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スポーツ基本法及びスポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律の一部を改正する法律案要綱

第一 スポーツ基本法の一部改正
一 前文
 1 スポーツに親しむことのできる機会の確保等         (第2項関係)
   全ての国民がスポーツに親しみ、スポーツを楽しみ、又はスポーツを支える活動に参画することのできる機会等については、人種、性別、年齢、障害の有無等にかかわらず、確保されなければならない旨を追加すること。
 2 多様な国民一人一人の生きがい及び幸福の実現等       (第2項関係)
   多様な国民一人一人が生きがいを持ち幸福を享受できるようにするとともに、豊かさを実感できる社会の実現が図られなければならない旨を追加すること。
 3 スポーツと文化芸術等の他の分野との連携          (第5項関係)
   スポーツと文化芸術との連携が、人々に感動と希望をもたらし、人々の創造性を育み、人々が共に生きる絆の形成に広く寄与するなど、スポーツと他の分野との連携は、多様な国民一人一人の幸福の享受及び豊かさを実感できる社会の実現により一層つながるものである旨を追加すること。
 4 スポーツの果たす役割における、いわゆる「する」「見る」「支える」「集まる」「つながる」の明示                      (第7項関係)
   国民生活における多面にわたるスポーツの果たす役割は、多様な国民一人一人が、スポーツに親しみ、スポーツを楽しみ、又はスポーツを支える活動に参画すること、スポーツに関し集うこと、スポーツを通じてつながること等によって果たされるものである旨を追加すること。

二 基本理念
 1 スポーツに親しむことのできる機会の確保等 (第2条第1項及び第8項関係)
  (1) スポーツは、人種、性別、年齢、障害の有無等にかかわらず、あらゆる機会等において行うことができるようにする旨を追加すること。
  (2) スポーツは、障害者基本法、男女共同参画社会基本法、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律その他の関係法律の規定を踏まえ、スポーツを行う者に対し、不当に差別的取扱いをすることのないよう推進されなければならない旨、また、スポーツにおけるドーピングの防止に関する国際規約その他関係法律の規定を踏まえ、ドーピングの防止の重要性に対する国民の認識を深めるなど、スポーツに対する国民の幅広い理解及び支援が得られるよう推進されなければならない旨を追加すること。
 2 多様な国民一人一人の生きがい及び幸福の実現等   (第2条第1項関係)
   スポーツは、多様な国民一人一人が生きがいを持ち幸福を享受できるようにするとともに、豊かさを実感できる社会を実現することを旨として推進されなければならない旨を追加すること。
 3 スポーツによる地域振興の推進           (第2条第3項関係)
   スポーツは、地域振興に資するよう推進されなければならない旨を追加すること。
 4 スポーツによる健康で活力に満ちた長寿社会の実現  (第2条第4項関係)
   スポーツは、健康で活力に満ちた長寿社会の実現に資するよう推進されなければならない旨を追加すること。
 5 スポーツによる共生社会の実現            (第2条第5項関係)
   スポーツは、障害者をはじめとする全ての国民が自主的かつ積極的にスポーツを行うことができるよう、必要な配慮をしつつ、共生社会の実現に資することを旨として、推進されなければならない旨を追加すること。
 6 国際的な規模のスポーツの競技会の例示の追加     (第2条第6項関係)
   国際的な規模のスポーツの競技会の例示として、「デフリンピック競技大会」及び「スペシャルオリンピックス世界大会」を追加すること。

三 スポーツ団体の努力等
 1 スポーツ団体の努力                (第5条新第2項関係)
   スポーツ団体は、自主的かつ自立的にスポーツの振興のための事業を行うことができるよう、その運営基盤を強化し、健全な運営の確保を図るよう努めるものとすること。
 2 関係者相互の連携及び協働                (第7条関係)
   国等が連携を図る関係者として、スポーツ、文化芸術その他の分野の民間事業者を明記すること。

四 地方スポーツ推進計画           (第10条第1項及び新第2項関係)
  地方スポーツ推進計画について、都道府県及び市町村の教育委員会等が共同して定めることができる旨を明記するとともに、スポーツに関連する他の計画と一体のものとして定めることができる旨を追加すること。

