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   地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に関する法律案要綱
第一 目的等
 一 目的
   この法律は、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等が、農産物の生産のために栽培される植物(以下「農業用植物」という。)の品種の多様性の確保及び地域における農業の振興を図る上で重要であることに鑑み、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に関し、基本理念、基本方針の策定その他の必要な事項を定めることにより、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に関する施策を総合的かつ効果的に推進し、もって農業の持続的かつ健全な発展及び農村その他の地域の活性化に資するとともに、食料の安定供給の確保及び国民の豊かな食生活の実現に寄与することを目的とすること。
(第一条関係)
 二 定義
  1 この法律において「地域在来品種等」とは、地域において長期にわたり栽培されてきた農業用植物の品種その他農業用植物の品種の多様性の確保及び地域における農業の振興を図る上で重要であると認められる農業用植物の品種(遺伝子組換え技術又はゲノム編集技術を用いて育成されたものを除く。)をいうこと。
  2 この法律において「地域在来農産物等」とは、地域在来品種等の種苗を用いることにより得られる収穫物をいうこと。
  3 この法律において「地域在来品種等の種苗の保存及び利用等」とは、地域在来品種等の種苗の保存(保存のために行われる収集を含む。第三の四の1及び五において同じ。)及び利用並びに地域在来農産物等及びその加工品の利用をいうこと。
(第二条関係)
 三 基本理念
  1 地域在来品種等の種苗の保存及び利用等については、経済性その他の事情から民間のみでは十分に行われないおそれがあることに鑑み、国及び地方公共団体が積極的な役割を果たすことを旨として、その促進が図られなければならないこと。
  2 地域在来品種等の種苗の保存及び利用等については、地方公共団体が、その区域の自然的経済的社会的諸条件に応じ、創意工夫を生かしつつ主体的に取り組むようにするとともに、当該地方公共団体に対して国が積極的に支援を行うことを旨として、その促進が図られなければならないこと。
  3 地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に当たっては、農業者が重要な役割を果たしていることに鑑み、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等に係る取組を行う農業者の権利利益が保護されるよう配慮されなければならないこと。
(第三条関係)
第二 基本方針等
 一 基本方針
   農林水産大臣は、第一の三の基本理念にのっとり、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に関する基本方針(以下単に「基本方針」という。)を定めるものとすること。    (第四条関係)
 二 都道府県計画等
  1 都道府県は、基本方針を勘案して、当該都道府県における地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に関する計画(以下「都道府県計画」という。)を定めることができること。
  2 市町村は、基本方針(都道府県計画が定められているときは、基本方針及び都道府県計画)を勘案して、当該市町村における地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に関する計画(以下「市町村計画」という。)を定めることができること。
(第五条関係)
 三 都道府県及び市町村に対する国の支援
   国は、都道府県及び市町村に対し、都道府県計画又は市町村計画の作成及びこれらの円滑かつ確実な実施を支援するため、情報の提供、助言、財政上の措置その他の措置を講ずるものとすること。
(第六条関係)
第三 国及び地方公共団体の施策
 一 地域在来品種等の種苗の収集及び保存並びに提供等
  1 国は、地域在来品種等の種苗の収集及び体系的な保存のために必要な措置を講ずるよう努めるとともに、農業に関する試験研究等の用に供するため、地域在来品種等に係る情報の提供、地域在来品種等の種苗の提供その他必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。
  2 地方公共団体は、その地域における地域在来品種等の種苗の収集及び保存のために必要な措置を講ずるよう努めるとともに、地域在来品種等の種苗又は地域在来農産物等の生産等の用に供するため、地域在来品種等の種苗の提供、地域在来品種等に係る情報の提供その他必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。
  3 国及び地方公共団体は、国の講ずる1の措置と地方公共団体の講ずる2の措置が円滑かつ効果的に実施されるように相互に連絡し及び協力するよう努めるものとすること。
(第七条関係)
 二 技術の開発及び普及
   国及び地方公共団体は、地域在来品種等の種苗の保存及び利用の促進を図るため、地域在来品種等の種苗の長期的かつ安定的な保存に資する技術及び地域在来品種等の種苗の生産に係る技術の開発及び普及のために必要な施策を講ずるよう努めるものとすること。            (第八条関係)
 三 人材の育成及び確保
   国及び地方公共団体は、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等に関し専門的な知識又は技術を有する者その他の地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に寄与する人材の育成及び確保を図るため、研修の実施、知識及び技術の継承の支援その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとすること。
(第九条関係)
 四 連携の強化
  1 国及び地方公共団体は、地域在来品種等の種苗の保存及び利用の促進を図るため、地方公共団体の試験研究機関、独立行政法人及び地方独立行政法人であって試験研究に関する業務を行うもの、大学、農業者の組織する団体その他の関係者の間の連携の強化に必要な施策を講ずるよう努めるものとすること。
  2 地方公共団体は、地域在来農産物等及びその加工品の利用の促進を図るため、関係機関、地域在来農産物等の生産を行う農業者及び農業者の組織する団体、地域在来農産物等又はその加工品を利用する事業者その他の関係者により構成される協議会の設置その他のこれらの者の間の連携体制の整備に必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。
  3 地方公共団体は、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進を図るため、他の地方公共団体との連携を図るよう努めるものとすること。
(第十条関係)
 五 農業者等に対する支援
   国及び地方公共団体は、地域在来品種等の種苗の保存又は地域在来品種等の種苗若しくは地域在来農産物等の生産を行う農業者及び農業者の組織する団体、地域在来農産物等又はその加工品を利用する事業者等を支援するため、情報の提供、助言、財政上の措置その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとすること。                                (第十一条関係)
 六 国民の理解と関心の増進
  1 国及び地方公共団体は、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の重要性に関する国民の理解と関心を深めるため、地域在来品種等の種苗及び地域在来農産物等の生産の体験活動の促進、学校給食等における地域在来農産物等及びその加工品の利用の促進、地域在来農産物等及びその加工品を用いた地域の特色ある食文化に関する広報活動の充実その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとすること。
  2 国及び地方公共団体は、民間の団体等が行う地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の重要性に関する国民の理解と関心を深めるための活動を支援するため、情報の提供、助言その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとすること。
(第十二条関係)
第四 農業者の意見の反映
  国及び地方公共団体は、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に関する施策の策定に当たっては、地域在来品種等の種苗の保存及び利用等に係る取組を行う農業者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。                     (第十三条関係)
第五 施行期日
  この法律は、公布の日から施行すること。                     (附則関係)

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