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   公文書等の管理の適正化の推進に関する法律案要綱


第一 総則
 一 目的
   この法律は、公文書等(公文書等の管理に関する法律(以下「公文書管理法」という。)第二条第八項に規定する公文書等をいう。以下同じ。)の管理の適正化の推進について、その基本理念を定め、国の責務を明らかにし、及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、公文書等管理審議会を設置することにより、これを総合的かつ集中的に行うことを目的とすること。    (第一条関係)
 二 基本理念
  1 公文書等の管理の適正化の推進は、国及び独立行政法人等(公文書管理法第二条第二項に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることに鑑み、国民主権の理念にのっとり、行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に正確かつ確実に説明する責務が全うされるようにすることを基本として行われるものとすること。       (第二条第一項関係)
  2 公文書等の管理の適正化の推進は、公文書等に係る虚偽の記載又は記録、公文書等の改ざん、隠蔽及び不適正な廃棄その他公文書等の不適切な取扱いを防止するための措置が実効的に講じられるようにすることを基本として行われるものとすること。            (第二条第二項関係)
 三 国の責務
   国は、二の基本理念にのっとり、公文書等の管理の適正化を推進する責務を有するものとすること。
(第三条関係)
 四 法制上の措置等
  1 政府は、第二に定める基本方針に基づき、公文書等の管理の適正化を推進するものとし、このために必要な措置を講ずるものとすること。この場合において、必要となる法制上の措置については、この法律の施行後二年以内を目途として講じなければならないものとすること。(第四条第一項関係)
  2 内閣総理大臣は、1の法制上の措置を講じようとするときは、あらかじめ、公文書等管理審議会の意見を聴かなければならないものとすること。              (第四条第二項関係)
 五 国会への報告等
  1 政府は、この法律の施行後一年を目途として、四の1の法制上の措置に係る検討の状況に関する報告書を作成し、これを国会に提出しなければならないものとすること。   (第五条第一項関係)
  2 政府は、各議院又は各議院の委員会から審査又は調査のため、四の1の法制上の措置に係る検討の状況に関し必要な報告又は記録の提出が求められたときは、直ちに、その求めに応じなければならないものとすること。                          (第五条第二項関係)
  3 衆議院にあっては四十人以上、参議院にあっては二十人以上の議員は、連名で、その議員の属する議院の委員会が2の求めをするよう要請する書面を、議長に提出することができ、各議院の議長は、当該書面の提出を受けたときは、これをその議院の適当の委員会に送付するものとすること。
(第五条第三項及び第四項関係)
  4 各議院の委員会は、3による書面の送付を受けたときは、2の求めをするものとすること。ただし、当該送付を受けた委員会において2の求めをしないことをその理由を明らかにして議決したときは、この限りでないものとすること。                    (第五条第五項関係)
第二 基本方針
 一 行政機関等の職員が作成しなければならない文書の範囲等
   政府は、国及び独立行政法人等の諸活動について、国民の的確な理解を得、及び責任の所在を明確化することができるよう、当該諸活動に関する情報が記録された文書(図画及び電磁的記録を含む。以下一において同じ。)が幅広く作成され、及び保存されなければならないとの観点から、次に掲げる記録の取扱いを含め、行政機関(公文書管理法第二条第一項に規定する行政機関をいう。以下同じ。)及び独立行政法人等(以下「行政機関等」という。)の職員が作成しなければならない文書の範囲、行政文書(同条第四項に規定する行政文書をいう。以下同じ。)及び法人文書(同条第五項に規定する法人文書をいう。)の範囲等について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとすること。
(第六条関係)
  @ 行政機関等の職員による自己の執務の便宜のための記録及び決裁を経ていない立案の段階における記録
  A 行政機関等の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する記録
  B 行政機関等の職員が行政機関等の職員以外の者と接触をした場合における当該接触に関する記録
  C 行政機関等において意思決定に至らなかった事案に係る過程及びその内容に関する記録
 二 公文書院の設置
  1 政府は、別に法律で定めるところにより、内閣の所轄の下に公文書院(4の事務を行う行政組織をいう。以下同じ。)を設置するために必要な措置を講ずるものとすること。 (第七条第一項関係)
  2 公文書院は、この法律の施行後三年以内に設置されるものとすること。  (第七条第二項関係)
  3 公文書院は、独立性及び専門性をもって、一元的な行政文書の管理に資するよう行政文書の管理に関する統一的な基準を策定するとともに、中立公正な立場において行政文書の管理の状況を継続的に監視することにより、行政文書の管理の適正化を図ることを旨として、設置されるものとすること。
(第七条第三項関係)
