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法律第三百十三号(昭二六・一二・一七)

◎水産資源保護法

目次

第一章 総則(第一条―第三条)

第二章 水産資源の保護培養(第四条―第二十八条)

  第一節 水産動植物の採捕制限等(第四条―第十三条)

  第二節 保護水面(第十四条―第十九条)

  第三節 さく河魚類の保護培養(第二十条―第二十六条)

  第四節 水産動植物の種苗の確保(第二十七条・第二十八条)

第三章 水産資源の調査(第二十九条・第三十条)

第四章 補助(第三十一条)

第五章 雑則(第三十二条―第三十五条)

第六章 罰則(第三十六条―第四十一条)

 附則

   第一章 総則

 (この法律の目的)

第一条 この法律は、水産資源の保護培養を図り、且つ、その効果を将来にわたつて維持することにより、漁業の発展に寄与することを目的とする。

 (適用範囲)

第二条 公共の用に供しない水面には、別段の規定がある場合を除き、この法律の規定を適用しない。

第三条 公共の用に供しない水面であつて公共の用に供する水面と連接して一体を成すものには、この法律を適用する。

   第二章 水産資源の保護培養

    第一節 水産動植物の採捕制限等

 (水産動植物の採捕制限等に関する命令)

第四条 農林大臣又は都道府県知事は、水産資源の保護培養のために必要があると認めるときは、左に掲げる事項に関して、省令又は規則を定めることができる。

 一 水産動植物の採捕に関する制限又は禁止

 二 水産動植物の販売又は所持に関する制限又は禁止

 三 漁具又は漁船に関する制限又は禁止

 四 水産動植物に有害な物の遺棄又は漏せつその他水産動植物に有害な水質の汚濁に関する制限又は禁止

 五 水産動植物の保護培養に必要な物の採取又は除去に関する制限又は禁止

 六 水産動植物の移植に関する制限又は禁止

2 前項の規定による省令又は規則には、必要な罰則を設けることができる。

3 前項の罰則に規定することができる罰は、省令にあつては二年以下の懲役、五万円以下の罰金、拘留若しくは科料又はこれらの併科、規則にあつては六箇月以下の懲役、一万円以下の罰金、拘留若しくは科料又はこれらの併科とする。

4 第一項の規定による省令又は規則には、犯人が所有し、又は所持する漁獲物、漁船、漁具及び同項第六号の水産動植物の没収並びに犯人が所有していたこれらの物件の全部又は一部を没収することができない場合におけるその価額の追徴に関する規定を設けることができる。

5 農林大臣は、第一項の省令を定めようとするときは、中央漁業調整審議会の意見をきかなければならない。

6 都道府県知事は、第一項の規則を定めようとするときは、農林大臣の認可を受けなければならない。

7 都道府県知事は、第一項の規則を定めようとするときは、漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第八十四条第一項(海区漁業調整委員会の設置)に規定する海面に係るものにあつては、当該都道府県の区域に沿う海面につき定められたすべての海区の区域を合した海区に設置した連合海区漁業調整委員会(当該都道府県の区域に沿う海面につき定められた海区の数が一である場合にあつては、当該海区の海区漁業調整委員会)の意見を、同法第百二十七条(内水面における第五種共同漁業の免許)に規定する内水面に係るものにあつては、内水面漁場管理委員会の意見をきかなければならない。

8 農林大臣は、第一項第四号又は第五号に掲げる事項に関する省令又は規則であつて、河川法(明治二十九年法律第七十一号)第一条(適用河川)に規定する河川(同法第五条(準用河川)の規定により同法が準用される水流、水面又は河川を含む。以下「河川等」という。)又は砂防法(明治三十年法律第二十九号)第二条(指定土地)の規定により主務大臣が指定した土地(以下「指定土地」という。)に係るものを定め又は認可しようとするときは、あらかじめ、建設大臣に協議しなければならない。

9 農林大臣は、第一項第四号に掲げる事項に関する省令又は規則を定め又は認可しようとするときは、あらかじめ、通商産業大臣に協議しなければならない。

 (漁法の制限)

