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若年者の職業の安定を図るための特別措置等に関する法律案要綱


第一 目的
この法律は、社会経済情勢の変化に伴う雇用に関する状況の変化により、若年者を中心として、安定した職業に就くことが困難な者が多数存在し、かつ、職業能力の開発等の機会の格差が生じていることにかんがみ、個別就業支援計画に基づく職業指導、実習職業訓練の促進等若年者の就業の支援等に関し特別の措置を講じ、もって若年者等の職業の安定を図り、経済及び社会の発展に寄与することを目的とするものとすること。                                  (第一条関係)
第二 定義
この法律において「対象若年者等」とは、十五歳以上四十歳未満の者(十五歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある者を除く。)であって、次のいずれにも該当しないものをいうものとすること。
 一 契約の期間を定めないで雇用される者
 二 自営業者(独立して自ら事業を営む者をいう。)であって厚生労働省令で定めるもの
 三 学校教育法第四十一条に規定する高等学校の生徒、同法第五十二条に規定する大学の学生その他の生徒又は学生であって厚生労働省令で定めるもの
 四 一から三までに掲げるもののほか、これらの者に準ずる者として厚生労働省令で定めるもの
                                         (第二条関係)
第三 個別就業支援計画の作成等
一 若年者等職業カウンセラーは、対象若年者等の相談を受けた場合において、当該対象若年者等が安定した職業に就くことが困難な者として厚生労働省令で定める基準に該当するものであると認めるときは、当該対象若年者等の希望、適性、職業経験その他の事情を踏まえた対象若年者等の就業支援に係る計画(以下「個別就業支援計画」という。)を作成するものとすること。
二 若年者等職業カウンセラーは、個別就業支援計画の作成に当たっては、適切な方法により、対象若年者等について、その希望を把握するとともに、その有する能力及びその置かれている状況の評価を通じて当該対象若年者等の就業に関する課題の把握を行い、当該対象若年者等が安定した職業に就くことができるよう、適切な支援内容の検討をしなければならないものとすること。
三 若年者等職業カウンセラーは、個別就業支援計画の作成後、個別就業支援計画の実施状況の把握を行い、必要に応じて個別就業支援計画の変更を行うものとすること。
(第三条関係)
第四 職業指導
一 若年者等職業カウンセラーは、個別就業支援計画に基づき、当該個別就業支援計画に係る対象若年者等に対して、適切かつ効果的に職業指導を行うものとすること。
二 若年者等職業カウンセラーは、一の職業指導(以下「職業指導」という。)を行うに当たっては、職業訓練施設、第六の一の実習職業訓練を行う事業主その他の関係者との密接な連携に努めなければならないものとすること。
三 国は、対象若年者等が安定した職業に就くことを容易にし、及び促進するため、職業指導を受ける対象若年者等に対して、雇用対策法の規定に基づき、手当を支給するものとすること。
(第四条関係)
第五 職業紹介
若年者等職業カウンセラーは、職業指導を受ける対象若年者等について、厚生労働省令で定める基準に照らして第六の一の実習職業訓練を行う必要があると認めるときは、個別就業支援計画に基づき、当該対象若年者等を第七の三の実施計画の認定を受けた事業主に紹介するものとすること。  (第五条関係)
第六 実習職業訓練の実施
一 事業主は、第七から第十までに定めるところにより、当該事業主の行う実習職業訓練の実施計画が対象若年者等の実践的な職業能力の開発及び向上を図るために効果的であることの認定を受けて、当該実習職業訓練を実施することができるものとすること。
二 一の実習職業訓練(以下「実習職業訓練」という。)とは、事業主が、その雇用する対象若年者等(第五に規定する若年者等職業カウンセラーの紹介により雇い入れた者に限る。)の業務の遂行の過程内において行う職業訓練であって、これにより習得された技能及びこれに関する知識についての評価を行うものをいうものとすること。
三 事業主は、二の評価を行うに当たっては、対象若年者等の有する能力が正当に評価され、その評価が就職活動において適切に利用されることにより対象若年者等の就業が促進されるものとして厚生労働省令で定める基準に従って行わなければならないものとすること。
(第六条関係)
第七 実施計画の認定
一 実習職業訓練を実施しようとする事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、実習職業訓練の実施計画(以下「実施計画」という。)を作成し、厚生労働大臣の認定を申請することができるものとすること。
