衆議院

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   国家公務員の労働関係に関する法律案要綱


第一 総則
 一 目的
   この法律は、国家公務員の勤務条件について、透明性を確保しつつ、国民の理解の下に、社会経済情勢の変化及び政策課題の変化に柔軟かつ的確に対応して定めることができるよう、政府と労働組合との間の団体交渉及び団体協約等に関する制度を確立することにより、職員が国民の立場に立ち責任を自覚し誇りを持って職務を遂行することを促進するとともに、職員の能力の向上及び優秀な人材の国の行政機関への確保を図り、もって公務の能率的な運営に資することを目的とするものであること。
                                         (第一条関係)
 二 定義
   この法律において、次に掲げる用語の意義は、それぞれに定めるところによるものとすること。
                                         (第二条関係)
    職員 国家公務員法第二条第四項に規定する職員をいう。ただし、次に掲げるものを除く。
    イ 国家公務員法第九十六条第二項に規定する職員
    ロ 国家行政組織法第六条に規定する長官、同法第十八条第一項に規定する事務次官又は同法第二十一条第一項に規定する局長の職にある職員その他の重要な行政上の決定を行う職員として中央労働委員会(以下「委員会」という。)が認定して告示するもの
    ハ 特定独立行政法人の労働関係に関する法律第二条第二号に規定する職員
    労働組合 職員が主体となって自主的にその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体(のロに掲げる者が加入するもの又は第二の一の1のただし書に規定する管理職員等と当該管理職員等以外の職員とが組織するものを除く。)又はその連合体をいう。
 三 関係者の責務
  1 労働組合及び当局(第三の二に定める者をいう。第二の一の1、五及び第三の一の1において同じ。)は、公務の能率的な運営を確保するため、団体交渉の円滑かつ効率的な実施に努めなければならないものとすること。                           (第三条第一項関係)
  2 この法律に基づく手続に関与する関係者は、国の事務及び事業の確実、効率的かつ適正な実施に支障を及ぼすことがないよう留意しなければならないものとすること。    (第三条第二項関係)
第二 労働組合
 一 労働組合の結成等
  1 職員は、労働組合を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができるものとすること。ただし、重要な行政上の決定に参画する管理的地位にある職員、職員の任免に関して直接の権限を持つ監督的地位にある職員、職員の任免、分限、懲戒若しくは服務、職員の給与その他の勤務条件又は労働組合との関係についての当局の計画及び方針に関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが労働組合の組合員としての誠意と責任とに直接に抵触すると認められる監督的地位にある職員その他労働組合との関係において当局の立場に立って遂行すべき職務を担当する職員(一において「管理職員等」という。)と管理職員等以外の職員とは、同一の労働組合を組織することができないものとすること。             (第四条第一項関係)
  2 委員会は、管理職員等の範囲を認定して告示するものとすること。    (第四条第二項関係)
  3 各省各庁の長(内閣総理大臣、各省大臣及び会計検査院長並びに宮内庁長官及び各外局の長をいう。以下同じ。)は、職を新設し、変更し、又は廃止したときは、速やかにその旨を委員会に通知しなければならないものとすること。                     (第四条第三項関係)
 二 労働組合の認証
  1 労働組合は、中央労働委員会規則で定めるところにより、理事その他の役員の氏名及び中央労働委
   員会規則で定める事項を記載した申請書に規約を添えて委員会に認証を申請することができるものとすること。                              (第五条第一項関係)
  2 労働組合の規約が満たすべき要件について定めるものとすること。    (第五条第二項関係)
    名称、目的及び業務、主たる事務所の所在地、組合員の範囲及びその資格の得喪に関する規定、重要な財産の得喪その他資産に関する規定、理事その他の役員に関する規定、業務執行、会議及び投票に関する規定、経費及び会計に関する規定、他の労働組合との連合に関する規定、規約の変更に関する規定並びに解散に関する規定が記載されていること。
    会計報告は、組合員によって委嘱された公認会計士(外国公認会計士を含む。)又は監査法人の監査証明とともに少なくとも毎年一回組合員に公表されることとされていること。
  3 労働組合が認証されるためには、規約の作成又は変更、役員の選挙その他これらに準ずる重要な行為が、全ての組合員が平等に参加する機会を有する直接かつ秘密の投票による全員の過半数によって決定される旨の手続を定め、かつ、現実にその手続により決定されること、職員が全ての組合員の過半数を占めることを必要とするものとすること。        (第五条第三項及び第四項関係)