第五条 爆発物を使用して水産動植物を採捕してはならない。但し、海獣捕獲のためにする場合は、この限りでない。

第六条 水産動植物をまひさせ、又は死なせる有毒物を使用して、水産動植物を採捕してはならない。但し、農林大臣の許可を受けて、調査研究のため、漁業法第百二十七条に規定する内水面において採捕する場合は、この限りでない。

第七条 前二条の規定に違反して採捕した水産動植物は、所持し、又は販売してはならない。

 (公共の用に供しない水面)

第八条 公共の用に供しない水面であつて公共の用に供する水面又は第三条の水面に通ずるものには、政令で、第四条から前条までの規定及びこれらに係る罰則を適用することができる。

 (許可漁船の定数)

第九条 農林大臣は、水産資源の保護のために必要があると認めるときは、漁業法第五十二条(指定遠洋漁業)の指定遠洋漁業又は同法第六十五条第一項(漁業調整に関する命令)及びこの法律の第四条の規定に基く省令の規定により農林大臣の許可を要する漁業につき、漁業の種類及び水域別に、省令で、当該漁業に従事することができる漁船の隻数の最高限度(以下「定数」という。)を定めることができる。

2 農林大臣は、前項の定数を定める場合には、水産資源の現状及び現に当該漁業を営む者の数その他自然的及び社会的条件を総合的に勘案しなければならない。

3 農林大臣は、定数を定めようとするときは、中央漁業調整審議会の意見をきかなければならない。

 (定数超過による許可の取消及び変更)

第十条 前条の規定により定数が定められた時に当該漁業の種類及び水域につき現に漁業の許可(漁業に関する起業の認可を含む。以下同じ。)を受けている漁船の隻数が定数をこえているときは、農林大臣は、左に掲げる事項を勘案して省令で定める基準に従い、そのこえる数の漁船につき、当該漁業に係る許可の取消の期日又は変更すべき当該漁業の操業区域及び変更の期日を指定しなければならない。

 一 各漁業者が当該漁業の種類及び水域につき許可を受けている漁船の隻数

 二 当該漁業に従事する漁船の航海度数、主たる操業の場所、操業日数、網入数、漁獲数量その他の操業状祝

 三 賃金その他の給与等の労働条件

 四 各漁業者の経済が当該漁業に依存する程度

2 農林大臣は、前項の基準を定めようとするときは、中央漁業調整審議会の意見をきかなければならない。

3 第一項の規定による指定をする場合において必要があると認めるときは、農林大臣は、当該漁業の種類及び水域につき漁業の許可を受けている漁船であつて同項の指定を受けなかつたものにつき、変更すべき当該漁船の操業区域及び変更の期日を指定することができる。

4 第一項又は前項の規定による指定は、告示をもつてする。

5 前項の告示をしたときは、当該漁業に係る許可は、その有効期間にかかわらず、その指定された期日に取り消され、又は操業区域の変更があつたものとする。

6 第一項又は第三項の規定による指定は、これによつて必要となる次条の規定による補償金の総額が国会の議決を経た予算の金額をこえない範囲内でしなければならない。

 (損失補償)

第十一条 政府は、前条第五項の規定による許可の取消又は操業区域の変更によつて生じた損失を当該処分を受けた者に対し補償しなければならない。

2 前項の規定により補償すべき損失は、同項の処分によつて通常生ずべき損失とする。

3 前項の補償金額は、農林大臣が中央漁業調整審議会の意見をきいて定め、これを告示する。

4 補償金交付の方法は、政令で定める。

5 第三項の規定により告示された補償金額に不服がある者は、告示の日から九十日以内に、訴をもつて、その増額を請求することができる。

6 前項の訴においては、国を被告とする。

 (漁業従事者に対する措置)

第十二条 第十条第五項の規定により許可の取消を受けた者は、同条第四項の告示の日現在において、許可を受けた漁船に乗り組んでいる者及び当該漁船のために陸上作業をしている者に対し、交付を受けた補償金のうち省令で定める金額を支給しなければならない。

 (漁獲限度)

