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法律第六十九号(昭二七・四・一)

  ◎昭和二十六年十月の台風による木船災害の復旧資金の融通に関する特別措置法

 (この法律の目的)

第一条 この法律は、木船(ろかいのみをもつて運転し、又は主としてろかいをもつて運転する船舶及び漁船(漁船法(昭和二十五年法律第百七十八号)第二条第一項に定める漁船をいう。)を除く。以下同じ。)の所有者が昭和二十六年十月における台風によつてその所有する木船について受けた損害の復旧を円滑にするため、政府が当該復旧に要する資金の融通について損失補償及び利子補給を行うことを目的とする。

 (損失補償及び利子補給)

第二条 政府は、法令で定める金融機関(以下「融資機関」という。)が前条の台風によつて自己の所有する木船に損害を受けた者でその復旧のために融資を受けようとするもの又はその者が加入する中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)に基く組合(以下「組合」という。)でその者につき当該損害復旧のために融資をしようとするものに対して融資をするときは、政令の定めるところにより、当該融資をすることによつて受けた損失を補償し、且つ、当該融資額につき利子の補給をする旨の契約を当該融資機関と結ぶことができる。

2 前項の規定により政府と融資機関が契約を結ぶことができる融資は、昭和二十七年四月一日から昭和二十八年三月三十一日までになされ、且つ、その償還期限が昭和三十三年三月三十一日以前のものに限る。

3 政府が第一項の規定による契約を結ぶことのできる融資の総額は、三億八千万円を限度とする。

 (損失の基準及び損失補償限度)

第三条 前条第一項の損失とは、融資元本の償還期限到来後一年の範囲内で政令で定める期間を経過してなお元本又は利子(法令で定める遅延利子を含む。)の全部又は一部について回収されなかつた場合におけるその回収されなかつた金額をいう。

2 前条第一項の規定による契約に基いて政府が行う損失補償の金額の限度は、融資機関ごとに、当該融資機関のした同条同項の融資(以下「融資」という。)の総額の百分の三十に相当する金額とする。

 (利子補給の基準)

第四条 第二条第一項の規定による契約に基いて政府が補給する利子は、政令の定めるところにより、融資機関がした融資の融資残高に対し年四分の割合で計算した金額とする。

 (利率)

第五条 第二条第一項の規定による契約を結んだ融資機関のする融資の利率は、当該融資機関が通常それと同種類の貸付を行う場合に定める利率を年四分引き下げた利率で当該契約の条件とされたものをこえてはならない。

 (組合が組合員に対してする資金の貸付)

第六条 組合が融資機関から融資を受けた資金をその組合員に貸し付ける場合の利率は、当該融資機関から受けた当該融資の利率をこえてはならない。

 (債権の保有及び回収)

第七条 融資機関は、第二条第一項の規定による契約に基いてした融資についてこの法律の規定による損失補償を受けた後も、当該融資に係る債権を善良な管理者の注意をもつて保有し、且つ、回収に努めなければならない。

2 前項の場合において融資機関は、当該融資に係る債権の回収によつて得た金額のうちから債権行使のために必要とした費用を控除し、残額があるときは、これを当該融資について損失補償を受けない損失のてん補に充当し、なお残額があるときは、この法律の規定により政府から受けた損失補償の金額に達するまでの金額を政府に納付しなければならない。

 (法令等の違反に対する措置)

第八条 政府は、融資機関がこの法律若しくはこの法律に基く命令又は第二条第一項の規定による契約に違反したときは、当該融資機関のした融資について、補給すべき利子の全部若しくは一部について補給をせず、補償すべき損失の全部若しくは一部について補償をせず、又は既にした利子の補給若しくは損失の補償の全部若しくは一部の返還を命ずることができる。

 (施行規定)

第九条 この法律に定めるものの外、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。

2 融資機関がこの法律施行前第二条第一項に規定する者に対してなした貸付であつて、政令の定めるところによりこの法律に定める条件に該当し又は該当することとなるものがあるときは、政府は、当該貸付をなしたことによつて受けた損失を補償し、且つ、当該貸付につき利子の補給をする旨の契約を当該融資機関と結ぶことができる。

3 前項の場合において、政府が同項の規定による契約を結ぶことができる貸付の総額は、融資の総額とあわせて、三億八千万円を限度とする。

4 第二項の場合において、同項の規定による契約に基いて政府が行う損失補償の金額の限度は、融資機関ごとに当該融資機関のした融資についての損失補償の金額とあわせて、融資の総額と前項に規定する貸付の総額の合計額の百分の三十に相当する金額とする。

5 第二条第二項、第三条第一項及び第四条から第八条までの規定は、第二項の場合及び同項の規定による契約に係る貸付に準用する。この場合において、第二条第二項中「昭和二十七年四月一日から昭和二十八年三月三十一日」とあるのは「昭和二十六年十月十四日から昭和二十七年三月三十一日」と、「昭和三十三年三月三十一日」とあるのは「昭和三十二年三月三十一日」と読み替えるものとする。

(大蔵・運輸・内閣総理大臣署名) 

 

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