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法律第百二十七号(昭二五・五・一)

  ◎肥料取締法

 (目的)

第一条 この法律は、肥料の品質を保全し、その公正な取引を確保するため、肥料の規格の公定、登録、検査等を行い、もつて農業生産力の維持増進に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「肥料」とは、植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため土じように化学的変化をもたらすことを目的として、土地にほどこされる物をいう。

2 この法律において「特殊肥料」とは、農林大臣の指定する米ぬか、たい肥その他の肥料をいい、「普通肥料」とは、特殊肥料以外の肥料をいう。

3 この法律において「保証成分量」とは、生産業者、輸入業者又は販売業者が、その生産し、輸入し、又は販売する普通肥料につき、それが含有しているものとして保証する主成分(肥料の種別ごとに別表で定める主要な成分をいう。以下同じ。)の最小量を百分比で表わしたものをいう。

4 この法律において「生産業者」とは、肥料の生産(配合、加工及び採取を含む。以下同じ。)を業とする者をいい、「輸入業者」とは、肥料の輸入を業とする者をいい、「販売業者」とは、肥料の販売を業とする者であつて生産業者及び輸入業者以外のものをいう。

 (公定規格)

第三条 農林大臣は、普通肥料につき、その種類ごとに、含有すべき主成分の最小量、含有を許される有害成分の最大量その他必要な事項についての規格(以下「公定規格」という。)を定める。

2 農林大臣は、公定規格を設定し、変更し、又は廃止しようとするときは、その期日の少くとも三十日前までに、これを公告しなければならない。

 (登録を受ける義務)

第四条 普通肥料を業として生産しようとする者は、当該普通肥料について、その銘柄ごとに、左の各号の区分に従い、第一号から第三号までに掲げる肥料にあつては農林大臣の、第四号の肥料にあつては生産する事業場の所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。但し、公定規格が定められていない普通肥料については、この限りでない。

 一 化学的方法によつて生産される普通肥料(石灰質肥料を除く。)

 二 化学的方法以外の方法によつて生産される普通肥料であつて、窒素、りん酸、加里、石灰及び苦土以外の成分を主成分として保証するもの。

 三 前二号の普通肥料の一種以上を原料とする配合肥料

 四 前各号に掲げる普通肥料以外の普通肥料(石灰質肥料を含む。)

2 普通肥料を業として輸入しようとする者は、当該普通肥料について、その銘柄ごとに、農林大臣の登録を受けなければならない。但し、公定規格が定められていない普通肥料については、この限りでない。

 (仮登録を受ける義務)

第五条 公定規格が定められていない普通肥料を業として生産し、又は輸入しようとする者は、当該普通肥料について、その銘柄ごとに、農林大臣の仮登録を受けなければならない。

 (登録及び仮登録の申請)

第六条 登録又は仮登録を受けようとする者は、省令で定める手続に従い、左の事項を記載した申請書に登録又は仮登録を受けようとする肥料の見本を添えて、農林大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。

 一 氏名及び住所(法人にあつてはその名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地。以下同じ。)

 二 肥料の名称

 三 保証成分量

 四 生産業者にあつては生産する事業場の名称及び所在地

 五 販売業務を行う事業場及び保管する施設の所在地

 六 仮登録にあつては施用方法及び栽培試験の成績

2 登録又は仮登録の申請をする者は、二千円をこえない範囲内において省令で定める額の手数料を納付しなければならない。

 (登録)

第七条 前条第一項の規定により登録の申請があつたときは、農林大臣又は都道府県知事は、その職員に申請書の記載事項及び肥料の見本について調査をさせ、当該肥料が公定規格に適合し、且つ、当該肥料の名称が第二十六条第二項の規定に違反しないことを確認したときは、当該肥料を登録しなければならない。

 (仮登録)

第八条 第六条第一項の規定により仮登録の申請があつたときは、農林大臣は、その職員に申請書の記載事項及び肥料の見本について調査をさせなければならない。但し、申請に係る肥料が次条第二項の規定により仮登録を取り消されたものであるときは、調査をさせないでその申請を却下することができる。

2 農林大臣は、前項の規定により調査をさせた場合において、申請書に記載された栽培試験の成績及びその職員の分析の結果によれば当該肥料の主成分の含有量及びその効果が公定規格の定がある類似する種類の肥料と同等であると認められ、当該肥料の名称が第二十六条第二項の規定に違反しないことを確認したときは、当該肥料の仮登録をしなければならない。