  4 委員会は、認証を申請した労働組合が2及び3の規定に適合するものであるときは、中央労働委員会規則で定めるところにより、当該労働組合を認証し、名称及び主たる事務所の所在地その他中央労働委員会規則で定める事項を告示しなければならないものとすること。
                                 (第五条第五項及び第六項関係)
  5 4の規定により認証された労働組合(以下「認証された労働組合」という。)が労働組合でなくなったとき、認証された労働組合について2及び3の規定に適合しない事実があったとき又は認証された労働組合が7の規定による届出をしなかったときは、委員会は、中央労働委員会規則で定めるところにより、当該認証された労働組合の認証を取り消すことができるものとし、認証の取消しに係る聴聞の期日における審理は、当該認証された労働組合から請求があったときは、公開により行わなければならないものとすること。                 (第五条第七項及び第八項関係)
  6 5の規定による認証の取消しは、当該処分の取消しの訴えを提起することができる期間内及び当該処分の取消しの訴えの提起があったときは当該訴訟が裁判所に係属する間は、その効力を生じないものとすること。                            (第五条第九項関係)
  7 認証された労働組合は、その規約又は1に規定する申請書の記載事項に変更があったときは、中央労働委員会規則で定めるところにより、委員会にその旨を届け出なければならないものとすること。
                                      (第五条第十項関係)
  8 認証された労働組合の認証の取消しの申請及び解散の届出による認証の取消しについて定めるものとすること。                      (第五条第十一項及び第十二項関係)
  9 委員会は、7の規定による変更の届出(4の規定により告示された事項に係るものに限る。)があったとき又は5若しくは8の規定により認証を取り消したときは、その旨を告示しなければならないものとすること。                          (第五条第十三項関係)
  10 委員会は、認証された労働組合に対し、当該認証された労働組合に係る二の規定による事務に関し必要な限度において、報告又は資料の提出を求めることができるものとすること。
                                     (第五条第十四項関係)
 三 合議体による事務の処理
   委員会は、委員会の公益を代表する委員(以下「公益委員」という。)のうちから会長があらかじめ指名した公益委員及び会長(以下「国家公務員担当公益委員」という。)をもって構成する合議体に、第一の二ののロ、第二の一の2並びに第二の二の4、5及び8から10までの規定による事務の処理を行わせ、当該合議体のした処分をもって委員会の処分とすることができるものとすること。ただし、事件が重要と認められる場合その他当該合議体が処分をすることが適当でないと認められる場合は、公益委員の全員をもって構成する合議体に、当該事務の処理を行わせるものとすること。その他合議体による事務の処理に関し、所要の規定を定めるものとすること。            (第六条関係)
 四 労働組合のための職員の行為の制限
  1 認証された労働組合の業務に専ら従事すること                (第七条関係)
    職員は、労働組合の業務に専ら従事することができないものとすること。ただし、政令で定めるところにより、所轄庁の長の許可を受けて、認証された労働組合(二の4の規定による認証をされていない連合体である労働組合であって、認証された労働組合のみから構成されるものを含む。1において同じ。)の役員として専ら従事する場合は、この限りでないものとすること。
    のただし書の許可は、所轄庁の長が相当と認める場合に与えることができるものとし、これを与える場合においては、所轄庁の長は、その許可の有効期間を定めるものとすること。
    のただし書の規定により認証された労働組合の役員として専ら従事する期間は、職員としての在職期間を通じて五年を超えることができないものとすること。
    のただし書の許可は、当該許可を受けた職員が認証された労働組合の役員として当該認証された労働組合の業務に専ら従事する者でなくなったときは、取り消されるものとすること。
    のただし書の許可を受けた職員は、その許可が効力を有する間は、休職者とし、常時勤務を要しない官職であって政令で定めるものの職務に従事する場合を除いて、職務に従事せず、何らの給与を受けてはならないものとすること。
  2 勤務時間中認証された労働組合の業務に従事すること             (第八条関係)
    職員は、政令で定めるところにより、所轄庁の長の許可を受けて、認証された労働組合の役員又は認証された労働組合の規約に基づき設置される議決機関(代議員制をとる場合に限る。)、投票管理機関若しくは諮問機関の構成員として勤務時間中当該認証された労働組合の業務に従事することができるものとすること。
