法律第百六十二号(昭二二・一二・一一)
◎金融機関再建整備法の一部を改正する法律
金融機関再建整備法の一部を次のように改正する。
第二十五条第一項第三号中「勅令の定めるところにより」を削り、同条第五項を削る。
第二十五条の二 前条第一項第三号の規定により各株式につき払込をなさしめる金額は、各株式につき計算された確定損の整理負担額から当該株式の払込済金額を控除した金額を超える金額でなければならない。但し、当該株式の未払込金額を超えることができない。
第二十五条の三 資本の減少を行はなければならない金融機関で株券(出資証券及び基金証券を含む。以下同じ。)を発行しているものは、第二十七条第一項の認可を受けた後、第二十八条第一項の公告とともに、当該金融機関の確定損を負担すべき株主又は当該株主の株式に質権を有する者で株主名簿(出資者名簿その他これに準ずるものを含む。以下同じ。)に記載のある者は、その株券を一定期間内に当該金融機関に提出すべき旨を公告しなければならない。
前項の期間は、一箇月以上二箇月の範囲内で、これを定めなければならない。
第二十五条第一項第三号の規定による資本の減少は、第二十七条第一項の認可を受けた最終処理方法書(以下決定最終処理方法書という。)に定めるところにより未払込株金(未払込出資金を含む。以下同じ。)の払込をなさしめる金融機関(以下未払込株金徴収金融機関という。)については第二十五条の五第一項の払込期日、その他の金融機関については第一項の期間満了の日(株券を発行していないものについては新勘定及び旧勘定の区分の消滅の日)において、その効力を生ずる。
第二十五条第一項第三号の規定による資本の減少があつた場合においては交付すべき新株券は、第一項の規定により提出のあつた新株券につき、これに記載された一株の金額その他の事項に所要の変更を加へたものを以て、これに充てるものとする。
第二十五条の四 未払込株金徴収金融機関は、決定最終処理方法書に定めるところにより未払込株金の払込をなさしめる株式について、第二十七条第一項の認可を受けた後遅滞なく、指定時において株主として株主名簿に記載された者(指定時において第五十七条第一項に規定する金融機関以外の金融機関の株主として株主名簿に記載された者について相続又は分割若くは合併のあつた場合においては、その一般承継人 以下指定時株主という。)以外の株主(指定時株主でその後株主たらざることとなり当該株式を再び取得した株主を含む。)に対し、前条第一項の期間(株券を発行していない金融機関については、第二十八条第一項の公告の日から一箇月以上二箇月の範囲内でその定める期間)内に決定最終処理方法書に定める当該株式の未払込株金の払込をなすべき旨を催告し、同時に、その株主及びその株主の株式につき株主名簿に質権者として記載された者に対し、株主がその払込をしないときはその催告は効力を失ひその株主はその株式につき株主の権利を失ふ旨を通知しなければならない。
前項の場合において、同項の規定による催告を受けた株主が同項の規定による払込をしないときは、その催告は効力を失ひ、その株主はその株式につき株主の権利を失ひ、その株式は、前項の期間満了の時において指定時株主(指定時において信託法第三条第二項の規定により株主名簿に信託財産である旨の記載のあつた株式又は金融機関経理応急措置法第八条第一項の規定により公証人の認証を受けた信託会社又は信託業務を兼営する銀行の指定時における信託勘定の新勘定に属する資産の目録に記載のあつた株式については、その際その株式につき信託の委託者であつた者 以下同じ。)に帰属する。但し、第五十七条第一項に規定する金融機関の指定時株主がその会員又は組合員の資格を有しない者であるときは、その株式は、当該未払込株金徴収金融機関に帰属する。
前項本文の規定により株式が帰属すべき者が存しないときは、その株式は、当該未払込株金徴収金融機関に帰属する。
第二十五条の五 未払込株金徴収金融機関は、第二十五条の四第一項の期間満了後二週間以内に、決定最終処理方法書に定めるところにより払込期日を定め、株主(前条第一項の規定により払込のあつた株式の株主及び外国に住所を有する指定時株主を除く。)に対し、未払込株金の払込をなすべき旨を催告しなければならない。
前項の場合において、前条第二項の規定により株式の帰属した指定時株主(指定時株主でその後株主たらざることとなり当該株式を再び取得した株主を除く。)に対する催告は、指定時においてその株式の株主として株主名簿に記載された者に対し、株主名簿に記載されたその者の住所に宛てて、これをなせば足りる。但し、指定時株主がその氏名及び住所を金融機関に通知したときは、この限りでない。
第一項の払込期日は、第二十五条の四第一項の期間満了後二週間を経過した時から一箇月以上二箇月の範囲内で、これを定めなければならない。
