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法律第百六十四号(昭二二・一二・一二)

◎児童福祉法

児童福祉法目次

第一章 総則

 第一節 定義

 第二節 児童福祉委員会

 第三節 児童福祉司及び児童委員

 第四節 児童相談所

第二章 福祉の措置及び保障

第三章 児童福祉施設

第四章 費用

第五章 雑則

附則

児童福祉法

第一章 総則

第一条 すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。

すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。

第二条 国民及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。

第三条 前二条に規定するところは、児童の福祉を保障するための原理であり、この原理は、すべて児童に関する法令の施行にあたつて、常に尊重されなければならない。

第一節 定義

第四条 この法律で、児童とは、満十八歳に満たない者をいい、児童を左のように分ける。

一 乳児  満一歳に満たない者

二 幼児  満一歳から、小学校就学の始期に達するまでの者

三 少年  小学校就学の始期から、満十八歳に達するまでの者

第五条 この法律で、妊産婦とは、妊娠中又は出産後一年以内の女子をいう。

第六条 この法律で、保護者とは、親権者(親権者のないときは、後見人とする。以下同じ。)その他の者で、児童を現に監護する者をいう。

第七条 この法律で、児童福祉施設とは、助産施設、乳児院、母子療、保育所、児童厚生施設、養護施設、精神薄弱児施設、療育施設及び教護院とする。

第二節 児童福祉委員会

第八条 児童及び妊産婦の福祉に関する事項を調査審議するため、中央児童福祉委員会及び地方児童福祉委員会を置く。

地方児童福祉委員会は、都道府県ごとに、これを置く。

中央児童福祉委員会は、厚生大臣の、地方児童福祉委員会は、都道府県知事の管理に属する。

中央児童福祉委員会は、厚生大臣の諮問に答え、又は関係各大臣に意見を具申することができる。

地方児童福祉委員会は、都道府県知事の諮問に答え、又は関係行政庁に意見を具申することができる。

児童福祉委員会は、特に必要があると認めるときは、関係行政庁に対し、所属職員の出席説明及び資料の提出を求めることができる。

第九条 中央児童福祉委員会は、委員四十五人以内で、地方児童福祉委員会は、委員二十人以内でこれを組織する。

児童福祉委員会において、持別の事項を調査審議するため必要があるときは、臨時委員を置くことができる。

中央児童福祉委員会又は地方児童福祉委員会の委員及び臨時委員は、関係行政庁の官吏又は吏員、児童の保護、保健その他福祉に関する事業に従事する者及び学識経験のある者の中から、厚生大臣又は都道府県知事が、夫々これを命ずる。

児童福祉委員会に、委員の互選による委員長一人を置く。

第十条 この法律で定めるものの外、委員の任期及び委員長の職務その他児童福祉委員会の運営に関し必要な事項は、命令でこれを定める。

第三節 児童福祉司及び児童委員

第十一条 都道府県に、児童福祉司を置く。

児童福祉司は、児童及び妊産婦の保護、保健その他福祉に関する事項について、相談に応じ、必要な注意を与える等これらの者の福祉増進に努める。

児童福祉司は、都道府県知事の定める担当区域により、前項の職務を行う。

児童福祉司は、事務吏員又は技術吏員を以て、これに充て、児童及び妊産婦の保護、保健その他福祉に関する事業につき経験又は学識のある者の中から、これを任用しなければならない。

第十二条 市町村(特別区を含む。以下同じ。)の区域に児童委員を置く。

児童委員は、児童福祉司の行う職務につき、これを協力するものとする。

民生委員令による民生委員は、児童委員に充てられたものとする。

児童委員は、都道府県知事の指揮監督を受ける。

第十三条 市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)は、第十一条第二項に規定する事項に関して、児童福祉司及び児童委員に意見を述べることができる。