    の許可は、所轄庁の長が相当と認める場合に与えることができるものとし、これを与える場合においては、所轄庁の長は、その許可の有効期間を定めるものとすること。
    の有効期間は、一の職員について一年を通じて三十日を超えないものとすること。
    の許可を受けた職員は、当該許可の有効期間中職務に従事しないものとすること。
    職員がの許可を受けた期間については、一般職の職員の給与に関する法律第十五条の規定にかかわらず、その期間の勤務しない一時間につき、同法第十九条に規定する勤務一時間当たりの給与額を減額するものとすること。
 五 不当労働行為
   当局は、次に掲げる行為をしてはならないものとすること。           (第九条関係)
    職員が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことを理由として、その職員を免職し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを職員の任免の条件とすること。
    認証された労働組合と団体交渉をすることを正当な理由がなく拒むこと。
    職員が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。ただし、第三の三の4の規定により行われる勤務時間中の団体交渉に参加する職員に対し給与を支給すること、及び労働組合に対し最小限の広さの事務所を供与することを除くものとする。
    職員が委員会に対し当局が五の規定に違反した旨の申立てをしたこと又は委員会が当該申立てに係る調査若しくは審問をし、若しくは当事者に和解を勧め、若しくは第四の二の1に規定する者と認証された労働組合との間に発生した紛争の調整をする場合に職員が証拠を提示し、若しくは発言をしたことを理由として、その職員を免職し、その他これに対して不利益な取扱いをすること。
第三 団体交渉
 一 団体交渉の範囲
  1 当局は、認証された労働組合から次に掲げる事項について適法な団体交渉の申入れがあった場合においては、その申入れに応ずべき地位に立つものとすること。       (第十条第一項関係)
    職員の俸給その他の給与、勤務時間、休憩、休日及び休暇に関する事項
    職員の昇任、降任、転任、休職、免職及び懲戒の基準に関する事項
    職員の保健、安全保持及び災害補償に関する事項
    からまでに掲げるもののほか、職員の勤務条件に関する事項
    団体交渉の手続その他の労働組合と当局との間の労使関係に関する事項(以下「労使関係事項」という。)
  2 国の事務の管理及び運営に関する事項は、団体交渉の対象とすることができないものとすること。
                                      (第十条第二項関係)
 二 団体交渉を行う当局
   勤務条件に関する事項のうち、法令の制定又は改廃を要する事項について労働組合と団体交渉をすることができる当局を当該事項に係る事務を所掌する主任の大臣とする等、労働組合と団体交渉をすることができる当局を定めるものとすること。                   (第十一条関係)
 三 団体交渉の手続等
  1 団体交渉は、労働組合と当局があらかじめ取り決めた員数の範囲内で、労働組合がその役員の中から指名する者と当局の指名する者との間において行わなければならないものとし、労働組合と当局との間において、議題、時間、場所その他必要な事項をあらかじめ取り決めて行うものとすること。
                                     (第十二条第一項関係)
  2 1の場合において、特別の事情があるときは、労働組合は、役員以外の者を指名することができるものとすること。                          (第十二条第二項関係)
  3 団体交渉は、1及び2の規定に適合しないこととなったとき又は他の職員の職務の遂行を妨げ、若しくは国の事務の正常な運営を阻害することとなったときは、これを打ち切ることができるものとすること。                              (第十二条第三項関係)
  4 三に規定する適法な団体交渉は、勤務時間中においても行うことができるものとすること。
                                     (第十二条第四項関係)
  5 1又は2の規定により労働組合が指名した職員は、勤務時間中に適法な団体交渉に参加することについて、政令で定めるところにより、所轄庁の長の許可を受けなければならないものとし、この場合において、所轄庁の長は、公務の運営に支障がないと認めるときは、これを許可するものとすること。
                                     (第十二条第五項関係)
  6 当局は、労働組合と団体交渉を行ったときは、その議事の概要を、インターネットの利用その他の適切な方法により、速やかに公表しなければならないものとすること。  (第十二条第六項関係)
  7 職員は、労働組合に属していないという理由で、一の1のからまでに掲げる事項に関し、不満を表明し、又は意見を申し出る自由を否定されてはならないものとすること。
(第十二条第七項関係)
第四 団体協約
 一 団体協約の範囲
