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   宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律案要綱


第一 目的等
 一 目的                                     (第一条関係)
   この法律は、宇宙基本法の基本理念にのっとり、宇宙資源の探査及び開発に関し、同法に基づき宇宙活動に係る規制等について定める人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律(以下「宇宙活動法」という。)の規定による許可の特例を設けるとともに、宇宙資源の所有権の取得その他必要な事項を定めることにより、宇宙の開発及び利用に関する諸条約の的確かつ円滑な実施を図りつつ、民間事業者による宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動を促進することを目的とすること。
 二 定義                                     (第二条関係)
  1 この法律において「宇宙資源」とは、月その他の天体を含む宇宙空間に存在する水、鉱物その他の天然資源をいうこと。
  2 この法律において「宇宙資源の探査及び開発」とは、次のいずれかに掲げる活動(専ら科学的調査として又は科学的調査のために行うものを除く。)をいうこと。
   (1) 宇宙資源の採掘、採取その他これに類するものとして内閣府令で定める活動((2)及び第三において「採掘等」という。)に資する宇宙資源の存在状況の調査
   (2) 宇宙資源の採掘等及びこれに付随する加工、保管その他内閣府令で定める行為
第二 人工衛星の管理に係る許可の特例等
 一 人工衛星の管理に係る許可の特例                        (第三条関係)
  1 宇宙資源の探査及び開発を人工衛星の利用の目的として行う人工衛星の管理に係る宇宙活動法の許可(一において「宇宙資源の探査及び開発の許可」という。)を受けようとする者は、宇宙活動法に定める事項のほか、申請書に次に掲げる事項を定めた計画(以下「事業活動計画」という。)を併せて記載しなければならないこと。
   (1) 当該宇宙資源の探査及び開発の許可の申請に係る人工衛星を利用して行おうとする宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の目的
   (2) 宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の期間
   (3) 宇宙資源の探査及び開発を行おうとする場所
   (4) 宇宙資源の探査及び開発の方法
   (5) (2)から(4)までに掲げるもののほか、宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の内容
   (6) その他内閣府令で定める事項
  2 宇宙資源の探査及び開発の許可の申請については、内閣総理大臣は、当該申請が、宇宙活動法に定めるもののほか、次の(1)(2)のいずれにも適合していると認めるときでなければ、当該宇宙資源の探査及び開発の許可をしてはならないこと。
   (1) 事業活動計画が、宇宙基本法の基本理念に則したものであり、かつ、宇宙の開発及び利用に関する諸条約の的確かつ円滑な実施及び公共の安全の確保に支障を及ぼすおそれがないものであること。
   (2) 申請者が事業活動計画を実行する十分な能力を有すること。
  3 内閣総理大臣は、宇宙資源の探査及び開発の許可をしようとするときは、当該宇宙資源の探査及び開発の許可の申請が2(1)(2)に適合していると認めることについて、あらかじめ、経済産業大臣に協議しなければならないこと。
  4 人工衛星の利用の目的を変更して宇宙資源の探査及び開発をその利用の目的とするための宇宙活動法の変更の許可を受けようとする者及び当該許可をしようとするときについても、1から3までと同様とすること。
 二 公表                                     (第四条関係)
   内閣総理大臣は、宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動を国際的協調の下で促進するとともに、宇宙資源の探査及び開発に関する紛争の防止に資するため、宇宙資源の探査及び開発の許可等をしたときは、その旨及び次に掲げる事項をインターネットの利用その他適切な方法により、遅滞なく、公表するものとすること。ただし、公表することにより、当該宇宙資源の探査及び開発の許可等を受けて宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動を行う者の当該事業活動に係る利益が不当に害されるおそれがある場合として内閣府令で定める場合は、その全部又は一部を公表しないことができること。
  1 当該宇宙資源の探査及び開発の許可等を受けた者の氏名又は名称
  2 一の1(1)から(5)までに掲げる事項
  3 その他内閣府令で定める事項
第三 宇宙資源の所有権の取得                            (第五条関係)
  宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動を行う者が宇宙資源の探査及び開発に係る許可等に係る事業活動計画の定めるところに従って採掘等をした宇宙資源については、当該採掘等をした者が所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得すること。
第四 国の施策
 一 国際約束の誠実な履行等                            (第六条関係)
  1 この法律の施行に当たっては、我が国が締結した条約その他の国際約束の誠実な履行を妨げることがないよう留意しなければならないこと。
  2 この法律のいかなる規定も、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用の自由を行使する他国の利益を不当に害するものではないこと。
 二 国際的な制度の構築及び連携の確保等                      (第七条関係)
  1 国は、国際機関その他の国際的な枠組みへの協力を通じて、各国政府と共同して国際的に整合のとれた宇宙資源の探査及び開発に係る制度の構築に努めるものとすること。
  2 国は、民間事業者による宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動に関し、国際間における情報の共有の推進、国際的な調整を図るための措置その他の国際的な連携の確保のために必要な施策を講ずるものとすること。
  3 国は、1及び2の施策を講ずるに当たっては、我が国の宇宙資源の探査及び開発に関係する産業の健全な発展及び国際競争力の強化について適切な配慮をするものとすること。
 三 技術的助言等                                 (第八条関係)
   国は、宇宙基本法に規定する民間事業者による宇宙開発利用の促進に関する施策の一環として、宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動を行う民間事業者に対し、当該事業活動に関する技術的助言、情報の提供その他の援助を行うものとすること。
第五 その他
 一 施行期日                                 (附則第一条関係)
   この法律は、原則として、公布の日から起算して六月を経過した日から施行すること。
 二 検討条項                                 (附則第四条関係)
   政府は、この法律の施行の状況、科学技術の進展の状況、第四の二の1に規定する制度の構築に向けた取組の状況等を勘案して、民間事業者による宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動に関する法制度の在り方について抜本的な見直しを含め検討を行い、その結果に基づき、法制の整備その他の所要の措置を講ずるものとすること。
 三 宇宙活動法の一部改正                           (附則第五条関係)
   日本国籍を有する船舶若しくは航空機又は我が国が管轄権を有する人工衛星として内閣府令で定めるものに搭載された人工衛星管理設備を用いて人工衛星の管理を行う場合についても、宇宙活動法の許可の対象とすること。
 四 その他
   その他所要の規定の整備を行うこと。

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