第十三条 農林大臣は、水産資源の保護のために必要があると認めるときは、漁業法第五十二条の指定遠洋漁業又は同法第六十五条第一項及びこの法律の第四条の規定に基く省令の規定により農林大臣の許可を要する漁業につき、漁業の種類又は漁獲物の種類及び水域別に、当該漁業により漁獲すべき年間の数量の最高限度(以下「漁獲限度」という。)を定め、関係業者又はその団体に対し、この限度をこえて漁獲しないよう措置すべきことを勧告することができる。

2 農林大臣は、前項の漁獲限度を定めようとするときは、中央漁業調整審議会の意見をきかなければならない。

    第二節 保護水面

 (保護水面の定義)

第十四条 この法律において「保護水面」とは、水産動物が産卵し、稚魚が生育し、又は水産動植物の種苗が発生するのに適している水面であつて、その保護培養のために必要な措置を講ずべき水面として農林大臣が指定する区域をいう。

 (保護水面の指定)

第十五条 保護水面は、農林大臣が、都道府県知事の申請に基いて、且つ、中央漁業調整審議会の意見をきいて農林大臣が定める基準に従つて、指定する。

2 都道府県知事は、前項の指定の申請をしようとするときは、当該保護水面の区域及びその指定が必要である理由を記載した申請書に、第十七条第一項に規定する当該保護水面の管理計画を添えなければならない。

3 都道府県知事は、第一項の指定の申請をしようとするときは、指定の申請をすること及び前項の管理計画について、指定を申請しようとする保護水面が漁業法第八十四条第一項に規定する海面に属する場合にあつては、当該保護水面につき定められた海区に設置した海区漁業調整委員会の意見を、指定を申請しようとする保護水面が同法第百二十七条に規定する内水面に属する場合にあつては、内水面漁場管理委員会の意見をきかなければならない。

4 農林大臣は、特に必要があると認めるときは、第一項の規定による都道府県知事の申請がない場合でも、同項に規定する基準に従つて、保護水面を指定することができる。

5 農林大臣は、前項の規定により保護水面の指定をするときは、第十七条第一項に規定する当該保護水面の管理計画を定めなければならない。

6 農林大臣は、第四項の規定により保護水面の指定をしようとするときは、指定をすること及び前項の管理計画について、指定をしようとする保護水面の属する水画を管轄する都道府県知事の意見をきかなければならない。

7 第三項の規定は、都道府県知事が前項の規定により農林大臣に意見を述べようとする場合に準用する。

8 第一項又は第四項の規定による保護水面の指定は、保護水面の区域及び第十六条の規定によるその管理者の告示をもつてする。

 (保護水面の管理者)

第十六条 保護水面の管理は、当該保護水面の属する水面を管轄する都道府県知事が行う。但し、当該水面が二以上の都道府県知事の管轄に属し、又は当該水面の管轄が明確でないときは、農林大臣は、当該保護水面を管理する都道府県知事を指定し、又はみずから管理することができる。

 (保護水面の管理計画)

第十七条 保護水面の管理計画においては、少くとも左に掲げる事項を定めなければならない。

 一 増殖すべき水産動植物の種類並びにその増殖の方法及び増殖施設の概要

 二 採捕を制限し、又は禁止する水産動植物の種類及びその制限又は禁止の内容

 三 制限し、又は禁止する漁具又は漁船及びその制限又は禁止の内容

2 都道府県知事は、農林大臣の認可を受けて、その管理する保護水面の管理計画を変更することができる。この場合には、第十五条第三項の規定を準用する。

3 農林大臣は、特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、その管理する保護水面の管理計画を変更すべきことを命ずることができる。この場合には、第十五条第六項及び第七項の規定を準用する。

 (工事の制限等)

第十八条 保護水面の区域(河川等、指定土地又は港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第三項(港湾区域の定義)に規定する港湾区域(その区域外百メートル以内の区域を含む。)若しくは同法第五十六条第一項(港湾区域の定のない港湾)に規定する水域(以下第四項において「港湾区域」と総称する。)に係る部分を除く。)内において、埋立若しくはしゆんせつの工事又は水路、河川の流量若しくは水位の変更をきたす工事をしようとする者は、政令の定めるところにより、当該保護水面を管理する都道府県知事又は農林大臣の許可を受けなければならない。