   認証された労働組合と当局は、第三の一の1のからまでに掲げる事項に関し団体協約を締結することができるものとすること。ただし、この法律、国家公務員法、検察庁法及び外務公務員法の改廃を要する事項に関しては、団体協約を締結することができないものとすること。   (第十三条関係)
 二 団体協約を締結する当局
  1 勤務条件に関する事項のうち、法令の制定又は改廃を要する事項(この法律、国家公務員法、検察庁法及び外務公務員法の改廃を要する事項を除く。)について認証された労働組合と団体協約を締結することができる当局を当該事項に係る事務を所掌する主任の大臣とする等、認証された労働組合と団体協約を締結することができる当局を定めるものとすること。     (第十四条第一項関係)
  2 勤務条件に関する事項のうち法律の制定若しくは改廃を要する事項(この法律、国家公務員法、検察庁法及び外務公務員法の改廃を要する事項を除く。)若しくは政令の制定若しくは改廃を要する事項又はこの法律に基づく政令の改廃を要する労使関係事項について団体協約を締結しようとするときは、あらかじめ、内閣の承認を得なければならないものとすること。   (第十四条第二項関係)
 三 団体協約の効力の発生等
  1 認証された労働組合と二の1に規定する者との間の団体協約は、書面をもって作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによってその効力を生ずるものとすること。(第十五条第一項関係)
  2 二の1に規定する者は、認証された労働組合との間で団体協約を締結したときは、当該団体協約の内容を、インターネットの利用その他の適切な方法により、速やかに公表しなければならないものとすること。                             (第十五条第二項関係)
 四 団体協約の期間
  1 団体協約には、三年を超える有効期間の定めをすることができず、三年を超える有効期間の定めをした団体協約は、三年の有効期間の定めをした団体協約とみなすものとすること。
                                (第十六条第一項及び第二項関係)
  2 有効期間の定めのない団体協約は、当事者の一方が、署名し、又は記名押印した文書によって相手方に予告して解約することができるものとし、予告は解約しようとする日の少なくとも九十日前にしなければならないものとすること。             (第十六条第三項及び第四項関係)
 五 団体協約の効力
  1 内閣は、勤務条件に関する事項のうち、法律の制定又は改廃を要する事項(この法律、国家公務員法、検察庁法及び外務公務員法の改廃を要する事項を除く。)に係る事務を所掌する主任の大臣が、当該事項について団体協約を締結したときは、速やかに、当該団体協約の内容を適切に反映させるために必要な法律案を国会に提出しなければならないものとすること。   (第十七条第一項関係)
  2 内閣は、勤務条件に関する事項のうち、政令の制定若しくは改廃を要する事項に係る事務を所掌する主任の大臣が当該事項について団体協約を締結したとき又は内閣総理大臣がこの法律に基づく政令の改廃を要する労使関係事項について団体協約を締結したときは、速やかに、当該団体協約の内容を適切に反映させるために必要な政令の制定又は改廃をしなければならないものとすること。
                                     (第十七条第二項関係)
  3 当局が、勤務条件に関する事項のうち、内閣府令又は省令の制定又は改廃を要する事項等について団体協約を締結したときに講ずる措置について定めるものとすること。
                              (第十七条第三項から第五項まで関係)
 六 団体協約の失効
  1 団体協約は、次に掲げる場合は、その効力を失うものとすること。   (第十八条第一項関係)
    五の1の規定により提出された法律案(六において単に「法律案」という。)が、当該法律案を提出した国会の会期中(当該法律案が国会法第四十七条第二項の規定により閉会中審査に付された場合にあっては、後会の会期中)に法律とならなかった場合(当該会期中に同項の規定により閉会中審査に付された場合を除く。)
    団体協約を締結した認証された労働組合の認証が、第二の二の5又は8の規定により取り消された場合
  2 団体協約は、法律案が修正されて法律となった場合は、当該法律と抵触する範囲において、その効力を失うものとすること。                      (第十八条第二項関係)
第五 不当労働行為事件
 一 審査の手続
  1 不当労働行為事件に係る申立て及び審査の開始
    当局が、次に掲げる規定に違反したときは、認証された労働組合又はからまでに定める者は、委員会に対し、その旨を申し立てることができるものとすること。   (第十九条第一項関係)
     第二の五の 労働組合の組合員である職員又は労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとした職員(労働組合に加入し、若しくは加入しようとしていること又は労働組合から脱退しようとしていないことを理由として、職員として採用されなかった者を含む。)
     第二の五の 認証された労働組合の組合員である職員
