衆議院

メインへスキップ





   短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案要綱


第一 題名
  題名を、「短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇の確保等に関する法律」に改めるものとすること。
第二 目的(第一条関係)
  目的に、短時間労働者について、通常の労働者との均等な待遇の確保に関する措置を講ずる旨を追加するものとすること。
第三 事業主の責務(第三条第一項及び第二項関係)
 一 事業主は、その雇用する短時間労働者について、通常の労働者との均等な待遇の確保(同一の価値の労働に対しては同一の待遇を確保すべきとの観点から、短時間労働者の就業の実態に応じ、賃金の支払等につき、通常の労働者とできる限り同等の待遇を確保することをいう。)並びに適正な労働条件の確保及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善(以下「均等待遇の確保等」という。)を図るために必要な措置を講ずることにより、当該短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるように努めるものとすること。
 二 事業主は、均等待遇の確保等を図るための措置を講ずるに当たっては、その雇用する通常の労働者の労働条件を合理的な理由なく低下させることがないように努めるものとすること。
第四 差別的取扱いの禁止(第五条の二関係)
  事業主は、賃金その他の労働条件について、労働者が短時間労働者であることを理由として、通常の労働者と差別的取扱いをしてはならないものとすること。
第五 労働条件に関する文書の交付(第六条関係)
  事業主は、短時間労働者を雇い入れたときは、速やかに、当該短時間労働者に対して、労働時間その他の労働条件に関する事項を明らかにした文書を交付しなければならないものとすること。
第六 所定労働時間を超える労働及び所定労働日以外の日の労働の制限(第六条の二関係)
 一 事業主は、短時間労働者に、所定労働時間を超えて労働させ、又は所定労働日以外の日に労働させてはならないものとすること。
 二 事業主は、当該事業所に、短時間労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、短時間労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては短時間労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを厚生労働大臣に届け出た場合においては、一にかかわらず、その協定で定めるところによって、短時間労働者に、所定労働時間を超え、労働基準法に定める法定労働時間を超えない範囲内において労働させ、又は所定労働日以外の日であって同法の休日でない日に労働させることができるものとすること。
第七 就業規則の作成の手続(第七条関係)
 一 常時十人以上の労働者を雇用する事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表するものとして厚生労働省令で定めるものの意見を聴かなければならないものとすること。
 二 一の事業主は、短時間労働者に係る事項について作成し、又は変更した就業規則を届け出るときは、一の意見を記した書面を添付しなければならないものとすること。
 三 一の事業主以外の事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、一の厚生労働省令で定めるものの意見を聴くように努めるものとすること。
第八 通常の労働者への応募の機会の付与等(第七条の二関係)
  事業主は、通常の労働者を募集し、又は採用しようとするときは、現に雇用する同種の業務に従事する短時間労働者であって通常の労働者として雇用されることを希望するものに対し、応募の機会を優先的に与えるとともに、他の応募者の就業の機会の確保についても配意しつつ、できる限り当該短時間労働者を優先的に雇い入れる等の措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
第九 待遇の決定に当たって考慮した事項の説明(第七条の三関係)
  事業主は、その雇用する短時間労働者から求めがあったときは、第四から第八までにより措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について、当該短時間労働者に説明しなければならないものとすること。この場合において、事業主は、その雇用する通常の労働者の労働条件の一般的水準について、説明するように努めるものとすること。
第十 短時間労働者の意見を聴く機会の付与(第七条の四関係)
事業主は、短時間労働者の均等待遇の確保等のための措置を講ずるに当たっては、当該事業所の短時間労働者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならないものとすること。
第十一 均等待遇等検討委員会(第七条の五関係)
事業主は、事業主を代表する者並びに当該事業所の短時間労働者を代表する者及び通常の労働者を代表する者を構成員とし、短時間労働者の均等待遇の確保等を図るための措置について調査審議し、事業主に対し意見を述べることを目的とする事業所ごとの均等待遇等検討委員会を設置するように努めるものとすること。
第十二 指針(第八条第一項関係)
  厚生労働大臣は、第四から第十一までに基づき事業主が講ずべき措置その他の第三の一の事業主が講ずべき均等待遇の確保等のための措置に関し、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めるものとすること。
第十三 均等待遇等推進者(第九条関係)
  事業主は、常時厚生労働省令で定める数以上の短時間労働者を雇用する事業所ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、指針に定める事項その他の短時間労働者の均等待遇の確保等に関する事項に係る業務を担当させるため、均等待遇等推進者を選任しなければならないものとすること。
第十四 紛争の解決
 一 苦情の自主的解決(第十二条の二関係)
事業主は、第三の一の事業主が講ずべき均等待遇の確保等のための措置に関し、短時間労働者から苦情の申出を受けたときは、苦情処理機関(事業主を代表する者及び当該事業所の労働者を代表する者を構成員とする当該事業所の労働者の苦情を処理するための機関をいう。)に対し当該苦情の処理をゆだねる等その自主的な解決を図るように努めなければならないものとすること。
 二 紛争の解決の促進に関する特例(第十二条の三関係)
一の事項についての短時間労働者と事業主との間の紛争については、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第四条、第五条及び第十二条から第十九条までの規定は適用せず、三及び四に定めるところによるものとすること。
 三 紛争の解決の援助(第十二条の四関係)
 1 都道府県労働局長は、二の紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができるものとすること。
2 事業主は、短時間労働者が1の援助を求めたことを理由として、当該短時間労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとすること。
四 調停(第十二条の五及び第十二条の六関係)
1 都道府県労働局長は、二の紛争について、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六条第一項の紛争調整委員会に調停を行わせるものとすること。
2 三の2の規定は、短時間労働者が1の申請をした場合について準用するものとすること。
3 1の調停の手続については、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の規定を準用するものとし、必要な読替えを行うものとすること。
第十五 短時間労働援助センター
 一 短時間労働援助センターの業務の見直し(第十五条関係)
短時間労働援助センターの業務の一部を廃止し、資料の収集等の業務及び二の業務その他短時間労働者の福祉の増進を図るために必要な業務を行うものとすること。
 二 短時間労働者福祉事業関係業務の見直し(第十六条関係)
短時間労働援助センターが行う短時間労働者福祉事業関係業務の一部を廃止し、短時間労働者の雇用管理の改善等に資する事業として厚生労働省令で定めるもののうち、短時間労働者を雇用する事業主又はその事業主の団体に対して支給する給付金であって厚生労働省令で定めるものを支給する事業、短時間労働者に対してその職業生活に関する事項について相談その他の援助を行う事業及びこれらに附帯する事業に係る業務の全部又は一部を行わせるものとすること。
第十六 過料の創設(第三十六条関係)
  第五の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処するものとすること。
第十七 施行期日等
 一 施行期日(附則第一条関係)
   この法律は、平成二十年四月一日から施行するものとすること。ただし、二の規定は公布の日から、第十五の関係規定は平成十九年七月一日から施行するものとすること。
 二 検討(附則第八条関係)
   政府は、短時間労働者をはじめとする労働者の所定労働時間を超える労働及び所定労働日以外の日の労働に係る割増賃金制度の導入に関し、速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
 三 その他
   その他所要の規定を整備するものとすること。

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.