我が国の総合的な安全保障の確保を図るための土地等の取得、利用及び管理の規制に関する施策の推進に関する法律案 要綱
第1 総則
1 目的
我が国における土地等(土地及び建物をいう。以下同じ。)の取得・利用・管理をめぐる最近の状況に鑑み、我が国の総合的な安全保障の確保を図るため、我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれのある土地等の取得・利用・管理の規制に関する施策を総合的かつ集中的に推進することを目的とすること。 (第1条関係)
2 基本理念
土地等は、国民生活及び経済活動の基盤であり、かつ、領土を構成するものであって、その取得・利用・管理の在り方が我が国の安全保障に深く関わるものであることに鑑み、実態を早急に把握し、その結果を踏まえ、安全保障上の課題を分析した上で、必要かつ適切な規制を速やかに設けること。
防衛・外交分野の施策のみならず、国土保全・経済・科学技術・文化等の各分野に係る土地等の取得・利用・管理の規制に関する施策についても、安全保障の観点を踏まえて実施することにより、総合的に施策を推進すること。
土地等の用途・機能、利用・管理の形態等が多様であることを踏まえ、それぞれに応じた適切な規制を実施すること。
我が国が締結する条約その他の国際約束に関して、施策を推進する上で必要な整合性の確保を図ること。
国の関係機関相互の密接な連携及び国・地方公共団体の相互の協力の下に推進すること。
(第2条関係)
3 国の責務等
国は、2の基本理念にのっとり、我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれのある土地等の取得・利用・管理の規制に関する施策を総合的かつ集中的に策定・実施する責務を有すること。
地方公共団体は、国が実施する我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれのある土地等の取得・利用・管理の規制に関する施策に協力するものとすること。
(第3条関係)
4 法制上の措置等
政府は、必要な法制上又は外交上の措置その他の措置を講じなければならないこと。 (第4条関係)
第2 基本方針
1 実態調査の早急な実施
政府は、我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれのある土地等の取得・利用・管理の実態を把握するための調査を早急に行うものとすること。 (第5条関係)
2 土地等の取得等の規制の見直し
政府は、1の実態調査の結果を踏まえ、安全保障上の課題を多角的に分析し、諸外国における日本国民による土地等の取得・利用・管理の規制の状況を勘案した上で、次に掲げる措置その他の土地等の取得・利用・管理の規制について検討を加え、速やかに土地基本法、外国人土地法、重要土地等調査法等による規制の見直しその他の必要な措置を講ずるものとすること。
(※ 財産権の制限が必要な限度を超えることがないよう留意するものとすること。)
@ 事前届出に基づく取引の事前審査
1の実態調査又は地方公共団体等からの資料収集等により得られた情報等に基づき区域を指定し、その区域内にある土地等の取引について、事前届出をさせるとともに、我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれのあるものであるかどうかを事前に審査し、その審査のために必要な期間中は、取引を禁止すること。
A 取引の内容変更・中止の勧告・命令
@の審査の結果、その取引が我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれのあるものと認められる場合には、その取引をしようとする者に対し、取引の内容の変更又は中止の勧告・命令をすることができるものとすること。
B 立入調査権限
@の審査に係る土地等の取引の調査を行う場合において、やむを得ない必要があるときは、その土地等に立ち入ることができるものとすること。
(第6条関係)
3 条約等との整合性の確保を図る上で必要な外交的な取組
2の必要な措置を講ずるに当たり、GATS第17条の内国民待遇その他関連する条約等の定めとの整合性の確保を図る上で必要があるときは、所要の外交的な取組を行うものとすること。 (第7条関係)
第3 推進計画
政府は、第2の基本方針に基づき、推進計画を定めなければならないこと(閣議決定)。
(第8条関係)
第4 土地取得等問題対策推進本部
1 内閣に土地取得等問題対策推進本部を設置すること(設置期限:5年)。
2 第3の推進計画の案の作成・実施の推進等の事務をつかさどること。
3 本部長(内閣総理大臣)・副本部長(国務大臣)・本部員(本部長・副本部長以外の全ての国務大臣)をもって組織すること。
(第9条から第19条まで関係)
第5 施行期日
公布の日から施行すること。 (附則関係)