第九条 農林大臣は、仮登録をされている肥料につき農林省が肥効試験を行つた結果、申請書に記載された栽培試験の成績が真実であると認めたときは、遅滞なく、第三条の規定により公定規格を定めるとともに、当該肥料を登録しなければならない。

2 前項の試験の結果、申請書に記載された栽培試験の成績が真実でないと認めたときは、農林大臣は、有効期間中であつても、当該肥料の仮登録を取り消さなければならない。

3 前項の規定により仮登録を取り消された者は、遅滞なく、仮登録証を農林大臣に返納しなければならない。

 (登録証及び仮登録証)

第十条 農林大臣又は都道府県知事は、登録又は仮登録をしたときは、当該登録又は当該仮登録を受けた者に対し、左に掲げる事項を記載した登録証又は仮登録証を交付しなければならない。

 一 登録番号及び登録年月日(仮登録の場合には仮登録番号及び仮登録年月日)

 二 登録又は仮登録の有効期限

 三 氏名及び住所

 四 肥料の名称

 五 保証成分量

 六 生産業者にあつては生産する事業場の名称及び所在地

第十一条 登録又は仮登録を受けた者は、登録証又は仮登録証を、生産業者にあつては生産する事業場に、輸入業者にあつては主たる事務所に備え付け、且つ、その写をその他の事業場に備え付けて置かなければならない。

 (登録及び仮登録の有効期間)   

第十二条 登録の有効期間は、三年とし、仮登録の有効期間は、一年とする。

2 前項の登録又は仮登録の有効期間は、申請により更新することができる。但し、仮登録については、その有効期間内に第九条第一項の肥効試験に基く肥料の効果の判定を行うことができない場合に限る。

3 登録又は仮登録の有効期間の更新を受けようとする者は、省令で定める手続に従い、第六条第一項各号に掲げる事項を記載した申請書に登録証又は仮登録証を添えて、農林大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。

4 登録又は仮登録の有効期間の更新を受けようとする者は、千円をこえない範囲内において省令で定める額の手数料を納付しなければならない。

 (登録又は仮登録を受けた者の届出義務)

第十三条 登録又は仮登録を受けた者は、左の各号に掲げる事項に変更を生じたときは、その日から二週間以内に、省令で定める手続に従い、変更があつた事項及び変更の年月日を農林大臣又は都道府県知事に届け出、且つ、変更があつた事項が登録証又は仮登録証の記載事項に該当する場合にあつては、その書替交付を申請しなければならない。

 一 氏名又は住所(法人にあつてはその名称、代表者の氏名又は主たる事務所の所在地)

 二 生産業者にあつては生産する事業場の名称又は所在地

 三 販売業務を行う事業場又は保管する施設の所在地

2 相続又は法人の合併により登録又は仮登録を受けた者の地位を承継した者は、その日から二週間以内に、省令で定める手続に従い、その旨を農林大臣又は都道府県知事に届け出て、登録証又は仮登録証の書替交付を申請しなければならない。

3 登録証又は仮登録証を滅失し、又は汚損した者は、省令で定める手続に従い、農林大臣又は都道府県知事にその旨を届け出て、その再交付を申請しなければならない。

4 登録又は仮登録を受けた生産業者又は輸入業者が当該普通肥料の名称を変更しようとするときは、省令で定める手続に従い、農林大臣又は都道府県知事に届け出、且つ、登録証又は仮登録証の書替交付を申請しなければならない。

5 登録又は仮登録を受けた法人が解散したときは、その清算人は、解散の日から二週間以内にその旨を農林大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。

6 登録又は仮登録を受けた者が当該肥料の生産又は輸入の事業を廃止したときは、その日から二週間以内にその旨を農林大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。

 (登録及び仮登録の失効)

第十四条 左の各号の一に該当するときは、登録又は仮登録は、その効力を失う。

 一 登録又は仮登録を受けた法人が解散した場合においてその清算が結了したとき。

 二 登録又は仮登録を受けた者が当該肥料の生産又は輸入の事業を廃止した旨を届け出たとき。

 三 都道府県知事に登録をした生産業者が当該肥料を生産する事業場を他の都道府県に移転したとき。

第十五条 登録若しくは仮登録の有効期間が満了したとき、又は前条の規定により登録若しくは仮登録がその効力を失つたときは、当該登録又は仮登録を受けた者(前条第一号の場合には清算人)は、遅滞なく、登録証又は仮登録証を添えて、効力を失つた事由及びその年月日を農林大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。

