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   副首都機能の整備の推進に関する法律案要綱


第一 総則
 一 目的
   この法律は、東京圏への政治、行政、経済等の中枢機能及び人口の一極集中により、東京圏とその他の地域との間における経済的格差が生じていること、災害その他非常の事態(以下「災害等」という。)の発生により首都中枢機能(東京圏における政治、行政、経済等の中枢機能をいう。以下同じ。)を維持することが困難となるおそれがあること及び我が国における少子化が進展し、人口の減少が継続するおそれがあることに鑑み、副首都機能の整備を推進するため、その基本理念を定め、国及び関係地方公共団体の責務を明らかにし、並びに副首都地域の指定及び副首都地域における副首都機能の整備の推進に関する基本方針について定めるとともに、副首都機能整備推進本部を設置することにより、政治、行政、経済等の中枢機能及び人口の一極集中を是正し、もって国民経済の発展及び国民生活の安定向上に資することを目的とすること。                      (第1条関係)
 二 定義
  1 この法律において「副首都機能」とは、東京圏と並ぶ我が国の経済の中心として我が国の経済の成長を牽(けん)引するとともに、災害等の発生により首都中枢機能の全部又は一部の機能を維持することが困難となった場合に当該機能を代替する機能をいうこと。                    (第2条第1項関係)
  2 この法律において「副首都地域」とは、副首都機能を整備すべき地域として内閣総理大臣が指定する地域をいうこと。         (第2条第2項関係)
 三 基本理念
  1 副首都機能の整備の推進は、経済基盤の強化、事業の高度化及び生産性の向上並びに新たな事業の創出の促進等により、副首都地域における産業競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成を図ることを旨として行われなければならないものとすること。                  (第3条第1項関係)
  2 副首都機能の整備の推進は、災害等の発生により首都中枢機能の全部又は一部の機能を維持することが困難となった場合において、国民生活及び経済活動に及ぼす影響が最小となるようにするため、副首都地域において迅速かつ確実に当該機能を代替することができるようにすることを旨として行われなければならないものとすること。                   (第3条第2項関係)
  3 副首都機能の整備の推進は、東京圏をはじめとする産業及び人口が集積している地域における少子化の進展の状況に鑑み、副首都地域における少子化に的確に対処するため、良好な子育て環境を整備することを旨として行われなければならないものとすること。                 (第3条第3項関係)
  4 副首都機能の整備の推進に当たっては、地域の創意工夫及び民間の活力を生かして、効果的かつ効率的に行われるようにしなければならないものとすること。
                          (第3条第4項関係)

