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   オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律案要綱


第一 趣旨(第一条関係)
  この法律は、平成七年三月二十日に発生した地下鉄サリン事件等のオウム真理教による一連の犯罪行為の被害が未曾有のものであり、かつ、その被害者は暴力により国の統治機構を破壊する等の主義を推進する目的の下に行われた不特定又は多数の者の殺傷等の犯罪行為の犠牲となったものであること、オウム真理教に対する破産申立事件において各般の措置が講ぜられてもなおこれらの被害者等が十分な救済を受けるに至っていないこと等を踏まえ、国においてこれらの被害者等の救済を図ることの緊要性にかんがみ、オウム真理教犯罪被害者等に対する給付金の支給について定めるものとすること。
第二 定義(第二条関係)
  この法律において「オウム真理教犯罪被害者等」とは、東京地方裁判所平成七年(フ)第三六九四号、第三七一四号破産申立事件(以下「対象破産事件」という。)に係る破産手続が終了する際、オウム真理教に係る破産手続における国の債権に関する特例に関する法律第二条に規定する国以外の者が届け出た債権のうち生命又は身体を害されたことによる損害賠償請求権(以下「対象債権」という。)の債権者である者をいうこと。
第三 給付金の支給及びその額(第三条及び第四条関係)
 一 国は、オウム真理教犯罪被害者等に対し、給付金を支給すること。オウム真理教犯罪被害者等について相続があったときは、その相続人に対し、給付金を支給すること。
 二 給付金の額は、対象債権の残額(対象債権について、確定した破産債権の額から破産手続における配当の額を控除した残額をいう。)とすること。この場合において、対象破産事件に係る破産手続における配当の実施に際し、広く一般に募集された寄附金等を原資としてオウム真理教犯罪被害者等に支払われた金銭の額は、配当の額に含まれないものとすること。
第四 裁定(第五条及び第六条関係)
 一 給付金の支給を受けようとする者は、内閣総理大臣に申請し、その裁定を受けなければならないこと。申請があった場合には、内閣総理大臣は、速やかに、給付金の支給に係る裁定(給付金を支給する旨の裁定にあっては、その額の定めを含む。)を行わなければならないこと。
 二 一の申請は、対象破産事件に係る破産手続の終了の日(その日がこの法律の施行の日前であるときは、この法律の施行の日)から二年を経過したときは、することができないこと。
 三 内閣総理大臣は、オウム真理教犯罪被害者等又はその知れている相続人に対し給付金の支給を受けることができる旨を通知する等、オウム真理教犯罪被害者等及びその相続人に対し、一の申請に関し利便を図るための措置を適切に講ずるものとすること。
第五 事務の委託(第九条関係)
  内閣総理大臣は、第四の一の申請の受付及び裁定のための審査に関する事務、第四の三の措置の実施に関する事務、給付金の支給の実施に関する事務等を、対象破産事件における破産管財人であった者等に委託するものとすること。
第六 損害賠償との関係等(第十条関係)
 一 国は、給付金を支給したときは、その額の限度において、当該給付金の支給を受けた者が有する損害賠償請求権を取得すること。
 二 国は、一により取得した債権について、その保全、取立てその他の管理に関する事務を厳正に行うよう努めるものとすること。
第七 資料提出その他の協力等(第七条、第八条及び第十一条から第十六条まで関係)
  資料提出その他の協力、不正利得の徴収、時効、給付金の支給を受ける権利の保護、公課の禁止、戸籍事項の無料証明等について所要の規定を設けること。
第八 施行期日等
 一 施行期日(附則第一項関係)
   この法律は、公布の日から施行すること。
 二 検討(附則第二項関係)
   国は、犯罪による被害の補償に関する制度の在り方に関し、テロリズムによる被害者等の救済についてその特殊性を踏まえた措置を講ずること、犯罪による被害者等が加害者から損害賠償を受けることが困難である場合に国が損害賠償金を立替払する制度を創設すること等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。

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