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法律第百六十九号(昭二六・五・三一)

  ◎身体障害者福祉法の一部を改正する法律

 身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第三節 身体障害者福祉司(第九条―第十二条)」を「第三節 援護の機関(第九条―第十二条)」に、「第三章 更生援護施設の設置(第二十七条―第三十四条)」を「第三章 身体障害者更生援護施設(第二十七条―第三十四条)」に、「第四章 費用(第三十五条―第三十七条)」を「第四章 費用(第三十五条―第三十七条の二)」に改める。

 第四条中「身体上の障害のため職業能力が損傷されている」を「身体上の障害がある」に改める。

 第五条第一項中「この法律に基いて国又は地方公共団体が設置する」を削り、「身体障害者更生指導施設」を「肢体不自由者更生施設」に、「中途失明者更生施設」を「失明者更生施設」に、「義肢要具製作施設」を「補装具製作施設」改める。

 第六条第四項中「意見を具申することができる。」を「意見を具申し、及び第二十五条に規定する業務の運営について必要があると認めるときは、国又は地方公共団体の機関に対し、勧告をすることができる。」に改める。

 「第三節 身体障害者福祉司」を「第三節 援護の機関」に改める。

 第九条及び第十条を次のように改める。

 (身体障害者福祉司)

第九条 都道府県は、社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)の規定により設置する福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)に、身体障害者福祉司を置かなければならない。

2 市及び町村は、その設置する福祉事務所に、身体障害者福祉司を置くことができる。

3 身体障害者福祉司は、福祉事務所の長(以下「福祉事務所長」という。)の命を受けて、身体障害者の福祉に関し、左に掲げる業務を行うものとする。

 一 福祉事務所の所員に対し、技術的指導を行うこと。

 二 第十一条の二第一項第二号に規定する業務のうち、専門的技術を必要とするものを行うこと。

4 身体障害者福祉司の置かれていない福祉事務所の長は、前項第二号の業務については、都道府県の身体障害者福祉司(当該福祉事務所が地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百五十五条第二項の市の設置するものであつて、その設置する他の福祉事務所に身体障害者福祉司が置かれているときは、その身体障害者福祉司)の技術的援助及び助言を求めなければならない。

5 身体障害者福祉司は、前項の規定により福祉事務所長から技術的援助及び助言を求められたときは、これに協力しなければならない。

第十条 身体障害者福祉司は、事務吏員又は技術吏員とし、左の各号の一に該当する者のうちから、任用しなければならない。

 一 社会福祉事業法に定める社会福祉主事たる資格を有する者であつて、身体障害者の更生援護その他その福祉に関する事業に二年以上従事した経験を有するもの

 二 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基く大学又は旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基く大学において、厚生大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者

 三 医師

 四 身体障害者の更生援護の事業に従事する職員を養成する学校その他の施設で厚生大臣の指定するものを卒業した者

 五 前各号に準ずる者であつて、身体障害者福祉司として必要な学識経験を有するもの

 第十一条中「前二条に規定する身体障害者福祉司の事務の処理及び」を削り、「更生相談」を「更生援護」に改め、同条に次の二項を加える。

2 身体障害者更生相談所は、身体障害者の医学的、心理学的及び職能的判定を行うところとする。

3 身体障害者更生相談所は、必要に応じ、巡回して、前項の業務を行うことができる。

 第十一条の次に次の一条を加える。

 (福祉事務所)

第十一条の二 福祉事務所は、この法律の施行に関し、主として左の業務を行うものとする。

 一 身体に障害のある者を発見して、又はその相談に応じて、この法律に定める福祉の措置を受けるように指導すること。

 二 身体障害者の相談に応じ、その生活の実情、環境等を調査し、更生援護の必要の有無及びその種類を判断し、本人に対して、直接に、又は間接に、社会的更生の方途を指導すること並びにこれに附随する業務を行うこと。

2 福祉事務所長は、前項第二号に掲げる業務を行うに当つて、特に医学的、心理学的及び職能的判定を必要とする場合には、身体障害者更生相談所の判定を求めなければならない。

