法律第百四十四号(昭二二・一一・三〇)
◎郵便貯金法
郵便貯金法目次
第一章 総則
第二章 業務に関する通則
第三章 通常郵便貯金
第四章 特別郵便貯金
第一節 すえ置郵便貯金
第二節 積立郵便貯金
第三節 定額郵便貯金
第四節 特別すえ置郵便貯金
第五節 すえ置期間経過後の特別郵便貯金
第五章 保管証券
附則
郵便貯金法
第一章 総則
第一条(この法律の目的) この法律は、郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによつて、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。
第二条(郵便貯金の国営及び逓信大臣の職責) 郵便貯金は、国の行う事業であつて、逓信大臣が、これを管理する。
逓信大臣は、この法律の目的を達成するため、左の職責を有する。
一 この法律に従い省令を発すること。
二 法律に触れない範囲において、郵便貯金の取扱をする郵便局を指定し、郵便局における郵便貯金事務の窓口取扱時間を定めること。
三 法律に触れない範囲において、貯金原簿所管庁及び証券原簿所管庁を設置し、又は廃止すること。
四 郵便貯金の業務に従事する者をその職務につき指揮監督すること。
五 法律に触れない範囲において、郵便貯金の業務に従事する者の能率の向上を図るため必要な厚生、保健その他の施設をし、且つ、郵便貯金の業務に従事する者の訓練を行うこと。
六 郵便貯金事業を行うため、財政及び会計に関する法令の定めるところに従い、必要な契約をすること。
七 前各号に掲げるものを除いて、郵便貯金に関し逓信大臣の職責として法令の定める事項を掌理すること。
第三条(逓信大臣の職権の委任) 逓信大臣は、この法律に定める職権で細目の事項に関するものを、条件を定めて、逓信局長又は郵便局長に委任することができる。
第四条(郵便貯金の業務に従事する官吏) 郵便貯金の業務に従事する官吏の身分、給与及び服務に関する事項は、別に法律でこれを定める。
第五条(訴訟について国を代表する者) 郵便貯金に関する民事訴訟については、逓信省貯金局長又はその指定する官吏が、国を代表する。
第六条(印紙税の免除) 郵便貯金に関する書類には、印紙税を課さない。
第二章 業務に関する通則
第七条(郵便貯金の種類) 郵便貯金は、左の五種とする。
一 通常郵便貯金 預入及び払もどしについて特別の条件を附けないもの
二 すえ置郵便貯金 一定のすえ置期間を定める以外に預入及び払もどしについて特別の条件を附けないもの
三 積立郵便貯金 一定のすえ置期間を定め、一定の金額をその期間内毎月一回集金に応じて預入するもの
四 定額郵便貯金 一定のすえ置期間を定め、分割払もどしをしない条件で一定の金額を一時に預入するもの
五 特別すえ置郵便貯金 一定のすえ置期間を定め、この法律の定めるところにより発行する郵便貯金切手を以て預入するもの
通常郵便貯金以外の郵便貯金は、これを特別郵便貯金と総称する。
第八条(団体取扱) 逓信官署は、省令の定める簡易な手続により、郵便貯金の団体取扱をする。
郵便貯金の団体取扱においては、官公署、学校、会社、工場その他の事業場に属する者が団体を組織して、その団体の代表者の名義で、又は取まとめ人を通じて各別の名義で、通常郵便貯金又はすえ置郵便貯金をすることができるものとする。
第九条(証券の購入、保管及び売却) 逓信官署は、通常郵便貯金又はすえ置郵便貯金の預金者の請求に因り、左の取扱をする。
一 貯金の一部で国債証券その他の証券を購入保管し、又はこれを売却すること。
二 預金者の所有する国債証券その他の証券を保管し、又はこれを売却すること。
第十条(貯金総額の制限) 貯金総額は、一の預金者につき三万円を超えてはならない。但し、左に掲げる法人又は団体については、この限りでない。
一 地方公共団体