金融機関又は会社経理応急措置法の特別経理会社(会社経理応急措置法第三十九条の規定により、同法の規定を準用される者を含む。以下特別経理会社という。)が、左の各号に掲げる株式について、第一項の規定により未払込株金の払込をなすべき旨の催告を受けた場合において、同項の払込催告が当該金融機関(第二号の株式については同号の金融機関 以下本条中同じ。)の新勘定及び旧勘定の区分の消滅の日又は当該特別経理会社(第二号の株式については同号の特別経理会社 以下本条中同じ。)の旧勘定及び新勘定の併合(旧勘定のみを設ける特別経理会社については旧勘定の廃止 以下同じ。)の日以前になされたときは、当該株主に対する払込期日は、同項の規定にかかはらず、当該金融機関の新勘定及び旧勘定の区分の消滅の日又は当該特別経理会社の旧勘定及び新勘定の併合の日後一箇月を経過した日とする。
一 金融機関又は特別経理会社の所有する株式 但し、信託法第三条第二項の規定により株主名簿に信託財産である旨の記載のある株式又は金融機関経理応急措置法第八条第一項の規定により公証人の認証を受けた信託会社(信託業務を兼営する銀行を含む。)の指定時における信託勘定の新勘定に属する資産の目録に記載のある株式(以下信託株式といふ。)を除く。
二 信託株式で、金融機関又は特別経理会社がその信託の委託者であるもの。
第二十五条の六 前条第一項の規定により催告があつた株式が左の各号の一に該当するものである場合において、その株主が払込期日までに払込をしないときは、その株主は、同項の催告に係る株金(出資金を含む。以下同じ。)払込の義務を免れるとともに、払込をしないその株式につき株主の権利を失ふ。
一 法人(国を含み、相続人のあることが明かでない場合において法人とせられた相続財産を除く。以下同じ。)以外の者の所有する株式
二 閉鎖機関令第一条に規定する閉鎖機関(以下閉鎖機関といふ。)の所有する株式
三 信託株式で、前二号に掲げる者がその信託の委託者であるもの
第二十五条の七 第二十五条の五第一項の規定により催告があつた株式が前条各号に掲げるもの以外のものである場合において、その株主が払込期日までに払込をしないときは、未払込株金徴収金融機関は、その株主が未払込株金の払込をしない株式を、競売法の規定に従ひ競売し、又は他の方法により売却することができる。この場合において、損害賠償及び定款を以て定めた違約金の請求をなすことは、これを防げない。
商法第二百十四条第二項及び第三項の規定(譲渡人の責任に関する部分を除く)は、前項の場合に、これを準用する。
商法第三百九十二条及び第三百九十三条並びに非訟事件手続法第百三十五条ノ二十四及び第百三十五条ノ四十三乃至第百三十五条ノ四十六の規定は、未払込株金徴収金融機関が第一項の株主に株金の払込をなさしめる場合に、これを準用する。
第一項の規定により競売をなすもその結果を得られなかつたとき又は相当の期間内に同項の規定による売却をなさなかつたときは、未払込株金徴収金融機関は、同項の株主に対しその旨を通知することができる。
前項の通知があつたときは、当該株主はその権利を失ふ。この場合においては、商法第二百十四条第三項の規定(譲渡人の責任に関する部分を除く。)を準用する。
第二十五条の五第二項の規定は、第四項の通知に、これを準用する。
第二十五条の八 第二十五条の五第一項の規定により催告を受けた株主(信託株式についてはその委託者)が金融機関である場合において、当該金融機関に対し第二十四条第一項第七号又は第九号の規定の適用があるときは、その催告のあつた株式を、株式を発行した者、株式の種類及び払込催告額の異なるものごとに区分し、その区分の異なるごとに、同項第七号又は第九号の規定により確定損の整理負担額を計算し、その計算額を当該区分に属する株式の一株当り払込催告額で除して得た数(一未満の端数があるときは、その端数は切り上げる。)の当該区分に属する株式について、その株主は、当該金融機関の新勘定及び旧勘定の区分の消滅の日において第二十五条の五第一項の催告に係る株金払込の義務を免れるとともに、株主の権利を失ふ。この場合においては、同項の規定による催告のあつたその他の株式に係る株金払込請求権は、第二十五条第三項の規定にかかはらず、消滅しない。
前項の場合において、当該株主がいづれの株式について株主の権利を失ふかを確定するために必要な事項は、主務大臣がこれを定める。