 第十二条を次のように改める。

 (協力機関)

第十二条 福祉事務所を設置しない町村(特別区を含む。)の長は、該当町村の区域内に居住地を有する身体障害者の更生援護について、都道府県知事、市長及び福祉事務所を管理する町村長(以下「援護の実施機関」という。)又は福祉事務所長の行う事務に協力しなければならない。

 第十五条第一項に次の但書を加え、同条第四項中「その申請者が第四条前段の規定に該当すると認めたときは、」を「その障害が別表に掲げるものに該当すると認めたときは、申請者に」に、同条第五項中「その申請者が、第四条前段の規定に該当しないと認めたときは、」を「その障害が別表に掲げるものに該当しないと認めたときは、」に、同条第六項中「身体障害者」を「身体障害者手帳の交付を受けた者」に改める。

  但し、本人が十五歳に満たないときは、その保護者(親権を行う者及び後見人をいう。)が代つて申請するものとする。

 第十五条中第七項を第十項とし、第六項の次に次の三項を加える。

7 身体に障害のある十五歳未満の者につき、その保護者が身体障害者手帳の交付を受けた場合において、本人が満十五歳に達したとき、又は本人が満十五歳に達する以前にその保護者が保護者でなくなつたときは、身体障害者手帳の交付を受けた保護者は、すみやかにこれを本人又は新たな保護者に引き渡さなければならない。

8 前項の場合において、本人が満十五歳に達する以前に、身体障害者手帳の交付を受けたその保護者が死亡したときは、その者の親族又は同居の縁故者でその身体障害者手帳を所持するものは、すみやかにこれを新たな保護者に引き渡さなければならない。

9 前二項の規定により本人又は新たな保護者が身体障害者手帳の引渡を受けたときは、その身体障害者手帳は、本人又は新たな保護者が交付を受けたものとみなす。

 第十六条第一項を次のように改め、同条第二項(第三号を除く。)中「身体障害者」を「身体障害者手帳の交付を受けた者」に、同項第一号中「第十八条の規定による診査の結果、その障害が」を「本人の障害が」に改め、同項第二号中「診査」の下に「又は児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十一条の二第一項の規定による診査」を加える。

  身体障害者手帳の交付を受けた者又はその者の親族若しくは同居の縁故者でその身体障害者手帳を所持するものは、本人が別表に掲げる障害を有しなくなつたとき、又は死亡したときは、すみやかに身体障害者手帳を都道府県知事に返還しなければならない。

 第十七条第二項中「当該身体障害者」を「当該処分の相手方」に、同条第三項中「当該身体障害者」を「前項の通知を受けた者」に、同条第四項中「当該身体障害者」を「第二項の通知を受けた者」に改める。

 第十八条第一項中「都道府県知事」を「援護の実施機関」に、同項第三号中「都道府県」を「当該地方公共団体」に改め、同条第二項中「都道府県知事」を「援護の実施機関」に、「前項」を「第一項」に改め、同項を第三項とし、同条第三項中「都道府県知事」を「援護の実施機関」に改め、同項を第四項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

2 市長及び福祉事務所を設置した町村の長は、身体障害者につき、第十六条第二項各号に掲げる事由があると認めるときは、その旨を都道府県知事に通告しなければならない。

 第十九条中「第二十七条第三項」を「第二十七条第二項若しくは第三項」に、「市町村」を「都道府県若しくは市町村」に、「都道府県知事」を「援護の実施機関」に改める。

 第二十条第一項中「都道府県知事は、身体障害者から申請があつたときは、」を「援護の実施機関は、その管理する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する身体障害者から申請があつたときは、」に改め、同条第二項中「都道府県知事」を「援護の実施機関」に改める。

