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法律第百七十四号(昭二四・六・一)

◎労働組合法

労働組合法(昭和二十年法律第五十一号)の全部を改正する。

目次

第一章 総則(第一条―第四条)

第二章 労働組合(第五条―第十三条)

第三章 労働協約(第十四条―第十八条)

第四章 労働委員会(第十九条―第二十七条)

第五章 罰則(第二十八条―第三十三条)

附則

第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること、労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出することその他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること並びに使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続を助成することを目的とする。

2 刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十五条の規定は、労働組合の団体交渉その他の行為であつて前項に掲げる目的を達成するためにした正当なものについて適用があるものとする。但し、いかなる場合においても、暴力の行使は、労働組合の正当な行為と解釈されてはならない。

 (労働組合)

第二条 この法律で「労働組合」とは、労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。但し、左の各号の一に該当するものは、この限りでない。

一 役員、雇入解雇昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある労働者、使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが当該労働組合の組合員としての誠意と責任とに直接にてい触する監督的地位にある労働者その他使用者の利益を代表する者の参加を許すもの

二 団体の運営のための経費の支出につき使用者の経理上の援助を受けるもの。但し、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、且つ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする。

三 共済事業その他福利事業のみを目的とするもの

四 主として政治運動又は社会運動を目的とするもの

 (労働者)

第三条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者をいう。

 (警察吏員及び消防吏員)

第四条 地方公共団体の警察吏員及び消防吏員は、労働組合を結成し、又は労働組合に加入することができない。

第二章 労働組合

 (労働組合として設立されたものの取扱)

第五条 労働組合は、労働委員会に証拠を提出して第二条及び第二項の規定に適合することを立証しなければ、この法律及び労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)に規定する手続に参与する資格を有せず、且つ、これらの法律に規定する救済を与えられない。但し、第七条第一号の規定に基く個々の労働者に対する保護を否定する趣旨に解釈されるべきではない。

2 労働組合の規約には、左の各号に掲げる規定を含まなければならない。

一 名称

二 主たる事務所の所在地

三 連合団体である労働組合以外の労働組合(以下「単位労働組合」という。)の組合員は、その労働組合のすべての問題に参与する権利及び均等の取扱を受ける権利を有すること。

四 何人も、いかなる場合においても、人種、宗教、性別、門地又は身分によつて組合員たる資格を奪われないこと。

五 単位労働組合にあつては、その役員は、組合員の直接無記名投票により選挙されること、及び連合団体である労働組合又は全国的規模をもつ労働組合にあつては、その役員は、単位労働組合の組合員又はその組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票により選挙されること。

六 総会は、少くとも毎年一回開催すること。

七 すべての財源及び使途、主要な寄附者の氏名並びに現在の経理状況を示す会計報告は、組合員によつて委嘱された職業的に資格がある会計監査人による正確であることの証明書とともに、少くとも毎年一回組合員に公表されること。

八 同盟罷業は、組合員又は組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票の過半数による決定を経なければ開始しないこと。

九 単位労働組合にあつては、その規約は、組合員の過半数の投票を得なければ改正しないこと、及び連合団体である労働組合又は全国的規模をもつ労働組合にあつては、その規約は、単位労働組合の組合員又はその組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票による過半数の支持を得なければ改正しないこと。

 (交渉権限)

第六条 労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。

 (不当労働行為)

第七条 使用者は、左の各号に掲げる行為をしてはならない。

一 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。但し、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。

二 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。

三 労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。但し、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、且つ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする。

 (損害賠償)

第八条 使用者は、同盟罷業その他の争議行為であつて正当なものによつて損害を受けたことの故をもつて、労働組合又はその組合員に対し賠償を請求することができない。

 (基金の流用)

第九条 労働組合は、共済事業その他福利事業のために特設した基金を他の目的のために流用しようとするときは、総会の決議を経なければならない。

 (解散)

第十条 労働組合は、左の事由によつて解散する。

一 規約で定めた解散事由の発生

二 組合員又は構成団体の四分の三以上の多数による総会の決議

 (法人である労働組合)

