衆議院

メインへスキップ



中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する法律案要綱


第一 目的
  この法律は、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進を図るため、その基本理念、農林水産大臣が策定する基本指針等について定めるとともに、条件不利地域農業生産継続推進事業について、その事業計画の認定の制度を設けるとともに、これを推進するための措置等について定め、もって中山間地域その他の条件不利地域において農業生産活動の維持を図り、あわせて多面的機能(食料・農業・農村基本法第三条に規定する多面的機能をいう。以下同じ。)の維持に資することを目的とすること。
(第1条関係)

第二 基本理念
  中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進は、中山間地域その他の条件不利地域において営まれる農業が、我が国の農業において重要な地位を占めているとともに、これに係る多面的機能が国民に多くの恵沢をもたらしているにもかかわらず、中山間地域その他の条件不利地域においては農業生産活動を継続することが他の地域より困難であることに鑑み、農業の生産条件の不利を補正することを旨として実施されなければならないこと。
(第2条関係)

第三 定義
 一 この法律において「中山間地域その他の条件不利地域」とは、次に掲げるものをいうこと。
  1 特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律第二条第四項の規定に基づき公示された特定農山村地域
  2 山村振興法第七条第一項の規定に基づき指定された振興山村
  3 過疎地域自立促進特別措置法第二条第二項の規定に基づき公示された過疎地域(同法第三十三条第一項又は第二項の規定により過疎地域とみなされる区域を含む。)
  4 半島振興法第二条第一項の規定に基づき指定された半島振興対策実施地域
  5 離島振興法第二条第一項の規定に基づき指定された離島振興対策実施地域
  6 沖縄振興特別措置法第三条第一号に規定する沖縄
  7 奄美群島振興開発特別措置法第一条に規定する奄美群島
  8 小笠原諸島振興開発特別措置法第四条第一項に規定する小笠原諸島
  9 その他農業の生産条件が不利な地域として農林水産大臣が定める地域
 二 この法律において「条件不利地域農業生産継続推進事業」とは、中山間地域その他の条件不利地域において、農業生産活動の継続的な実施を推進し、あわせて多面的機能の維持に資するため、農業者その他の農林水産省令で定める者(以下「農業者等」という。)が実施する事業をいうこと。
 三 この法律において「農用地」とは、耕作の目的又は主として耕作若しくは養畜の事業のための採草若しくは家畜の放牧の目的に供される土地をいうこと。
(第3条関係)

第四 基本指針
 一 農林水産大臣は、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する基本指針(以下「基本指針」という。)を定めるものとすること。
 二 基本指針においては、次に掲げる事項につき、第五の一の基本方針の指針となるべきものを定めるものとすること。
  1 中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進の意義及び目標に関する事項
  2 条件不利地域農業生産継続推進事業の実施を推進すべき区域の設定に関する基本的な事項
  3 条件不利地域農業生産継続推進事業に関する基本的な事項
  4 1から3までに掲げるもののほか、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する重要事項
 三 基本指針は、次に掲げる事項に配慮されたものでなければならないこと。
  1 中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進は、農業振興地域の整備に関する法律第八条第二項第一号に規定する農用地区域内の農用地に係るものだけでなく、これを必要とするあらゆる農用地に係るものについて行われなければならないこと。
  2 中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進は、対象となる農用地についての勾配及び自然条件による規模若しくは形状の制約又は利用の集積に当たっての制約、離島等地域全体としての生産に要する費用の過重な負担その他農業の生産条件を不利にする多様な要因が考慮されなければならないこと。
  3 中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進は、その成果が適切に評価され、その結果が中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する措置に適切に反映されるよう行われなければならないこと。
  4 中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に当たっては、多額の経費を要する活動について必要に応じ複数年にわたり資金を積み立てた上で実施する等その効率的かつ効果的な実施が確保されなければならないこと。
 四 農林水産大臣は、基本指針を定めようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならないこと。
 五 農林水産大臣は、基本指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、関係行政機関の長及び都道府県知事に通知しなければならないこと。
 六 三から五までは、基本指針の変更について準用すること。
(第4条関係)

第五 基本方針
 一 都道府県知事は、基本指針に即して、当該都道府県の区域内について、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めることができること。
 二 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとすること。
  1 中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進の目標
  2 条件不利地域農業生産継続推進事業の実施を推進すべき区域の基準
  3 第六の一の促進計画の作成に関する事項
  4 1から3までに掲げるもののほか、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する事項
 三 都道府県知事は、基本方針を定めようとするときは、農林水産大臣に協議しなければならないこと。
 四 都道府県知事は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、関係市町村に通知し、かつ、農林水産大臣に報告しなければならないこと。
 五 三及び四は、基本方針の変更について準用すること。
(第5条関係)