 第二十一条第一項中「都道府県知事」を「援護の実施機関」に改める。

 第二十三条中「都道府県知事」を「援護の実施機関」に、「管轄区域」を「管理する福祉事務所の所管区域」に改める。

 第二十五条第一項から第三項までの各項中「公益法人」を「社会福祉法人」に改める。

 第二十六条を次のように改める。

第二十六条 削除

 「第三章 更生援護施設の設置」を「第三章 身体障害者更生援護施設」に改める。

 第二十七条中第四項を第五項とし、第五項中「第二十八条」を「第二十八条第一項」に改め、同項を第六項とし、第三項の次に次の一項を加える。

4 社会福祉法人その他の者は、社会福祉事業法の定めるところにより、身体障害者更生援護施設を設置することができる。

 第二十八条に次の一項を加える。

2 社会福祉法人その他の者が設置する身体障害者更生援護施設については、前項の規定による基準を社会福祉事業法第六十条第一項の規定による最低基準とみなして、同法第五十七条第四項、第六十条第二項及び第六十六条の規定を適用する。

 第二十九条を次のように改める。

 (肢体不自由者更生施設)

第二十九条 肢体不自由者更生施設は、肢体不自由者を収容し、その更生に必要な治療及び訓練を行う施設とする。

 第三十条中「中途失明者更生施設」を「失明者更生施設」に、「中途失明者」を「失明者」に改める。

第三十二条を次のように改める。

 (補装具製作施設)

第三十二条 補装具製作施設は、補聴器、義肢、車椅子等身体障害者に必要な補装具の製作又は修理を行う施設とする。

 第三十五条から第三十七条までを次のように改める。

 (市町村の支弁)

第三十五条 身体障害者の更生援護について、この法律において規定する事項に要する費用のうち、左に掲げるものは、市町村の支弁とする。

 一 第九条の規定により市町村が設置する身体障害者福祉司の設置及び運営に要する費用

 二 第十三条、第十四条、第十八条、第二十条及び第二十一条第一項の規定により、市町村長が行う行政措置に要する費用

 三 第二十七条第三項及び第五項の規定により、市町村が設置する身体障害者更生援護施設及び養成施設の設置及び運営に要する費用

 (都道府県の支弁)

第三十六条 身体障害者の更生援護について、この法律において規定する事項に要する費用のうち、左に掲げるものは、都道府県の支弁とする。

 一 第六条第二項に規定する地方身体障害者福祉審議会の運営に要する費用

 二 第九条の規定により都道府県が設置する身体障害者福祉司の設置及び運営に要する費用

 三 第十一条の規定により都道府県が設置する身体障害者更生相談所の設置及び運営に要する費用

 四 第十三条から第十五条まで、第十八条、第二十条及び第二十一条第一項の規定により都道府県知事が行う行政措置に要する費用

 五 第二十七条第二項及び第五項の規定により都道府県が設置する身体障害者更生援護施設及び養成施設の設置及び運営に要する費用

 (都道府県の負担)

第三十七条 都道府県は、第三十五条第三号の規定により市町村が支弁した費用のうち、当該施設の設置に要する費用については、その四分の三を負担する。

第四章中第三十七条の次に次の一条を加える。

 (国の負担)

第三十七条の二 国は、第三十五条及び第三十六条の規定により市町村及び都道府県が支弁する費用並びに前条の規定により都道府県が負担する費用について、左に掲げるものを負担する。

 一 第三十五条第一号並びに第三十六条第一号及び第二号の費用については、その十分の五

 二 第三十五条第三号の費用のうち、その運営に要する費用については、その十分の八

 三 第三十六条第三号及び第五号の費用のうち、その設置に要する費用についてはその十分の五、その運営に要する費用についてはその十分の八

 四 第三十五条第二号及び第三十六条第四号の費用のうち、第十三条から第十五条まで、第十八条及び第二十一条第一項の行政措置に要する費用についてはその十分の五、第二十条の行政措置に要する費用についてはその十分の八