     第二の五の又は 労働組合の組合員である職員又は労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとした職員
    委員会は、の申立てを受けたときは、遅滞なく調査を行い、必要があると認めたときは、当該申立てが理由があるかどうかについて審問を行わなければならないものとすること。この場合において、審問の手続においては、当該当局及び申立人に対し、証拠を提出し、証人に反対尋問をする十分な機会が与えられなければならないものとすること。       (第十九条第二項関係)
    委員会は、の申立てが、行為の日(継続する行為にあっては、その終了した日)から一年を経過した事件に係るものであるときは、これを受けることができないものとすること。
                                     (第十九条第三項関係)
  2 合議体による審査
    委員会は、国家公務員担当公益委員をもって構成する合議体に、不当労働行為事件の審査を行わせ、当該合議体のした処分をもって委員会の処分とすることができるものとすること。ただし、事件が重要と認められる場合その他当該合議体が処分をすることが適当でないと認められる場合は、公益委員の全員をもって構成する合議体に、当該事件の審査を行わせるものとすること。また、国家公務員担当使用者委員及び国家公務員担当労働者委員は、それぞれ1のの規定により調査(公益委員の求めがあった場合に限る。)及び審問を行う手続並びに6の規定により和解を勧める手続に参与し、又は4のの行為等をすることができるものとするほか、合議体による審査に関し、所要の規定を定めるものとすること。                             (第二十条関係)
  3 地方調整委員
    委員会は、地方調整委員であって公益を代表するものに、委員会が行う審査の手続のうち、1のの規定により調査及び審問を行う手続並びに6の規定により和解を勧める手続の全部又は一部を行わせることができるものとすること。この場合において、使用者を代表する地方調整委員及び労働者を代表する地方調整委員は、これらの手続(調査を行う手続にあっては、公益を代表する地方調整委員の求めがあった場合に限る。)に参与することができるものとすること。    (第二十一条関係)
  4 救済命令等
    委員会は、事件が命令を発するのに熟したときは、事実の認定をし、この認定に基づいて、申立人の請求に係る救済の全部若しくは一部を認容し、又は申立てを棄却する命令(以下「救済命令等」という。)を発しなければならないものとすること。        (第二十二条第一項関係)
    調査又は審問を行う手続に参与する国家公務員担当使用者委員及び国家公務員担当労働者委員は、委員会が救済命令等を発しようとする場合は、意見を述べることができるものとするほか、救済命令等に関し、所要の規定を定めるものとすること。  (第二十二条第二項から第四項まで関係)
  5 救済命令等の確定
    国が救済命令等について二の1の期間内に取消しの訴えを提起しないときは、救済命令等は、確定するものとすること。                          (第二十三条関係)
  6 和解
    委員会は、審査の途中において、いつでも、当事者に和解を勧めることができるものとするほか、和解に関し、所要の規定を定めるものとすること。             (第二十四条関係)
  7 労働組合法の準用
    この法律の不当労働行為事件の審査について労働組合法の不当労働行為事件の審査に関する必要な規定を準用するものとし、この場合における読替えについて定めるものとすること。
                                       (第二十五条関係)
  8 民事訴訟法の準用
    この法律の不当労働行為事件の審査において委員会が証人又は当事者に陳述させる手続について民事訴訟法の証人尋問及び当事者尋問に関する必要な規定を準用するものとすること。
                                       (第二十六条関係)
  9 不服申立ての制限
    当局及び職員に係る処分であって不当労働行為に該当するものについては、行政不服審査法による不服申立てをすることができないものとすること。             (第二十七条関係)
 二 訴訟
  1 取消しの訴え
    委員会が救済命令等を発したときは、国は、救済命令等の交付の日から三十日以内に、救済命令等の取消しの訴えを提起することができるものとし、この期間は、不変期間とするものとすること。
                                       (第二十八条関係)
  2 緊急命令
    1の規定により国が裁判所に訴えを提起した場合において、受訴裁判所は、救済命令等を発した委員会の申立てにより、決定をもって、国に対し判決の確定に至るまで救済命令等の全部又は一部に従うべき旨を命じ、又は当事者の申立てにより、若しくは職権でこの決定を取り消し、若しくは変更することができるものとすること。                     (第二十九条関係)
  3 証拠の申出の制限
