衆議院

メインへスキップ



   民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律案要綱

第一 目的
 この法律は、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用した公共施設等の建設、維持管理及び運営(これらに関する企画を含む。)の促進を図るための措置を講ずること等により、効率的かつ効果的に社会資本を整備し、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とすること。
                   (第一条関係)
第二 定義
一 「公共施設等」とは、次に掲げる施設をいうものとすること。
(第二条第一項関係)
p 道路、鉄道、港湾、空港、河川、公園、水道、下水道、工業用水道等の公共施設
q 庁舎、宿舎等の公用施設
r 公営住宅及び教育文化施設、廃棄物処理施設、医療施設、社会福祉施設、更生保護施設、駐車場、地下街等の公益的施設
s 情報通信施設、熱供給施設、新エネルギー施設、リサイクル施設(廃棄物処理施
 設を除く。)、観光施設及び研究施設
t pからsまでに掲げる施設に準ずる施設として政令で定めるもの
二 「特定事業」とは、公共施設等の整備等(建設、維持管理若しくは運営又はこれらに関する企画をいう。以下同じ。)に関する事業(市街地再開発事業、土地区画整理事業その他の市街地開発事業を含む。)であって、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用することにより効率的かつ効果的に実施されるものをいうものとすること。
(第二条第二項関係)
三 「公共施設等の管理者等」とは、次に掲げる者をいうものとすること。
(第二条第三項関係)
p 公共施設等の管理者である大臣又は特定事業を所管する大臣
q 公共施設等の管理者である地方公共団体の長又は特定事業を実施しようとする地
方公共団体の長
r 公共施設等の整備等を行う特殊法人その他の公共法人(市街地再開発事業、土地区画整理事業その他の市街地開発事業を施行する組合を含む。)
四 「選定事業」とは、第六により選定された特定事業をいうものとすること。
(第二条第四項関係)
五 「選定事業者」とは、第七の一により選定事業を実施する者として選定された者をいうものとすること。
                  (第二条第五項関係)
第三 基本理念
一 公共施設等の整備等に関する事業は、国及び地方公共団体と民間事業者との適切な役割分担並びに財政資金の効率的使用の観点を踏まえつつ、当該事業により生ずる収益等をもってこれに要する費用を支弁することが可能である等の理由により民間事業者に行わせることが適切なものについては、できる限りその実施を民間事業者にゆだねるものとすること。
                  (第三条第一項関係)
 二 特定事業は、国及び地方公共団体と民間事業者との責任分担の明確化を図りつつ収益性を確保するとともに、国等の民間事業者に対する関与を必要最小限のものとすることにより民間事業者の有する技術及び経営資源、その創意工夫等が十分に発揮され、低廉かつ良好なサービスが国民に対して提供されることを旨として行われなければならないものとすること。
                  (第三条第二項関係)
第四 基本方針
一 内閣総理大臣は、基本理念にのっとり、特定事業の実施に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならないものとすること。
(第四条第一項関係)
二 基本方針は、特定事業の実施について、次に掲げる事項(地方公共団体が実施する特定事業については、特定事業の促進のために必要な事項に係るもの)を定めるものとすること。
                      (第四条第二項関係)
p 民間事業者の発案による特定事業の選定その他特定事業の選定に関する基本的な事項
q 民間事業者の募集及び選定に関する基本的な事項
r 民間事業者の責任の明確化等事業の適正かつ確実な実施の確保に関する基本的な事項
s 法制上及び税制上の措置並びに財政上及び金融上の支援に関する基本的な事項
t その他特定事業の実施に関する基本的な事項
三 基本方針は、次に掲げる事項に配慮して定められなければならないものとすること。
                             (第四条第三項関係)
p 特定事業の選定については、公共性を確保しつつ事業に要する費用の縮減等資金の効率的使用を図るとともに、民間事業者の自主性を尊重すること。
q 民間事業者の選定については、公開の競争により選定を行う等その過程の透明化を図るとともに、民間事業者の創意工夫を尊重すること。
r 財政上の支援については、現行の制度に基づく方策を基本とし、又はこれに準ずるものとすること。
四 内閣総理大臣は、基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、民間資金等活用事業推進委員会の議を経なければならないものとすること。
                     (第四条第四項関係)
五 内閣総理大臣は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、関係行政機関の長に送付しなければならないものとすること。
 (第四条第五項関係)
第五 実施方針
一 公共施設等の管理者等は、第六の特定事業の選定及び第七の一の民間事業者の選定を行おうとするときは、基本方針にのっとり、特定事業の実施に関する方針(以下「実施方針」という。)を定めるものとすること。
     (第五条第一項関係)
