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   国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案要綱


第一 国家公務員法の一部改正
 一 職員に対する定年退職日前の退職の勧奨の制限
   任命権者は、次に掲げる事由により退職を勧奨する場合を除き、国家公務員法第二条に規定する一般職に属する職員(以下「職員」という。)に対して、定年退職日前に退職することを勧奨してはならないものとすること。
   @ 官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生ずること。
   A 国家公務員法第八十二条第二項に規定する特別職国家公務員等となるよう要請する必要があること。
(第八十一条の二の二関係)
 二 職員の離職後の営利企業への就職に係る制限の強化
   職員が営利を目的とする私企業(以下「営利企業」という。)の地位でその離職前五年間に在職していた人事院規則で定める国の機関、特定独立行政法人又は都道府県警察と密接な関係にあるものに就くことを制限する期間について、離職後二年間を離職後五年間とするものとすること。
(第百三条第二項関係)
 三 職員の離職後の営利企業以外の事業の法人その他の団体への就職に係る制限
  1 職員は、離職後五年間は、非営利法人等の地位(当該地位に就くことについて両議院の同意によることを必要とするものを除く。)で、その離職前五年間に在職していた人事院規則で定める国の機関、特定独立行政法人又は都道府県警察と密接な関係にあるものに就くことを承諾し、又は就いてはならないものとすること。ただし、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しないものとすること。
  2 人事院は、毎年、遅滞なく、国会及び内閣に対し、前年において人事院がした1の承認の処分に関し、各承認の処分ごとに、承認に係る者が離職前五年間に在職していた1の国の機関、特定独立行政法人又は都道府県警察における官職、承認に係る非営利法人等の地位、承認をした理由その他必要な事項を報告しなければならないものとすること。
(第百四条の二関係)
 四 管理職職員が離職後に営利企業又は非営利法人等の役員等の地位に就いた場合の報告等
  1 管理又は監督の地位にある職員の官職として人事院規則で定めるものに就いている職員(以下「管理職職員」という。)は、離職後十年以内に営利企業の役員等の地位に就いた場合は、人事院規則の定めるところにより、人事院に対し、当該職員の氏名、離職前五年間に在職していた国の機関、特定独立行政法人又は都道府県警察における官職、当該役員等の地位、離職時に在職していた国の機関、特定独立行政法人又は都道府県警察が当該営利企業に対して交付した補助金等の総額、離職時に在職していた国の機関、特定独立行政法人又は都道府県警察と当該営利企業との間の売買、貸借、請負その他の契約の総額その他必要な事項を報告しなければならないものとすること。
  2 1の規定は管理職職員がその離職後十年以内に営利企業以外の事業の法人その他の団体(国、国際機関、地方公共団体、特定独立行政法人及び特定地方独立行政法人を除く。以下「非営利法人等」という。)の役員等の地位に就いた場合について準用するものとすること。
(第百三条の二及び第百四条の三関係)
 五 他の役職員についての依頼等の規制
  1 職員は、営利企業等(営利企業及び非営利法人等をいう。以下同じ。)に対し、他の職員若しくは特定独立行政法人の役員(以下「役職員」という。)をその離職後に、若しくは役職員であつた者を、当該営利企業等若しくはその子法人(当該営利企業等に財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。)を支配されている法人として人事院規則で定めるものをいう。以下同じ。)の地位に就かせることを目的として、当該役職員若しくは役職員であつた者に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該役職員をその離職後に、若しくは役職員であつた者を、当該営利企業等若しくはその子法人の地位に就かせることを要求し、若しくは依頼してはならないものとすること。
  2 1の規定は、次に掲げる場合には適用しないものとすること。
   @ 職業安定法、船員職業安定法その他の法令の定める職業の安定に関する事務として行う場合
   A 退職手当通算予定職員を退職手当通算法人の地位に就かせることを目的として行う場合(独行政法人通則法第五十四条の二において準用する退職手当通算予定役員を同条において準用する退職手当通算法人の地位に就かせることを目的として行う場合を含む。)
