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   郵政改革法案要綱


第一 総則
一 目的
 この法律は、国民の暮らしの安心を支え、地域住民の生活の安定向上を確保するとともに、公的部門から民間部門へ資金の流れを変えること等により自由で活力ある経済社会を実現するため、郵政事業(日本郵政公社(以下「公社」という。)が行う事業をいう。以下同じ。)の改革に関し、基本理念及び基本方針を定め、国等の責務を明らかにするとともに、当面緊急に講ずべき措置等について定めることにより、郵政事業の改革を推進することを目的とするものとすること。         (第一条関係)
二 基本理念
 郵政事業の改革は、その事業のうちあまねく公平にそのサービスが提供されるべき業務その他民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがある業務については国の責任においてこれを提供することにより、国民がその業務に係るサービスの提供を受けることができる権利を保障するとともに、これ以外の業務についてはその業務を廃止し、若しくは縮小し、又はその業務を株式会社に行わせることとして、郵政事業に係る資金が公的部門の資金調達の用に供されることを必要最小限にすること等により、国民に対するサービスの向上及び地域経済の活性化を図り、並びに国の財政の健全性の回復に資することを基本として行われるものとすること。                (第二条関係)
 三 国の責務
 国は、二に定める基本理念(四において「基本理念」という。)にのっとり、郵政事業の改革に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有するものとすること。        (第三条関係)
 四 公社の責務
 公社は、基本理念にのっとり、郵政事業の改革の実現のため必要な取組を行うよう努めるものとすること。                                     (第四条関係)
第二 郵政事業の改革の基本方針
 一 郵便等の業務の在り方
 郵便の業務並びに郵便貯金の業務(二の3による見直しが行われた後のものをいう。)、郵便為替の業務及び郵便振替の業務については、すべての国民が等しくそれらの業務に係るサービスの提供を受けることができるよう、あまねく全国に設置された郵便局において行われるものとし、あわせて、その経営資源を活用し、地域を取り巻く環境の変化に伴う新たな需要を考慮した公的サービス等の拡充が図られるものとすること。                              (第五条関係)
 二 郵便貯金の業務に関する見直し
1 公社の新たな子会社として郵便貯金(定額郵便貯金を除く。以下1において同じ。)の業務、郵便為替の業務及び郵便振替の業務を営む株式会社(以下「郵便貯金会社」という。)は、平成十九年九月三十日までに、設立されるものとし、公社の郵便貯金の業務、郵便為替の業務及び郵便振替の業務は、郵便貯金会社に、同年十月一日に引き継がれるものとすること。     (第六条第一項関係)
2 公社は、郵便貯金会社の発行済株式の総数を保有するものとすること。   (第六条第二項関係)
3 郵便貯金の業務については、次に掲げる方針に従い、見直しが行われるものとすること。
                                     (第六条第三項関係)
   (一)郵便貯金のうち、定額郵便貯金を廃止するものとすること。
   (二)平成十九年十月一日前に公社が受け入れた郵便貯金(定額郵便貯金を除く。以下(二)において同じ。)は同日において郵便貯金会社が受け入れた郵便貯金となるものとし、同日前に公社との間で締結された定額郵便貯金(以下「旧定額郵便貯金」という。)に係る契約は引き続きその効力を有するものとすること。
(三)一の預金者ごとの貯金総額の制限額は、住宅積立郵便貯金及び郵便貯金法第十条第二項に規定する郵便貯金に係るものを除き、五百万円とすること。
   (四)公社は、旧定額郵便貯金の管理及び運用に関する業務を郵便貯金会社に委託するものとすること。
   (五)郵便貯金会社は、郵便貯金の預入及び払戻しに係る事務その他の窓口事務を公社に委託するものとすること。
 三 簡易生命保険の業務に関する見直し
1 公社の新たな子会社として生命保険業を営む株式会社(以下「郵政保険会社」という。)は、平成十九年九月三十日までに、二以上設立されるものとすること。        (第七条第一項関係)
2 郵政保険会社の設立に際して発行する株式の総数は公社が引き受けるものとし、公社は平成二十四年九月三十日までに郵政保険会社の株式の全部を処分しなければならないものとすること。
                                     (第七条第二項関係)
3 公社は、郵政保険会社の株式の処分に当たっては、できる限り多額の収入が確保されるよう努めなければならないものとすること。                     (第七条第三項関係)
4 公社は、郵政保険会社の株式の処分により得られた収入の一部を、過疎地域等の郵便局の維持に活用することができるものとすること。                   (第七条第四項関係)
5 公社及び郵便貯金会社は、2により公社が郵政保険会社の株式の全部を処分した後においては、郵政保険会社の株式を取得又は保有することができないものとすること。    (第七条第五項関係)
6 簡易生命保険の業務については、次に掲げる方針に従い、見直しが行われるものとすること。 
                                 (第七条第六項関係)
