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法律第百四十三号(昭二五・五・四)

  ◎地方自治法の一部を改正する法律

 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。

 第四条に次の一項を加える。

  前項の条例を制定し又は改廃しようとするときは、当該地方公共団体の議会において出席議員の三分の二以上の者の同意がなければならない。第十六条を次のように改める。

第十六条 普通地方公共団体の議会の議長は、条例の制定又は改廃の議決があつたときは、その日から三日以内にこれを当該普通地方公共団体の長に送付しなければならない。

  普通地方公共団体の長は、前項の規定により条例の送付を受けた場合において、再議その他の措置を講ずる必要がないと認めるときは、その日から二十日以内にこれを公布しなければならない。

  条例は、条例に特別の定があるものを除く外、公布の日から起算して十日を経過した日から、これを施行する。

  当該普通地方公共団体の長の署名、施行期日の特例その他条例の公布に関し必要な事項は、条例でこれを定めなければならない。

  前二項の規定は、普通地方公共団体の規則並びにその機関の定める規則及びその他の規程で公表を要するものにこれを準用する。但し、法令又は条例に特別の定があるときは、この限りでない。

 第七十四条の次に次の三条を加える。

第七十四条の二 条例の制定又は改廃の請求者の代表者は、条例の制定又は改廃の請求者の署名簿を市町村の選挙管理委員会に提出してこれに署名し印をおした者が選挙人名簿に記載された者であることの証明を求めなければならない。この場合においては、当該市町村の選挙管理委員会は、その日から二十日以内に審査を行い、署名の効力を決定し、その旨を証明しなければならない。

  市町村の選挙管理委員会は、前項の規定による署名簿の署名の証明が終了したときは、その日から七日間、その指定した場所において署名簿を関係人の縦覧に供さなければならない。

  前項の署名簿の縦覧の期間及び場所については、市町村の選挙管理委員会は、予めこれを告示し、且つ、公衆の見易い方法によりこれを公表しなければならない。

  署名簿の署名に関し異議があるときは、関係人は、第二項の規定による縦覧期間内に当該市町村の選挙管理委員会にこれを申し立てることができる。

  市町村の選挙管理委員会は、前項の規定による異議の申立を受けた場合においては、その申立を受けた日から十四日以内にこれを決定しなければならない。この場合において、その申立を正当であると決定したときは、直ちに第一項の規定による証明を修正し、その旨を申立人及び関係人に通知し、併せてこれを告示し、その申立を正当でないと決定したときは、直ちにその旨を申立人に通知しなければならない。

  市町村の選挙管理委員会は、第二項の規定による縦覧期間内に関係人の異議の申立がないとき、又は前項の規定によるすべての異議についての決定をしたときは、その旨及び有効署名の総数を告示するとともに、署名簿を条例の制定又は改廃の請求者の代表者に返付しなければならない。

  都道府県の条例の制定又は改廃の請求者の署名簿の署名に関し第五項の規定による決定に不服がある者は、その決定のあつた日から十日以内に都道府県の選挙管理委員会に訴願することができる。

  市町村の条例の制定又は改廃の請求者の署名簿の署名に関し第五項の規定による決定に不服がある者は、その決定のあつた日から十四日以内に地方裁判所に出訴することができる。その判決に不服がある者は、控訴することはできないが最高裁判所に上告することができる。

  第七項の規定による訴願の裁決に不服がある者は、その裁決書の交付を受けた日から十四日以内に高等裁判所に出訴することができる。

  訴願の裁決又は判決が確定したときは、当該都道府県の選挙管理委員会又は当該裁判所は、直ちに裁決書又は判決書の写を関係市町村の選挙管理委員会に送付しなければならない。この場合においては、送付を受けた当該市町村の選挙管理委員会は、直ちに条例の制定又は改廃の請求者の代表者にその旨を通知しなければならない。

  署名簿の署名に関する争訟については、訴願の裁決は訴願を受理した日から二十日以内にこれをするものとし、訴訟の判決は事件を受理した日から百日以内にこれをするように努めなければならない。

