住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律案要綱
第一 目的
この法律は、住生活基本法の基本理念にのっとり、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子どもを育成する家庭その他住宅の確保に特に配慮を要する者(以下「住宅確保要配慮者」という。)に対する賃貸住宅の供給の促進に関し、基本方針の策定等の施策の基本となる事項等を定めることにより、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進を図り、もって国民生活の安定向上と社会福祉の増進に寄与することを目的とするものとすること。 (第一条関係)
第二 定義
一 「公的賃貸住宅」とは、次のいずれかに該当する賃貸住宅をいうものとすること。
1 公営住宅法第二条に規定する公営住宅その他地方公共団体が整備する賃貸住宅
2 独立行政法人都市再生機構又は地方住宅供給公社が整備する賃貸住宅
3 特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律第六条に規定する特定優良賃貸住宅
4 高齢者の居住の安定確保に関する法律第三十四条に規定する高齢者向け優良賃貸住宅
5 1から4に掲げるもののほか、地方公共団体が住宅確保要配慮者の居住の安定の確保を図ることを目的としてその整備に要する費用の一部を負担する一定の賃貸住宅 (第二条第一項関係)
二 「民間賃貸住宅」とは、公的賃貸住宅以外の賃貸住宅をいうものとすること。(第二条第二項関係)
第三 国及び地方公共団体の責務
国及び地方公共団体は、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進を図るため、必要な施策を講ずるよう努めなければならないものとすること。 (第三条関係)
第四 基本方針
国土交通大臣は、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する基本方針を定めなければならないものとし、当該基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとすること。
1 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する基本的な方向
2 住宅確保要配慮者に対する公的賃貸住宅の供給の促進に関する基本的事項
3 住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関する基本的事項
4 その他住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する重要事項 (第四条関係)
第五 公的賃貸住宅の供給の促進
一 国及び地方公共団体は、所得の状況、心身の状況、世帯構成等の住宅確保要配慮者の事情を勘案し、既存の公的賃貸住宅の有効活用を図りつつ、公的賃貸住宅の適切な供給の促進に関し必要な施策を講ずるよう努めなければならないものとすること。 (第五条第一項関係)
二 公的賃貸住宅の管理者は、公的賃貸住宅の入居者の選考に当たり、住宅確保要配慮者の居住の安定に配慮するよう努めなければならないものとすること。 (第五条第二項関係)
第六 民間賃貸住宅への円滑な入居の促進
一 国及び地方公共団体は、住宅確保要配慮者が民間賃貸住宅を円滑に賃借することができるようにするため、住宅確保要配慮者及び民間賃貸住宅の賃貸人に対する支援等の必要な施策を講ずるよう努めなければならないものとすること。 (第六条第一項関係)
二 民間賃貸住宅を賃貸する事業を行う者は、国及び地方公共団体が講ずる施策に協力するよう努めなければならないものとすること。 (第六条第二項関係)
第七 情報の提供等
国及び地方公共団体は、住宅確保要配慮者が賃貸住宅に関しその事情に応じた適切な情報を効果的かつ効率的に入手することができるようにするため、賃貸住宅に関する情報の提供及び相談の実施に関し必要な施策を講ずるよう努めなければならないものとすること。 (第七条関係)
第八 住宅確保要配慮者の生活の安定及び向上に関する施策等との連携
国及び地方公共団体は、住宅確保要配慮者の自立の支援に関する施策、住宅確保要配慮者の福祉に関する施策その他の住宅確保要配慮者の生活の安定及び向上に関する施策並びに良好な居住環境の形成に関する施策との連携を図るよう努めなければならないものとすること。 (第八条関係)
第九 地域住宅計画への記載
地方公共団体は、基本方針に即して、地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法(以下「地域住宅特別措置法」という。)第六条に規定する地域住宅計画に、住宅確保要配慮者に係る公的賃貸住宅の整備及び管理に関する事項等を記載するよう努めなければならないものとすること。 (第九条関係)
第十 居住支援協議会等
一 地方公共団体、宅地建物取引業者、賃貸住宅を管理する事業を行う者、住宅確保要配慮者に対し居住に係る支援を行う団体その他住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に資する活動を行う者は、住宅確保要配慮者又は民間賃貸住宅の賃貸人に対する情報の提供等の支援その他の住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関し必要な措置について協議するため、居住支援協議会を組織することができるものとすること。 (第十条第一項関係)
二 一の協議を行うための会議において協議が調った事項については、居住支援協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならないものとすること。 (第十条第二項関係)
三 一に規定する居住支援協議会及び地域住宅特別措置法第五条に規定する地域住宅協議会は、相互に連携を図るよう努めなければならないものとすること。 (第十一条関係)
第十一 地方公共団体への支援
国は、地方公共団体が講ずる住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する施策を支援するため、情報の提供等の必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。(第十二条関係)
第十二 施行期日
この法律は、公布の日から施行するものとすること。 (附則関係)