二 実施方針は、特定事業について、次に掲げる事項を具体的に定めるものとすること。
                              (第五条第二項関係)
p 特定事業の選定に関する事項
q 民間事業者の募集及び選定に関する事項
r 民間事業者の責任の明確化等事業の適正かつ確実な実施の確保に関する事項
s 公共施設等の立地並びに規模及び配置に関する事項
t 法制上及び税制上の措置並びに財政上及び金融上の支援に関する事項
u その他特定事業の実施に関し必要な事項
三 公共施設等の管理者等は、実施方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならないものとすること。
               (第五条第三項関係)
第六 特定事業の選定
 公共施設等の管理者等は、基本方針及び実施方針に基づき、実施することが適切であると認める特定事業を選定することができるものとすること。
    (第六条関係)
第七 民間事業者の選定等
一 公共施設等の管理者等は、第六により特定事業を選定したときは、当該特定事業を実施する民間事業者を公募の方法等により選定するものとすること。
                             (第七条第一項関係)
二 一により選定された民間事業者は、本来公共施設等の管理者等が行う事業のうち、第十に定める事業計画又は協定において当該民間事業者が行うこととされた公共施設等の整備等を行うことができるものとすること。
       (第七条第二項関係)
第八 客観的な評価
 公共施設等の管理者等は、第六の特定事業の選定及び第七の民間事業者の選定を行うに当たっては、客観的な評価(当該特定事業の効果及び効率性に関する評価を含む。)を行い、その結果を公表しなければならないものとすること。
                                (第八条関係)
第九 地方公共団体の議会の議決
 地方公共団体は、特定事業に係る契約でその種類及び金額について政令で定める基準に該当するものを締結する場合には、あらかじめ、議会の議決を経なければならないものとすること。
                          (第九条関係)
第十 選定事業の実施
 選定事業は、基本方針及び実施方針に基づき、公共施設等の管理者等及び選定事業者が策定した事業計画若しくは協定又は選定事業者(当該施設の管理者である場合を含む。)が策定した事業計画に従って実施されるものとすること。
    (第十条関係)
第十一 国の債務負担
 国が選定事業について債務を負担する場合には、当該債務を負担する行為により支出すべき年限は、当該会計年度以降三十箇年度以内とすること。
    (第十一条関係)
第十二 国有財産の無償使用等
一 国は、必要があると認めるときは、選定事業の用に供する間、国有財産を無償又は時価より低い対価で選定事業者に使用させることができるものとすること。
                            (第十二条第一項関係)
二 地方公共団体は、必要があると認めるときは、選定事業の用に供する間、公有財産を無償又は時価より低い対価で選定事業者に使用させることができるものとすること。
                            (第十二条第二項関係)
第十三 政府の出資等
一 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、株式会社である選定事業者に出資することができるものとすること。
                     (第十三条第一項関係)
二 一により出資した場合には、選定事業を所管する大臣は、出資を受けた選定事業者に対し、必要な監督を行うものとすること。
(第十三条第二項から第十一項まで関係)
第十四 債務保証等
一 政府又は地方公共団体は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律第三条の規定にかかわらず、選定事業者の債務のうち当該選定事業に係るものについて保証することができるものとすること。
(第十四条第一項及び第十五条第一項関係)
二 政府は、一により選定事業に係る債務の保証をしようとするときは、あらかじめ、民間資金等活用事業推進委員会の意見を聴かなければならないものとすること。
(第十四条第二項関係)
三 一により債務保証をした場合には、選定事業を所管する大臣又は地方公共団体の長は、債務の保証を受けた選定事業者に対し、必要な監督を行うものとすること。
(第十四条第三項及び第十五条第二項関係)
第十五 無利子貸付け
一 国は、予算の範囲内において、選定事業者に対し、選定事業のうち特に公共性が高いと認めるものに係る資金について無利子で貸付けを行うことができるものとすること。
                        (第十六条第一項関係)
二 国は、一により無利子で貸付けを行う場合には、日本開発銀行、北海道東北開発公庫、沖縄振興開発金融公庫その他の政府系金融機関等の審査機能又は貸付け機能を活用することができるものとすること。
           (第十六条第二項関係)
第十六 資金の確保等及び地方債についての配慮
 国又は地方公共団体は、選定事業の実施のために必要な資金の確保若しくはその融通のあっせん又は法令の範囲内における地方債についての特別の配慮に努めるものとすること。
                          (第十七条関係)
第十七 土地の取得等についての配慮
 選定事業の用に供する土地等については、選定事業者が円滑に取得し、又は使用することができるよう、土地収用法に基づく収用その他関係法令に基づく許可等の処分について適切な配慮が行われるものとすること。
         (第十八条関係)
第十八 支援等