2 都道府県知事又は農林大臣は、前項の許可を受けないでされた工事が当該保護水面の管理に著しく障害を及ぼすと認めるときは、当該工事の施行者に対し、当該工事を変更し、又は当該水面を原状に回復すべきことを命ずることができる。

3 建設大臣又は地方行政庁は、河川等若しくは指定土地に関する第一項に掲げる工事をし、若しくはさせようとする場合又はこれらの工事について河川法第十七条から第十九条まで(河川使用の許可等)の規定による許可若しくは砂防法第四条(指定土地における一定行為の禁止、制限)の規定による制限に係る許可をしようとする場合において、当該工事が保護水面の区域内においてされるものであるときは、政令の定めるところにより、あらかじめ、当該保護水面を管理する都道府県知事又は農林大臣に協議しなければならない。

4 運輸大臣又は港湾管理者(港湾法第二条第一項(港湾管理者の定義)に規定する港湾管理者をいう。以下同じ。)が港湾区域内における第一項に掲げる工事をしようとする場合又はこれらの工事について港湾管理者の長が同法第三十七条第一項(港湾区域内の工事の許可)の規定による許可をし、同条第三項(港湾区域内の国等の工事についての特例)の規定による協議に応じ、都道府県知事が同法第五十六条第一項の規定による許可をし、同条第三項(港湾区域の定のない港湾への準用)の規定による協議に応じ、若しくは港湾管理者の長が同法第五十八条第二項(公有水面埋立法との関係)の規定により公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)の規定による都道府県知事の職権を行おうとする場合において、当該工事が保護水面の区域内においてされるものであるときは、運輸大臣、港湾管理者の長又は都道府県知事は、政令の定めるところにより、あらかじめ、当該保護水面を管理する都道府県知事又は農林大臣に協議しなければならない。

5 保護水面の区域内において水産動植物の保護培養のため特に必要があるときは、当該保護水面を管理する都道府県知事又は農林大臣は、政令の定めるところにより、建設大臣若しくは地方行政庁又は運輸大臣、港湾管理者の長若しくは都道府県知事に対し、当該区域内における第一項に掲げる工事又はその工事により施設された工作物に関し必要な勧告をすることができる。

 (費用の負担)

第十九条 都道府県知事が管理計画に基いて行う保護水面の管理に要する経費は、国の負担とする。

    第三節 さく河魚類の保護培養

 (国営の人工ふ化放流)

第二十条 農林大臣は、さく河魚類のうちさけ及びますの増殖を図るために、その人工ふ化放流を実施する。

2 農林大臣は、毎年度、前項の人工ふ化放流の実施に関する計画を定めなければならない。

3 前項の人工ふ化放流の計画においては、少くとも左に掲げる事項を定めなければならない。

 一 当該年度において人工ふ化放流を実施する河川

 二 当該年度において人工ふ化放流を実施する場所及び放流数

4 農林大臣は、第二項の人工ふ化放流の計画を定めようとするときは、中央漁業調整審議会の意見をきかなければならない。

5 農林大臣は、省令の定めるところにより、第一項の事務の一部を都道府県知事に委任することができる。

 (受益者の費用負担)

第二十一条 農林大臣は、さく河魚類のうちさけ又はますを目的とする漁業を営む者が、前条第一項の規定により実施する人工ふ化放流により著しく利益を受けるときは、その者にその実施に要する費用の一部を負担させることができる。

 (さく河魚類の通路の保護)

第二十二条 さく河魚類の通路となつている水面に設置した工作物の所有者又は占有者は、さく河魚類のさく上を妨げないように、その工作物を管理しなければならない。

2 農林大臣又は都道府県知事は、前項の工作物の所有者又は占有者が同項の規定による管理を怠つていると認めるときは、その者に対し、同項の規定に従つて管理すベきことを命ずることができる。

