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   電気事業法等の一部を改正する法律案要綱


第一 電気事業法の一部改正
 一 電気の供給量が需要量を超える場合の措置等
  1 一般電気事業者及び特定電気事業者(以下「一般電気事業者等」という。)は、当該一般電気事業者等の電気の供給量がその需要量を上回ることが見込まれるときは、次に掲げる措置を講じなければならないものとすること。
   (1) 当該一般電気事業者等が所有する発電設備(太陽光を電気に変換する設備(以下「太陽光発電設備」という。)、風力を電気に変換する設備(以下「風力発電設備」という。)、原子力発電設備、水力を電気に変換する設備(揚水式発電設備を除く。)及び地熱を電気に変換する設備を除く。以下(1)において同じ。)及び当該一般電気事業者等が調達している電気の発電設備の出力の抑制(安定供給上支障があるものとして経済産業省令で定める限度まで行われる出力の抑制をいう。)並びに水力を電気に変換する設備(揚水式発電設備に限る。)の揚水運転
   (2) 当該上回ることが見込まれる量の電気の取引の申込み     (第二十六条の二第一項関係)
  2 一般電気事業者等は、1の措置を講じたとしてもなお当該一般電気事業者等の電気の供給量がその需要量を上回ることが見込まれる場合は、当該一般電気事業者等が用いる太陽光発電設備及び風力発電設備の出力の抑制をすることを条件として、当該一般電気事業者等がその事業の用に供する変電用、送電用又は配電用の電気工作物と電気的に接続する太陽光発電設備又は風力発電設備であってその出力が五百キロワット以上のものを用いて電気を供給する者(以下一において「特定電気供給者」という。)に対し、経済産業省令で定めるところにより、当該太陽光発電設備又は風力発電設備の出力の抑制を指示することができるものとすること。この場合において、一般電気事業者等は、当該指示をした後遅滞なく、当該特定電気供給者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならないものとすること。
   (1) 当該指示を行う前に1の措置を講じたこと。
   (2) 1の措置を講じてもなお当該一般電気事業者等の電気の供給量がその需要量を上回ると見込んだ合理的な理由
   (3) 当該指示が合理的なものであったこと。           (第二十六条の二第二項関係)
  3 特定電気供給者は、2の指示に従った出力の抑制により生じた損害(年間三十日を超えない範囲内で行われる当該抑制により生じた損害に限る。)について補償を求めることができないものとすること。                             (第二十六条の二第三項関係)
  4 3にかかわらず、年間三十日を超えて出力の抑制を行わなければ経済産業大臣が指定する種類の再生可能エネルギー発電設備により発電された電気を追加的に受け入れることができなくなることが見込まれる一般電気事業者等として経済産業大臣が指定する一般電気事業者等が、年間三十日を超えて出力の抑制を行わなければ追加的に当該再生可能エネルギー発電設備によって発電された電気を受け入れることができなくなった後に、特定電気供給者(当該受入れができなくなった後に当該一般電気事業者等がその事業の用に供する変電用、送電用又は配電用の電気工作物と電気的に接続した太陽光発電設備又は風力発電設備を用いて電気を供給する特定電気供給者に限る。以下4において同じ。)に対し2による指示を行うときは、当該特定電気供給者は、当該指示に従った出力の抑制により生じた損害について補償を求めることができないものとすること。    (第二十六条の二第四項関係)
  5 一般電気事業者等は、特定電気供給者が2による指示に従わないときは、当該特定電気供給者の用いる太陽光発電設備又は風力発電設備と当該一般電気事業者等がその事業の用に供する変電用、送電用又は配電用の電気工作物との電気的な接続を停止することができるものとすること。
(第二十六条の二第五項関係)
 二 事業用電気工作物の接続に要する費用
  1 事業用電気工作物を設置する者のうち発電設備を用いて電気を供給しようとする者(以下二において「事業用電気供給者」という。)は、当該発電設備と電気事業者がその事業の用に供する変電用、送電用又は配電用の電気工作物とを電気的に接続するときは、当該接続に必要な費用であって経済産業省令で定めるものを負担しなければならないものとすること。  (第五十五条の三第一項関係)
  2 事業用電気供給者は、1の費用について、経済産業省令で定めるところにより、他の事業用電気供給者と共同して負担することができるものとすること。      (第五十五条の三第二項関係)
  3 電気事業者は、1又は2により事業用電気供給者が負担する1の費用の額の算定に当たっては、経済的合理性を有する額となるよう配慮しなければならないものとすること。
(第五十五条の三第三項関係)
 三 一般用電気工作物の接続に要する費用
  1 一般用電気工作物を設置する者のうち発電設備を用いて電気を供給しようとする者(以下三において「一般用電気供給者」という。)は、当該発電設備と電気事業者がその事業の用に供する変電用、送電用又は配電用の電気工作物とを電気的に接続するときは、当該接続に必要な費用であって経済産業省令で定めるものを負担しなければならないものとすること。  (第五十七条の三第一項関係)
  2 一般用電気供給者は、1の費用について、経済産業省令で定めるところにより、他の一般用電気供給者と共同して負担することができるものとすること。      (第五十七条の三第二項関係)
  3 電気事業者は、1及び2により一般用電気供給者が負担する1の費用の額の算定に当たっては、経済的合理性を有する額となるよう配慮しなければならないものとすること。
(第五十七条の三第三項関係)
第二 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の一部改正
 一 接続の請求を拒むことのできる事由の追加
