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新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案要綱

一 趣旨                         (第1条関係)
  この法律は、新型コロナウイルス感染症をはじめとする新型インフルエンザ等の急速なまん延に対処し、国民の生命及び健康を保護するため、新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関し、特別の措置その他必要な事項を定めるものとすること。

二 新型インフルエンザ等の治療に有用な適応外使用の医薬品に係る厚生労働大臣の指定制度の導入等               (第2条関係)
 1 厚生労働大臣は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に規定する政府対策本部が設置され、かつ、新型インフルエンザ等の発生及びまん延の状況に関する指標を踏まえ国民の生命及び健康を保護するため緊急の必要があると認める場合であって、新型インフルエンザ等の治療に関し優れた使用価値を有する医薬品について製造販売の承認を受けているものがないときにおいて、次のいずれにも該当する医薬品について、新型インフルエンザ等の治療に関し使用価値を有すると認めるときは、政府対策本部が廃止されるまでの間、当該医薬品を新型インフルエンザ等治療用特定医薬品として指定することができること。
  @ 新型インフルエンザ等の治療以外の用途に係る製造販売の承認を受けている医薬品(新型インフルエンザ等の治療に係る製造販売の承認を受けていないものに限る。)であって、当該医薬品の副作用が既に知られているもの
  A 医事若しくは薬事又は自然科学に関する雑誌その他の刊行物であって、世界に広く知られているものとして厚生労働大臣が定めるものに掲載された最新の論文その他により得られた医学的及び薬学的知見に基づき、新型インフルエンザ等の治療において有用性が認められる医薬品であって、その有用性に比して著しく有害な作用を有すると認められないもの
 2 1の指定は、医薬品の製造販売業者からの申請に基づき行うものとすること。ただし、当該申請を待ついとまがないときは、厚生労働大臣は、当該申請によらず、当該指定を行うことができるものとすること。
 3 厚生労働大臣は、1の指定を行うため必要があると認めるときは、新型インフルエンザ等に関する学会の意見を聴くことができること。
 4 国は、厚生労働大臣が医薬品の製造販売業者からの申請によらないで1の指定を行った場合において、当該指定を受けた新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の製造販売業者が当該指定により損失を受けたときは、その損失に関し、必要な財政上の措置を講ずるものとすること。

三 情報の提供等                    (第3条関係)
  厚生労働大臣は、新型インフルエンザ等治療用特定医薬品として指定されることが見込まれる医薬品及び新型インフルエンザ等治療用特定医薬品に関し、最新の論文その他により得られた医学的及び薬学的知見、我が国及び外国で実施された臨床試験の試験成績その他のこれらの医薬品の有効性及び安全性に関する情報の収集、整理、分析及び提供を行うものとすること。

四 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の使用に関する措置
 1 保険適用の法制化                 (第4条関係)
   新型インフルエンザ等治療用特定医薬品が新型インフルエンザ等の治療に使用された場合における医療保険各法等の規定の適用については、当該新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の使用は、療養の給付として行われたものとみなすこと。
 2 副作用救済給付の実施の法制化           (第5条関係)
  (1) 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品が新型インフルエンザ等の治療の目的に従い適切に使用された場合において、当該使用により人に有害な反応が発現したときは、当該反応を独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に規定する許可医薬品等の副作用とみなして、同法の規定を適用するとともに、必要な読替えを行うものとすること。
  (2) (1)により読み替えて適用する独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に規定する副作用救済給付業務であって新型インフルエンザ等治療用特定医薬品に係るものに必要な費用は、国の負担とすること。
  (3) (1)及び(2)に定めるもののほか、(2)の副作用救済給付業務に関し必要な事項は、政令で定めること。

五 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の確保等    (第6条関係)
 1 国は、新型インフルエンザ等治療用特定医薬品について、新型インフルエンザ等の発生及びまん延の状況に照らして必要となることが予測される数量を確保するため、当該新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の製造販売業者との連携協力を図りつつ、当該新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の買取りその他の必要な措置を講ずるとともに、当該新型インフルエンザ等治療用特定医薬品が地方公共団体等に適時かつ適切に配分されるよう、必要な措置を講ずるものとすること。
 2 厚生労働大臣は、新型インフルエンザ等治療用特定医薬品について、1の措置を講じてもなお国内において需給が著しくひっ迫し、又はひっ迫するおそれがあり、これを早急に確保しなければ国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるときは、当該新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の製造販売業者に対する当該新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の増産の要請その他の必要な措置を講ずるものとすること。
 3 国は、2の製造販売業者が2の措置により損失を受けた場合には、その損失に関し、必要な財政上の措置を講ずるものとすること。

六 指定の失効及び取消し等          (第7条及び第8条関係)
  政府対策本部が廃止された場合等の指定の失効及び新型インフルエンザ等治療用特定医薬品に既知の副作用以外の健康被害が発生した場合等の指定の取消し等について定めること。

七 感染症に係る医薬品の生産体制の整備及び研究開発の推進に対する財政上の措置等                      (第9条関係)
 1 国は、新型インフルエンザ等その他の国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症に係る診断、治療又は予防に必要な医薬品の安定的な供給の確保が国民の生命及び健康の保護に資し、ひいては我が国の安全保障に寄与するものであることに鑑み、国内において当該医薬品を生産する体制の整備が図られるよう、必要な財政上又は税制上の措置その他の措置を講ずるものとすること。
 2 国は、1の医薬品の国内における研究開発を推進するため、当該医薬品の製造販売業者、研究機関、大学等が国との緊密な連携協力を図りながら行う当該医薬品の基礎的な研究開発から臨床試験に至る過程における取組に対する支援及び当該支援により開発された医薬品の買取りその他の施策を実施するために必要な財政上又は税制上の措置その他の措置を講ずるものとすること。

八 政令への委任                     (第10条関係)
  この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定めること。

九 附則
 1 施行期日                   (附則第1項関係)
   この法律は、公布の日から施行すること。
 2 検討                (附則第2項及び第3項関係)
  (1) 政府は、疾病の治療又は予防に関し使用価値を有する医薬品について、当該疾病の発生及びまん延の状況、当該疾病にかかった場合の病状の程度その他の事情に照らして厚生労働大臣が特に必要と認める場合に、当該疾病に関する学会の意見を参考にして、その適正な使用の確保のために必要な条件及び期限を付してその使用を認める制度の整備について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
  (2) 政府は、国民の生命及び健康の保護の観点から必要不可欠な医薬品、医療機器及び再生医療等製品の国内における生産体制の整備及び研究開発の推進のための施策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。

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