第二十五条の九 第二十五条の五第一項の規定により催告を受けた株主(信託株式についてはその委託者)が特別経理会社である場合において、当該特別経理会社に対し企業再建整備法第十九条の規定の適用又は準用があるときは、その催告のあつた株式を、株式を発行した者、株式の種類及び払込催告額の異なるものごとに区分し、当該区分に属する株式の数に同法第十八条の決定整備計画に定める同法第六条第十号の割合を乗じて得た数(一未満の端数があるときは、その端数は切り上げる。)の当該区分に属する株式について、その株主は、当該特別経理会社の旧勘定及び新勘定の併合の日(同法第三十六条第一項第一号及び同号の規定を準用する場合の特別経理会社が旧勘定及び新勘定の併合の日後整備計画の全部の実行を終わる日前にその催告を受けた場合においては払込期日)において、第二十五条の五第一項の催告に係る株金払込の義務を免れるとともに、株主の権利を失ふ。
前条第二項の規定は、前項の場合に、これを準用する。
第二十五条の十 企業再建整備法の特別経理株式会社(同法第五十二条の規定により同法の規定を準用される者を含む。)の発行する株式のうち企業再建整備法第十二条の規定に基く命令の定めるところにより金融機関が株金払込の義務を免れるとともに株主の権利を失つた株式以外の株式に係る株金払込請求権は、第二十五条第三項の規定にかかはらず消滅しない。
第二十五条の十一 金融機関(金融機関が信託の委託者である場合における信託株式については受託者)が、当該金融機関(金融機関が信託の委託者である場合における信託株式については委託者たる金融機関 以下本条中同じ。)の新勘定及び旧勘定の区分の消滅後に、第二十五条の五第一項の規定により催告を受けた場合において、当該金融機関に対し前に第二十四条第一項第七号又は第九号の規定の適用があつたときは、若し当該催告が当該金融機関の新勘定及び旧勘定の区分の消滅前にあつたならば、第二十五条の八第一項の規定によりその株主が株主の権利を失ふべきであつた株式について、その株主は、その払込期日において、第二十五条の五第一項の催告に係る株金払込の義務を免れるとともに、株主の権利を失ふ。
第二十五条の八第二項の規定は、前項の場合に、これを準用する。
第二十五条の十二 特別経理会社(特別経理会社が信託の委託者である場合における信託株式についてはその受託者)が、当該特別経理会社(特別経理会社が信託の委託者である場合における信託株式については委託者たる特別経理会社 以下本条中同じ。)の旧勘定及び新勘定の併合の日(企業再建準整備法第三十六条第一項第一号及び同号の規定を準用する場合の特別経理会社については整備計画の全部の実行を終つた日 以下本条中同じ。)後に、第二十五条の五第一項の規定により催告を受けた場合において、当該特別経理会社に対し前に同法第十九条の規定の適用又は準用があつたときは、若し当該催告がその旧勘定及び新勘定の併合の日前にあつたならば第二十五条の九第一項の規定により当該特別経理会社が株主の権利を失ふべきであつた株式について、その株主は、その払込期日において、第二十五条の五第一項の催告に係る株金払込の義務を免れるとともに、株主の権利を失ふ。
第二十五条の八第二項の規定は、前項の場合に、これを準用する。
第二十五条の十三 第二十五条の六乃至第二十五条の九又は前二条の規定により株主がその権利を失つた株式は、株主がその権利を失つた日において、未払込株金徴収金融機関に帰属する。
閉鎖機関が第二十五条の六の規定により株主の権利を失つた株式について、主務大臣の指定する日までに、第二十五条の五第一項の規定による当該株式の払込催告額に相当する金額を提供してこれを買ひ受けることを申し出たときは、未払込株金徴収金融機関は、その金額を以て、当該閉鎖機関にその株式を譲渡しなければならない。
第一項又は第二十五条の四第二項但書若しくは第三項の規定により未払込株金徴収金融機関に帰属した株式は、前項に規定する株式については同項の規定により主務大臣の指定する日後、その他の株式については当該金融機関に帰属した日後の相当の時期に、決定最終処理方法書に定めるところにより、競売その他の方法により、これを処分しなければならない。第二十五条の四第二項本文の規定により、未払込株金徴収金融機関に帰属した株式がある場合において、その株式についても、また同様とする。
第二項に規定する株式については、同項の規定により主務大臣の指定する日以前に処分をなすも、その処分は効力を有しない。
第二十五条の十四 閉鎖機関が第二十五条の六の規定により株主の権利を失つた場合においては、商法第二百四十一条第二項の規定にかかはらず、未払込株金徴収金融機関は、前条第一項の規定により当該金融機関に帰属した株式について、同条第二項の規定により主務大臣の指定する日(同日以前に閉鎖機関に譲渡された株式については、その譲渡のあつた日)まで、議決権を有する。
前項の場合においては、未払込株金徴収金融機関は、主務大臣の定めるところにより、同項の株式について、その議決権の行使を、閉鎖機関令第九条の規定による当該閉鎖機関の特殊整理人に委任しなければならない。この場合においては、当該特殊整理人は、その委任を受けることを拒むことができない。