五 基本的施策
 1 スポーツの推進のための基礎的条件の整備等
  (1) スポーツ施設の整備等
   @ まちづくりとの一体的なスポーツ施設の整備等  (第12条新第3項関係)
     国及び地方公共団体は、スポーツ施設の整備及び活用に当たっては、スポーツ施設、他の施設及び周辺地域の総合的かつ複合的な整備並びにスポーツ産業の事業者その他の関係者との連携により、まちづくりとの一体的な推進を図り、地域経済の活性化及び地域内外の交流の促進等を通じて、活力ある地域社会の形成に資するよう努めるものとすること。
   A スポーツ事故の防止等に係るスポーツの実施のための環境整備及び気候の変動への対応についての留意              (第14条関係)
     国及び地方公共団体は、スポーツ事故の防止等について、スポーツの実施のための環境の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない旨を追加するとともに、当該措置を講ずるに当たっては、気候の変動への対応に特に留意しなければならない旨を追加すること。
  (2) スポーツに関する諸科学の例示の追加       (第16条第1項関係)
    スポーツに関する諸科学の例示として、「薬学、栄養学、法学、経済学、社会学、倫理学及び教育学」を追加すること。
  (3) スポーツの推進に寄与する情報通信技術の活用のための環境の整備等
                             (新第16条の2関係)
   @ 国は、スポーツの推進に寄与する情報通信技術の活用のための環境の整備、当該情報通信技術の活用を支援する人材の確保及び当該情報通信技術の活用に関する調査研究の推進に必要な施策を講ずるものとすること。
   A 地方公共団体は、@の国の施策を勘案し、その地方公共団体の地域の状況に応じたスポーツの推進に寄与する情報通信技術の活用のための施策の推進を図るよう努めるものとすること。
   B スポーツ団体は、スポーツの振興のための事業の状況に応じ、その事業活動に寄与する情報通信技術の活用に努めるものとすること。
  (4) 発達段階に応じたスポーツの推進等
   @ 発達段階に応じて継続的にスポーツに親しむ機会の確保 (新第16条の3関係)
     国、地方公共団体及びスポーツ団体は、幼児、児童、生徒、学生等のスポーツを取り巻く環境等を踏まえ、相互に連携を図りながら、これらの者がその発達段階に応じて学校の内外を問わず継続的に多様なスポーツに親しむ機会を確保するために必要な措置を講ずるよう努めなければならないこと。
   A 中学校等の生徒が継続的にスポーツに親しむ機会の確保 (新第17条の2関係)
    @ 地方公共団体は、中学校等の生徒の数の減少及びこれに伴う中学校等の部活動の実施に係る状況を踏まえ、中学校等の生徒が継続的に多様なスポーツに親しむことができるよう、地域の実情に応じて、学校、地域スポーツクラブその他の団体との緊密な連携の下に、中学校等の生徒が地域においてスポーツに親しむ機会を確保するために必要な施策を講ずるよう努めなければならないこと。
    A 国は、地方公共団体に対し、@の施策の円滑な実施のために必要な助言、指導、経費の補助その他の援助を行うよう努めるものとすること。
   B 高等学校等の生徒のスポーツの推進        (新第17条の3関係)
     国、地方公共団体及びスポーツ団体は、高等学校等の生徒のスポーツが人格の形成及びスポーツの普及のみならず、競技水準の向上の基盤の強化等においても重要な役割を果たすことに鑑み、相互に連携を図りながら、高等学校等の生徒のスポーツの推進に必要な措置を講ずるよう努めなければならないこと。
   C 大学におけるスポーツの推進等          (新第17条の4関係)
     国は、大学におけるスポーツがスポーツの普及、競技水準の向上、スポーツへの国民の参加の促進及び地域振興を図る上で重要な役割を果たすものであることに鑑み、大学におけるスポーツの推進及びスポーツに関する教育研究の推進に必要な施策を講ずるものとすること。
  (5) スポーツ産業の事業者が果たす役割の明示等        (第18条関係)
   @ スポーツ産業の事業者が果たす役割に「スポーツへの国民の参加の促進及び地域振興」を追加すること。
   A 国は、スポーツを通じた活力に満ちた国民経済及び地域経済の発展並びにスポーツの更なる振興に資するよう、スポーツ団体とスポーツ産業の事業者との連携等の施策を講ずるものとする旨を追加すること。

 2 多様なスポーツの機会の確保のための環境の整備
  (1) 多様な需要に応じたスポーツを楽しむ機会等の確保  (新第21条の2関係)
    国及び地方公共団体は、多様な需要に応じてスポーツを楽しむ機会等を確保するとともに、これを通じて、スポーツ産業の事業者その他の事業者の事業機会の増大及び地域経済の活性化を図るため、スポーツを楽しむ機会等に関連する良質かつ付加価値の高いサービスの提供に必要な環境の整備その他の必要な施策を講ずるよう努めなければならないこと。
  (2) 情報通信技術を活用したスポーツの機会の充実    (新第24条の2関係)
   @ 国及び地方公共団体は、スポーツ団体と連携して、情報通信技術を活用したスポーツの機会の充実が図られるよう努めなければならないこと。
   A スポーツ団体は、@の連携に当たっては、特に、スポーツを行う者の心身の健康の保持増進及び安全の確保に配慮しつつ、スポーツに関するあらゆる活動を公正かつ適切に実施することを旨として、当該連携を行うよう努めなければならないこと。