第十四条 この法律で定めるものの外、児童福祉司の任用叙級その他児童福祉司及び児童委員に関し必要な事項は、命令でこれを定める。

第四節 児童相談所

第十五条 都道府県は、児童相談所を設置しなければならない。

児童相談所は、児童の福祉増進について相談に応じ、必要があるときは、児童の資質の鑑別を行うことを目的とする。

第十六条 児童相談所には、所長及び所員を置く。

所長及び所員は、事務吏員又は技術吏員を以て、これに充てる。

所長は、都道府県知事の監督を受け、所務を掌理する。

所員は、所長の監督を受け、前条に規定する相談又は鑑別を掌る。

児童相談所には、第一項に規定するものの外、必要な職員を置くことができる。

第十七条 児童相談所には、必要に応じ、児童を一時保護する施設を設けなければならない。

第十八条 この法律で定めるものの外、児童相談所の管轄区域その他児童相談所に関し必要な事項は、命令でこれを定める。

第二章 福祉の措置及び保障

第十九条 都道府県知事は、妊産婦又は乳児若しくは幼児の保護者に対して、保健所又は医師、助産婦若しくは保健婦につき、妊娠、出産又は育児に関し、保健指導を受けることを勧奨しなければならない。

妊産婦及び乳児又は幼児の保護者は、保健所又は医師、助産婦若しくは保健婦につき、妊娠、出産又は育児に関し、保健指導を受けなければならない。

都道府県知事は、乳児又は幼児に対して、健康診査を施行することができる。

都道府県知事は、経済的理由により、保健指導を受ける費用を負担することができない妊産婦又は乳児若しくは幼児の保護者に対しては、命令の定めるところにより、その費用を代わつて負担する措置をとらなければならない。

第二十条 妊娠した者は、速やかに、医師又は助産婦の妊娠証明書を添え、市町村長に妊娠の届出をしなければならない。但し、附近に医師及び助産婦がない等やむを得ない事由があるときは、医師又は助産婦の妊娠証明書を添えることを要しない。

第二十一条 都道府県知事は、命令の定めるところにより、前条の規定により、妊娠の届出をした者に対して、母子手帳を交付しなければならない。

妊産婦が、保健所又は医師、助産婦若しくは保健婦につき、保健指導を受けたときは、その都度、母子手帳に保健指導上必要な事項の記載を受けなければならない。乳児又は幼児の保護者が、保健所又は医師助産婦若しくは保健婦につき、乳児又は幼児の保健指導を受けたときも、また同様である。

この法律で定めるものの外、母子手帳に関し必要な事項は、命令でこれを定める。

第二十二条 市町村長は、保健上必要があるにもかかわらず、経済的理由により、入院助産を受けることができない妊産婦を助産施設に入所させて、助産を受けさせなくてはならない。但し、附近に助産施設がない等やむを得ない事由があるときは、この限りでない。

第二十三条 市町村長は、保護者が、配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子であつて、その者の監護すべき児童の福祉に欠けるところがあると認めるときは、その保護者及び児童を母子寮に入所させて保護しなければならない。但し、附近に母子寮がない等やむを得ない事由があるときは、この限りでない。

第二十四条 市町村長は、保護者の労働又は疾病等の事由により、その監護すべき乳児又は幼児の保育に欠けるところがあると認めるときは、その乳児又は幼児を保育所に入所させて保育しなければならない。但し、附近に保育所がない等やむを得ない事由があるときは、この限りでない。

第二十五条 保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認める児童を発見した者は、これを児童相談所又はその職員に通告しなければならない。但し、少年審判所の保護処分をなすべき児童については、この限りでない。

第二十六条 児童相談所長は、前条の規定による通告を受けた児童について、必要があると認めたときは、左の各号の一の措置をとらなければならない。相談に応じた児童についても、また同様である。