二 水利組合、水利組合連合、北海道土功組合、耕地整埋組合及び耕地整理組合連合会
三 国立、公立又は私立の学校及び宗教法人
四 労働組合
五 孤児院及びこれに準ずる慈善団体並びに健康保険組合及びこれに準ずる相互扶助団体で営利を目的としないもの
前項第五号に掲げる法人又は団体は、省令でこれを定める。
第十一条(貯金の減額) 貯金総額が前条に規定する制限額を超えたときは、逓信官署は、その旨を預金者に通知する。
前項の規定による通知があつたときは、預金者は、貯金総額を制限額以内に減額しなければならない。
第一項の規定により通知を発した日から一箇月以内に預金者が前項の規定による減額をしないときは、逓信官署は、制限額以内に減額するのに必要な限度において、その貯金の一部で国債証券を購入保管する。
前項の規定により購入保管した国債証券については、逓信官署は、預金者の請求に因り、その売却の取扱をする。
第十二条(利子及び割増金) 特別すえ置郵便貯金以外の郵便貯金には、左の利率により、利子を附ける。
一 通常郵便貯金 年二分七厘六毛
二 すえ置郵便貯金 年三分三毛六糸
三 積立郵便貯金 年三分一厘二毛
四 定額郵便貯金
預入の月の初日から払もどし金の払渡(払もどし証書を発行するときはその発行)の日までの期間が五年を超えるとき
年三分五厘
同四年を超え五年以下であるとき 年三分三厘五毛
同三年を超え四年以下であるとき 年三分二厘
同二年を超え三年以下であるとき 年三分一厘
同二年以下であるとき 年三分
定額郵便貯金については、割増金をくじびきにより附ける取扱をすることができる。割増金を附ける取扱をする定額郵便貯金(以下割増金附定額郵便貯金という。)には、そのすえ置期間中利子を附けない。
郵便貯金切手には、割増金をくじびきにより附ける。
第十三条(利子の計算) 利子は、預入の月からこれを附ける。
払もどし金に相当する貯金には、その払渡(払もどし証書を発行するときはその発行)の月の利子を附けない。預入の月において払もどし金の払渡(払もどし証書を発行するときはその発行)があつたときも、同様とする。
通常郵便貯金及びすえ置郵便貯金にあつては、一円未満の端数に、積立郵便貯金にあつては、十銭未満の端数に利子を附けない。
第十四条(郵便貯金通帳及び郵便貯金証書の交付) 逓信官署は、通常郵便貯金、すえ置郵便貯金又は積立郵便貯金の預金者には郵便貯金通帳(以下通帳という。)を、定額郵便貯金又は特別すえ置郵便貯金の預金者には郵便貯金証書(以下貯金証書という。)を交付する。
第十五条(証券保管証の交付) 逓信官署は、第九条又は第十一条第三項の規定により証券を保管したときは、預金者に証券保管証を交付する。
第十六条(通帳の冊数の制限) 預金者は、左の各号の一に該当する場合を除いては、二冊以上の通帳を以て預入をしてはならない。
一 第十条第一項但書に掲げる法人又は団体であるとき。
二 すえ置期間の異なるすえ置郵便貯金をするとき。
三 積立郵便貯金をするとき。
四 団体取扱の郵便貯金をするとき。
五 通常郵便貯金、すえ置郵便貯金、積立郵便貯金及び団体取扱の郵便貯金のうち二以上の郵便貯金をするとき。
第十七条(通帳の冊数の制限違反) 前条の規定に違反して預金者が二冊以上の通帳を以て預入をしたときは、その通帳のうち最初に交付したものに記入した貯金を除いては、利子を附けない。この場合において交付の日附を同じくする通帳が二冊以上あるときは、貯金の現在高の最も多い通帳に記入した貯金を除いては、利子を附けない。
前項の規定により利子を附けない貯金について既に払いもどした利子があるときは、逓信官署は、これに相当する金額を現に存する貯金から控除し、又は追徴する。
第十八条(通帳、貯金証書及び証券保管証の再交付) 逓信官署は、左の場合において預金者の請求があるときは、通帳、貯金証書又は証券保管証を再交付する。
一 預金者が通帳、貯金証書又は証券保管証を亡失したとき。