 3 全国的な規模のスポーツの競技会等に関する規定についての所要の改正
  (1) 名称の変更                     (第26条等関係)
   @ 「公益財団法人日本障がい者スポーツ協会」の名称の変更
     「公益財団法人日本障がい者スポーツ協会」の名称を「公益財団法人日本パラスポーツ協会」に変更すること。
   A 「全国障害者スポーツ大会」の名称の変更
     「全国障害者スポーツ大会」の名称を「全国パラスポーツ大会」に変更すること。
  (2) 国民スポーツ大会及び全国パラスポーツ大会の意義の明示等  (第26条関係)
    国民スポーツ大会及び全国パラスポーツ大会について、各運動競技に係るスポーツ団体と連携して開催することとするとともに、広く国民がスポーツに親しむ機会を提供することにより、地域振興に資するものとする旨を追加すること。
  (3) 国際競技大会の我が国への招致等の適正の確保   (第27条新第2項関係)
    国は、国際競技大会の我が国への招致又はその開催が適正になされるよう、当該国際競技大会の実施及び運営を行うことを目的とする法人の運営の透明性の確保及び当該招致又は開催に係る人材の育成に必要な施策を講ずるものとすること。
  (4) 企業等が果たす役割の明示               (第28条関係)
    企業等が果たす役割に「スポーツへの国民の参加の促進及びスポーツを通じた地域振興」を追加すること。

 4 スポーツの公正及び公平の確保等
  (1) 暴力等の防止                     (新第29条関係)
   @ 国及び地方公共団体は、スポーツを行う者に対する、暴力、優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、性的な言動(盗撮等を含む。)、インターネット上の誹謗中傷等(以下「暴力等」という。)によりスポーツを行う者の環境が害されることのないよう、必要な措置を講じなければならないこと。
   A スポーツ団体は、その行う事業について、スポーツを行う者に対する暴力等によりスポーツを行う者の環境が害されることのないよう努めるものとすること。
  (2) スポーツに係る競技の不正な操作等の防止      (新第29条の2関係)
    国は、スポーツ団体と連携して、スポーツに係る競技の不正な操作その他これに関連する違法行為又は不正行為により、スポーツにおける公正な環境が害されることのないよう、必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。
  (3) ドーピング防止活動の推進             (新第29条の3関係)
    国は、スポーツにおけるドーピングの防止に関する国際規約に従ってドーピングの防止活動を実施するため、公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構以外の関係機関とも連携を図るものとする旨を明記するとともに、必要な施策の例示として調査及び研究を追加すること。
  (4) スポーツの公正の確保等のための具体的な役割を担うスポーツ団体の組織運営に関する指導等の状況についての報告等      (新第29条の5関係)
   @ 国は、公益財団法人日本スポーツ協会、公益財団法人日本オリンピック委員会及び公益財団法人日本パラスポーツ協会に対し、それぞれに加盟する全国的な規模のスポーツ団体の組織運営に関する指導等の状況について報告を求め、必要に応じ、助言を行うものとすること。
   A スポーツ団体は、政令で定める審議会等の意見を聴いてスポーツ庁長官が定めるスポーツ団体の適正な運営に関する指針に基づき、その事業活動に関し、自らが遵守すべき基準を作成し、当該指針に従って講じた措置の状況等を公表すること等により、その運営の公正性及び透明性の確保を図るよう努めるものとすること。

六 スポーツの振興のために必要な資金等           (新第36条関係)
 1 国は、スポーツの振興を通じてこれに関する知識、人材及び資金の好循環を実現するよう努めなければならないこと。
 2 国は、スポーツを支える者の協力の下に、地方公共団体又はスポーツ団体が行うスポーツの振興を目的とする事業に要する資金その他のスポーツの振興のために必要な資金を得るための措置を講ずるものとすること。
 3 2の資金の支給を受ける地方公共団体又はスポーツ団体は、当該資金に係る事業を通じて、社会の発展及び地域振興に貢献するよう努めるものとすること。


第二 スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律の一部改正                         (第8条関係)
  国等が連携を図る関係者として、「一般社団法人日本スポーツフェアネス推進機構」を位置付けるものとすること。


第三 施行期日等
一 施行期日                       (改正法附則関係)
  この法律は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。ただし、第一の五の3の(1)のAは、令和13年1月1日から施行すること。

二 その他
  その他所要の規定の整理を行うこと。

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