第二十五条の十五 第二十五条の四第二項の規定により株主の権利を失つた者がその権利を失つた株式を有償で取得した者である場合においては、当該株主は、当該株式の譲渡人(その者が指定時における信託株式の受託者であつた場合においてはその委託者 以下同じ。)に対し、当該株式の対価に相当する金額の返還を請求することができる。但し、当該株式を有償で取得した者が左の各号の一に該当する場合は、この限りでない。
一 法人
二 証券取引法第十五条の規定による証券業者
三 当該株式について第二十五条第一項第三号の規定による未払込株金の払込の催告のあるべきことを知ることができる地位にある者で命令で定めるもの
前項の場合において譲渡人が当該株式の対価に相当する金額を返還したときは、その者は、当該株式を有償で取得した者である場合に限り、当該株式の譲渡人に対し、その者が請求に応じて返還した金額の範囲内において、当該株式を取得した場合における対価に相当する金額の返還を請求することができる。但し、指定時株主又は前項但書各号の一に該当する者で昭和二十二年五月十三日以後当該株式を譲渡した者は、その対価に相当する金額の返還を請求することができない。
第一項の規定による請求権は、その株主の権利を失つた日から、前項の規定による請求権は、請求に応じて返還をなした時から、一年間これを行はないときは、時効によつて消滅する。
第二十五条の十六 第二十五条の四第一項又は第二十五条の五第一項の規定により払込の催告を受けた株主は、商法第二百条第二項の規定(これに準ずる他の法令の規定を含む。)にかかはらず、株金の払込につき相殺をなすことができる。
第二十五条の四第一項又は第二十五条の五第一項の規定により払込の催告を受けた株主が未払込株金徴収金融機関に対する債権(当該債権に対する債務が当該金融機関の旧勘定に属するものであるときは、金融機関経理応急措置法第十六条但書の規定により弁済することのできるものに限る。)で担保権の目的たるもの以外のものを有するときは、その弁済期前において、未払込株金の払込につき、その債権を以て相殺をなすことができる。この場合においては、当該債権及び未払込株金の払込請求権は、相殺の意思表示をなした時において、その対当額につき消滅する。
商法第百二十五条第二項及び第三項の規定は、前項の場合に、これを準用する。
未払込株金の払込請求権その他主務大臣の指定する債権は、第一項及び第二項の規定にかかはらず、これを以て、株金払込につき相殺をなすことができない。
未払込株金徴収金融機関は、相殺により消滅した債務(旧勘定に属するものを除く。)の額に相当する金額を、新勘定の旧勘定に対する借として整理しなければならない。
第二十五条の十七 未払込株金徴収金融機関の株主は、株主の払込に代へ、当該金融機関に、国債、地方債その他主務大臣の指定する有価証券を交付することができる。この場合においては、その交付は、株金の払込と同一の効力を有する。
前項の場合における国債、地方債その他の有価証券の評価額は、主務大臣の定めるところによる。
第二十五条の十八 第二十五条第一項第三号の規定による払込の場合に関しては、商法第二百十三条乃至第二百二十条の規定は、これを適用しない。
第五十三条の二 金融機関経理応急措置法第二十二条第二項の規定により認可を受けて解散した株式会社たる金融機関(以下解散金融機関といふ。)の清算人は、商法第四百十九条に規定する財産目録及び貸借対照表を作成するについては、新勘定の資産及び負債に関するものを作成し、同法第四百二十一条及び第四百二十二条第一項の規定による債権申出の催告をするについては、新勘定に属する債務に対する債権(解散後旧勘定から移し換へられたものを除く。)を有する者に対してなせば足りる。
第五十三条の三 金融機関経理応急措置法第十六条及び第十七条の規定は、解散金融機関の新勘定に属する債務に、これを準用する。
第五十七条の二 前条第一項に規定する金融機関の会員又は組合員が、第二十五条の四、第二十五条の六乃至第二十五条の九、第二十五条の十一又は第二十五条の十二の規定により出資者の権利を失ひ当該金融機関の会員又は組合員でなくなつたときは、その者は、その出資者の権利を失つた日から六箇月を限り、資金の貸付施設の利用その他当該金融機関の会員又は組合員の受ける利益と同様の利益を受けることができる。
附則第二項の次に次の一項を加える。
第二十五条の十五の規定の適用については、有価証券業取締法第一条に規定する有価証券業を営む者は、証券取引法第十五条の規定の施行されるまでの間は、これを第二十五条の十五第一項但書第二号に規定する者とみなす。
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
(大蔵・司法・農林・商工・内閣総理大臣署名)