 (登録及び仮登録に関する公告)

第十六条 農林大臣又は都道府県知事は、登録若しくは仮登録をしたとき、登録若しくは仮登録の有効期間を更新したとき、第十四条の規定により登録若しくは仮登録が失効したとき、又は第三十一条第一項若しくは第二項の規定により登録若しくは仮登録を取り消したときは、左に掲げる事項を公告しなければならない。

 一 登録番号又は仮登録番号

 二 肥料の名称

 三 保証成分量

 四 生産業者又は輸入業者の氏名及び住所

2 都道府県知事は、その公告した事項をすみやかに農林大臣及びすべての都道府県知事に通知しなければならない。

 (生産業者保証票及び輸入業者保証票)

第十七条 生産業者又は輸入業者は、普通肥料を生産し、又は輸入したときは、省令の定めるところにより、遅滞なく、当該肥料の容器又は包装の外部(容器及び包装を用いないものにあつては各荷口又は各個。以下同じ。)に左の事項を記載した生産業者保証票又は輸入業者保証票を附さなければならない。当該肥料が自己の所有又は管理に属している間に、当該保証票が滅失し、又はその記載が不明となつたときも、また同様とする。

 一 生産業者保証票又は輸入業者保証票という文字

 二 肥料の名称

 三 保証成分量

 四 生産業者又は輸入業者の氏名及び住所

 五 生産し、又は輸入した年月

 六 生産業者にあつては生産した事業場の名称及び所在地

 七 正味重量

 八 登録番号又は仮登録番号

 九 仮登録を受けた肥料にあつてはその旨の表示

 (販売業者保証票)

第十八条 販売業者は、普通肥料の容器若しくは包装を開き、若しくは変更したとき、又は容器若しくは包装のない普通肥料を容器に入れ、若しくは包装したときは、省令の定めるところにより、遅滞なく、当該肥料の容器又は包装の外部に左の事項を記載した販売業者保証票を附さなければならない。生産業者保証票、輸入業者保証票、販売業者保証票及び次条第四項の規格外肥料保証票(以下「保証票」という。)が附されていないか、又はその記載が不明となつた普通肥料の引渡を受けたとき、及び引渡を受けた普通肥料が自己の所有又は管理に属している間に、その保証票が滅失し、又はその保証票の記載が不明となつたときも、また同様とする。

 一 販売業者保証票という文字

 二 販売業者の氏名及び住所

 三 前条第二号から第七号まで及び第九号に掲げる事項

 四 販売業者保証票を附した年月日

2 前条第四号から第六号までの事項は、販売業者が知らないときは、前項の販売業者保証票に記載しなくてもよい。

 (譲渡の禁止)

第十九条 生産業者、輸入業者又は販売業者は、普通肥料については、登録又は仮登録を受けており、且つ、保証票が附されているものでなければ、これを譲り渡してはならない。

2 生産業者又は輸入業者が、第六条の規定により登録又は仮登録の申請をした普通肥料であつて主成分の含有量が公定規格に達せず、又は公定規格の定がある類似する種類の肥料の品質に達しないものについて、省令で定める手続に従い、農林大臣の許可を受けた場合は、生産業者、輸入業者又は販売業者は、前項の規定にかかわらず、登録又は仮登録を受けていない普通肥料であつても、これを譲り渡すことができる。

3 農林大臣は、前項の規定による許可の申請があつたときは、当該普通肥料が植物に有害である場合又は当該普通肥料の主成分の含有量が公定規格の半ばに達せず、若しくは公定規格の定がある類似する種類の肥料の品質の半ばに達しない場合を除いて、その申請の日から五十日以内に前項の規定による許可をしなければならない。

4 第二項の許可を受けた生産業者又は輸入業者は、省令の定めるところにより、当該普通肥料の容器又は包装の外部に、第十七条第二号から第七号までに掲げる事項及び規格外肥料保証票という文字を記載した規格外肥料保証票を附さなければならない。 