二 通帳、貯金証書又は証券保管証が汚染され、又はき損されたため記載事項がわからなくなつたとき。
三 通帳に余白がなくなつたとき。
預金者は、前項第一号又は第二号の規定による再交付を受けるときは、その料金として通帳一冊又は貯金証書若しくは証券保管証一枚につき一円を納付しなければならない。
第十九条(貯金原簿及び証券保管原簿) 貯金の受入及び払出については、貯金原簿所管庁において、貯金原簿に記録する。
第九条又は第十一条第三項の規定により保管する証券(以下保管証券という。)の受入及び払出については、証券原簿所管庁において、証券保管原簿に記録する。
第二十条(利子記入) 貯金原簿所管庁は、通常郵便貯金又はすえ置郵便貯金の預金者の請求があるときは、省令の定めるところにより元金に加えられた利子を通帳に記入する。
貯金原簿所管庁は、期間を限り、第十条第一項但書に掲げる法人又は団体以外の者の郵便貯金について前項の規定による記入をしないことができる。
前項の期間は、逓信大臣が、これを定めて公示する。
第二十一条(確認) 貯金原簿所管庁又は証券原簿所管庁は、預金者の請求に因り、貯金の現在高又は証券の保管を確認し、その旨をその通帳、貯金証書又は証券保管証に表示する。
第二十二条(通帳等の提出) 逓信官署は、必要があるときは、預金者に対し、通帳、貯金証書又は証券保管証の提出を求めることができる。
第二十三条(印章) 預金者は、郵便貯金に関する手続をするには、省令の定める場合を除いて、印章を押さなければならない。
前項の印章は、当該郵便貯金につき一に限る。
預金者は、逓信官署に届け出て第一項の印章を変更することができる。
第二十四条(譲渡制限) 郵便貯金又は保管証券に関する預金者の権利は、左の場合を除いては、これを譲り渡すことができない。
一 親族に譲り渡すとき。
二 遺言によつて譲り渡すとき。
第二十五条(証明) 逓信官署は、預金者の真偽を調査するため必要な証明を求めることができる。
第二十六条(正当の払渡) この法律又はこの法律に基く省令に規定する手続を経て郵便貯金を払い渡し、又は保管証券を交付したときは、正当の払渡又は交付をしたものとみなす。
第二十七条(免責) 逓信官署は、左の場合において郵便貯金の払もどし金の払渡を延期したときは、これに因り生じた損害を賠償しない。
一 払い渡すべき郵便局において現金に余裕のないとき。
二 預金者の提出すべき書類が不完全なとき。
三 不可抗力に因り払い渡すことができないとき。
第二十八条(料金の還付) 郵便貯金に関する既納の料金は、過納又は誤納のものに限り、これを納付した者の請求に因り還付する。
前項の請求は、その料金を納付した時から一年を経過したときは、これをすることができない。
第二十九条(貯金及び保管証券に関する権利の消滅) 十年間貯金の預入及び払もどし並びに証券の購入、保管、売却又は返付の請求がなく、且つ、利子の記入又は貯金若しくは保管証券の確認のためにする通帳、貯金証書又は証券保管証の提出がない場合において、逓信官署がその預金者に対し通帳、貯金証書若しくは証券保管証を提出し、又は貯金の処分をすべき旨を催告し、その催告を発した日から二箇月以内に、なお通帳、貯金証書若しくは証券保管証の提出又は貯金の処分の請求がないときは、その貯金及び保管証券に関する預金者の権利は、消滅し、保管証券は、国庫に帰属する。
特別郵便貯金については、そのすえ置期間は、前項に規定する十年の期間にこれを算入しない。
第三十条(利用の制限及び業務の停止) 逓信大臣は、天災その他やむを得ない事由がある場合において、重要な業務の遂行を確保するため必要があるときは、貯金原簿所管庁、証券原簿所管庁又は郵便局を指定し、且つ、期間を定めて、郵便貯金の利用を制限し、又は業務の一部を停止することができる。