    委員会が物件提出命令をしたにもかかわらず物件を提出しなかった者は、裁判所に対し、当該物件に係る証拠の申出をすることができないものとすること。           (第三十条関係)
第六 あっせん、調停及び仲裁
 一 通則
  1 関係当事者の範囲
    第六に規定する手続における関係当事者は、第四の二の1に規定する者及び認証された労働組合とすること。                               (第三十一条関係)
  2 国家公務員担当委員による事務の処理
    委員会の職権によるあっせん、調停及び仲裁の開始の決議、あっせん員の委嘱等に関する事務の処理については、国家公務員担当公益委員、国家公務員担当使用者委員及び国家公務員担当労働者委員のみが参与するものとすること。                     (第三十二条関係)
 二 あっせん
  1 あっせんの開始
    委員会は、関係当事者の間に発生した紛争であって第四の一の規定に基づき団体協約を締結することができる事項に係るもの(三の1及び四の1において「団体協約の締結に係る紛争」という。)について、関係当事者の双方若しくは一方の申請又は委員会の決議により、あっせんを行うことができるものとすること。                        (第三十三条第一項関係)
  2 委員会によるあっせん
    委員会によるあっせんは、国家公務員担当公益委員、国家公務員担当使用者委員、国家公務員担当労働者委員等のうちから委員会の会長が指名するあっせん員等によって行うものとすること。また、地方において処理すべき事件については、原則として、地方調整委員のうちから委員会の会長が指名するあっせん員により行うものとするほか、委員会によるあっせんに関し、所要の規定を定めるものとすること。                    (第三十三条第二項から第五項まで関係)
 三 調停
  1 調停の開始
    委員会は、団体協約の締結に係る紛争について、次に掲げる場合に調停を行うものとすること。
                                       (第三十四条関係)
    関係当事者の双方が委員会に調停の申請をしたとき。
    関係当事者の一方が団体協約の定めに基づいて委員会に調停の申請をしたとき。
    関係当事者の一方の申請により、委員会が調停を行う必要があると決議したとき。
    委員会が職権に基づき、調停を行う必要があると決議したとき。
    各省大臣若しくは会計検査院長(自ら又はその部内の国家公務員が関係当事者の一方である場合に限る。四の1のにおいて同じ。)又は内閣総理大臣が、公益上特に必要があると認める場合において、委員会に調停の請求をしたとき。
  2 委員会による調停
    委員会による調停は、当該事件について設ける調停委員会によって行うものとし、調停委員会は、国家公務員担当公益委員、国家公務員担当使用者委員及び国家公務員担当労働者委員のうちから委員会の会長が指名する各三人以内で組織するものとすること。また、地方において処理すべき事件については、原則として、地方調整委員のうちから委員会の会長が指名する調停委員により行うものとするほか、委員会による調停に関し、所要の規定を定めるものとすること。
                              (第三十五条から第三十八条まで関係)
 四 仲裁
  1 仲裁の開始
    委員会は、団体協約の締結に係る紛争について、次に掲げる場合に仲裁を行うものとすること。
                                       (第三十九条関係)
    関係当事者の双方が委員会に仲裁の申請をしたとき。
    関係当事者の一方が団体協約の定めに基づいて委員会に仲裁の申請をしたとき。
    委員会があっせん又は調停を開始した後二月を経過して、なお紛争が解決しない場合において、関係当事者の一方が委員会に仲裁の申請をしたとき。
    委員会が、あっせん又は調停を行っている事件について、仲裁を行う必要があると決議したと
き。
    各省大臣若しくは会計検査院長又は内閣総理大臣が、公益上特に必要があると認める場合において、委員会に仲裁の請求をしたとき。
  2 委員会による仲裁
    委員会による仲裁は、当該事件について設ける仲裁委員会によって行うものとし、仲裁委員会は、国家公務員担当公益委員の全員をもって充てる仲裁委員又は国家公務員担当公益委員のうちから委員会の会長が指名する三人若しくは五人の仲裁委員で組織するものとすること。また、仲裁委員会は、仲裁裁定を行ったときは、当該仲裁裁定の内容を、インターネットの利用その他の適切な方法により、速やかに公表しなければならないものとするほか、委員会による仲裁に関し、所要の規定を定めるものとすること。                              (第四十条関係)
  3 仲裁裁定の効力