第七十四条の三 条例の制定又は改廃の請求者の署名で左に掲げるものは、これを無効とする。

 一 法令の定める成規の手続によらない署名

 二 何人であるかを確認し難い署名

  前条第四項の規定により詐偽又は強迫に基く旨の異議の申立があつた署名で市町村の選挙管理委員会がその申立を正当であると決定したものは、これを無効とする。

  市町村の選挙管理委員会は、署名の効力を決定する場合において必要があると認めるときは、関係人の出頭及び証言を求めることができる。

  第百条第二項、第三項、第七項及び第八項の規定は、前項の規定による関係人の出頭及び証言にこれを準用する。

第七十四条の四 条例の制定又は改廃の請求者の署名に関し、署名権者又は署名運動者に対し暴行若しくは威力を加え又はこれを拐引した者、交通若しくは集会の便を妨げ又は演説を妨害しその他偽計詐術等不正の方法を以て署名の自由を妨害した者、又は署名権者若しくは署名運動者又はその関係ある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の利害関係を利用して署名権者又は署名運動者を威逼した者は、四年以下の懲役若しくは禁錮又は七万五千円以下の罰金に処する。

  条例の制定若しくは改廃の請求者の署名を偽造し若しくはその数を増減した者又は署名簿その他の条例の制定若しくは改廃の請求に必要な関係書類を抑留、き壊若しくは奪取した者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五万円以下の罰金に処する。

  条例の制定又は改廃の請求に関し、政令で定める請求書及び請求代表者証明書を附していない署名簿、政令で定める署名を求めるための請求代表者の委任状を附していない署名簿その他法令の定める成規の手続によらない署名簿を用いて署名を求めた者又は政令で定める署名を求めることができる期間の経過後に署名を求めた者は、一万円以下の罰金に処する。

 第七十五条第一項中「及び当該普通地方公共団体の長」を「並びに当該普通地方公共団体の長及び選挙管理委員会、公安委員会、教育委員会その他法令又は条例に基く委員会又は委員」に改め、同条第三項中「長」の下に「並びに関係のある選挙管理委員会、公安委員会、教育委員会その他法令又は条例に基く委員会又は委員」を加え、同条第五項中「前条第四項」を「第七十四条第四項」に改め、「その総数の五十分の一の数に」の下に「、第七十四条の二乃至前条の規定は、同項の規定による請求者の署名に」を加える。

 第七十六条第四項中「その総数の三分の一の数に」の下に、「、第七十四条の二乃至第七十四条の四の規定は、同項の規定による請求者の署名に」を加える。

 第七十七条中「報告しなければならない。」の下に「その投票の結果が確定したときも、また、同様とする。」を加える。

 第七十八条中「前条の公表の日において」を削る。

 第八十条第四項中「その総数の三分の一の数に」の下に「、第七十四条の二乃至第七十四条の四の規定は、同項の規定による請求者の署名に」を加える。

 第八十一条第二項中「その総数の三分の一の数に、」の下に「第七十四条の二乃至第七十四条の四の規定は、前項の規定による請求者の署名に、」を加え、「前項の場合に」を「前項の請求に」に改める。

 第八十二条第一項及び第二項中「報告しなければならない。」の下に「その投票の結果が確定したときも、また、同様とする。」を加える。

 第八十六条第四項中「その総数の三分の一の数に」の下に「、第七十四条の二乃至第七十四条の四の規定は、同項の規定による請求者の署名に」を加える。

 第八十七条第一項の次に次の一項を加える。

  第百十八条第五項の規定は、前条第三項の規定による議決についてこれを準用する。

 第九十八条第一項及び第九十九条第一項中「当該普通地方公共団体の長」の下に「、選挙管理委員会、監査委員、公安委員会又は教育委員会その他法令又は条例に基く委員会又は委員」を加える。

 第百十条第三項の次に次の一項を加える。

  前条第五項の規定は、特別委員会にこれを準用する。

 第百十八条第五項中「不服がある者は、」の下に「決定のあつた日から二十一日以内に」を加える。

 第百二十一条中「及び教育委員会の委員」の下に「その他法令又は条例に基く委員会の代表者又は委員」を加える。

 第百二十三条第一項中「議長は」の下に「事務局長又は」を加え、「市町村」を「町村」に改める。

 第百二十五条中「若しくは監査委員」を「、監査委員」に、「及び教育委員会」を「、教育委員会その他法令又は条例に基く委員会又は委員」に改める。

 第六章第十一節を次のように改める。

    第十一節 議会の事務局並びに事務局長、書記長及び書記

第百三十八条 都道府県の議会に事務局を置く。

  市の議会に条例の定めるところにより、事務局を置くことができる。

  事務局に事務局長及び書記を置く。

  事務局を置かない市及び町村の議会に書記長及び書記を置く。但し、町村においては、書記長を置かないことができる。

  事務局長、書記長及び書記は、議長が選任する。

  事務局長及び書記長は、議長の命を受け議会の庶務を掌理する。

  書記は、上司の指揮を受け議会の庶務に従事する。

 第百五十五条第一項中「支所」の下に「又は出張所」を、第二項中「区の事務所」の下に「又は必要があると認めるときはその出張所」を加え、第四項中「又は支所若しくは区の事務所」を「、支所若しくは出張所又は区の事務所若しくはその出張所」に改める。

