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   児童福祉法の一部を改正する法律案要綱


第一 改正の趣旨
  都市化の進行及び家族形態の変容等児童を取り巻く環境が大きく変化し、児童の健やかな成長に影響を及ぼすおそれのある事態が生じていることにかんがみ、地域において児童が安心して健やかに成長することができるような環境を整備するため、児童委員の職務の明確化及びその資質の向上等を図るとともに、認可外保育施設が提供するサービスに関する情報の公開、認可外児童福祉施設に対する監督の強化、保育士資格の法定化、認可保育所整備促進のための公設民営方式の推進等の措置を講ずるものとすること。
第二 児童委員の職務の明確化等
 一 児童委員の職務の明確化
   児童委員は、次に掲げる職務を行うものとすること。(第十二条の二第一項関係)
  1 児童及び妊産婦につき、その生活及び取り巻く環境の状況を適切に把握しておくこと。
  2 児童及び妊産婦につき、その保護、保健その他福祉に関し、サービスを適切に利用するために必要な情報の提供その他の援助及び指導を行うこと。
  3 児童及び妊産婦に係る社会福祉を目的とする事業を経営する者又は児童の健やかな育成に関する活動を行う者と密接に連携し、その事業又は活動を支援すること。
  4 児童福祉司又は福祉事務所の社会福祉主事の行う職務に協力すること。
  5 児童の健やかな育成に関する気運の醸成に努めること。
 二 主任児童委員の法定化
  1 厚生労働大臣は、児童委員のうちから、主任児童委員を指名するものとすること。(第十二条第三項関係)
  2 1の指名は、民生委員法第五条の規定による推薦によって行うものとすること。(第十二条第四項関係)
  3 主任児童委員は、児童委員の職務について、児童の福祉に関する機関と児童委員との連絡調整を行うとともに、児童委員の活動に対する援助及び協力を行うものとすること。(第十二条の二第二項関係)
 三 児童委員の研修
   都道府県知事は、厚生労働大臣の定める基準に従い、児童委員の研修に関して計画を作成し、これを実施しなければならないものとすること。(第十三条の二関係)
第三 認可外児童福祉施設に対する監督の強化等
 一 認可外保育施設についての届出
  1 保育所と同様の業務を目的とする施設(少数の乳幼児を対象とする施設その他の厚生労働省令で定めるものを除く。)であって都道府県知事から認可を受けていないもの(以下「認可外保育施設」という。)については、設置者は、事業開始日から一月以内に、施設名その他の事項を都道府県知事に届け出なければならないものとすること。(第五十九条の二第一項関係)
  2 認可外保育施設の設置者は、届出事項のうち厚生労働省令で定めるものに変更を生じたときは、変更日から一月以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならないものとすること。事業を休廃止したときも同様とするものとすること。(第五十九条の二第二項関係)
 二 認可外保育施設が提供するサービスに関する情報の公開
  1 認可外保育施設の設置者は、設置者の氏名その他の事項を掲示しなければならないものとすること。(第五十九条の二の二関係)
  2 認可外保育施設の設置者は、サービスの利用に係る契約が成立したときは、利用者に対し、設置者の氏名その他の事項を記載した書面を交付しなければならないものとすること。(第五十九条の二の四関係)
  3 認可外保育施設の設置者は、毎年、当該施設の運営状況を都道府県知事に報告し、都道府県知事は、毎年、当該運営状況その他児童の福祉のため必要と認める事項を取りまとめ、公表するものとすること。(第五十九条の二の五関係)
 三 認可外児童福祉施設に対する監督の強化
  1 都道府県知事は、児童の福祉のため必要があると認めるときは、児童福祉施設と同様の業務を目的とする施設であって都道府県知事から認可を受けていないもの(以下「認可外児童福祉施設」という。)の設置者に対し、その施設の設備又は運営の改善その他の勧告することができるものとし、当該勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができるものとすること。(第五十九条第三項及び第四項関係)
  2 都道府県知事は、認可外児童福祉施設への立入調査に加え、その事務所への立入調査を行うことができるものとすること。(第五十九条第一項関係)
  3 都道府県知事は、認可外児童福祉施設について、児童の生命又は身体の安全を確保するため緊急を要する場合で、あらかじめ都道府県児童福祉審議会の意見を聴くいとまがないときは、その手続を経ないで施設の閉鎖等を命ずることができるものとすること。(第五十九条第六項関係)
 四 市町村長の協力