  4 公文書院は、公文書等の管理の適正化の推進等に関し、次に掲げる事務をつかさどるものとし、独立性及び専門性をもって当該事務を適正かつ確実に遂行することができるよう編成するものとすること。                                 (第七条第四項関係)
   @ 公文書等の管理に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関する事務
   A 各行政機関の公文書等の管理に関する業務の実施状況の評価及び監視(行政機関の職員からの通報を受けて行うものを含む。)に関する事務
   B 行政文書の管理のための行政機関が共用する情報システムの整備及び管理に関する事務
   C 歴史公文書等(公文書管理法第二条第六項に規定する歴史公文書等をいう。以下同じ。)の保存及び利用に関する事務
   D 歴史公文書等に関連する調査研究の実施に関する事務
   E 公文書等の管理に関する専門的知識を有する人材の育成に関する事務
   F その他公文書等の管理等に関し必要な事務
  5 公文書院に、4のC及びDの事務を行わせるため、公文書館を置くものとすること。
(第七条第五項関係)
  6 公文書院は、その所掌する事務に関する規則の制定、行政機関における行政文書の管理状況の調査、行政機関の長に対する行政文書の管理についての勧告、公文書管理法及びこれに基づく命令の制定又は改廃に関する意見の申出その他4の事務を的確に行うために必要な権限を有するものとすること。
(第七条第六項関係)
 三 専門的知識を有する人材の活用
   政府は、専門的知識に基づく公文書等の適正な管理を確保するため、二の4のEの公文書等の管理に関する専門的知識を有する人材について、行政機関への配置等これを活用するために必要な措置を講ずるものとすること。                              (第八条関係)
 四 公文書等の適正な管理を図るための規制
   政府は、公文書等の適正な管理を図るための規制の在り方について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとすること。                      (第九条関係)
第三 公文書等管理審議会
 一 設置
   内閣府に、公文書等管理審議会(以下「審議会」という。)を置くものとすること。(第十条関係)
 二 所掌事務
   審議会は、次に掲げる事務をつかさどるものとすること。           (第十一条関係)
  @ 第一の四の1の法制上の措置に関し、第一の四の2の事項を処理すること。
  A @の事項に関し、調査審議し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、意見を述べること。
 三 組織
   審議会は、会長及び委員九人以内で組織し、委員は非常勤とするものとすること。
(第十二条第一項及び第二項関係)
 四 会長及び委員
  1 会長及び委員は、公文書等の管理に関し中立公正な判断をすることができる学識経験者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命するものとすること。     (第十三条第一項関係)
  2 国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、1に定める資格を有する者のうちから、会長又は委員を任命することができるものとすること。この場合においては、任命後最初の国会で両議院の事後の承認を得なければならないものとすること。
(第十三条第二項及び第三項関係)
  3 会長及び委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならないものとすること。
(第十三条第六項関係)
  4 会長及び委員は、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならないものとすること。                       (第十三条第七項関係)
  5 会長は、在任中、内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならないものとすること。
(第十三条第八項関係)
 五 審議の公開等
  1 審議会の調査審議は、公開して行うものとすること。         (第十六条第一項関係)
  2 審議会は、調査審議に用いられた資料及び議事録を公表しなければならないものとすること。
(第十六条第四項関係)
 六 設置期限
   審議会は、その設置の日から起算して二年を経過する日まで置かれるものとすること。
(第十八条関係)
第四 施行期日等
 一 施行期日
   この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。ただし、第三の四の1中両議院の同意を得ることに関する部分は、公布の日から施行すること。
(附則第一条関係)
 二 検討
   政府は、国又は地方公共団体が資本金の二分の一以上を出資している法人の文書の管理の在り方について、公文書管理法の趣旨、当該法人の業務の目的及び性質等を踏まえて検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとすること。                  (附則第三条関係)
 三 その他
   この法律の施行に伴い必要な経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の改正を行うこと。
(附則第二条、第四条及び第五条関係)

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