一 第二十七条の措置を要すると認める者は、これを都道府県知事に報告すること。

二 児童又はその保護者を児童福祉司又は児童委員に指導させること。

前項第一号の規定による報告書には、児童の住所、氏名、年齢、履歴、性行、健康状態その他児童の福祉増進に関し、参考となる事項を記載しなければならない。

第二十七条 都道府県知事は、前条第一項第一号の規定による報告のあつた児童につき、命令の定めるところにより、左の各号の一の措置をとらなければならない。

一 児童又はその保護者に訓戒を加え、又は誓約書を提出させること。

二 児童又はその保護者を児童福祉司又は児童委員に指導させること。

三 児童を里親(保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童を養育することを希望する者であつて、都道府県知事が、適当と認める者をいう。以下同じ。)に委託し、又は乳児院、養護施設、精神薄弱児施設、療育施設若しくは教護院に入所させること。

前項第三号の措置は、児童に親権者があるときは、その親権者の意に反して、これをとることができない。

第二十八条 保護者が、その児童を虐待し、又は著しくその監護を怠り、よつて刑罰法令に触れ、又は触れる虞のある場合においては、前条第一項第三号の措置をとることが児童の親権者の意に反するときは、都道府県知事は、左の各号の措置をとることができる。

一 保護者が親権者であるときは、家事審判所の承認を得て、前条第一項第三号の措置をとること。

二 保護者が親権者でないときは、その児童を親権者に引き渡すこと。但し、その児童を親権者に引き渡すことが児童の福祉のため不適当であると認めるときは、家事審判所の承認を得て、前条第一項第三号の措置をとること。

前項の承認は、家事審判法の適用に関しては、これを同法第九条第一項甲類に掲げる事項とみなす。

第二十九条 都道府県知事は、前条の規定による措置をとるため、必要があると認めるときは、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する吏員をして、児童の住所若しくは居所又は児童の従業する場所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。この場合においては、その身分を証明する証票を携帯させなければならない。

第三十条 都道府県知事は、里親に、その委託した児童について、必要な報告をさせることができる。

第三十一条 第二十七条第一項第三号の規定により、精神薄弱児施設、療育施設又は教護院に入所した児童について、厚生大臣又は都道府県知事は、満二十歳に達するまで、その者をこれらの児童福祉施設に在所させることができる。但し、児童相談所にその児童の資質の再鑑別をさせ、児童相談所が、その必要を認めた場合に限る。

第三十二条 都道府県知事は、第二十七条第一項の措置をとる権限の全部又は一部を児童相談所長に委任することができる。

第三十三条 児童相談所長は、必要があると認めるときは、第二十六条第一項の措置をとるに至るまで、児童に一時保護を加え、又は適当な者に委託して、一時保護を加えさせることができる。

都道府県知事は、必要があると認めるときは、第二十七条第一項の措置をとるに至るまで、児童相談所長をして、児童に一時保護を加えさせ、又は適当な者に、一時保護を加えることを委託させることができる。

この法律で定めるものの外、一時保護に関し必要な事項は、命令でこれを定める。

第三十四条 何人も、左の各号に掲げる行為をしてはならない。

一 不具奇形の児童を公衆の観覧に供する行為

二 児童にこじきをさせ、又は児童を利用してこじきをする行為

三 公衆の娯楽を目的として、満十五歳に満たない児童にかるわざ又は曲馬をさせる行為

四 満十五歳に満たない児童に戸戸について、又は道路その他これに準ずる場所で歌謡、遊芸その他の演技を業務としてさせる行為

五 満十五歳に満たない児童に酒席に侍する行為を業務としてさせる行為

六 児童に淫行をさせる行為

七 前各号に掲げる行為をする虞のある者その他児童に対し、形罰法令に触れる行為をなす虞のある者に、情を知つて、児童を引き渡す行為及び当該引渡し行為のなされる虞があるの情を知つて、他人に児童を引き渡す行為

養護施設、精神薄弱児施設、療育施設又は教護院においては、夫々第四十一条、第四十二条、第四十三条又は第四十四条に規定する目的に反して、入所した児童を酷使してはならない。