第六 促進計画
 一 市町村は、基本方針に即して、当該市町村の区域内について、中山間地域その他の条件不利地域における農業生産活動の継続の促進に関する計画(以下「促進計画」という。)を作成することができること。
 二 促進計画においては、次に掲げる事項を定めるものとすること。
  1 促進計画の区域
  2 促進計画の目標
  3 1の区域内においてその実施を推進する条件不利地域農業生産継続推進事業に関する事項
  4 1の区域内において特に重点的に条件不利地域農業生産継続推進事業の実施を推進する区域を定める場合にあっては、その区域
  5 1から4までに掲げるもののほか、促進計画の実施に関し当該市町村が必要と認める事項
 三 促進計画は、農業振興地域整備計画その他法律の規定による地域の農業の振興に関する計画との調和が保たれたものでなければならないこと。
 四 市町村は、促進計画を作成しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議しなければならないこと。
 五 市町村は、促進計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、都道府県知事に当該促進計画の写しを送付しなければならないこと。
 六 三から五までは、促進計画の変更について準用すること。
(第6条関係)

第七 事業計画の認定
 一 促進計画に基づいて当該促進計画に定められた第六の二の1の区域内において条件不利地域農業生産継続推進事業を実施しようとする農業者等は、その実施しようとする条件不利地域農業生産継続推進事業に関する計画(以下「事業計画」という。)を作成し、当該促進計画を作成した市町村(以下「特定市町村」という。)の認定を申請することができること。
 二 事業計画においては、次に掲げる事項を記載しなければならないこと。
  1 条件不利地域農業生産継続推進事業の目標
  2 条件不利地域農業生産継続推進事業の内容に関する次に掲げる事項
   (1) 条件不利地域農業生産継続推進事業の種類及び実施区域
   (2) 条件不利地域農業生産継続推進事業に係る農業生産活動の内容、当該農業生産活動の継続的な実施を推進するための活動の内容その他農林水産省令で定める事項
  3 条件不利地域農業生産継続推進事業の実施期間
  4 その他農林水産省令で定める事項
 三 特定市町村は、一の認定の申請があった場合において、その事業計画が次に掲げる要件のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとすること。
  1 当該事業計画が促進計画に照らし適切なものであること。
  2 当該事業計画に定める事項が当該事業計画に係る条件不利地域農業生産継続推進事業を確実に実施するために適切なものであること。
  3 当該事業計画に記載された条件不利地域農業生産継続推進事業の実施区域(当該事業計画に二以上の条件不利地域農業生産継続推進事業が記載されている場合にあっては、その全ての実施区域)内に、現に耕作又は養畜の目的に供されておらず、かつ、引き続き耕作又は養畜の目的に供されないと見込まれる農用地として農林水産省令で定めるものがないこと。
 四 特定市町村は、一の認定をしたときは、遅滞なく、当該認定に係る事業計画の概要(当該認定に係る事業計画に、第六の二の4により定められた区域内において実施される条件不利地域農業生産継続推進事業が記載されている場合にあっては、その旨を含む。)を公表しなければならないこと。
 五 一の認定の手続については、申請する者の負担ができるだけ軽減されるよう配慮されるものとすること。
(第7条関係)

第八 事業計画の変更等
 一 第七の一の認定を受けた農業者等(以下「認定農業者等」という。)は、当該認定に係る事業計画の変更をしようとするときは、特定市町村の認定を受けなければならないこと。ただし、その変更が農林水産省令で定める軽微な変更であるときは、この限りでないこと。
 二 特定市町村は、認定農業者等が第七の一の認定に係る事業計画(一の変更の認定又は一のただし書の農林水産省令で定める軽微な変更があったときは、その変更後のもの。以下第八において「認定事業計画」という。)に従って当該認定事業計画に記載された条件不利地域農業生産継続推進事業(以下「認定事業」という。)を実施していないと認めるときは、当該認定を取り消すことができること。
 三 特定市町村は、認定事業計画が第七の三の1から3までのいずれかに適合しないものとなったと認めるときは、認定農業者等に対し、当該認定事業計画の変更を指示し、又は第七の一の認定を取り消すことができること。
 四 第七の三から五までは、認定事業計画の変更について準用すること。
(第8条関係)

第九 費用の補助
 一 特定市町村は、認定農業者等に対し、認定事業の実施に要する費用の一部を補助することができること。
 二 国は、都道府県が、一による補助をする特定市町村に対し当該補助に要する費用の一部を補助する場合には、当該都道府県に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、当該補助に要する費用の一部を補助することができること。
(第9条関係)

第十 国等の援助等
 一 国及び関係地方公共団体は、認定農業者等に対し、認定事業の確実かつ効果的な実施に関し必要な助言、指導その他の援助を行うよう努めるものとすること。
 二 農林水産大臣、関係行政機関の長、関係地方公共団体及び認定農業者等は、認定事業の円滑な実施が促進されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならないこと。
(第10条関係)

第十一 報告の徴収
  特定市町村の長は、この法律の施行に必要な限度において、認定農業者等に対し、認定事業の実施状況について報告を求めることができること。
(第11条関係)

第十二 罰則
  第十一の報告に係る罰則について所要の規定を設けるものとすること。
(第12条関係)

第十三 その他
 一 施行期日
   この法律は、平成二十八年四月一日から施行すること。
 二 検討
   政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
 三 その他
   その他所要の規定の整備を行うこと。
(附則関係)

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.