5 天災地変により肥料が登録証又は仮登録証に記載された規格を下廻つた場合及び省令で定めるやむを得ない事由が発生した場合において、命令の定めるところにより、農林大臣又は都道府県知事の許可を受けたときは、生産業者、輸入業者又は販売業者は、第一項の規定にかかわらず、普通肥料を譲り渡すことができる。

 (保証票の記載事項の制限)

第二十条 保証票には、第十七条各号、第十八条第一項各号又は前条第四項に掲げる事項、商標及び商号以外の事項を記載し、又は虚偽の記載をしてはならない。

 (施用上の注意等の表示命令)

第二十一条 農林大臣は、必要があると認めるときは、その登録又は仮登録をした普通肥料の生産業者又は輸入業者に対し、当該肥料の施用上の注意又は原料の使用割合を当該肥料の容器又は包装の外部に表示すべき旨を命ずることができる。

2 農林大臣は、前項の命令をしたときは、登録証又は仮登録証にその旨を記載する。

 (特殊肥料の生産業者及びその輸入業者の届出)

第二十二条 特殊肥料の生産業者又はその輸入業者は、その事業を開始する二週間前までに、その生産する事業場の所在地又は輸入の場所を管轄する都道府県知事に、左に掲げる事項を届け出なければならない。

 一 氏名及び住所

 二 肥料の名称

 三 生産業者にあつては生産する事業場の名称及び所在地

 四 販売業務を行う事業場及び保管する施設の所在地

2 特殊肥料の生産業者又はその輸入業者は、前項の届出事項に変更を生じたときは、その日から二週間以内に、その旨を当該都道府県知事に届け出なければならない。その事業を廃止したときも、また同様とする。

 (販売業務についての届出)

第二十三条 生産業者、輸入業者又は販売業者は、販売業務を行う事業場ごとに、当該事業場において販売業務を開始した後二週間以内に、左に掲げる事項をその所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。但し、生産業者が普通肥料について当該都道府県知事の登録を受け、又は特殊肥料について当該都道府県知事に前条の規定による届出をした場合において、当該普通肥料又は当該特殊肥料について販売業務を開始したときは、この限りでない。

 一 氏名及び住所

 二 販売業務を行う事業場の所在地

 三 当該都道府県の区域内にある保管する施設の所在地

2 前項の届出事項に変更を生じたとき、及び販売業務を廃止したときも、また同項と同様とする。

 (不正使用等の禁止)

第二十四条 何人も、保証票を偽造し、変造し、若しくは不正に使用し、又は偽造し、若しくは変造した保証票その他保証票に紛らわしいものを自己の販売する肥料若しくはその容器若しくは包装に附してはならない。

2 他の生産業者、輸入業者若しくは販売業者の氏名、商標若しくは商号又は他の肥料の名称若しくは成分を表示した容器又は包装は、その表示を消さなければ、何人も自己の販売する肥料の容器又は包装として使用してはならない。

 (異物混入の禁止)

第二十五条 生産業者、輸入業者又は販売業者は、その生産し、輸入し、又は販売する肥料に、その品質が低下するような異物を混入してはならない。

 (虚偽の宣伝等の禁止)

第二十六条 生産業者、輸入業者又は販売業者は、その生産し、輸入し、又は販売する肥料の主成分の含有量又はその効果に関して虚偽の宣伝をしてはならない。

2 生産業者、輸入業者又は販売業者は、その生産し、輸入し、又は販売する肥料について、その主成分又は効果に関して誤解を生ずるおそれのある名称を用いてはならない。

 (帳簿の備付)

第二十七条 肥料の生産業者は、その生産する事業場ごとに帳簿を備え、肥料を生産したときは、毎日、その名称及び数量を記載しなければならない。

2 肥料の生産業者、輸入業者又は販売業者は、その生産、輸入又は販売の業務を行う事業場ごとに帳簿を備え、肥料を購入し、輸入し、又は生産業者、輸入業者若しくは販売業者に販売したときは、その都度、その名称、数量、年月日及び相手方の氏名又は名称を記載しなければならない。

3 前二項の帳簿は、二年間保存しなければならない。

 (業務施設の表示)

第二十八条 生産業者、輸入業者又は販売業者は、その生産、輸入若しくは販売の業務を行う事業場又は保管する施設ごとに、それぞれその外部の見易い場所に、その氏名又は名称及び事業場又は施設の種別を、省令の定める方法で表示して置かなければならない。