前項の児童を酷使から保護するため必要な事項は、児童の労働に関する他の法令の趣旨を尊重して、第四十五条の規定による最低基準において、これを定める。

第三章 児童福祉施設

第三十五条 国及び都道府県は、命令の定めるところにより、児童福祉施設を設置しなければならない。

市町村その他の者は、命令の定めるところにより、行政庁の認可を得て、児童福祉施設を設置することができる。

都道府県知事は、地方児童福祉委員会の意見を聞き、市町村に対し、児童福祉施設の設置を命ずることができる。

児童福祉施設には、児童福祉施設の職員の養成施設を附置することができる。

第三十六条 助産施設は、保健上必要があるにもかかわらず、経済的理由により、入院助産を受けることができない妊産婦を入所させて、助産を受けさせることを目的とする施設とする。

第三十七条 乳児院は、乳児を入院させて、これを養育することを目的とする施設とする。

前項の規定による養育は、必要があるときは、乳児が満二歳に達するまで、これを継続することができる。

第三十八条 母子寮は、配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童を入所させて、これらの者を保護することを目的とする施設とする。

第三十九条 保育所は、日日保護者の委託を受けて、その乳児又は幼児を保育することを目的とする施設とする。

第四十条 児童厚生施設は、児童遊園、児童館等児童に健全な遊びを与えて、その健康を増進し、又は情操をゆたかにすることを目的とする施設とする。

第四十一条 養護施設は、乳児を除いて、保護者のない児童、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護することを目的とする施設とする。

第四十二条 精神薄弱児施設は、精神薄弱の児童を入所させて、これを保護するとともに、独立自活に必要な知識技能を与えることを目的とする施設とする。

第四十三条 療育施設は、身体の虚弱な児童に適正な環境を与えて、その健康増進を図ることを目的とする施設又は身体の機能の不自由な児童を治療するとともに、独立自活に必要な知識技能を与えることを目的とする施設とする。

第四十四条 教護院は、不良行為をなし、又はなす虞のある児童を入院させて、これを教護することを目的とする施設とする。

第四十五条 厚生大臣は、中央児童福祉委員会の意見を聞き、児童福祉施設の設備及び運営について、最低基準を定めなければならない。

第四十六条 行政庁は、前条の最低基準を維持するため、児童福祉施設の長に対して、必要な報告をさせ、児童の福祉に関する事務に従事する官吏又は吏員に、実地につき監督させることができる。

行政庁は、児童福祉施設の設備又は運営が、前条の最低基準に達しないときは、その改善を命じ、又は児童福祉委員会の意見を聞き、その事業の停止を命ずることができる。

第四十七条 児童福祉施設の長は、必要があると認めるときは、入所した児童に対して、親権を行うことができる。但し、親権者のある者の財産の管理については、この限りでない。

第四十八条 養譲施設、精紳薄弱児施設及び療育施設に入所中の児童のうち、学絞教育法第二十二条又は第三十九条の規定により就学させられるべき者に対する教育については、学校教育法の定めるところによる。

教護院の長は、在院中、学校教育法の規定による小学校又は中学校に準ずる教科を修めた者に対し、小学校又は中学校の課程を修了したものと認定しなければならない。

前項の教科に関する事項については、学校教育法第二十条又は第三十八条の監督庁の承認を受けなければならない。

前項の規定により、承認を受けた教護院の教科に関する事項については、文部大臣(国の設置する教護院以外の教護院については、学校教育法の規定による都道府県監督庁)が、これを監督する。

第二項の規定による認定を受けた者は、学校教育法の規定による小学校又は中学校の課程を修了した者とみなす。 

第四十九条 この法律で定めるものの外、児童福祉施設の職員その他児童福祉施設に関し必要な事項は、命令でこれを定める。

第四章 費用

第五十条 左の各号に掲げる費用は、都道府県の負担とする。

一 地方児童福祉委員会に要する費用

二 児童福祉司及び児童委員に要する費用

三 児童相談所に要する費用(設備に要する費用を除く。)

