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   東日本大震災復興再生基本法案要綱


第一 総則
 一 目的
   この法律は、東日本大震災が、その被害が甚大であり、かつ、その被災地域が広範にわたる等極めて大規模なものであるとともに、地震及び津波並びに原子力発電施設の事故による複合的なものであるという点において我が国にとって未曽有の国難であることに鑑み、東日本大震災からの復興再生についての基本理念を定め、並びに現在及び将来の国民が安心して豊かな生活を営むことができる経済社会の実現に向けて、復興再生基本計画及び復興再生計画の策定その他の基本となる事項を定めるとともに、東日本大震災復興再生院の設置に関する基本方針を定めること等により、東日本大震災からの復興再生の円滑かつ迅速な推進を図ることを目的とすること。                (第一条関係)
 二 基本理念
  1 東日本大震災からの復興再生は、単なる原形復旧ではなく、新たな地域社会の構築であり、かつ、地震その他の天災地変による災害、電力その他のエネルギー及び食料問題、少子高齢化等我が国の社会経済情勢の変化、地球温暖化問題、国境を越えた社会経済活動の進展等の国際情勢の変化その他の現在の我が国が取り組むべき内外の諸課題を解決し、二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を目指すものであることを旨として行われなければならないこと。          (第二条関係)
  2 東日本大震災からの復興再生に当たっては、地域社会の絆の維持及び強化に留意しつつ、国が、地方公共団体と協力し、かつ、被災地域の住民の意向を最大限に尊重して、推進するものとすること。(第三条関係)
  3 東日本大震災からの復興再生に当たっては、被災者を含めてその担い手である国民一人一人の総力と、国、地方公共団体及び民間の英知を結集して、これを行うものとすること。  (第四条関係)
 三 国の責務
   国は、二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を示すとともに、基本理念にのっとり、東日本大震災からの復興再生に関する施策を策定し、及び実施する責務を有すること。     (第五条関係)
 四 地方公共団体の責務
   地方公共団体は、基本理念にのっとり、かつ、東日本大震災からの復興再生に関して講じられる国の施策に呼応して、東日本大震災からの復興再生に関する施策を策定し、及び実施する責務を有すること。(第六条関係)
 五 国民の努力
   国民は、基本理念にのっとり、相互扶助の精神に基づいて、被災者への支援その他の助け合いに努めるものとすること。                              (第七条関係)
第二 復興再生基本計画及び復興再生計画
 一 国の復興再生基本計画
  1 政府は、基本理念にのっとり、東日本大震災からの復興再生に関する施策を総合的かつ計画的に実施するため、十箇年間を計画期間とする復興再生基本計画を策定するものとすること。
(第八条第一項及び第二項関係)
  2 復興再生基本計画は、おおむね、次に掲げる事項について定めるものとすること。
(第八条第三項関係)
   ア 国の支援体制の確立に関する事項
   イ 住宅、交通、情報通信、衛生、医療、福祉、教育、文化等の生活環境の整備及び雇用の確保その他の被災した住民の生活の再建に関する事項
   ウ 農林水産業の復興再生、中小企業者の事業の復興再生その他の被災した産業の復興再生に関する事項
   エ 被災した地域社会の再生に関する事項
   オ 原子力発電施設の事故の対策及びエネルギー政策に関する事項
   カ アからオまでに掲げるもののほか、東日本大震災からの復興再生に関し必要な事項
 二 被災した県又は市町村の復興再生計画
   被災した県又は市町村は、基本理念にのっとり、かつ、復興再生基本計画を踏まえて、当該県又は市町村の被災状況に応じ、当該県又は市町村の区域における復興再生に関する施策についての復興再生計画を策定するものとすること。                         (第九条関係)
第三 基本的施策
 一 復興再生に関する施策の迅速な実施
   国は、東日本大震災からの復興再生に関する施策を迅速に実施するため、必要な法制上、財政上その他の措置を講ずるとともに、その円滑かつ弾力的な執行に努めなければならないこと。(第十条関係)
 二 資金の確保のための措置
   国は、次に掲げる措置その他の措置を講ずることにより、東日本大震災からの復興再生のための資金の確保に努めるものとすること。                       (第十一条関係)
   ア 復興再生及びこれに関連する施策以外の施策に係る予算を徹底的に見直し、当該施策に係る歳出の削減を図ること。
   イ 財政投融資に係る資金及び民間の資金の積極的な活用を図ること。
 三 復興再生債の発行等
  1 政府は、財政法第四条第一項の規定にかかわらず、東日本大震災からの復興再生に係る歳出の財源に充てるため、国会の議決を経た金額の範囲内において、復興再生債を発行することができること。(第十二条第一項関係)
  2 政府は、東日本大震災からの復興再生に係る歳入及び歳出について一般会計と区分して経理するとともに、あらかじめ、復興再生債の償還に係る道筋を明らかにしなければならないこと。
(第十二条第二項関係)
 四 復興再生に係る国の資金の流れの透明化
   国は、被災者を含めた国民一人一人が東日本大震災からの復興再生の担い手であることを踏まえて、その復興再生に係る国の資金の流れについては、国の財政と地方公共団体の財政との関係を含めてその透明化を図るものとすること。                        (第十三条関係)
第四 東日本大震災復興再生院の設置に関する基本方針
 一 別に法律で定めるところにより、内閣に、復興再生基本計画の期間の終了する日までの間、東日本大震災からの復興再生に関する事務を行う東日本大震災復興再生院(以下「復興再生院」という。)を設置するものとすること。                  (第十四条第一項及び第二項関係)
 二 復興再生院は、次に掲げる事務をつかさどるものとすること。      (第十四条第三項関係)
   ア 東日本大震災からの復興再生に関する企画及び立案並びに総合調整に関する事務
   イ 東日本大震災からの復興再生に関する施策の実施に係る事務
   ウ その他東日本大震災からの復興再生に関し必要な事務
 三 復興再生院に、その事務を分掌させるため、被災地域に地方復興再生事務所を置くことができることとするとともに、復興再生基本計画その他東日本大震災からの復興再生に関する重要事項について調査審議させるため、有識者等から構成される東日本大震災復興再生委員会を置くものとすること。
(第十四条第五項及び第六項関係)
第五 その他
 一 施行期日
   この法律は、公布の日から施行すること。                 (附則第一条関係)
 二 この法律の廃止
   この法律は、東日本大震災からの復興再生が実現されたと認められるに至ったときは、廃止するものとすること。                               (附則第二条関係)
 三 その他
   検討条項その他所要の規定を整備すること。

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