二 実施計画には、実習職業訓練に関する次に掲げる事項を記載しなければならないものとすること。
  1 期間及び内容
  2 職業能力の評価の方法
  3 訓練を担当する者
  4 その他厚生労働省令で定める事項
三 厚生労働大臣は、一の認定の申請があった場合において、その実施計画が対象若年者等の実践的な職業能力の開発及び向上を図るために効果的な実習職業訓練に関する基準として厚生労働省令で定める基準に適合すると認めるときは、その認定をすることができるものとすること。
(第七条関係)
第八 実施計画の変更等
一 第七の三の認定を受けた事業主(以下「認定事業主」という。)は、当該認定に係る実施計画を変更しようとするときは、厚生労働大臣の認定を受けなければならないものとすること。
二 厚生労働大臣は、第七の三の認定に係る実施計画(一による変更の認定があったときは、その変更後のもの。以下「認定実施計画」という。)が、第七の三の厚生労働省令で定める基準に適合しなくなったと認めるとき、又は認定事業主が認定実施計画に従って実習職業訓練を実施していないと認めるときは、その認定を取り消すことができるものとすること。
三 第七の三の規定は、一の認定について準用するものとすること。
(第八条関係)
第九 表示等
一 認定事業主は、認定実施計画に係る実習職業訓練(以下「認定実習職業訓練」という。)を実施するときは、労働者の募集の広告その他の厚生労働省令で定めるもの(二において「広告等」という。)に、厚生労働省令で定めるところにより、当該認定実習職業訓練が実施計画の認定を受けている旨の表示を付することができるものとすること。
二 何人も、一による場合を除くほか、広告等に一の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならないものとすること。
(第九条関係)
第十 委託募集の特例等
一 中小事業主(認定事業主に限る。)が、実習職業訓練の適切かつ有効な実施を図るための人材確保に関する相談及び援助を行うものとして、厚生労働大臣が承認した事業協同組合等(以下「承認中小事業主団体」という。)をして実習職業訓練を担当する者の募集を行わせようとする場合において、職業安定法第三十六条第一項及び第三項の規定は、適用しないものとすること。
二 承認中小事業主団体は、当該募集に従事しようとするときは、募集時期等の労働者の募集に関する事項を厚生労働大臣に届け出なければならないものとすること。
(第十条関係)
第十一 事業主に対する助成金の支給等
国は、事業主の行う実習職業訓練の振興を図るため、実習職業訓練を行う事業主に対する訓練担当者の人件費その他の実習職業訓練に要する費用に充てるための助成金の支給その他必要な措置を講ずるものとすること。                                 (第十二条関係)
第十二 若年者等職業カウンセラー
一 公共職業安定所に、若年者等職業カウンセラーを置くものとすること。
二 若年者等職業カウンセラーは、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理するほか、対象若年者等の相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行うものとすること。
三 若年者等職業カウンセラーは、二に規定する職務を行うのに必要な熱意及び能力を有する者でなければならないものとすること。また、若年者等職業カウンセラーについては、定年退職者その他の高年齢退職者を含む多様な人材が確保されなければならないものとすること。
四 若年者等職業カウンセラーは、厚生労働省令で定めるところにより、その資質の向上を図るための研修を受けなければならないものとすること。
五 一から四までに定めるもののほか、若年者等職業カウンセラーに関し必要な事項は、厚生労働省令で定めるものとすること。
(第十三条関係)
第十三 対象若年者等に関する特例
個別就業支援計画に基づき職業指導を受け、又は実習職業訓練を受けている対象若年者等については、その者が四十歳に達した後においても、その者を対象若年者等とみなしてこの法律の規定を適用するものとすること。                                 (第十四条関係)
第十四 罰則
罰則について必要な規定の整備を行うものとすること。            (第十五条等関係)
第十五 施行期日等
 一 施行期日
   この法律は、平成二十年四月一日から施行するものとすること。       (附則第一条関係)
 二 この法律の廃止
   この法律は、この法律の施行の日から五年以内に廃止するものとすること。  (附則第二条関係)
 三 その他所要の規定の整備を行うものとすること。

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