   都道府県知事は、認可外児童福祉施設に関する事務の執行及び権限の行使に関し、市町村長に対し、必要な協力を求めることができるものとすること。(第五十九条の二の六関係)
第四 保育士資格の法定化
 一 保育士の定義等
  1 保育士とは、登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者をいうものとすること。(第十八条の四関係)
  2 成年被後見人等に該当することを、欠格事由とするものとすること。(第十八条の五関係)
  3 厚生労働大臣の指定する保育士養成施設の卒業者又は保育士試験合格者は、保育士となる資格を有するものとすること。(第十八条の六関係)
  4 保育士試験は、都道府県知事が行うものとすること。(第十八条の八第二項関係)
 二 指定試験機関
  1 都道府県知事は、民法第三十四条の規定により設立された法人であってその指定する者(以下「指定試験機関」という。)に試験事務を行わせることができるものとすること。(第十八条の九第一項関係)
  2 指定試験機関の役職員(試験委員を含む。)に対して、試験事務に関し守秘義務を課すとともに、罰則の適用については、公務員とみなすものとすること。(第十八条の十二関係)
 三 登録
  1 保育士となる資格を有する者が保育士となるには、都道府県に備える保育士登録簿に氏名等の登録を受けなければならないものとすること。(第十八条の十八第一項関係)
  2 都道府県知事は、保育士が四1(信用失墜行為の禁止)又は2(守秘義務)に違反したときは、その登録を取り消すこと等ができるものとすること。(第十八条の十九第二項関係)
 四 名称独占等
  1 保育士は、保育士の信用を傷つけるような行為をしてはならないものとすること。(第十八条の二十一関係)
  2 保育士は、正当の理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならないものとすること。(第十八条の二十二関係)
  3 保育士でない者は、保育士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならないものとすること。(第十八条の二十三関係)
  4 保育所に勤務する保育士は、乳幼児に関する相談に応じ、助言を行うための知識及び技能の修得、維持及び向上に努めなければならないものとすること。(第四十八条の二第二項関係)
第五 保育の実施に係る供給の増大
 一 保育需要が増大している市町村は、公有財産の貸付けその他の措置を積極的に講ずることにより、社会福祉法人その他の多様な事業者の能力を活用した保育所の設置又は運営を促進し、保育の実施に係る供給を効率的かつ計画的に増大させるものとすること。(第五十六条の七第一項関係)
 二 国及び都道府県は、一の市町村の措置に関し、必要な支援を行うものとすること。(第五十六条の七第二項関係)
第六 罰則の整備
 一 保育士が守秘義務に違反した場合には、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処するものとすること。(第六十条の二関係)
 二 保育士でない者が保育士又はこれに紛らわしい名称を使用した場合には、三十万円以下の罰金に処するものとすること。(第六十一条の二第二号関係)
 三 認可外保育施設についての届出を怠った者は、五十万円以下の過料に処するものとすること。(第六十二条の二関係)
第七 施行期日等
 一 施行期日
   この法律は、次に定める日から施行するものとすること。(附則第一条関係)
  1 認可保育所整備促進のための公設民営方式の推進に関する規定 公布の日
  2 児童委員に関する規定 平成十三年十二月一日
  3 認可外保育施設及び認可外児童福祉施設に関する規定 公布の日から一年を超えない範囲内において政令で定める日
  4 保育士資格の法定化に関する規定 公布の日から二年を超えない範囲内において政令で定める日
 二 経過措置
  1 従前の保育士試験の合格者等については、保育士資格の法定化に関する規定の施行の日以後も保育士登録ができるものとすること。(附則第四条関係)
  2 従前の保育士試験の合格者等であって、保育士登録を受けていない者については、第四の四3は、保育士資格の法定化に関する規定の施行の日以後三年間は、適用しないものとすること。(附則第五条関係)
  3 児童委員に関する規定の施行の日前に民生委員法第五条の規定により都道府県知事及び民生委員推薦会が行った推薦において、主任児童委員が明示されている場合には、これにより主任児童委員を指名できるものとすること。(附則第九条関係)
 三 その他所要の規定の整備を行うものとすること。

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