第三十一条(非常取扱) 逓信大臣は、天災その他非常の災害があつた場合において、その災害を受けた預金者の緊急な需要を充たすため必要があるときは、省令の定めるところにより、郵便局を指定し、且つ、期間を定めて、郵便貯金に関し、料金を免除し、又は便宜の取扱をすることができる。
第三章 通常郵便貯金
第三十二条(預入金額の最低制限) 通常郵便貯金の一度の預入金額は、五円以上でなければならない。
第三十三条(預入の証明) 通常郵便貯金の預入は、郵便局又は貯金原簿所管庁において、その金額を通帳に記入して、これを証明する。
第三十四条(有価証券の預入) 左に掲げる有価証券は、省令の定めるところにより、その券面金額でこれを通常郵便貯金に預入することができる。
一 無記名の地方債証券及びその利札で支払期の開始したもの
二 持参人払の小切手
前項の有価証券で割増金附のものについては、その割増金もともに預入することができる。
第一項の有価証券で所得税を課せられるものについては、その預入金額は、券面金額から所得税額を控除した残額とする。
第一項の規定による預入に係る通常郵便貯金については、当該有価証券が決済された後でなければ、貯金の現在高がその有価証券による預入金額を下るような払もどしをすることができない。
第三十五条(預入された有価証券の決済不能) 通常郵便貯金に預入した有価証券が逓信官署の責に帰すべからざる事由に因り決済することができないときは、その預入は、初からなかつたものとみなす。
第三十六条(一部払もどしに関する制限) 預金者は、通常郵便貯金の一部払もどしの場合には、十銭未満の端数の払もどしを請求することができない。但し、第十条第一項但書に掲げる法人又は団体の通常郵便貯金については、この限りでない。
預金者は、通常郵便貯金の一部払もどしの場合には、元金に加えられていない利子の払もどしを請求することができない。
第三十七条(払もどし金の払渡) 通常郵便貯金の払もどし金の払渡は、通帳の提示を受けて(省令の定める場合には貯金原簿所管庁の発行する払もどし証書と引き換えに)これをする。
第三十八条(払もどし証書の有効期間) 払もどし証書の有効期間は、その発行の日から二箇月とする。
逓信大臣は、必要と認めるときは、離島その他交通不便の地域につき、前項の有効期間を延長することができる。
第二十七条に規定する場合において払もどし金の払渡を延期した日数は、これを第一項の有効期間に算入しない。
第三十九条(払もどし証書の再交付) 逓信官署は、左の場合において預金者の請求があるときは、払もどし証書を再交付する。
一 預金者が払もどし証書を亡失したとき。
二 払もどし証書が汚染され、又はき損されたため記載事項がわからなくなつたとき。
三 払もどし証書の有効期間が経過したとき。
預金者は、前項の規定による再交付を受けるときは、その料金として証書一枚につき一円を納付しなければならない。
第四十条(払もどし金に関する権利の消滅) 払もどし証書の有効期間の経過後三年間払もどし証書の再交付の請求がないときは、その払もどし証書に記載された金額の貯金に関する預金者の権利は、消滅する。
第四章 特別郵便貯金
第一節 すえ置郵便貯金
第四十一条(払もどし及び証券交付の制限) すえ置郵便貯金においては、すえ置期間が経過した後でなければ、貯金を払いもどすことができず、又、保管証券の交付を受けることができない。但し、逓信大臣は、預金者の申請があつた場合において、預金者の生計困難等のため特にその必要があると認めるときは、すえ置期間内でも、貯金を払い渡し、又は保管証券を交付することができる。
前項但書の場合には、第三十六条乃至第四十条の規定を準用する。
第四十二条(すえ置期間) すえ置郵便貯金のすえ置期間は、最初の預入の日又は第四十三条の規定による変更を請求した日から三年以上十年以下とし、預金者が、これを定める。但し、一年未満の端数を附けることができない。
前項の規定により定めたすえ置期間は、省令の定めるところにより、これを延長することができる。