 四 国の責務等
  1 国の責務
    国は、三の基本理念にのっとり、副首都機能の整備の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有するものとすること。    (第4条第1項関係)
    国は、広報活動等を通じて、副首都機能の整備が我が国の経済の成長並びに災害等の発生時における国民生活及び経済活動の維持に果たす役割に関する国民の理解を深めるよう努めなければならないものとすること。
                             (第4条第2項関係)
  2 関係地方公共団体の責務
    関係地方公共団体は、三の基本理念にのっとり、副首都地域における副首都機能の整備の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有するものとすること。                            (第5条関係)
  3 関係者相互の連携及び協力
    国、関係地方公共団体、関係事業者その他の関係者は、副首都地域における副首都機能の整備を推進するため、相互に連携を図りながら協力するよう努めるものとすること。                       (第6条関係)
第二 副首都地域における副首都機能の整備の推進
 一 副首都地域の指定等
  1 副首都地域の指定
    副首都地域の指定は、この法律の施行後1年以内を目途として、次の要件のいずれにも該当する地域のうちから、行うものとすること。
    ア 人口及び都市機能の集積の程度が高く、経済活動が活発に行われている地域であること。
    イ 東京圏が災害により著しい被害を受ける場合に同一の災害により著しい被害を受けるおそれが少ないと見込まれる地域であること。
                             (第7条第1項関係)
    のほか、副首都地域の指定に際しての関係地方公共団体からの意見の聴取その他の副首都地域の指定の手続に関し必要な事項は、別に法律で定めるものとすること。                    (第7条第2項関係)
  2 副首都地域会議
    副首都地域の指定があったときは、当該副首都地域における副首都機能の整備を国及び関係地方公共団体が相互に連携協力して一体的に推進するために必要な協議を行うため、別に法律で定めるところにより、副首都機能整備担当大臣、関係地方公共団体の長等で組織する副首都地域会議を設けるものとすること。
(第8条関係)
 二 基本方針
  1 基本方針に基づく副首都地域における副首都機能の整備の推進
    国及び関係地方公共団体は、副首都地域の指定があったときは、からまでに定める基本方針(2において「基本方針」という。)に基づき、当該副首都地域における副首都機能の整備を推進するものとすること。     (第9条関係)
    経済基盤の強化
     副首都地域における副首都機能の整備の推進に当たっては、経済基盤の強化を図るため、副首都地域内及び国内外の他の地域との間の交流及び物資の流通を促進するための交通施設の整備並びに交通の利便性の向上及び円滑化の促進、国際会議場施設の整備その他の都市機能の増進に寄与するまちづくりの推進、安定的かつ適切なエネルギーの需給構造の構築の促進その他の必要な措置が講ぜられなければならないものとすること。          (第10条関係)
    事業の高度化及び生産性の向上並びに新たな事業の創出の促進
     副首都地域における副首都機能の整備の推進に当たっては、事業の高度化及び生産性の向上並びに新たな事業の創出の促進を図るため、必要な規制緩和の推進、国及び関係地方公共団体が保有するデータの事業者による活用の促進、起業を志望する者及び新たに事業を開始した者に対する助言、情報の提供その他の支援を行う事業者に対する援助、外国法人又は外国人若しくは外国法人が経営を支配する法人によるその事業の用に供する施設の新増設の促進その他の必要な措置が講ぜられなければならないものとすること。   (第11条関係)
    人材の育成及び確保
     副首都地域における副首都機能の整備の推進に当たっては、副首都地域における産業競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に寄与する人材の育成及び確保を図るため、教育の充実並びに職業能力の開発及び向上の促進、高度の専門的な能力を有する外国人の受入れの促進その他の必要な措置が講ぜられなければならないものとすること。            (第12条関係)
    首都中枢機能の代替
     副首都地域における副首都機能の整備の推進に当たっては、災害等の発生により首都中枢機能の全部又は一部の機能を維持することが困難となった場合に副首都地域において迅速かつ確実に当該機能を代替することができるよう、必要な施設の確保及び体制の整備、首都中枢機能の代替のための拠点の形成に資する副首都地域への国の行政機関の官署及び独立行政法人の事務所の移転、副首都地域における災害等による被害の発生を防止し、又は軽減するために必要な公共施設等の整備その他の必要な措置が講ぜられなければならないものとすること。                         (第13条関係)
    良好な子育て環境の整備
     副首都地域における副首都機能の整備の推進に当たっては、良好な子育て環境を整備するため、妊娠、出産、育児等の各段階に応じた支援の充実、全ての子どもが等しく質の高い教育を受ける機会の確保、子どもの養育及び成長に適した良質な住宅及び良好な居住環境の確保その他の必要な措置が講ぜられなければならないものとすること。                (第14条関係)
    地域の創意工夫及び民間の活力
     副首都地域における副首都機能の整備の推進に当たっては、副首都機能の整備に地域の創意工夫及び民間の活力を生かすため、国から関係地方公共団体への必要な権限の移譲、副首都地域内の市町村とこれを包括する道府県の事務の分担及び事務の処理に当たっての連携の在り方の見直し、民間の資金、経営能力及び技術的能力の活用その他の必要な措置が講ぜられなければならないものとすること。                       (第15条関係)
  2 財政上の措置等
    政府は、基本方針に基づく施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるものとすること。                 (第16条関係)

第三 副首都機能整備推進本部
 一 設置
   副首都機能の整備の推進を総合的かつ集中的に行うため、内閣に、副首都機能整備推進本部(以下「本部」という。)を置くものとすること。   (第17条関係)
 二 所掌事務
   本部は、次に掲げる事務をつかさどるものとすること。
   副首都機能の整備の推進に関する総合調整に関すること。
   副首都地域の指定及び副首都地域会議に関し必要な法律案の立案に関すること。
   及びのほか、副首都機能の整備の推進に関する施策で重要なものの企画に関する審議及びその施策の実施の推進に関すること。
                                (第18条関係)
 三 組織
   本部は、副首都機能整備推進本部長(以下「本部長」という。)、副首都機能整備推進副本部長(以下「副本部長」という。)及び副首都機能整備推進本部員(以下「本部員」という。)をもって組織し、本部長は内閣総理大臣を、副本部長は内閣官房長官及び副首都機能整備担当大臣を、本部員は本部長及び副本部長以外の全ての国務大臣をもって充てるものとすること。     (第19条から第22条まで関係)
 四 副首都機能整備推進会議
   本部に副首都機能整備推進会議を置き、学識経験を有する者のうちから内閣総理大臣が任命する委員20人以内で組織するものとすること。
                        (第24条第1項及び第2項関係)
  
第四 施行期日等
 1 この法律は、公布の日から施行すること。ただし、第三は、公布の日から起算して1月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。
                              (附則第1項関係)
 2 その他所要の規定の整備を行うこと。

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