 第百五十六条第一項中「法律」の下に「又は条例」を加える。

第百五十八条第一項「第一 都」の部中「五 経済局」を「四 経済局」に、「六 建設局」を「五 建設局」に改め、

七 交通局

  (一) 交通に関する事項

八 水道局

  (一) 水道に関する事項

を削り、「九 衛生局」を「六 衛生局」に、「十 労働局」を「七 労働局」に改め、同項「第二 道府県」の部中「四 経済部」を「三 経済部」に、「五 土木部」を「四  土木部」に、「六 衛生部」を「五 衛生部」に、「七 農地部」を「六 農地部」に改める。

 同条第三項中

五 公共事業部

 (一) 公共事業の経営に関する事項

を削り、「六 建築部」を「五 建築部」に改め、同項の次に次の一項を加える。

  都道府県は、公共事業の経営に関する事務を処理させるため、条例で、必要な組織を設けることができる。

 第百七十六条第一項中「その議決の日」を「その送付を受けた日」に改め、同条第二項中「この場合においては、普通地方公共団体の長は、直ちに条例の告示その他必要な措置を講じなければならない。」を削る。

 第百七十八条第一項中「当該普通地方公共団体の長は、十日以内に議会を解散することができる。」を「直ちに議長からその旨を当該普通地方公共団体の長に通知しなければならない。この場合においては、普通地方公共団体の長は、その通知を受けた日から十日以内に議会を解散することができる。」に改める。

 同条第二項及び第三項を次のように改める。

  議会において当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をした場合において、前項の期間内に議会を解散しないとき、又はその解散後初めて招集された議会において再び不信任の議決があり、議長から当該普通地方公共団体の長に対しその旨の通知があつたときは、普通地方公共団体の長は、同項の期間が経過した日又は議長から通知があつた日においてその職を失う。

  前二項の規定による不信任の議決については、議員数の三分の二以上の者が出席し、第一項の場合においてはその四分の三以上の者の、前項の場合においてはその過半数の者の同意がなければならない。

 第百八十三条第四項中「第百七十六条第二項」を「第百十八条第五項」に改める。

 第百九十九条第四項の次に次の一項を加える。

  監査委員は、当該普通地方公共団体が補助金、交付金、貸付金その他財政的援助を与えているものの出納その他の事務の執行を監査することができる。

 同条第五項中「長」の下に「並びに関係のある選挙管理委員会、公安委員会、教育委員会その他法令又は条例に基く委員会又は委員」を加える。

  第二百四条第一項中「議会の」の下に「事務局長、」を加える。

  第二百七条中「条例の定めるところにより、」の下に「第七十四条の三第三項及び」を加え、「第百九条第五項」の下に「、第百十条第四項」を加える。

  第二百十七条第三項中「議会又はその常任委員会」を「議会の常任委員会又は特別委員会」に改める。

  第二百二十五条第三項中「手数料」の下に「及び延滞金」を加える。

  第二百三十八条に第一項として次の一項を加える。

   普通地方公共団体の議会の議長は、予算を定める議決があつたときは、その日から三日以内にこれを当該普通地方公共団体の長に送付しなければならない。

  同条中「予算は、普通地方公共団体の議会の議決を経た後、直ちに」を「普通地方公共団体の長は、前項の規定により予算の送付を受けた場合において、再議その他の措置を講ずる必要がないと認めるときは、直ちにこれを」に改める。

  第二百四十四条の次に次の一条を加える。

 第二百四十四条の二 出納長又は収入役その他普通地方公共団体の職員が法令の規定に基いて保管する現金又は物品を亡失又はき損した場合において、善良な管理者の注意を怠つたときは、法律又は政令に特別の定があるものを除く外、当該普通地方公共団体の長は、監査委員の監査の結果に基き、期限を定めてその損害を賠償させなければならない。但し、出納長又は収入役その他普通地方公共団体の職員が避けることのできない事故に因ること又は物品を当該普通地方公共団体の職員の使用に供した場合において合規の監督を怠らなかつたことを証明したときは、当該普通地方公共団体の長は、これを監査委員の審査に付し、その意見を附けて議会に付議し、その同意を得て、賠償の責任を免除することができる。

