。こうした事態を受け、行政に対する国民の信頼を回復するため、平成十二年には国家公務員倫理法が施行された。
今般、総務省幹部が組織ぐるみで、菅総理の長男が勤務する東北新社やＮＴＴから違法な接待を受けていたことが明らかになったが、これらは国家公務員倫理法、さらには憲法をも踏みにじる、公務員にあるまじき行為と言うほかない。
しかも歴代総務大臣、政務三役の接待まで明らかになったことは、底知れない癒着を示している。これら一連の接待によって、放送・通信行政が歪められた疑惑は極めて重大である。
しかるに総務大臣武田良太君はこの間、真相究明には及び腰の姿勢に終始した。総務省の内部調査は、後追いで新たな事実が判明するというお粗末極まりないものとなり、挙げ句の果てには、武田大臣自らが官僚に対し、「記憶がないと言え」と指示した疑いまで浮上した。そもそも武田大臣自身、ＮＴＴ幹部との会食に同席しながら、当初はそれを認めず、見苦しい言い逃れを繰り返しており、総務省を指揮監督する資格はない。武田大臣のもとでは行政に対する信頼回復は到底望めず、国民の不信感は増すばかりである。
これが総務大臣武田良太君不信任の理由である。