衆議院

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第二〇八回国会
決議第五号
   衆議院議長細田博之君不信任決議案
 本院は、衆議院議長細田博之君を信任せず。
  右決議する。

     理 由
 国権の最高機関たる国会の衆議院議長として、民主主義の根幹を揺るがせる言動を繰り返している細田博之君は最も不適切な人物である。
 その理由の第一は、衆議院議長は立法府を代表する立場にありながら、民主主義の根幹たる一票の格差是正の意義を全く理解していない。あろうことか十増十減案を「地方いじめ」と歪曲し、自民党政権が旗振りしてきたにもかかわらず、今にして区割り変更を「心ない政治」と放言するありさまである。国会が国権の最高機関たることを憲法によって定められたるは、国民が投ずるその一票が、全て平等の価値を有するが故であることは論をまたない。議長という重職にありながら、これを阻止せんとするその姿勢はまさに投票価値の不平等を意図的に放置することを意味する。今回の細田君の発言や姿勢は、党利党略で選挙区を改悪せんとした米国のゲリマンダーならぬ令和日本の「ホソマンダー」であり、一票を軽んじる者は民主主義国家全体を軽んじる者である。
 第二に、細田博之君は「議長になっても毎月もらう歳費は百万円しかない。多少増やしてもバチは当たらない」、「議員定数を多少増やしてもバチは当たらない」などと発言し、歳費の原資が血税から出ているという事実を理解しておらず、心ある国民の怒りを買っている。さらに深刻なのは、国会での議論により決められた議員定数や歳費に対して、議長自らが否定していることである。これは、これまで積み重ねられてきた国会での議論を、議長自らが軽んじている証左であり、細田議長は立法府ひいては民主主義を蔑ろにしていると断じざるを得ない。
 一方で三十六万円の政治献金を受け取ったにもかかわらず政治資金収支報告書に記載していないことが明るみに出ており、これは政治資金規正法違反の疑いもあり、国民の更なる失望を買うなど、立法府の長としてその金銭感覚は余りにもお粗末である。現下の終わらないコロナ禍、ロシアによるウクライナ侵略に発する急激な資源高、物価高により、国民生活は急速に厳しくなってきている。細田博之君の歳費発言や政治資金の不適切な処理は、これら窮乏する一般国民の現状を顧みず、またその心を踏みつけるものである。
 第三に、週刊誌が報じた女性記者をはじめとする多くの女性に対するセクシャルハラスメントの疑惑である。あたりまえであるが一人の人間として、そもそもあってはならない疑惑である。このような品位の欠けた者が、三権の長の座についていることに驚愕を禁じ得ない。世界的にもセクシャルハラスメントを防止していこうという人権意識の高まりの中で、女性を弄んで憚らないと疑われる人物が立法府を代表していること自体、日本の恥と考えて良い。立憲民主党、日本維新の会、日本共産党、国民民主党の国対委員長は、事の重大さに鑑みて、細田議長ご自身が真偽も含めた説明を国会の場で行っていただきたいと申し入れた。しかし、現在に至っても、細田議長は議院運営委員会などの国会での説明はおろか、記者会見すら開いていない。国会議員や国民に対して、説明責任を果たさない細田議長は、民主主義についてまったく理解していない議長であると厳しく指摘せざるを得ない。
 さらに、先の総選挙期間中に、地方議員十一名に労務の実態が極めて不明朗な状態にもかかわらず計六万五千七百円を労務費として支払うなど、公職選挙法違反の疑惑が報じられた。民主主義の根幹たる選挙においても不正を働いていたとなれば、議長どころか議員の職を辞するべき事態である。
 もはや国会議員を指して「選良」と呼ぶ国民は少ないが、それでも国政を担う者としての品格と矜持を全国会議員は持つべきである。然るに、その議長たるものが、民主主義の一票の価値を軽んじ、経済的困窮に苦しむ国民の気持ちを軽んじ、説明責任を果たさず、民主主義の根幹を揺るがせている今、国会の権威は地に落ち、泥にまみれている。党派を超えて我々は、我々自身の誇りのために、不信任案を決議させねばならない。
 これが衆議院議長細田博之君を信任せず本決議案を提出する理由である。
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