第十一条 この法律の規定に適合する旨の労働委員会の証明を受けた労働組合は、その主たる事務所の所在地において登記することによつて法人となる。

2 この法律に規定するものの外、労働組合の登記に関して必要な事項は、政令で定める。

3 労働組合に関して登記すべき事項は、登記した後でなければ第三者に対抗することができない。

 (準用規定)

第十二条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十三条、第四十四条(この法律の第八条に規定する場合を除く。)、第五十条、第五十二条から第五十五条まで及び第五十七条並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五条、第三十六条及び第三十七条の二の規定は、法人である労働組合に準用する。

2 民法第七十二条から第八十三条まで並びに非訟事件手続法第百三十六条、第百三十七条及び第百三十八条の規定は、この法律の第十条の規定により解散した法人である労働組合に準用する。

 (法人である労働組合の免税)

第十三条 法人である労働組合には、政令の定めるところにより、所得税及び法人税を課さない。

第三章 労働協約

 (労働協約の効力の発生)

第十四条 労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名することによつてその効力を生ずる。

 (労働協約の期間)

第十五条 労働協約は、有効期間を定めた条項を含まなければならず、且つ、いかなる場合においても、三年を越えて有効に存続することができない。

2 労働協約は、その中に規定した期限が到来した時以後においてその当事者のいずれか一方の表示した意思に反して、なお有効に存続することができない。但し、この規定は、労働協約の当事者のいずれか一方が反対の意思を表示しない限り労働協約の効力が更新される旨の労働協約の規定を排除する趣旨に解釈されてはならない。

 (基準の効力)

第十六条 労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする。この場合において無効となつた部分は、基準の定めるところによる。労働契約に定がない部分についても、同様とする。

 (一般的拘束力)

第十七条 一の工場事業場に常時使用される同種の労働者の四分の三以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至つたときは、当該工場事業場に使用される他の同種の労働者に関しても、当該労働協約が適用されるものとする。

 (地域的の一般的拘束力)

第十八条 一の地域において従業する同種の労働者の大部分が一の労働協約の適用を受けるに至つたときは、当該労働協約の当事者の双方又は一方の申立に基き、労働委員会の決議により、労働大臣又は都道府県知事は、当該地域において従業する他の同種の労働者及びその使用者も当該労働協約(第二項の規定により修正があつたものを含む。)の適用を受けるべきことの決定をすることができる。

2 労働委員会は、前項の決議をする場合において、当該労働協約に不適当な部分があると認めたときは、これを修正することができる。

3 第一項の決定は、公告によつてする。

第四章 労働委員会

 (労働委員会)

第十九条 使用者を代表する者、労働者を代表する者及び公益を代表する者各同数をもつて組織する労働委員会を設置する。

2 労働委員会は、中央労働委員会、船員中央労働委員会、地方労働委員会及び船員地方労働委員会とする。

3 この法律に規定する労働委員会の委員及び職員は、法令により公務に従事する職員であるものとする。

4 労働委員会に関する事項は、この法律に定めるものの外、政令で定める。

5 中央労働委員会は、労働大臣の所轄とする。

6 中央労働委員会は、使用者を代表する者(以下「使用者委員」という。)、労働者を代表する者(以下「労働者委員」という。)及び公益を代表する者(以下「公益委員」という。)各七人をもつて組織する。

7 使用者委員は、使用者団体の推薦に基いて、労働者委員は、労働組合の推薦に基いて、公益委員は、使用者委員及び労働者委員の同意を経て、労働大臣が任命するものとする。

8 禁治産者及び準禁治産者並びに懲役又は禁この刑に処せられてその執行を終り、又は執行を受けることがなくなるまでの者は、委員となることができない。委員がこの規定によりその資格を失つたときは、当然退職するものとする。

9 公益委員の任命については、その中の三人以上の員数の委員が同一の政党に属する者となつてはならない。公益委員が自己の行為によつてこの規定にてい触してその資格を失つたときは、当然退職するものとする。