 第二百五十五条の次に次の一条を加える。

第二百五十五条の二 普通地方公共団体における直接請求の署名簿の署名、直接請求に基く議会の解散又は議員若しくは長の解職の投票及び副知事、助役、出納長、収入役、選挙管理委員、監査委員又は公安委員会の委員の解職の議決、議会において行う選挙又は決定、選挙管理委員会において行う資格の決定その他この法律に基く住民の賛否の投票に関する効力は、この法律に定める争訟の提起期間及び管轄裁判所に関する規定によることによつてのみこれを争うことができる。

 第二百五十七条第一項中「三十日以内に」の下に「、訴願の裁決は、訴願を受理した日から九十日以内に」を加え、同条第二項中「異議の決定」の下に「又は訴願の裁決」を、「その申立」の下に「又は訴願」を、「決定」の下に「又は裁決」を加える。

   附 則

1 この法律は、昭和二十五年五月十五日から施行する。但し、附則第八項の規定は、昭和二十五年四月三十日から適用する。

2 地方自治法第百五十八条第一項の規定による都道府県の局部で同条第一項又は第三項の改正規定により存置させることができなくなつたものは、この法律施行の日から九十日以内に限り、存続させることができる。

3 都道府県知事は、昭和二十四年五月三十一日現在において、道路運送監理事務所の所掌に属する事務でこの法律施行の際現にその権限に属するものを分掌させるため、改正後の地方自治法第百五十八条第一項から第三項まで及び第五項の規定にかかわらず、当分の間、条例で事務所を置くものとする。

4 前項の事務所の位置、名称その他必要な事項は、条例で定めなければならない。 

5 地方自治法の一部を改正する法律(昭和二十三年法律第百七十九号)の一部を次のように改正する。

  附則第二条第五項を次のように改める。

   第三項の投票において有効投票の三分の二以上の同意があつたときは、委員会は、都道府県知事及び都道府県の議会に報告し、都道府県知事は、当該報告に基き第六項に定める期間の経過後に市町村の廃置分合又は境界変更を定め、内閣総理大臣に届け出なければならない。

  同条第六項中「前項」を「第五項」に改め、同項を第七項とし、以下一項ずつ繰り下げ、第五項の次に次の一項を加える。

   都道府県の議会に前項の報告があつた日から三十日以内に、当該都道府県の議会において、その議員の発議により、出席議員の四分の三以上の多数でこれに同意すべきでないとの議決があつたときは、都道府県知事は、市町村の廃置分合又は境界変更を定めることができない。

  同条第十項中「政令で特別の定をするものを除く外、」の下に「地方自治法第七十四条の二から第七十四条の四までの規定は、第二項の規定による請求者の署名に、」を、「投票に」の下に「、地方自治法第二百五十五条の二の規定は、第二項の規定による請求者の署名及び第三項の規定による投票に関する争訟に」を加える。

6 この法律施行の際現に地方自治法の一部を改正する法律(昭和二十三年法律第百七十九号)附則第二条第二項の規定に基きその手続を開始している請求については、改正後の同条の規定にかかわらず、なお、従前の例による。

7 前項の規定は、この法律施行の際現に、地方自治法の一部を改正する法律(昭和二十三年法律第百七十九号)附則第二条第二項の規定に基く請求に係る市町村の廃置分合又は境界変更で改正前の同条第五項の規定により当該都道府県の議会の議決において出席議員の過半数の同意が得られなかつたもの又は同条第二項の規定に基きその手続を開始している請求に係る市町村の廃置分合又は境界変更について、改正後の同条の規定に基くあらたな請求をすることを妨げるものと解してはならない。

8 公職選挙法の施行及びこれに伴う関係法令の整理等に関する法律(昭和二十五年法律第百一号)の一部を次のように改正する。

  第三条の規定による地方自治法第百二十八条及び第百四十四条の改正規定中「裁決若しくは」を「裁決又は」に改め、「又は前条の規定による決定若しくは判決」を削る。

9 改正後の地方自治法第二百五十五条の二(地方自治法の一部を改正する法律(昭和二十三年法律第百七十九号)附則第二条第十項において準用する場合を含む。)に規定する争訟で、この法律施行の際現に裁判所にかかつているものは、同条の規定にかかわらず、なお、従前の例によるものとする。

10 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。

              (内閣総理大臣署名) 

 

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