盗難自動車等の処分の防止に関する法律案要綱
第1 総則
1 目的
この法律は、自動車等の窃取を防止するためには盗難自動車等の処分を防止することが重要であることに鑑み、特定自動車等解体保管業について自動車等の受取りの相手方の氏名等の確認を義務付ける等の措置を講ずること等により、自動車等の窃取の防止に資することを目的とする。(第1条関係)
2 定義
この法律において、用語の意義を次のとおり定める。(第2条関係)
(1) 自動車 道路運送車両法第2条第2項に規定する自動車をいう。
(2) 自動車等 自動車及び自動車の部品(自動車又は自動車の部品が切断された後に残存する物を含む。)をいう。
(3) 盗難自動車等 窃取された自動車等をいう。
(4) 特定自動車等解体保管業 自動車等の解体(自動車等から自動車の部品を分離し、又は自動車等を切断することをいう。以下同じ。)又は保管を行う事業をいう。
第2 盗難自動車等の処分の防止のための特定自動車等解体保管業に係る措置
1 特定自動車等解体保管業の届出
特定自動車等解体保管業を営もうとする者は、事業所ごとに、氏名又は名称、住所、事業所の所在地等を、当該事業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会に届け出なければならない。(第3条第1項関係)
2 氏名等の表示
1による届出をした者は、事業所ごとに、公衆の見やすい場所に、その氏名等を表示するとともに、一定の場合を除き、その氏名等をインターネットにより公衆の閲覧に供しなければならない。(第5条関係)
3 名義貸しの禁止
1による届出をした者は、自己の名義をもって、他人に特定自動車等解体保管業を営ませてはならない。(第6条関係)
4 本人確認
特定自動車等解体保管業を営む者は、自動車等の受取りを行おうとするときは、一定の場合を除き、当該受取りの相手方から身分証明書等の提示を受けること等の方法により、当該受取りの相手方の本人確認を行わなければならない。(第7条関係)
5 本人確認記録の作成等
特定自動車等解体保管業を営む者は、本人確認を行った場合には、直ちに、当該本人確認に関する記録(以下「本人確認記録」という。)を作成し、これを3年間保存しなければならない。(第8条関係)
6 自動車検査証等の確認等
特定自動車等解体保管業を営む者は、自動車の受取りを行おうとするときは、当該受取りの相手方から自動車検査証等の提示を受け、当該自動車の所有者として記録され又は記載された者の確認を行うとともに、当該自動車検査証等の写しを作成し、これを3年間保存しなければならない。(第9条関係)
7 取引記録の作成等
特定自動車等解体保管業を営む者は、自動車等の受取り又は引渡しを行った場合には、直ちに、相手方の氏名又は名称及び住所、受取り又は引渡しの年月日、自動車等の品目及び数量、自動車等の特徴その他の事項に関する記録(以下「取引記録」という。)を作成し、これを3年間保存しなければならない。(第10条関係)
8 警察官への申告
特定自動車等解体保管業を営む者は、受取りに係る自動車等が盗難自動車等に由来するものである疑いがあると認めたときは、直ちに、警察官にその旨を申告しなければならない。(第11条関係)
9 その他
(1) 特定自動車等解体保管業を営む者に対する指示、営業停止命令並びに報告徴収及び立入検査に係る規定を設ける。(第12条から第14条まで関係)
(2) その他所要の規定を整備する。
第3 自動車等の盗難の防止に資する情報の周知
警視総監又は道府県警察本部長、方面本部長及び警察署長は、自動車等の盗難の防止に資する情報を、自動車等の所有者等に周知するよう努めなければならない。(第16条関係)
第4 その他
1 都道府県公安委員会は、この法律の規定に基づく事務に関し、関係行政機関又は関係地方公共団体に対し、照会し、又は協力を求めることができる。(第17条関係)
2 使用済自動車の再資源化等に関する法律、古物営業法等による規制を受ける場合の適用除外に係る規定を設ける。(第21条関係)
3 この法律の規定は、地方公共団体が、この法律に規定するもののほか、自動車等の解体又は保管を行う者による自動車等の受取り又は引渡しに関し条例で必要な規制を定めることを妨げるものではない。(第22条関係)
4 その他所要の規定を整備する。
第5 罰則
1 第2の9(1)の営業停止命令に違反したときは、当該違反行為をした者は、1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。(第23条関係)
2 次のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、6月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。(第24条関係)
(1) 第2の1の届出義務の違反(無届営業)
(2) 第2の3の名義貸しの禁止の違反
3 次のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金に処する。(第25条関係)
(1) 第2の4の本人確認又は第2の6の自動車検査証等の確認の違反
(2) 第2の5の本人確認記録の作成・保存の違反
(3) 第2の6の自動車検査証等の写しの作成・保存の違反
(4) 第2の7の取引記録の作成・保存の違反
4 次のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、30万円以下の罰金に処する。(第26条関係)
(1) 第2の1の届出義務の違反(虚偽届出・添付書類の虚偽記載)
(2) 第2の9(1)の報告徴収・立入検査に係る違反
5 その他必要な罰則を設ける。
第6 施行期日等
1 施行期日
この法律は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。(附則第1条関係)
2 経過措置
所要の経過措置を定める。(附則第2条及び第3条関係)
3 検討
政府は、この法律の施行後3年を目途として、第2の実施状況を勘案し、必要があると認めるときは、第2について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。(附則第4条関係)