    仲裁裁定があったときは、当該仲裁裁定の定めるところにより、関係当事者間において有効期間の定めのない団体協約が締結されたものとみなして、第四の四の2、五及び六の規定を適用するものとすること。この場合において、勤務条件に関する事項のうち法律の制定又は改廃を要する事項(この法律、国家公務員法、検察庁法及び外務公務員法の改廃を要する事項を除く。)について仲裁裁定があったときは、内閣は、当該仲裁裁定の内容を適切に反映させるために必要な法律案を国会に提出するようできる限り努めなければならないものとすること。また、勤務条件に関する事項のうち政令の制定若しくは改廃を要する事項又はこの法律に基づく政令の改廃を要する労使関係事項について仲裁裁定があったときは、内閣は、当該仲裁裁定の内容を適切に反映させるために必要な政令の制定又は改廃をするようできる限り努めなければならないものとすること。      (第四十一条関係)
第七 雑則
 一 委員会は、この法律及び労働組合法の規定に基づいて委員会がした処分であって、当局、職員又は労働組合に対してしたもの等に係る国を被告とする抗告訴訟について国を代表するものとするほか、抗告訴訟の取扱いに関し、所要の規定を定めるものとすること。          (第四十二条関係)
 二 委員会の処分に関する行政手続法の適用除外及び不服申立ての制限について定めるものとすること。
                                (第四十三条及び第四十四条関係)
 三 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のために必要な事項は、政令で定めるものとするこ
  と。                                    (第四十五条関係)
第八 附則
 一 施行期日
   この法律は、国家公務員法等の一部を改正する法律(平成二十五年法律第   号。以下「平成二十五年国家公務員法改正法」という。)の施行の日から施行するものとすること。ただし、次に掲げる規定は、それぞれに定める日から施行するものとすること。           (附則第一条関係)
    第二の三(第二の二の4、5及び8から10までに係る部分を除く。)並びに二及び六の規定 平成二十五年国家公務員法改正法の公布の日から起算して二月を超えない範囲内において政令で定める日
    第一の二ののロ、第二の一の2及び3並びに第二の三(第二の二の4に係る部分に限る。)並
    びに三のの規定 平成二十五年国家公務員法改正法の公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日
 二 この法律の施行に関し必要な準備行為を定めるものとすること。       (附則第二条関係)
 三 労働組合の認証について、必要な経過措置を定めるものとすること。 
                              (附則第三条から附則第五条まで関係)
    登録職員団体(この法律の施行の日(以下「施行日」という。)において現に平成二十五年国家公務員法改正法第二条の規定による改正前の国家公務員法第百八条の三の規定により登録されている職員団体をいう。において同じ。)は、施行日において、認証された労働組合となるものとすること。
    の規定により認証された労働組合となったもの(において「移行認証労働組合」という。)の認証は、施行日から起算して六月を経過する日(当該移行認証労働組合がその日までに第二の二の1の規定により認証を申請した場合にあっては、当該申請に対する処分があった日)にその効力を失うものとすること。
    第二の二の4の規定による認証を受けようとする者(登録職員団体を除く。)は、施行日前においても、第二の二の規定の例により、認証を申請することができるものとすること。
 四 第二の四の1の規定の適用については、国家公務員の労働関係の実態に鑑み、労働関係の適正化を促進し、もって公務の能率的な運営に資するため、当分の間、第二の四の1の中「五年」とあるのは、「七年以下の範囲内で政令で定める期間」とするものとすること。その他労働組合のための職員の行為の制限について、必要な経過措置を定めるものとすること。   (附則第七条及び附則第八条関係)
 五 認証された労働組合と各省各庁の長又はその委任を受けた部内の国家公務員は、施行日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日までは第四の一の規定による団体協約の締結をすることができないこととするほか、認証された労働組合と各省各庁の長又はその委任を受けた部内の国家公務員が行う団体交渉等について、必要な経過措置を定めるものとすること。    (附則第九条関係)
 六 三から五までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定めるものとすること。                                  (附則第十条関係)
 七 この法律の施行に伴う関係法律の整備については、別に法律で定めるものとすること。
                                      (附則第十一条関係)
 八 政府は、団体交渉の実施状況、あっせん、調停及び仲裁に関する制度の運用状況その他この法律の施行の状況並びに自律的労使関係制度の運用に関する国民の理解の状況を勘案し、国家公務員の争議権について検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。 (附則第十二条関係)国家公務員の労働関係に関する法律案

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