10 労働大臣は、中央労働委員会の委員が心身の故障のために職務の執行ができないと認めたとき、又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認めたときは、中央労働委員会の同意を経て、その委員を罷免することができる。

11 委員の任期は、一年とする。但し、補欠の委員は、前任者の残任期間在任する。

12 委員は、再任することができる。

13 委員は、後任者が任命されるまでその職務を行う。

14 委員は、別に法律の定めるところにより俸給、手当その他の給与を受け、及び政令の定めるところによりその職務を行うために要する費用の弁償を受けるものとする。

15 中央労働委員会に会長を置く。

16 会長は、委員が公益委員の中から選挙する。

17 会長は、中央労働委員会の会務を総理する。

18 会長がその職務を行うことができないときは、第十六項の規定に従つて選挙された者が会長の職務を代行し、会長が欠けたときは、同項の規定に従つて新たに会長を選挙する。

19 中央労働委員会にその事務を整理するために事務局を置き、事務局に会長の同意を経て労働大臣が任命する事務局長及び必要な職員を置く。

20 この条の規定は、地方労働委員会に準用する。但し、労働大臣の行う権限は、都道府県知事が行うものとし、労働委員会は、使用者委員、労働者委員及び公益委員各五人(東京都においては各七人)をもつて組織し、公益委員は、その中の二人(東京都においては三人)以上の員数の委員が同一の政党に属する者となつてはならない。

21 船員法(昭和二十二年法律第百号)の適用を受ける船員に関しては、この法律に規定する中央労働委員会、地方労働委員会並びに労働大臣及び都道府県知事の行う権限は、それぞれ船員中央労働委員会、船員地方労働委員会及び運輸大臣が行うものとし、中央労働委員会及び地方労働委員会に関する規定は、船員中央労働委員会及び船員地方労働委員会に準用する。但し、「都道府県」とあるのは「海運局の管轄区域」と読み替えるものとする。

 (労働委員会の権限)

第二十条 労働委員会は、第五条、第十一条、第十八条及び第二十七条の規定によるものの外、労働争議のあつ旋、調停及び仲裁をする権限を有する。

 (会議)

第二十一条 労働委員会は、公益上必要があると認めたときは、その会議を公開することができる。

2 労働委員会の会議は、会長が招集する。

3 労働委員会は、使用者委員、労働者委員及び公益委員各一人以上が出席しなければ、会議を開き、議決することができない。

4 議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。

 (強制権限)

第二十二条 労働委員会は、その事務を行うために必要があると認めたときは、使用者又はその団体、労働組合その他の関係者に対して、出頭、報告の提出若しくは必要な帳簿書類の提出を求め、又は委員若しくは労働委員会の職員(以下単に「職員」という。)に関係工場事業場に臨検し、業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

2 労働委員会は、前項の臨検又は検査をさせる場合においては、委員又は職員にその身分を証明する証票を携帯させ、関係人に、これを呈示させなければならない。

 (秘密を守る義務)

第二十三条 労働委員会の委員若しくは委員であつた者又は職員若しくは職員であつた者は、その職務に関して知得した秘密を漏らしてはならない。

 (公益委員のみで行う権限)

第二十四条 第五条、第七条、第十一条及び第二十七条並びに労働関係調整法第四十二条の規定による事件に関する処分には、労働委員会の公益委員のみが参与する。但し、決定に先立つて行われる審問に使用者委員及び労働者委員が参与することを妨げない。

 (中央労働委員会の権限)

第二十五条 中央労働委員会は、第十八条、第二十条、第二十六条及び第二十七条の規定による事務を行う権限を有する。中央労働委員会は、二以上の都道府県にわたり、又は全国的に重要な問題にかかる事件のあつ旋、調停、仲裁及び処分について、優先して管轄する。

