衆議院

メインへスキップ




   合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律案要綱


第一 総則
 一 目的(第一条関係)
   この法律は、我が国又は外国における違法な森林の伐採(以下「違法伐採」という。)及び違法伐採に係る木材の流通が地球温暖化の防止、自然環境の保全、林産物の供給等の森林の有する多面にわたる機能に影響を及ぼすおそれがあり、また、木材市場における公正な取引を害するおそれがあるものであることに鑑み、合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関し基本的な事項を定めるとともに、木材関連事業者による合法伐採木材等の利用の確保のための措置等を講ずることにより、自然環境の保全に配慮した木材産業の持続的かつ健全な発展を図り、もって地域及び地球の環境の保全に資することを目的とすること。
 二 定義(第二条関係)
  1 この法律において「木材等」とは、木材(一度使用され、又は使用されずに収集され、若しくは廃棄されたもの及びこれらを材料とするものを除く。以下二において同じ。)及び木材を加工し、又は主たる原料として製造した家具、紙等の物品であって主務省令で定めるもの(一度使用され、又は使用されずに収集され、若しくは廃棄されたものを除く。)をいうこと。
  2 この法律において「合法伐採木材等」とは、我が国又は原産国の法令(我が国の法令にあっては、条例を含む。第三の一の1において同じ。)に適合して伐採された樹木を材料とする木材及び当該木材を加工し、又は主たる原料として製造した家具、紙等の物品であって主務省令で定めるもの(一度使用され、又は使用されずに収集され、若しくは廃棄されたものを除く。)をいうこと。
  3 この法律において「木材関連事業者」とは、木材等の製造、加工、輸入、輸出又は販売(消費者に対する販売を除く。)をする事業、木材を使用して建築物その他の工作物の建築又は建設をする事業その他木材等を利用する事業であって主務省令で定めるものを行う者をいうこと。
第二 基本方針等
 一 基本方針(第三条関係)
   主務大臣は、合法伐採木材等の流通及び利用を総合的かつ計画的に推進するため、合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する基本方針(第三の二において単に「基本方針」という。)を定めるものとすること。
 二 国の責務(第四条関係)
1 国は、合法伐採木材等の流通及び利用を促進するために必要な資金の確保その他の措置を講ずるよう努めなければならないこと。
2 国は、合法伐採木材等の流通及び利用の促進に資するため、国内外の木材等の生産及び流通の状況並びに我が国及び外国の森林の持続可能な利用に関する法令、貿易等に関する法令その他木材等の適正な流通の確保に関する法令に関する情報の収集及び提供その他の必要な措置を講ずるとともに、第四の一の木材関連事業者の登録が促進されるよう、当該登録に係る制度の周知、第四の六の1の登録木材関連事業者による取組のうちその状況が優良なものの公表その他の必要な措置を講ずるものとすること。
3 国は、教育活動、広報活動等を通じて、合法伐採木材等の流通及び利用を促進する意義に関する事業者及び国民の理解を深めるよう必要な措置を講ずるものとすること。
 三 事業者の責務(第五条関係)
   事業者は、木材等を利用するに当たっては、合法伐採木材等を利用するよう努めなければならないこと。
第三 木材関連事業者の判断の基準となるべき事項等
 一 木材関連事業者の判断の基準となるべき事項(第六条関係)
   主務大臣は、合法伐採木材等の流通及び利用を促進するため、主務省令で、木材関連事業者が合法伐採木材等の利用を確保するために取り組むべき措置に関し、木材関連事業者の判断の基準となるべき次に掲げる事項を定めるものとすること。
  1 木材関連事業者が取り扱う木材等が我が国又は原産国の法令に適合して伐採されていることの確認に関する事項
  2 1の確認ができない場合において合法伐採木材等の利用を確保するために木材関連事業者が追加的に実施することが必要な措置に関する事項
  3 木材関連事業者が木材等を譲り渡すときに必要な措置に関する事項
  4 1の確認及び2の措置に係る記録の管理に関する事項その他主務省令で定める事項
 二 一の木材関連事業者の判断の基準となるべき事項は、基本方針に即し、かつ、国内外の木材等の生産及び流通の状況、我が国及び外国の森林の持続可能な利用に関する法令、貿易等に関する法令その他木材等の適正な流通の確保に関する法令の執行の状況、木材関連事業者の営む事業の種類その他の事情を勘案して定めるものとし、これらの事情の変動に応じて必要な改定をするものとすること。
 三 指導及び助言(第七条関係)
   主務大臣は、合法伐採木材等の流通及び利用を促進するため必要があると認めるときは、木材関連事業者に対し、一の木材関連事業者の判断の基準となるべき事項を勘案して、合法伐採木材等の利用を確保するための措置について必要な指導及び助言をすることができること。
第四 木材関連事業者の登録
 一 木材関連事業者の登録(第八条関係)
   木材関連事業者であってその取り扱う木材等について合法伐採木材等の利用を確保するための措置を講ずるものは、主務省令で定めるところにより、第五の一の主務大臣の登録を受けた者(以下「登録実施機関」という。)が行う登録を受けることができること。
 二 登録の申請(第九条関係)
   一の木材関連事業者の登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を登録実施機関に提出しなければならないこと。
  1 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
  2 合法伐採木材等の利用を確保するための措置を講ずる事業の範囲に係る事項として主務省令で定める事項
 三 登録の実施(第十条関係)
  1 登録実施機関は、二による登録の申請があったときは、四により登録を拒否する場合を除き、木材関連事業者登録簿に登録しなければならないこと。
  2 登録実施機関は、1による登録をしたときは、遅滞なく、その旨を登録の申請者に通知するとともに、主務省令で定める事項を公示しなければならないこと。
 四 登録の拒否(第十一条関係)
   登録実施機関は、二による登録の申請が次のいずれかに該当するときは、その登録を拒否しなければならないこと。
  1 申請者が、第三の一の木材関連事業者の判断の基準となるべき事項を踏まえ、その取り扱う木材等について合法伐採木材等の利用を確保するための措置を適切かつ確実に講ずる者と認められないとき。
  2 申請者がこの法律の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から一年を経過しない者であるとき。
  3 申請者が七により登録を取り消され、その取消しの日から一年を経過しない者であるとき。
  4 申請者が法人である場合において、その役員のうちに2又は3のいずれかに該当する者があるとき。
 五 登録の更新(第十二条関係)
   一の木材関連事業者の登録は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失うこと。