四 第十九条第四項の措置に要する費用

五 母子手帳に要する費用

六 都道府県の設置する助産施設母子寮又は保育所に入所させた者につき、その入所後に要する費用

七 第二十七条の措置に要する費用(国の設置する乳児院、養護施設、精紳薄弱児施設、療育施設又は教護院に入所させた児童につき、その入所後に要する費用を除く。)

八 一時保護に要する費用

九 児童相談所の設備並びに都道府県の設置する児童福祉施設の設備及び職員の養成施設に要する費用

第五十一条 左の各号に掲げる費用は、市町村の負担とする。

一 第二十二条から第二十四条までに規定する措置に要する費用(国及び都道府県の設置する助産施設、母子寮又は保育所に入所させた者につき、その入所後に要する費用を除く。)

二 市町村の設置する児童福祉施設の設備及び職員の養成施設に要する費用

第五十二条 国庫は、第五十条第一号、第二号、第五号及び第九号並びに前条第二号の費用に対しては、政令の定めるところにより、その二分の一(第五十条第九号及び前条第二号の費用中、母子寮、保育所及び療育施設の設備については、二分の一乃至三分の一)を補助する。但し、第五十条第九号及び前条第二号の費用中、本人及びその扶養義務者において入院のための費用を負担することができない乳児を入院させて、これを養育することを目的とする乳児院以外の乳児院及び児童厚生施設の設備に関するものについては、この限りでない。

第五十三条 国庫は、前条に規定するものの外、第五十条及び第五十一条に規定する地方公共団体の負担する費用に対しては、政令の定めるところにより、その十分の八を補助する。

第五十四条 都道府県は、第五十一条第二号の費用に対して、政令の定めるところにより、その四分の一(母子寮、保育所及び療育施設の設備については、三分の一乃至四分の一)を補助しなければならない。但し、本人及びその扶養義務者において、入院のための費用を負担することができない乳児を入院させて、これを養育することを目的とする乳児院以外の乳児院及び児童厚生施設の設備に関するものについては、この限りでない。

第五十五条 都道府県は、第五十一条第一号の費用に対しては、政令の定めるところにより、その十分の一を補助しなければならない。

第五十六条 厚生大臣、都道府県知事又は市町村長は、左の各号の一の費用を、期限を指定して本人又はその扶養義務者から徴収しなければならない。但し、市町村長において、児童福祉司又は児童委員の意見を聞き、本人及びその扶養義務者が、その費用を負担することができないと認めるときは、この限りでない。

一 第二十二条から第二十四条まで又は第二十七条第一項第三号に規定する措置に要する費用

二 一時保護に要する費用

前項但書の場合において、市町村は、その費用の十分の一を負担しなければならない。但し、命令で定める場合は、この限りでない。

第一項の規定による費用の徴収は、これを本人又はその扶養義務者の居住地又は財産所在地の都道府県知事又は市町村長に嘱託することができる。

第一項の規定により徴収される費用を、指定の期限内に納付しない者があるときは、国税滞納処分の例により処分することができる。

第五章 雑則

第五十七条 都道府県、市町村その他の公共団体は、左の各号に掲げる建物及び土地に対しては、租税その他の公課を課することができない。但し、有料で使用させるものについては、この限りでない。

一 主として児童福祉施設のために使う建物

二 前号に掲げる建物の敷地その他主として児童福祉施設のために使う土地

第五十八条 第三十五条第二項の規定により設置した児童福祉施設が、この法律若しくはこの法律に基いて発する命令又はこれらに基いてなす処分に違反したときは、行政庁は、同項の認可を取り消すことができる。