   電気事業者が接続の請求を拒むことができる場合として、当該接続の請求に応じることにより、当該電気事業者が所有する発電設備(再生可能エネルギー発電設備を除く。)と当該電気事業者がその事業の用に供する変電用、送電用又は配電用の電気工作物との電気的な接続を電気の安定供給上支障があるものとして経済産業省令で定める限度まで停止したとしてもなお当該電気工作物に送電することができる電気の容量を超えた電気の供給を受けることとなることが合理的に見込まれるときを追加するものとすること。                            (第五条第一項第二号関係)
 二 接続検討等
  1 再生可能エネルギー発電設備を用いて発電しようとする者であって第六条第一項の認定を受けようとするもの(特定供給者を含む。)は、電気事業者に対し、経済産業省令で定めるところにより、当該再生可能エネルギー発電設備(認定発電設備を含む。)と当該電気事業者がその事業の用に供する変電用、送電用又は配電用の電気工作物とを電気的に接続すること(以下「系統接続」という。)についての技術的な検討(以下「接続検討」という。)を申し込むものとすること。 
                              (第五条の二第一項関係)
  2 電気事業者は、1による申込みがあった場合には、経済産業省令で定めるところにより、接続検討を行うものとすること。                       (第五条の二第二項関係)
  3 電気事業者は、接続検討の結果、当該接続検討に係る系統接続が可能であると認める場合にあっては1による申込みをした者に対しその旨を通知し、当該系統接続が困難であると認める場合又は当該申込みのあった日から経済産業省令で定める期間以内に接続検討を終えることができないと見込まれる場合にあってはその旨及びその理由を経済産業省令で定めるところにより広域的運営推進機関に報告するとともに、当該者に対し当該報告をした旨及びその内容を通知しなければならないものとすること。                              (第五条の二第三項関係)
  4 広域的運営推進機関は、3による報告を受けたときは、当該報告に係る系統接続について、送配電等業務指針に照らし、かつ、広域的な周波数の調整及び連系線(一般電気事業者の供給区域と他の一般電気事業者の供給区域とを連系する送電設備をいう。)の活用を考慮して、確認又は検証を行い、経済産業省令で定めるところにより、その結果を当該報告をした電気事業者に対し通知するものとすること。この場合において、広域的運営推進機関は、必要があると認めるときは、理由を付して3による報告をした電気事業者に改めて接続検討を行うよう求めることができるものとすること。
(第五条の二第四項関係)
  5 広域的運営推進機関が、4により、4の確認又は検証の結果当該確認又は検証に係る系統接続が困難であると認める旨又は当該系統接続に係る1による申込みのあった日から3の経済産業省令で定める期間以内に接続検討を終えることができないことについて正当な理由があると認める旨を通知する場合は、当該通知を受けた電気事業者は、当該申込みをした者に対しその旨を通知しなければならないものとすること。                        (第五条の二第五項関係)
  6 電気事業者は、4による求めがあった場合には、経済産業省令で定めるところにより、改めて接続検討を行い、その結果(4の確認又は検証の結果を含む。)を1による申込みをした者に対し通知しなければならないものとすること。                 (第五条の二第六項関係)
  7 電気事業者及び広域的運営推進機関は、接続検討又は4の確認若しくは検証の実施状況、電力系統の運用状況(他の電気事業者の電力系統と電気的に接続する電力系統の運用状況を含む。)その他経済産業省令で定める事項を公表しなければならないものとすること。  (第五条の二第七項関係)
第三 電気事業法の一部を改正する法律(平成二十五年法律第七十四号)の一部改正
 一 広域的運営推進機関の目的の具体化
   広域的運営推進機関の目的である電気事業の遂行に当たっての広域的運営を推進することの例示として、電気の安定供給の確保を図り、及び電気についてエネルギー源としての再生可能エネルギー源の利用の促進に資するための広域的な電気の需給の調整を追加するものとすること。
(第二十八条の四関係)
 二 広域的運営推進機関の業務の見直し等
  1 送配電等業務を行う者に特定電気事業者を追加するものとすること。
(第二十八条の四十第三号関係)
  2 送配電等業務についての電気供給事業者からの苦情の処理及び紛争の解決の例示として、第一の二1及び三1の費用に関することを追加するものとすること。    (第二十八条の四十第六号関係)
第四 附則
 一 施行期日
   この法律は、平成二十七年四月一日から施行するものとすること。ただし、第三並びに二及び三は、公布の日から施行するものとすること。                   (附則第一条関係)
 二 電気のエネルギー源としての再生可能エネルギー源の利用の促進
   政府は、電気についてエネルギー源としての再生可能エネルギー源の利用の一層の促進を図るため、電気事業を営む者その他の関係者との連携を図りつつ、これらの者が行う送電の用に供する電線路及びこれに附属する設備の施設又は増強、揚水式発電設備の施設又は活用、蓄電池の普及の促進等に対する支援その他必要な措置を講ずるものとすること。               (附則第二条関係)
 三 検討
   政府は、電気事業法の一部を改正する法律附則第十一条の規定に基づく電気事業に係る制度の抜本的な改革の実施状況を踏まえ、電気供給事業者及び電気の小売業を営む者が、実際の電気の需給の時にできる限り近い時まで、発電又は電気の小売に係る需給量を調整することができる電気の売買取引に係る制度の整備について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
(附則第三条関係)
 四 その他
   その他所要の規定の整備を行うものとすること。

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