(一)簡易生命保険法は、平成十九年十月一日に廃止するものとすること。ただし、同日前に公社との間で締結された簡易生命保険契約(以下「旧契約」という。)は引き続きその効力を有するものとすること。
   (二)公社は、旧契約に基づき公社が負う保険責任のすべてについて、各郵政保険会社との間で再保険契約を締結するものとすること。
   (三)郵政保険会社は、生命保険契約の締結の代理及び媒介並びに生命保険業に係る窓口事務を公社に委託することができるものとすること。
四 公社の役職員の身分等
1 平成十九年十月一日以降、公社の役職員は、国家公務員の身分を有しないものとすること。 
                                 (第八条第一項関係)
2 公社の役職員には、職務上知ることのできた秘密を守る義務、法令に従い忠実にその職務を遂行する義務その他の義務を課するものとすること。               (第八条第二項関係)
五 公社等の経営の健全化
1 公社は、役職員数の削減並びに郵便貯金法第四条第一項の施設及び簡易生命保険法第百一条第一項の施設の廃止等の経営の合理化その他のより一層の経営の改善により、独立採算制の維持に努めるものとすること。                             (第九条第一項関係)
2 郵便貯金会社は、独立採算制の下、自律的かつ弾力的な経営に努めるものとし、公社は、その自律的な経営を損なわないよう配慮するものとすること。            (第九条第二項関係)
3 郵政事業に関係する国の機関等の職員が離職後公社若しくは公社と密接に関係する法人の地位に就くこと又は公社の役職員が離職後公社と密接に関係する法人の地位に就くことについて、制限を設けるものとすること。                           (第九条第三項関係)
六 資金の運用の制限
1 公社、郵便貯金会社及び郵政保険会社(公社が郵政保険会社の株式の全部を処分するまでの間に限る。2において同じ。)は、財政融資資金債(財政融資資金特別会計法第十一条第一項又は第十二条の規定により発行される公債をいう。以下同じ。)及び政府保証債(その元本の償還及び利息の支払について政府が保証する債券をいう。以下同じ。)並びに財投機関債(独立行政法人及び特殊法人等が発行する債券であって政府保証債以外のものをいう。)のうち債券市場による評価の低いものを取得すること等により、郵政事業に係る資金を運用してはならないものとすること。 
                                     (第十条第一項関係)
2 政府は、公社、郵便貯金会社及び郵政保険会社による1を遵守した資金の運用が可能になるよう、財政融資資金債をその他の公債と明確に区別して発行するものとすること。  (第十条第二項関係)
第三 当面緊急に講ずべき措置等
 一 当面緊急に講ずべき措置
1 政府は、平成十八年度中に、住宅積立郵便貯金及び郵便貯金法第十条第二項に規定する郵便貯金に係るものを除き、同条第一項に規定する一の預金者ごとの貯金総額の制限額を七百万円とするための措置(経過措置を含む。)を講ずるものとすること。           (第十一条第一項関係)
2 公社は、1の措置が講じられた場合においてその実効性を確保するため、貯金総額の管理の徹底その他必要な措置を講ずるものとすること。                (第十一条第二項関係)
 二 法制上の措置等
 政府は、第二の基本方針に基づく施策その他この法律に基づく施策を実施するため必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとすること。                    (第十二条関係)
 三 特殊法人等の改革
 政府は、多額の郵便貯金資金及び簡易生命保険資金が独立行政法人及び特殊法人等の事業の用に供されている実態にかんがみ、郵政事業の改革に併せて、財政投融資制度に係る資金の調達及び運用の状況並びにこれらの法人の財務、業務及び組織の状況その他の経営内容に関する情報の公開を徹底するとともに、これらの改革を集中的に推進するものとすること。             (第十三条関係)
第四 附則
 一 施行期日
 この法律は、公布の日から施行するものとすること。             (附則第一条関係)
 二 検討
1 政府は、平成十九年九月三十日までの間に国民の利便性、民業補完の必要性、公社の経営に及ぼす影響等を総合的に勘案し、銀行業の代理業務、国際貨物運送(本邦と外国との間において行う貨物の運送をいう。)に関する業務その他の公社がその経営資源を活用して行う業務の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。    (附則第二条第一項関係)
2 政府は、平成十九年九月三十日までの間に一般信書便事業(民間事業者による信書の送達に関する法律第二条第五項に規定する一般信書便事業をいう。)への民間事業者の参入を促進するための方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
                                   (附則第二条第二項関係)
3 政府は、この法律の施行後五年を目途として、郵便貯金会社又は郵政保険会社の経営状況、郵政保険会社の株式の処分の状況等を勘案し、公社によるこれらの会社の株式の保有の在り方等に関し、検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。   (附則第二条第三項関係)
 三 中央省庁等改革基本法の一部改正
 中央省庁等改革基本法について所要の改正を行うものとすること。       (附則第三条関係)

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