児童福祉施設であつて、この法律による認可を受けないもの又は前項の規定により認可を取り消されたものについては、行政庁は、児童福祉委員会の意見を聞き、その事業の停止を命ずることができる。

第五十九条 この法律又はこの法律に基いて発する命令の規定により、厚生大臣、都道府県知事若しくは市町村長又は児童相談所長のなす処分に不服のある者は、行政庁に訴願することができる。

第六十条 第三十四条第一項第六号の規定に違反した者は、これを十年以下の懲役又は二千円以上三万円以下の罰金に処する。

第三十四条第一項第一号から第五号まで若しくは第七号又は同条第二項の規定に違反した者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。

児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、前二項の規定による処罰を免かれることができない。但し、過失のないときは、この限りでない。

第六十一条 児童相談所において、児童の資質の鑑別に従事した者が、正当の理由なく、その職務上取り扱つたことについて知得した人の秘密を漏らしたときは、これを六箇月以下の懲役又は三千円以下の罰金に処する。

第六十二条 正当の理由なく、第二十九条の規定による児童委員若しくは児童の福祉に関する事務に従事する吏員の職務の執行を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又はその質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又は児童に答弁をさせず、若しくは虚偽の答弁をさせた者は、これを五千円以下の罰金に処する。

附 則

第六十三条 この法律は、昭和二十三年一月一日から、これを施行する。但し、第十九条、第二十二条から第二十四条まで、第五十条第四号、第六号、第七号及び第九号(児童相談所の設備に関する部分を除く。)第五十一条、第五十四条及び第五十五条の規定並びに第五十二条、第五十三条及び第五十六条の規定中これらの規定に関する部分は、昭和二十三年四月一日から、これを施行する。

第六十四条 民生委員令による民生委員は、第十二条第三項の規定の施行の日から、三箇月を経過した日に、その任期が満了したものとみなす。

前項の規定による任期満了の結果、民生委員を選ぶに当つては、第十二条第二項の職務を行うに適することを要件としなければならない。

第六十五条 児童虐待防止法及び少年教護法は、これを廃止する。但し、これらの法律廃止前に、なした行為に関する罰則の適用については、これらの法律は、なおその効力を有する。

第六十六条 児童虐待防止法第二条の規定により、都道府県知事のなした処分は、これをこの法律中の各相当規定による措置とみなす。

第六十七条 この法律施行の際、現に存する少年教護法の規定による少年教護院及び職員養成所は、これをこの法律の規定により設置した教護院及び職員養成施設とみなし、少年教護院に在院中の者は、これを第二十七条第一項第三号の規定により、教護院に入院させられた者とみなす。

第六十八条 少年教護法第二十四条第一項但書の規定により、その教科につき、文部大臣の承認を受けた少年教護院であつて、この法律施行の際、現に存するものは、第四十八条第三項の規定により、教科に関する事項につき、学校教育法第二十条又は第三十八条の監督庁の承認を受けたものとみなす。

第六十九条 この法律施行の際、現に存する生活保護法の規定による保護施設中の児童保護施設は、これをこの法律の規定により設置した児童福祉施設とみなす。

第七十条 この法律施行の際、現に存する児童福祉施設であつて、第六十七条及び前条の規定に該当しないものは、命令の定めるところにより、行政庁の認可を得て、この法律による児童福祉施設として存続することができる。

第七十一条 東京都の特別区のある区域においては、当分の間、第二十二条から第二十四条まで及び第五十六条第一項中「特別区の区長」とあるのは、「東京都知事」、第五十一条及び第五十六条第二項中「特別区」とあるのは、第五十一条第一号の規定に係るものについては、「東京都」と読み替えるものとする。

第七十二条 満十四歳以上の児童で、学校教育法第九十六条の規定により、義務教育の課程又はこれと同等以上と認める課程を修了した者については、第三十四条第三号から第五号までの規定は、これを適用しない。

(内務・大蔵・司法・文部・厚生・内閣総理大臣署名)

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