  3 退職手当通算法人、退職手当通算予定職員の用語の意義について定めるものとすること。
(第百六条の二関係)
 六 再就職者による依頼等の規制
  1 職員であつた者であつて離職後に営利企業等の地位に就いている者(退職手当通算予定職員であつた者であつて引き続いて退職手当通算法人の地位に就いている者を除く。以下「再就職者」という。)は、離職前五年間に在職していた局等組織に属する役職員又はこれに類する者として人事院規則で定めるものに対し、国、特定独立行政法人若しくは都道府県と当該営利企業等若しくはその子法人との間で締結される売買、貸借、請負その他の契約又は当該営利企業等若しくはその子法人に対して行われる行政手続法第二条第二号に規定する処分に関する事務(以下「契約等事務」という。)であつて離職前五年間の職務に属するものに関し、離職後十年間、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼してはならないものとすること。
  2 1の規定によるもののほか、再就職者のうち、国家行政組織法第二十一条第一項に規定する部長若しくは課長の職又はこれらに準ずる職であつて人事院規則で定めるものに、離職した日の五年前の日より前に就いていた者は、当該職に就いていた時に在職していた局等組織に属する役職員又はこれに類する者として人事院規則で定めるものに対し、契約等事務であつて離職した日の五年前の日より前の職務(当該職に就いていたときの職務に限る。)に属するものに関し、離職後十年間、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼してはならないものとすること。
  3 1又は2の規定によるもののほか、再就職者のうち、国家行政組織法第六条に規定する長官、同法第十八条第一項に規定する事務次官、同法第二十一条第一項に規定する事務局長若しくは局長の職又はこれらに準ずる職であつて人事院規則で定めるものに就いていた者は、当該職に就いていた時に在職していた府省その他の人事院規則で定める国の機関、特定独立行政法人若しくは都道府県警察(以下「局長等としての在職機関」という。)に属する役職員又はこれに類する者として人事院規則で定めるものに対し、契約等事務であつて局長等としての在職機関の所掌に属するものに関し、離職後十年間、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼してはならないものとすること。
  4 1から3までの規定によるもののほか、再就職者は、在職していた府省その他の人事院規則で定める国の機関、特定独立行政法人若しくは都道府県警察(以下4において「行政機関等」という。)に属する役職員又はこれに類する者として人事院規則で定めるものに対し、国、特定独立行政法人若しくは都道府県と営利企業等(当該再就職者が現にその地位に就いているものに限る。)若しくはその子法人との間の契約であつて当該行政機関等においてその締結について自らが決定したもの又は当該行政機関等による当該営利企業等若しくはその子法人に対する行政手続法第二条第二号に規定する処分であつて自らが決定したものに関し、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼してはならないものとすること。
  5 1から4までの規定は、次に掲げる場合には適用しないものとすること。
   @ 試験、検査、検定その他の行政上の事務であつて、法律の規定に基づく行政庁による指定若しくは登録その他の処分(以下「指定等」という。)を受けた者が行う当該指定等に係るもの若しくは行政庁から委託を受けた者が行う当該委託に係るものを遂行するために必要な場合、又は国の事務若しくは事業と密接な関連を有する業務として人事院規則で定めるものを行うために必要な場合
   A 行政庁に対する権利若しくは義務を定めている法令の規定若しくは国、特定独立行政法人若しくは都道府県との間で締結された契約に基づき、権利を行使し、若しくは義務を履行する場合、行政庁の処分により課された義務を履行する場合又はこれらに類する場合として人事院規則で定める場合
   B 会計法第二十九条の三第一項に規定する競争の手続、特定独立行政法人が公告して申込みをさせることによる競争の手続又は地方自治法第二百三十四条第一項に規定する一般競争入札若しくはせり売りの手続に従い、売買、貸借、請負その他の契約を締結するために必要な場合
   C 法令の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報の提供を求める場合(一定の日以降に公にすることが予定されている情報を同日前に開示するよう求める場合を除く。)