一 第十二から第十七までに定めるもののほか、国及び地方公共団体は、特定事業の実施を促進するため、基本方針及び実施方針に照らして、必要な法制上及び税制上の措置を講ずるとともに、選定事業者に対し、必要な財政上及び金融上の支援を行うものとすること。
                     (第十九条第一項関係)
二 一の措置及び支援は、整備される施設の特性、事業の実施場所等に応じた柔軟かつ弾力的なものであり、かつ、地方公共団体の主体性が十分に発揮されるよう配慮されたものでなければならないものとすること。
       (第十九条第二項関係)
第十九 規制緩和
 国及び地方公共団体は、特定事業の実施を促進するため、民間事業者の技術の活用及び創意工夫の十分な発揮を妨げるような規制の撤廃又は緩和を推進するものとすること。
(第二十条関係)
第二十 協力
 国、地方公共団体及び民間事業者は、特定事業の円滑な実施が促進されるよう、協力体制を整備すること等により相互に協力しなければならないものとすること。
(第二十一条関係)
第二十一 啓発活動等及び技術的援助等
 一 国及び地方公共団体は、特定事業の実施について、知識の普及、情報の提供等を行うとともに、住民の理解、同意及び協力を得るための啓発活動を推進するものとすること。
                        (第二十二条第一項関係)
 二 国及び地方公共団体は、特定事業の円滑かつ効率的な遂行を図るため、民間事業者に対する技術的な援助について必要な配慮をするとともに、特許等の技術の利用の調整その他民間事業者の有する技術の活用について特別の配慮をするものとすること。
(第二十二条第二項関係)
第二十二 担保不動産の活用等
 選定事業者が選定事業を実施する際に不動産を取得した場合であって当該不動産が担保に供されていた場合において、当該不動産に担保権を有していた会社、当該不動産を担保として供していた会社又は当該不動産に所有権を有していた会社に損失が生じたときは、当該会社は、当該損失に相当する額を、当該事業年度の決算期において、貸借対照表の資産の部に計上し、繰延資産として整理することができるものとすること。この場合には、当該決算期から十年以内に、毎決算期に均等額以上の償却をしなければならないものとすること。
                     (第二十三条関係)
第二十三 民間資金等活用事業推進委員会
一 設置
  総理府に、民間資金等活用事業推進委員会(以下「委員会」という。)を置くものとすること。
                     (第二十四条第一項関係)
二 調査審議
  委員会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議するほか、実施方針の策定状況、特定事業の選定状況、特定事業の客観的な評価状況その他民間資金等の活用による国の公共施設等の整備等の実施状況を調査審議するものとすること。
 (第二十四条第二項関係)
三 民間事業者の意見の提出
  民間事業者は、委員会に対し、民間資金等の活用による国の公共施設等の整備等に関する意見を提出することができるものとすること。
   (第二十四条第三項関係)
四 建議
  委員会は、二又は三の場合において必要があると認めるときは、民間資金等の活用による国の公共施設等の整備等の促進及び総合調整を図るため、内閣総理大臣又は関係行政機関の長に意見を述べることができるものとすること。
          (第二十四条第四項関係)
五 内閣総理大臣等の報告
  内閣総理大臣又は関係行政機関の長は、四の意見を受けてとった措置について、委員会に報告しなければならないものとすること。
    (第二十四条第五項関係)
六 協力の要請
  委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長、関係地方公共団体の長又は関係団体に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができるものとすること。
  (第二十四条第六項関係)
第二十四 委員会の組織
一 委員会は、学識経験者及び公共施設等の整備等の実務に関し知識及び経験を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する委員九人で組織するものとすること。
(第二十五条第一項関係)
二 委員会に、必要に応じ、専門委員又は部会を置くことができるものとし、その他の委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定めるものとすること。
                    (第二十五条第二項から第四項まで関係)
第二十五 罰則
 第十三により出資を受けた選定事業者及び第十四により債務の保証を受けた選定事業者について、必要な罰則規定を設けるものとすること。
     (第二十七条から第二十九条まで関係)
第二十六 施行期日
 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
                  (附則第一条関係)
第二十七 検討
 政府は、この法律の施行の日から五年以内に、この法律に基づく特定事業の実施状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
                              (附則第二条関係)
第二十八 その他
その他関係法律について所要の改正を行うこと。
                   (附則第三条から第十四条まで関係)

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.