 (報告の徴収)

第二十九条 農林大臣又は都道府県知事は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、生産業者、輸入業者若しくは販売業者又は肥料の運送業者、運送取扱業者若しくは倉庫業者からその業務に関し報告を徴することができる。

 (肥料検査官及び肥料検査吏員の立入検査等)

第三十条 農林大臣又は都道府県知事は、肥料の取締上必要があると認めるときは、肥料検査官又は肥料検査吏員に、生産業者、輸入業者若しくは販売業者又は肥料の運送業者、運送取扱業者若しくは倉庫業者の事業場、倉庫、船車、その他肥料の生産、輸入、販売、輸送若しくは保管の業務に関係がある場所に立ち入り、肥料、その原料若しくは業務に関する帳簿書類を検査させ、関係者に質問させ、又は肥料若しくはその原料を、分析検査のため必要な最小量に限り、無償で収去させることができる。

2 前項の規定による立入検査、質問及び収去の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

3 肥料検査官は、農林省肥料検査所に置き、肥料検査吏員は、都道府県に置かれる。

4 第一項の場合には、肥料検査官又は肥料検査吏員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。

5 農林大臣又は都道府県知事は、第一項の規定により肥料又はその原料を収去させたときは、当該肥料の分析検査の結果の概要を新聞その他の方法により公表する。

 (違反の場合の行政処分)

第三十一条 農林大臣は、その登録又は仮登録をした普通肥料の生産業者又は輸入業者がこの法律又はこの法律に基く命令の規定に違反したときは、これらの者に対し、普通肥料の譲渡若しくは引渡を制限し、若しくは禁止し、又はその登録若しくは仮登録を取り消すことができる。

2 都道府県知事は、販売業者、その登録した普通肥料の生産業者又は特殊肥料の生産業者若しくは輸入業者がこの法律又はこの法律に基く命令の規定に違反したときは、これらの者に対し、当該肥料の譲渡若しくは引渡を制限し、若しくは禁止し、又は生産業者について当該肥料の登録を取り消すことができる。

3 第一項又は前項の規定により登録又は仮登録を取り消された者は、遅滞なく、登録証又は仮登録証を農林大臣又は都道府県知事に返納しなければならない。

4 第一項又は第二項の処分(登録又は仮登録の取消を除く。)をしたときは、農林大臣にあつてはすべての都道府県知事に、都道府県知事にあつては農林大臣及びすべての都道府県知事に、すみやかにその旨を通知しなければならない。

 (登録及び仮登録の制限)       

第三十二条 前条第一項又は第二項の規定により登録又は仮登録を取り消された者は、取消の日から一年間は、当該普通肥料について更に登録又は仮登録を受けることができない。

 (聴聞)

第三十三条 農林大臣又は都道府県知事は、第九条第二項又は第三十一条第一項若しくは第二項の規定により登録又は仮登録の取消をしようとするときは、当該登録又は仮登録を受けている者に対し、あらかじめ期日、場所及び取消の原因たる事由を通知して、公開による聴聞を行い、その者又はその代理人が証拠を呈示し、意見を述べる機会を与えなければならない。

 (不服の申立)

第三十四条 左に掲げる者は、第一号又は第二号の者にあつては当該期間満了後二週間以内、第三号の者にあつては当該処分の日から二週間以内に、それぞれその旨を記載した書面をもつて、当該申請又は処分に係る農林大臣又は都道府県知事に不服の申立をすることができる。

 一 普通肥料の登録又は仮登録を申請した後五十日を経過してもその登録又は仮登録を受けられなかつた場合において、これに対して不服がある者

 二 第十九条第三項の期間内に同条第二項の許可がなかつたことに対して不服がある者

 三 第三十一条第一項又は第二項の規定による肥料の譲渡又は引渡の制限又は禁止の処分に対して不服がある者

2 農林大臣又は都道府県知事は、前項の規定による不服の申立を受けたときは、その者に対し、あらかじめ期日及び場所を通知して、公開による聴聞を行い、その者又はその代理人が証拠を呈示し、意見を述べる機会を与えた後、当該申立に対する決定をしなければならない。

 (適用の除外)