  6 職員は、5の@からCまでに掲げる場合を除き、再就職者から1から4までの規定により禁止される要求又は依頼を受けたとき(独立行政法人通則法第五十四条の二において準用する1から4までの規定により禁止される要求又は依頼を受けたときを含む。)は、人事院規則で定めるところにより、任命権者にその旨を届け出なければならないものとすること。
  7 職員が再就職した営利企業等は、再就職者が1から4までの規定に違反する行為を行うことを防止するため、必要な措置を講じなければならないものとすること。
(第百六条の三関係)
 七 違反行為の疑いに係る任命権者の報告
   任命権者は、職員又は職員であつた者に再就職等規制違反行為(五又は六の規定に違反する行為をいう。以下同じ。)を行つた疑いがあると思料するときは、その旨を国家公務員倫理審査会に報告しなければならないものとすること。
(第百六条の四関係)
 八 任命権者による調査
  1 任命権者は、職員又は職員であつた者に再就職等規制違反行為を行つた疑いがあると思料して当該再就職等規制違反行為に関して調査を行おうとするときは、国家公務員倫理審査会にその旨を通知しなければならないものとすること。
  2 国家公務員倫理審査会は、任命権者が行う1の調査の経過について、報告を求め、又は意見を述べることができるものとすること。
  3 任命権者は、1の調査を終了したときは、遅滞なく、国家公務員倫理審査会に対し、当該調査の結果を報告しなければならないものとすること。
(第百六条の五関係)
 九 任命権者に対する調査の要求等
  1 国家公務員倫理審査会は、六の6の届出、七の報告又はその他の事由により職員又は職員であつた者に再就職等規制違反行為を行つた疑いがあると思料するときは、任命権者に対し、当該再就職等規制違反行為に関する調査を行うよう求めることができるものとすること。
  2 八の2及び3の規定は、1の規定により行われる調査について準用するものとすること。
(第百六条の六関係)
 十 共同調査
   国家公務員倫理審査会は、八の2(九の2において準用する場合を含む。)の規定により報告を受けた場合において必要があると認めるときは、再就職等規制違反行為に関し、任命権者と共同して調査を行うことができるものとすること。
(第百六条の七関係)
 十一 国家公務員倫理審査会による調査
  1 国家公務員倫理審査会は、六の6の届出、七の報告又はその他の事由により職員又は職員であつた者に再就職等規制違反行為を行つた疑いがあると思料する場合であつて、特に必要があると認めるときは、当該再就職等規制違反行為に関する調査を行うことができるものとすること。
  2 任命権者は、1の調査に協力しなければならないものとすること。
  3 国家公務員倫理審査会は、1の調査を終了したときは、遅滞なく、任命権者に対し、当該調査の結果を通知しなければならないものとすること。
(第百六条の八関係)
 十二 勧告
  1 国家公務員倫理審査会は、八の3(九の2において準用する場合を含む。)の規定による調査の結果の報告に照らし、又は十若しくは十一の1の規定による調査の結果に基づき、任命権者に対し、懲戒処分その他必要な措置を行うべき旨の勧告をすることができるものとすること。
  2 任命権者は、1の勧告に係る措置について、国家公務員倫理審査会に対し、報告しなければならないものとすること。
(第百六条の九関係)
 十三 秘密を守る義務の特例
    十及び十一の1の規定により国家公務員倫理審査会が行う調査に関する国家公務員法第百条第四項の規定の適用について定めること。
(第百六条の十関係)
 十四 関係行政機関に対する協力要求
    国家公務員倫理審査会は、十及び十一の1の規定による調査を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料又は情報の提供その他必要な協力を求めることができるものとすること。
(第百六条の十一関係)
 十五 罰則
   罰則について所要の規定を設けること。
(第百九条から第百十三条まで関係)

第二 独立行政法人通則法の一部改正
 一 役員の服務
  1 特定独立行政法人の役員は、離職後五年間は、法人その他の団体(特定独立行政法人、国、国際機関、地方公共団体及び特定地方独立行政法人を除く。2において同じ。)の地位(当該地位に就くことについて両議院の同意によることを必要とするものを除く。2において同じ。)で、その離職前五年間に在職していた特定独立行政法人、人事院規則で定める国の機関又は都道府県警察と密接な関係にあるものに就くことを承諾し、又は就いてはならないものとすること。ただし、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しないものとすること。
  2 人事院は、毎年、遅滞なく、国会及び内閣に対し、前年において人事院がした1の承認の処分に関し、各承認の処分ごとに、承認に係る者が離職前五年間に在職していた特定独立行政法人、人事院規則で定める国の機関又は都道府県警察における職又は官職、承認に係る法人その他の団体の地位、承認をした理由その他必要な事項を報告しなければならないものとすること。