第四十三条(通常郵便貯金の変更) 通常郵便貯金は、預金者の請求に因り、これをすえ置郵便貯金に変更することができる。
第四十四条(準用規定) すえ置郵便貯金には、第三十二条乃至第三十五条の規定を準用する。
第二節 積立郵便貯金
第四十五条(払もどし制限) 積立郵便貯金においては、そのすえ置期間が経過した後でなければ、貯金を払いもどすことができない。但し、逓信大臣は、預金者の申請があつた場合において、預金者の生計困難等のため特にその必要があると認めるときは、すえ置期間内でも貯金を払い渡すことができる。
前項但書の場合には、一部払もどしの取扱をしない。
第一項但書の場合には、第三十七条乃至第四十条の規定を準用する。
第四十六条(すえ置期間) 積立郵便貯金のすえ置期間は、最初の預入の日から三年とする。
第四十七条(預入金額) 積立郵便貯金の一回の預入金額は、二十円以上五百円以下とし、預金者が、これを定める。但し、十円未満の端数を附けることができない。
前項の金額は、毎回同額でなければならない。但し、省令の定めるところにより、これを変更することができる。
第四十八条(預入金の合併預入) 郵便局長は、預金者の請求に因り、積立郵便貯金について、同時に二回分以上の預入金を預入させることができる。
第四十九条(集金取扱の停止) 積立郵便貯金の預金者が一年内に三回以上預入をしなかつたときは、郵便局長は、集金の取扱を停止することができる。
第五十条(預入を取り扱わない地域) 離島その他交通不便の地域で逓信大臣の指定する地域においては、積立郵便貯金の預入の取扱をしない。
第五十一条(準用規定) 積立郵便貯金には、第三十三条の規定を準用する。
第三節 定額郵便貯金
第五十二条(払もどし制限) 定額郵便貯金においては、そのすえ置期間が経過した後でなければ、貯金を払いもどすことができない。但し、割増金附定額郵便貯金以外の定額郵便貯金にあつては、逓信大臣は、預金者の申請があつた場合において、預金者の生計困難等のため特にその必要があると認めるときは、すえ置期間内でも貯金を払い渡すことができる。
第五十三条(すえ置期間) 定額郵便貯金のすえ置期間は、預入の日から一年とする。
割増金附定額郵便貯金のすえ置期間は、預入の日から一年又は二年とする。
第五十四条(預入金額) 定額郵便貯金の預入金額は、百円、二百円、三百円、五百円、千円又は三千円とする。
第五十五条(払もどし金の払渡) 定額郵便貯金の払もどし金の払渡は、貯金証書(省令の定める場合には貯金原簿所管庁の発行する払もどし証書)と引き換えにこれをする。
第五十六条(準用規定) 定額郵便貯金には、第三十三条乃至第三十五条及び第三十八条乃至第四十条の規定を準用する。この場合において、第三十三条中「通帳」とあるのは、「貯金証書」と読み替えるものとする。
第四節 特別すえ置郵便貯金
第五十七条(払もどし制限) 特別すえ置郵便貯金においては、そのすえ置期間が経過した後でなければ、貯金を払いもどすことができない。
第五十八条(すえ置期間) 特別すえ置郵便貯金のすえ置期間は、預入の日から五年とする。
第五十九条(郵便貯金切手の発行) 郵便貯金切手は、無記名とし、逓信大臣が、これを発行し、郵便局において、これを売りさばく。
第六十条(郵便貯金切手の券面金額) 郵便貯金切手の券面金額は、五円、十円又は二十円とする。
第六十一条(郵便貯金切手を以て預入) 特別すえ置郵便貯金の預入は、くじびきの終つた郵便貯金切手を以て、その券面金額でこれをする。
特別すえ置郵便貯金の預入金額は、二十円以上でなければならない。但し、発行の月の翌月の初日から起算し三年を経過した郵便貯金切手を似てするときは、この限りでない。
郵便貯金切手の発行の月の翌月の初日から起算して五年を経過したときは、その郵便貯金切手を以て、特別すえ置郵便貯金の預入をすることができず、又いかなる償還をも受けることができない。