第二十三条 農林大臣は、さく河魚類の通路を害する虞があると認めるときは、水面の一定区域内における工作物の設置を制限し、又は禁止することができる。

2 農林大臣は、前項の規定による制限をしようとするときは、当該工作物を設置しようとする者に対し、さく河魚類の通路又は当該通路に代るべき施設を設置すべきこと、もし、さく河魚類の通路又は当該通路に代るべき施設を設置することが著しく困難であると認める場合においては、当該水面におけるさく河魚類又はその他の魚類の繁殖に必要な施設を設置し、又は方法を講ずべきことを命ずることによつても、これをすることができる。

3 前項の規定による命令を受けた者は、省令の定めるところにより、当該命ぜられた事項についての計画を作成し、これについて農林大臣の承認を受けなければならない。

第二十四条 農林大臣は、工作物がさく河魚類の通路を害すると認めるときは、その所有者又は占有者に対し、除害工事を命ずることができる。

2 前項の規定により除害工事を命ずるときは、次項の規定による補償金の総額が国会の議決を経た予算の金額をこえない範囲内でしなければならない。

3 農林大臣は、第一項の規定により除害工事を命じたときは、その工作物について権利を有する者に対し、相当の補償をしなければならない。但し、第二十二条第二項の規定による命令に違反した者に対し、第一項の規定による除害工事を命じた場合においては、その者に対しては、補償しない。

4 第一項の規定による除害工事の命令が利害関係人の申請によつてされたときは、農林大臣の定めるところにより、当該申請者が、前項本文の規定による補償をしなければならない。

5 前二項の補償金額に不服がある者は、補償金額決定の通知を受けた日から九十日以内に、訴をもつて、その増減を請求することができる。

6 前項の訴においては、国を被告とする。但し、第四項の場合においては、申請者又は工作物について権利を有する者を被告とする。

7 第一項の規定による工作物の除害工事の命令があつた場合において、当該工作物の上に先取特権、質権又は抵当権があるときは、当該先取特権者、質権者又は抵当権者から供託しなくてもよい旨の申出がある場合を除き、農林大臣又は第四項の当該申請者は、第三項又は第四項の補償金を供託しなければならない。

8 前項の先取特権者、質権者又は抵当権者は、同項の規定により供託した補償金に対してその権利を行うことができる。

 (内水面におけるさけの採補禁止)

第二十五条 漁業法第百二十七条に規定する内水面においては、さく河漁類のうちさけを採捕してはならない。但し、漁業の免許を受けた者又は漁業法第六十五条第一項及びこの法律の第四条の規定に基く省令若しくは規則の規定により農林大臣若しくは都道府県知事の許可を受けた者が、当該免許又は許可に基いて採捕する場合は、この限りでない。

 (公共の用に供しない水面)

第二十六条 公共の用に供しない水面であつて公共の用に供する水面又は第三条の水面に通ずるものには、政令で、第二十二条から前条までの規定及びこれらに係る罰則を適用することができる。

第四節 水産動植物の種苗の確保

 (届出の義務)

第二十七条 省令で定める水産動植物の種苗を、業として、販売の目的をもつて採捕し、又は生産しようとする者は、省令の定めるところにより、農林大臣にその旨の届出をしなければならない。その業を廃止したときも、同様とする。

 (生産及び配付の指示)

第二十八条 農林大臣は、前条に規定する水産動植物の種苗を確保するために必要があると認めるときは、省令の定めるところにより、同条に規定する者に対し、当該水産動植物の種苗の生産又は配付につき必要な指示をすることができる。

第三章 水産資源の調査

 (水産資源の調査)

第二十九条 農林大臣は、この法律の目的を達成するために、水産資源の保護培養に必要であると認められる種類の漁業について、漁獲数量、操業の状況及び海況等に関し、科学的調査を実施しなければならない。

2 農林大臣は、省令の定めるところにより、前項の事務の一部を都道府県知事に委任することができる。

 (報告の徴収)

第三十条 農林大臣又は都道府県知事は、前条の調査を行うために必要があると認めるときは、漁業を営み、又はこれに従事する者に、漁獲の数量、時期、方法その他必要な事項を報告させることができる。

第四章 補助

 (補助)