2 中央労働委員会は、第五条、第七条及び第二十七条の規定に基く地方労働委員会の処分を取り消し、承認し、若しくは変更する完全な権限をもつて再審査し、又はその処分に対する再審査の申立を却下することができる。この再審査は、地方労働委員会の処分の当事者のいずれか一方の申立に基いて、又は職権で、行うものとする。

 (規則制定権)

第二十六条 中央労働委員会は、その行う手続及び地方労働委員会が行う手続に関する規則を制定し、公布する権限を有する。

 (労働委員会の命令等)

第二十七条 労働委員会は、使用者が第七条の規定に違反した旨の申立を受けたときは、遅滞なく調査を行い、必要があると認めたときは、当該申立が理由があるかどうかについて審問を行わなければならない。この調査及び審問の手続は、前条の規定により中央労働委員会が定める手続規則によるものとし、審問の手続においては、当該使用者及び申立人に対し、証拠を提出し、証人に反対尋問をする充分な機会が与えられなければならない。

2 労働委員会は、前項の審問の手続を終つたときは、事実の認定をし、この認定に基いて、申立人の請求にかかる救済の全部若しくは一部を認容し、又は申立を棄却する命令を発しなければならない。この事実の認定及び命令は、書面によるものとし、その写を使用者及び申立人に交付しなければならない。この命令は、交付の日から効力を生ずる。この項の規定による手続は、前条の規定により中央労働委員会が定める手続規則によるものとする。

3 使用者は、前項の規定による地方労働委員会の命令の交付を受けたときは、十五日以内に中央労働委員会に再審査の申立をすることができる。但し、この申立は、当該命令の効力を停止せず、その命令は、中央労働委員会が第二十五条の規定により再審査の結果、これを取り消し、又は変更したときに限り、その効力を失う。

4 使用者が地方労働委員会の命令につき中央労働委員会に再審査の申立をしないとき、又は中央労働委員会が命令を発したときは、使用者は、当該命令の交付の日から三十日以内に、行政事件訴訟特例法(昭和二十三年法律第八十一号)の定めるところにより、訴を提起することができる。

5 前項の規定により使用者が裁判所に訴を提起した場合において、受訴裁判所は、当該労働委員会の申立により、決定をもつて、使用者に対し判決の確定に至るまでその労働委員会の命令の全部又は一部に従うべき旨を命じ、又は当事者の申立により、若しくは職権でこの決定を取り消し、若しくは変更することができる。

6 使用者が第三項の規定により中央労働委員会に再審査の申立をした場合には、第四項の訴の提起期間は、第二十五条の規定により中央労働委員会が当該申立の却下その他の終局的処分をした日から起算する。

7 使用者が労働委員会の命令につき第四項の期間内に訴を提起しないときは、その労働委員会の命令は、確定する。この場合において、使用者が労働委員会の命令に従わないときは、労働委員会は、使用者の住所地の地方裁判所にその旨を通知しなければならない。この通知は、労働者もすることができる。

8 第四項の訴に基く確定判決によつて地方労働委員会の命令の全部又は一部が支持されたときは、中央労働委員会は、その地方労働委員会の命令について、再審査することができない。

9 この条の規定は、労働組合又は労働者が第二十五条の規定により中央労働委員会に再審査の申立をすること、又は訴を提起することを妨げるものではない。

10 第一項及び第二項の規定は、中央労働委員会の再審査の手続について準用する。

第五章 罰則

第二十八条 前条の規定による労働委員会の命令の全部又は一部が確定判決によつて支持された場合において、その違反があつたときは、その行為をした者は、一年以下の禁こ若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第二十九条 第二十三条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。

第三十条 第二十二条の規定に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは帳簿書類の提出をせず、又は同条の規定に違反して出頭をせず、若しくは同条の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、三万円以下の罰金に処する。

第三十一条 法人又は人の代理人、同居者、雇人その他の従業者がその法人又は人の業務に関し前条前段の違反行為をしたときは、その法人又は人は、自己の指揮に出たのでないことの故をもつてその処罰を免れることができない。