(第五十四条関係)
 二 その他
    特定独立行政法人の役職員について、国家公務員法の再就職に係る制限に関する規定を準用・適用するとともに所要の規定の整備を行うものとすること。
(第五十四条の二関係)

第三 国家公務員倫理法の一部改正
   国家公務員倫理審査会の会長及び人事官以外の委員は、人格が高潔であり、職員の職務に係る倫理の保持に関し公正な判断をすることができ、法律又は社会に関する学識経験を有する者であって、かつ、職員(検察官を除く。)又は特定独立行政法人の役員としての前歴を有しないもののうちから、両議院の同意を得て、内閣が任命するものとすること。
(第十四条関係)

第四 附則
 一 施行期日
   この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。ただし、三から五までの規定は、公布の日から施行すること。
(附則第一条関係)
 二 職員の在職期間の長期化に対応するための措置
   政府は、この法律の施行に伴う職員の退職管理の適正化による職員の在職期間の長期化に対応するため、民間企業において雇用されている高齢者の処遇の状況を踏まえつつ、職員の多様な知識及び経験を長期にわたり活用することが可能となるような人事制度を導入するために必要な措置を講ずるものとすること。
(附則第二条関係)
 三 公務員制度改革の基本方針
   この法律に定めるもののほか、公務員制度改革は、次に掲げる基本方針に基づき、行われるものとすること。
   @ 公務員の勤務意欲を増進し、その職務遂行能力及び公務能率の向上を図ることにより、国民に対して提供されるサービスの質の向上及び職務遂行の効率化を図るため、労働者としての権利の保障、能力及び実績に応じた処遇の徹底を可能とする人事管理制度の導入等を行うものとする。
   A 公務員の給与その他の勤務条件については、我が国の厳しい財政状況その他の社会経済情勢にかんがみ、民間における賃金その他の労働条件に係る実態等を踏まえて幅広く検討を行い、国民の理解が得られるものとなるよう見直しを行うものとする。
   B 国家公務員の服務規律を維持し、職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くことがないよう、国家公務員の離職後の就職に係る制限を含む国家公務員の退職管理の適正化を図るとともに、退職した国家公務員に係る情報を適切に公開するものとする。
(附則第三条関係)
 四 公務員制度改革実行計画
  1 政府は、平成二十年中に、三の基本方針に従い、公務員制度改革を推進するための計画(以下「公務員制度改革実行計画」という。)を作成するものとすること。
  2 公務員制度改革実行計画は、次に掲げる事項を定めるものとすること。
   @ 公務員の労働基本権に係る制限については、その職務の特性等に基づき引き続きその必要性が認められる公務員に係るものを除き、原則として廃止すること。
   A 公務員を免職する場合に民間の労働者に準ずる保障を行う仕組みを整備すること。
   B 能力及び実績に応じた処遇の徹底を可能とする人事管理制度を導入すること。
   C 国家公務員の離職後の就職に係る制限その他の職員の退職管理の適正化を図ること。
   D 採用後に幹部職員の候補者を選抜し、育成する制度を導入すること。
   E 内閣による人材の一括管理のための制度を導入すること。
   F 人材の流動化に対応するための仕組みを導入すること。
  3 公務員制度改革実行計画の計画期間は、三年とするものとすること。
(附則第四条関係)
 五 当面の公務員制度改革
   政府は、公務員制度改革実行計画が実施されるまでの間においても、次に掲げる事項について、必要な措置を講ずるものとすること。
   @ 公務員の給与と民間における賃金との比較方法の在り方について検討を加え、その結果に基づいて公務員の給与制度を見直すこと。
   A 公務員の能力及び実績を適切に評価する制度を構築すること。
   B 公務員としての適格性を欠く者に対し適切に対処することを可能とすること。
   C 行政組織の内外から人材を機動的に登用することを可能とすること。
   D 常勤を要しない公務員の給与の実態に係る情報を公開すること。
(附則第五条関係)
 六 経過措置等
   この法律の施行に関し必要な経過措置等について定めること。
(附則第六条から第八条まで関係)
 七 関係法律の一部改正等
   関係法律について所要の規定の整備等を行うこととすること。
(附則第九条から第十三条まで関係)

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