 五 前条の規定により都道府県が負担する費用のうち、当該施設の設置に要する費用については、その三分の二

 第三十八条を次のように改める。

第三十八条 削除

 第三十九条中「身体障害者更生援護施設又は前条に規定する施設」を「第二十七条第三項の規定により市町村が設置する身体障害者更生援護施設」に改める。

 第四十条第一項中「第二十八条」を「第二十八条第一項」に改め、同条第二項を削り、同条第三項を第二項とし、同項中「前二項」を「前項」に改める。

 第四十一条を次のように改める。

第四十一条 削除

 第四十二条中「又は都道府県知事」を「、都道府県知事又は市町村長」に改め、「都道府県知事のした処分については厚生大臣に、」の下に「市町村長のした処分については都道府県知事に、」を加える。

 第四十三条の前の見出しを削り、同条を次のように改める。

 (町村の一部事務組合)

第四十三条 町村が一部事務組合を設けて福祉事務所を設置した場合には、この法律の適用については、その組合を福祉事務所を設置する町村とみなし、その組合の長を福祉事務所を管理する町村長とみなす。

 第四十三条の次に次の一条を加える。

 (援護の実施機関が変更した場合の経過規定)

第四十三条の二 町村の福祉事務所の設置又は廃止により援護の実施機関に変更があつた場合においては、この法律又はこの法律に基いて発する命令の規定により、変更前の援護の実施機関がした処分その他の行為は、変更後の援護の実施機関がした処分その他の行為とみなす。但し、変更前に行われ、又は行われるべきであつた援護に関する費用の支弁及び負担については、変更がなかつたものとする。

 第四十四条に見出しとして「(租税その他公課の非課税)」を加える。

 第四十六条第三号を削る。

 第四十七条中「左の各号の一に該当する者は、」を「詐欺その他不正な手段により、身体障害者手帳の交付を受けた者又は受けさせた者は、」に改め、第一号及び第二号を削る。

 別表第一号1中「屈伸異常」を「屈折異常」に、第四号中「肢切断又は肢体不自由」を「肢体不自由(肢切断を含む。)」に改める。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、昭和二十六年十月一日から施行する。但し、第六条及び第二十六条の改正規定は、公布の日から、第二十七条、第二十八条、第三十八条から第四十一条まで、第四十六条及び第四十七条の改正規定並びに附則第五項及び附則第六項(社会福祉事業法第二条に関する部分を除く。)の規定は、同年六月一日から施行する。

2 第四十三条の二の規定は、この法律の施行により援護の実施機関に変更があつた場合に準用する。

3 社会福祉事業法附則第七項の規定に基き置かれた組織の長は、この法律の適用については、福祉事務所長とみなす。

 (身体障害者福祉司に関する経過規定)

4 この法律の施行の際、現に任用されている身体障害者福祉司は、第十条の規定により任用された身体障害者福祉司とみなす。

 (罰則の適用に関する経過規定)

5 第四十六条及び第四十七条の改正規定の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお、従前の例による。

 (社会福祉事業法の一部改正)

6 社会福祉事業法の一部を次のように改正する。

  第二条第二項第三号中「身体障害者更生指導施設」を「し体不自由者更生施設」に、「中途失明者更生施設」を「失明者更生施設」に、同条第三項第三号中「義し要具製作施設」を「補装具製作施設」に改める。

  第五十八条第二項中「同条第二項第一号」を「同条第三項第一号」に改める。

  附則第十五項中「社会事業法」を「社会事業法又は身体障害者福祉法」に改める。

  附則に次の一項を加える。

  (公益質屋を経営する者の経過規定)

 27 この法律の施行の際、現に従前の公益質屋法第一条第二項の規定により認可を受けて公益質屋を経営している公益法人は、昭和二十七年五月三十一日までは、同法の適用については、社会福祉法人とみなす。

 (予防接種法等による国庫負担の特例等に関する法律の一部改正)

7 予防接種法等による国庫負担の特例等に関する法律(昭和二十五年法律第二百十二号)の一部を次のように改正する。

  第一条第五号中「第三十六条」を「第三十七条の二」に、「第三十五条第二号及び第三号」を「第三十五条第一号、第三十六条第二号及び第三号」に改める。

(内閣総理・大蔵・厚生大臣署名) 

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