2 前条前段の規定は、その者が法人であるときは、理事、取締役その他の法人の業務を執行する役員に、未成年者又は禁治産者であるときは、その法定代理人に適用する。但し、営業に関して、成年者と同一の能力を有する未成年者については、この限りでない。

第三十二条 使用者が第二十七条第五項の規定による裁判所の命令に違反したときは、十万円(当該命令が作為を命ずるものであるときは、その命令の不履行の日数一日につき十万円の割合で算定した金額)以下の過料に処する。同条第七項の規定により確定した労働委員会の命令に違反した場合も、同様とする。

第三十三条 法人である労働組合の清算人が第十二条で準用された民法の規定に違反して同法第八十四条の規定によつて罰せられるべき行為をしたときは、その清算人は、同法同条に規定する過料と同一の範囲の額の過料に処する。

2 前項の規定は、法人である労働組合の代表者が第十一条第二項の規定に基いて発する政令で定められた登記事項の変更の登記をすることを怠つた場合において、その代表者につき準用する。

附 則

1 この法律施行の期日は、公布の日から起算して三十日を越えない期間内において、政令で定める。

2 この法律施行の際現に法人である労働組合は、この法律の規定による法人である労働組合とみなす。但し、この法律施行の日から六十日以内にこの法律の規定に適合する旨の労働委員会の証明を受けなければならない。

3 この法律施行の際現に労働委員会の委員である者は、この法律の規定によつて罷免される場合を除く外、その任期満了の日まで在任するものとし、労働委員会の事務局長及びその他の職員は、法令に従つて別に辞令を発せられないときは、この法律の規定によつて任命されたものとみなされ、同級に止まり、同俸給を受けるものとする。

4 この法律施行の際現に労働委員会に係属中の事件の処理については、なお改正前の労働組合法(昭和二十年法律第五十一号)の規定による。

5 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

6 公共企業体労働関係法(昭和二十三年法律第二百五十七号)の一部を次のように改正する。

第三条中「労働組合法(昭和二十年法律第五十一号)(第十一条、第十二条及び第二十四条から第三十七条までの規定を除く。)」を「労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)(第七条、第八条及び第十八条から第三十三条までの規定を除く。)」に改める。

第三十七条中「労働組合法第二十八条から第三十一条まで及び第三十四条から第三十七条まで」を「労働組合法第二十一条第一項、第二十二条、第三十条及び第三十一条」に改める。

附則第三項を次のように改める。

労働組合法第五条、第十一条及び同法附則第二項に規定する労働委員会の権限は、労働大臣が行う。

7 労働省設置法(昭和二十四年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。

第四条中第十四号及び第十六号から第十八号までを削り、第十五号を第十四号とし、第十九号を第十五号とし、以下各号を順次四号ずつ繰り上げ、第十五号、第十六号を次のように改め、第三十七号中「労働組合法」の次に「(昭和二十四年法律第百七十四号)」を加える。

十五 公益事業に関する労働争議につき、労働委員会に調停を請求すること。

十六 公共企業体の職員に関する労働組合について、立証を受け、及び証明を与えること。

第七条第一号を次のように改める。

一 労働組合法及び労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)の施行に関すること。但し、労働委員会が行う労働組合法第五条、第十一条、第十八条、第二十条から第二十二条まで、第二十四条から第二十七条まで及び附則第二項但書の規定による事務並びに労働関係調整法第四十二条の規定による事務を除く。

8 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。

第四条第一項中第十八号を削り、第十九号を第十八号とし、以下順次一号ずつ繰り上げ、第二十五号中「第五十号」を「第四十九号」に改め、第十九号を次のように改める。

十九 船員に係る労働争議につき船員中央労働委員会及び船員地方労働委員会(以下「船員労働委員会」という。)に調停を請求すること。

第五十七条中「労働関係調整法」の次に「(昭和二十一年法律第二十五号)」を加える。

9 他の法律中「労働組合法(昭和二十年法律第五十一号)」を「労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)」に改ためる。

(内閣総理大臣・法務総裁・運輸・労働大臣署名)

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