第三十五条 肥料を輸出するために生産し、輸入し、譲渡し、輸送し、又は保管する場合及び農林大臣の指定する肥料を工業用又は飼料用に供するために生産し、輸入し、譲渡し、輸送し、又は保管する場合には、省令の定めるところにより、この法律は、適用しない。都道府県知事の指定する肥料を工業用又は飼料用に供するため、当該都道府県の区域内において、生産し、輸入し、譲渡し、輸送し、又は保管する場合も、また同様とする。

2 都道府県知事は、前項の規定による指定をするには、農林大臣の承認を受けなければならない。

 (罰則)

第三十六条 左の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第十九条第一項又は第二十五条の規定に違反した者

 二 第二十条の規定に違反して、保証票に虚偽の記載をした者

 三 第二十四条第一項の規定に違反して、保証票を不正に使用し、又は保証票に紛らわしいものを自己の販売する肥料若しくはその容器若しくは包装に附した者

第三十七条 左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役若しくは五万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第四条若しくは第五条の規定による登録若しくは仮登録を受けないで、普通肥料を業として生産し、若しくは輸入し、又はその登録若しくは仮登録を受けるに当つて不正行為をした者

 二 第二十二条、第二十三条、第二十四条第二項又は第二十六条の規定に違反した者

第三十八条 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。

 一 第十三条第一項、第二項若しくは第四項、第十五条、第十七条、第十八条第一項又は第十九条第四項の規定に違反した者

 二 第二十条の規定に違反して、保証票に法定の事項以外の事項を記載した者

第三十九条 左の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。

 一 第十一条、第十三条第三項、第五項若しくは第六項又は第二十八条の規定に違反した者

 二 第二十一条第一項の規定による命令に違反した者

 三 第二十七条第一項又は第二項の規定に違反して、帳簿を備え付けず、記載をせず、又は虚偽の記載をした者

 四 第二十九条の規定による命令に対し虚偽の報告をした者

 五 第三十条第一項の規定による肥料若しくはその原料の検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対し虚偽の陳述をした者

第四十条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して、前四条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため当該業務に対し相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。

第四十一条 第九条第三項、第二十七条第三項又は第三十一条第三項の規定に違反した者は、二千円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律の施行期日は、公布の日から起算して六十日をこえない期間内において、政令で定める。但し、第四条、第五条、第十七条から第二十条まで、第二十七条及び第二十八条の規定の施行期日は、昭和二十五年八月一日とする。

 (現に肥料業者である者の届出)

2 この法律施行の際現に特殊肥料の生産業者又はその輸入業者である者が、その現に営んでいる生産又は輸入の事業について第二十二条第一項の規定によりなすべき届出については、同条同項中「その事業を開始する二週間前まで」とあるのは「この法律施行後三十日以内」と、この法律施行の際現に販売業務を営んでいる生産業者、輸入業者又は販売業者が、当該販売業務について第二十三条第一項の規定によりなすべき届出については、同条同項中「当該事業場において販売業務を開始した後二週間以内」とあるのは「この法律施行後三十日以内」と、それぞれ読み替える。

3 肥料取締法(明治四十一年法律第五十一号。以下「旧法」という。)は、廃止する。但し、同法第四条、同条に係る罰則及び第八条の規定は、昭和二十五年七月三十一日まで、なおその効力を有する。

4 この法律施行前(旧法第四条の規定による保証票の添附については、同条の失効前)にした行為に対する罰則の適用については、この法律施行後(同条の規定による保証票の添附については、同条の失効後)でも、なお従前の例による。

 (農林省設置法の改正)

5 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。

  第四条第二十三号を次のように改める。

  二十三 農薬、農産種苗及び肥料の登録並びに肥料の仮登録を行うこと。

別表

種別

主成分

無機質窒素肥料

窒素全量、アンモニア性窒素、硝酸性窒素

無機質りん酸肥料

りん酸全量、農林大臣の指定する有効りん酸

無機質加里肥料

加里全量、水溶性加里

化成肥料

窒素全量、アンモニア性窒素、硝酸性窒素、りん酸全量、農林大臣の指定する有効りん酸、加里全量、水溶性加里

有機質肥料

窒素全量、りん酸全量、加里全量

石灰質肥料

有効石灰、有効苦土

配合肥料

窒素全量、アンモニア性窒素、硝酸性窒素、りん酸全量、農林大臣の指定する有効りん酸、加里全量、水溶性加里

その他の普通肥料

農林大臣の指定する成分

(農林・通商産業・内閣総理大臣署名) 

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