 六 名称の使用等(第十三条関係)
  1 一の木材関連事業者の登録を受けた者(以下「登録木材関連事業者」という。)は、主務省令で定めるところにより、当該登録に係る合法伐採木材等の利用を確保するための措置を講ずる事業の範囲において、登録木材関連事業者という名称を用いることができること。
  2 登録木材関連事業者は、1に定める場合を除き、登録木材関連事業者という名称又はこれに紛らわしい名称を用いてはならないこと。
  3 登録木材関連事業者以外の者は、登録木材関連事業者という名称又はこれに紛らわしい名称を用いてはならないこと。
 七 登録の取消し(第十四条関係)
   登録実施機関は、登録木材関連事業者が次のいずれかに該当するときは、当該登録木材関連事業者について登録を取り消すことができること。
  1 四の1から4までのいずれかに該当するに至ったとき。
  2 六の2に違反して登録木材関連事業者という名称又はこれに紛らわしい名称を用いたとき。
  3 不正の手段により一の木材関連事業者の登録又はその更新を受けたとき。
 八 登録の抹消(第十五条関係)
   登録実施機関は、七による登録の取消しをしたとき又は登録の抹消の申請があったときは、当該登録木材関連事業者の登録を抹消するとともに、その旨を公示しなければならないこと。
第五 登録実施機関
 一 登録実施機関の登録(第十六条から第十九条まで関係)
  1 第四の一の主務大臣の登録(以下「登録実施機関の登録」という。)は、木材関連事業者の登録の実施に関する事務(以下「登録実施事務」という。)を行おうとする者の申請により行うこと。
  2 1のほか、欠格条項、登録の要件、登録の更新その他登録実施機関の登録につき所要の規定を設けること。
 二 登録実施の義務(第二十条関係)
  1 登録実施機関は、登録実施事務を行うことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、登録実施事務を行わなければならないこと。
  2 登録実施機関は、公正に、かつ、主務省令で定める基準に適合する方法により登録実施事務を行わなければならないこと。
 三 その他(第二十一条から第三十条まで関係)
   一及び二のほか、登録実施機関の事務、監督等につき所要の規定を設けること。
第六 雑則
 一 適切な連携(第三十一条関係)
   国は、合法伐採木材等の流通及び利用の促進に当たっては、合法伐採木材等への需要の転換に寄与する活動を行う事業者、民間の団体等との適切な連携を図るものとすること。
 二 国際協力の推進(第三十二条関係)
   国は、木材資源の相当部分を輸入に依存する我が国において合法伐採木材等の流通及び利用を促進するためには、原産国においてその法令に適合した森林の伐採が確保されることが重要であることに鑑み、外国における違法伐採の抑止のための国際的な連携の確保その他の合法伐採木材等の流通及び利用に関する国際協力を推進するために必要な措置を講ずるものとすること。
 三 報告及び立入検査(第三十三条関係)
  1 主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、木材関連事業者に対し、合法伐採木材等の利用の確保の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、木材関連事業者の事務所、工場、事業場若しくは倉庫に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができること。
  2 主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、登録実施機関に対し、その業務に関し報告をさせ、又はその職員に、登録実施機関の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができること。
 四 主務大臣等(第三十四条関係)
  1 この法律における主務大臣は、農林水産大臣、経済産業大臣及び国土交通大臣とすること。ただし、第三の三の指導及び助言に関する事項並びに三の1の報告の徴収及び立入検査に関する事項については、農林水産大臣及び当該木材関連事業者の事業を所管する大臣とすること。
  2 この法律における主務省令は、主務大臣の発する命令とすること。
 五 省令への委任(第三十五条関係)
   この法律に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、主務省令で定めること。
第七 罰則(第三十六条から四十条まで関係)
 一 登録実施機関の登録実施事務の停止の命令に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処すること。
 二 次のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処すること。
  1 第四の六の3に違反した者
  2 登録実施事務の休廃止の届出をせず、又は虚偽の届出をした者
  3 登録実施機関の帳簿に所要の事項の記載をせず、虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかった者
  4 第六の三の2による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は第六の三の2による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
 三 第六の三の1による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は第六の三の1による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、二十万円以下の罰金に処すること。
 四 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関し一から三までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、罰金刑を科すること。
 五 登録実施機関の財務諸表等を備えて置かず、財務諸表等に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに木材関連事業者その他の利害関係人の請求を拒んだ者は、二十万円以下の過料に処すること。
第八 その他
 一 施行期日(附則第一項関係)
   この法律は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行すること。
 二 経過措置(附則第二項関係)
   この法律の施行の際現に登録木材関連事業者という名称又はこれに紛らわしい名称を用いている者については、第四の六の3は、この法律の施行後六月間は、適用しないこと。
 三 検討(附則第三項関係)
   政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
 四 登録免許税法の一部改正(附則第四項関係)
   登録木材関連事業者及び登録実施機関の登録免許税につき、所要の規定を整備すること。

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.