第六十二条(準用規定) 特別すえ置郵便貯金には、第三十三条の規定を準用する。この場合において、同条中「通帳」とあるのは、「貯金証書」と読み替えるものとする。
第五節 すえ置期間経過後の特別郵便貯金
第六十三条(特別郵便貯金のすえ置期間の経過) 特別郵便貯金は、そのすえ置期間(定額郵便貯金にあつては預入の日から十年)が経過したときは、通常郵便貯金となる。この場合における定額郵便貯金又は特別すえ置郵便貯金であつた郵便貯金の全部払もどしで第六十四条第一項の規定による通帳の交付の請求前のものについては、第五十五条の規定を準用する。
第六十四条(通帳の引換交付) 前条の場合において、すえ置郵便貯金以外の特別郵便貯金であつた通常郵便貯金の預金者は、その貯金の全部払もどしをしないときは、その特別郵便貯金の通帳又は貯金証書と引き換えに通常郵便貯金の通帳を交付することを逓信官署に請求しなければならない。
預金者が前項の規定による通帳の交付を請求しないときは、逓信官署は、その特別郵便貯金の通帳又は貯金証書によつては、貯金の預入又は一部払いもどしの取扱をしない。
第五章 保管証券
第六十五条(保管証券の種類) 第九条に規定する取扱をする証券は、国債証券、貯蓄債券及び報国債券とする。
第六十六条(保管証券の価格) 第九条又は第十一条第三項の規定により購入し、又は売却する証券の価格は、逓信大臣が、大蔵大臣と協議し、時価を参考として、これを定める。
第六十七条(料金) 保管証券の購入、保管及び売却の料金は、証券一枚につき、二十銭にその券面金額の千分の二に相当する金額を加えた金額の範囲において、省令でこれを定める。
第六十八条第一項の規定による保管証券の利子の組入の料金は、証券一枚につき一銭とする。
第六十八条(保管証券の購入代金の払出等) 保管証券の購入代金は、これを預金者の貯金から払い出し、又、保管証券の利子、償還金及び割増金は、これを預金者の貯金に組み入れる。但し、国債証券を以て交付された割増金については、その証券を保管する。
通常郵便貯金の預金者の請求に因り売却した保管証券の代金は、貯金原簿所管庁の発行する払もどし証書と引き換えにこれを払い渡し、又、すえ置郵便貯金の預金者の請求に因り売却した保管証券の代金は、これを貯金に組み入れる。
前項の払もどし証書については、第三十八条乃至第四十条の規定を準用する。
第六十九条(無記名の保管証券の返付及び売却) 無記名の保管証券を返付し、又は売却すべきときは、逓信官署は、その保管証券に代えて、これと名称、記号及び券面金額を同じくする他の証券を交付し、又は売却することができる。
第七十条(貯金の全部払もどし又は譲渡の場合における保管証券) 貯金の全部払もどしをするときは、逓信官署は、預金者に保管証券を返付する。
預金者が郵便貯金に関する権利を譲り渡した場合において、別段の意思表示をしなかつたときは、保管証券に関する権利もともに譲り渡したものとみなす。
附 則
この法律は、昭和二十二年十二月一日から、これを施行する。
明治三十八年法律第二十三号郵便貯金法は、これを廃止する。
旧法は、振替計算のためにする預入金については、この法律施行後でも、なおその効力を有する。
この法律に定のない種類の郵便貯金又はこの法律に定のない取扱をする郵便貯金でこの法律施行の際現に存するもの、この法律施行前に一定の期間払もどしをしない条件を以て預入した郵便貯金、この法律施行前に発行した郵便貯金切手及びこの法律施行前に保管した第六十五条に規定する証券以外の証券でこの法律施行の際現に保管するものについては、この法律施行後でも、なお従前の例による。
この法律施行前に預入して前項に規定する郵便貯金以外の郵便貯金でこの法律施行の際現に存するもの及びこの法律施行前に保管した第六十五条に規定する証券でこの法律施行の際現に保管するものについては、この法律を適用する。
(内閣総理・大蔵・逓信大臣署名)