第三十一条 国は、この法律の目的を達成するために、予算の範囲内において、左の各号に掲げる者に対し、それぞれ左の各号に掲げる費用の一部を補助することができる。

一 さく河魚類の通路となつている水面に設置した工作物の所有者又は占有者(第二十四条第一項の規定による除害工事の命令を受けた者を除く。)が、当該水面において、第二十三条第二項に規定する施設を設置し、又は改修するのに要する費用

二 国以外の者がさく河魚類のうちさけ又はますの人工ふ化放流事業を行うのに要する費用

第五章 雑則

 (水産資源保護指導官及び水産資源保護指導吏員)

第三十二条 農林大臣又は都道府県知事は、予算の範囲内で、所部の職員の中から水産資源保護指導官又は水産資源保護指導吏員を命じ、水産資源の保護培養に関する事項の指導及び普及その他この法律及びこの法律に基く命令の励行に関する事務をつかさどらせる。

 (水産資源の保護培養に関する協力)

第三十三条 都道府県知事は、水産資源の保護培養のために必要があると認めるときは、漁業協同組合その他の者に対し、水産資源の保護培養に関し協力を求めることができる。

 (水産資源保護部会)

第三十四条 中央漁業調整審議会に、水産資源の保護培養に関する重要事項を分掌させるために水産資源保護部会を置く。

 (訴願)

第三十五条 この法律又はこの法律に基く命令の規定によつてした行政庁の処分に不服がある者は、農林大臣に訴願することができる。但し、第十一条第五項又は第二十四条第五項の規定により訴を提起することができる場合は、この限りでない。

第六章 罰則

第三十六条 第五条から第七条までの規定に違反した者は、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

第三十七条 左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役、五万円以下の罰金、拘留又は科料に処する。

一 第十八条第一項の許可を受けないで、同項の工事をした者

二 第二十三条第一項又は第二項の規定による制限又は禁止に違反した者

三 第二十四条第一項の規定による命令に違反した者

四 第二十五条の規定に違反した者

第三十八条 第三十六条又は前条第四号の場合において、犯人が所有し、又は所持する漁獲物、漁船又は漁具は、没収することができる。但し、犯人が所有していたこれらの物件の全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴することができる。

第三十九条 第三十六条又は第三十七条の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。

第四十条 左の各号の一に該当する者は、六箇月以下の懲役、一万円以下の罰金、拘留又は科料に処する。

一 第二十三条第三項の規定に違反した者

二 第二十七条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

三 第三十条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

第四十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、第三十六条、第三十七条又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対し、各本条の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、当該業務に対し相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。

附 則

1 この法律施行の期日は、公布の日から起算して六箇月をこえない期間内において、政令で定める。但し、第二十四条、第三十二条、第三十四条及び第三十七条第三号の規定並びに第三十九条及び第四十一条の規定中第三十七条第三号の違反行為に関する部分の施行期日は、昭和二十七年四月一日以後でなければならない。

2 この法律施行の際現に第二十七条に規定する業を行つている者は、この法律施行の日から六十日以内に、省令の定めるところにより、農林大臣にその旨の届出をしなければならない。

3 第四十条第二号及び第四十一条の規定は、前項の場合に準用する。

4 漁業法の一部を次のように改正する。

第五十八条第一項中「水産資源枯渇防止法(昭和二十五年法律第百七十一号)第二条第一項」を「水産資源保護法(昭和二十六年法律第三百十三号)第九条第一項」に改める。

 第六十五条第一項中「水産動植物の繁殖保護、」及び第五号から第七号までを削り、同条第四項中「、漁具及び同項第七号の水産動植物」を「及び漁具」に改める。

  第六十八条から第七十一条までを次のように改める。

 第六十八条から第七十一条まで 削除

  第七十三条中「第六十五条(漁業調整に関する命令)及び第六十八条から第七十一条まで(漁法の制限及びさく河魚類の保護)の規定並びにこれら」を「第六十五条(漁業調整に関する命令)の規定及びこれ」に改める。

  第百十三条第三項第二号中「五人」を「十人」に改める。

  第百三十八条第七号及び第百三十九条第三号を削る。

5 水産資源枯渇防止法(昭和二十五年法律第百七十一号)は、廃止する。

6 この法律施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(農林・通商産業・運輸・建設・内閣総理大臣署名) 

 

 

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