法律第百三号(昭二七・四・二八)
◎平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律
目次
第一章 総則(第一条―第四条)
第二章 刑の執行(第五条―第十五条)
第三章 仮出所(第十六条―第二十三条)
第四章 一時出所(第二十四条―第二十七条)
第五章 赦免及び刑の軽減(第二十八条―第三十一条)
第六章 雑則(第三十二条―第三十七条)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、平和条約第十一条による極東国際軍事裁判所及びその他の連合国戦争犯罪法廷が科した刑の執行並びに刑を科せられた者に対する赦免、刑の軽減及び仮出所が適正に行われることを目的とする。
(用語の意義)
第二条 この法律において、左の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 平和条約 千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約をいう。
二 刑 前条に定める極東国際軍事裁判所及びその他の連合国戦争犯罪法廷の科した刑をいう。
三 刑期 刑の期間をいう。
四 刑務所 第六条に定める巣鴨刑務所をいう。
五 在所者 刑務所において刑の執行を受けている者をいう。
六 委員会 法務府の外局として置かれている中央更生保護委員会をいう。
七 関係国 極東国際軍事裁判所の科した刑については、同裁判所に代表者を出席させた国又はこれらの国の代表機関をいい、その他の連合国戦争犯罪法廷の科した刑については、それぞれの法廷を設置して裁判を行つた国又はこれらの国の代表機関をいう。
(行政機関)
第三条 刑の執行に関する事項は、法務総裁が管理し、赦免、刑の軽減、仮出所及び一時出所に関する事項は、この法律の定めるところにより、委員会が管理する。
(刑期の計算)
第四条 刑期が月又は年をもつて言い渡されているときは、暦に従つて計算する。
第二章 刑の執行
(準拠法例)
第五条 刑の執行については、この法律に特別の規定があるもののほか、監獄法(明治四十一年法律第二十八号)中の受刑者に関する規定を準用する。但し、千九百五十一年七月六日に国際刑法及び刑務委員会によつて承認された被拘禁者の処遇に関する最低基準その他の国際慣行を尊重するものとする。
(刑務所)
第六条 刑の執行は、別に法律で定める巣鴨刑務所において行う。
(収容の手続)
第七条 刑務所の長は、連合国最高司令官又は関係国から、その管理の下にある刑を科せられた者を残刑の執行のため引き渡されたときは、その者を刑務所に収容し、直ちに、その刑の執行に着手しなければならない。
2 前項の場合において、その引き渡された者の人違でないことを確め、且つ、その執行すべき刑期を確認するについては、連合国最高司令官又は関係国から引き継いだ刑の執行に関する文書によらなければならない。
3 刑務所の長は、前項の文書を調べた結果、その人違でないこと又は執行すべき刑期を確認し難い相当の理由があるときは、関係国に照会する手続をとり、且つ、その回答に従わなければならない。
(刑の執行の終了及び釈放)
第八条 刑の執行は、この法律の定めるところにより特に出所を許される場合を除くほか、刑期が満了する日まで行うものとする。
2 刑期の満了による釈放は、刑期が満了する日の午後六時までに行う。
(未決日数の算入)
第九条 戦争犯罪の嫌疑により抑留され、又は拘禁された未決日数は、全部刑期に算入する。
2 前項の未決日数について、確実な資料がないときは、刑務所の長は、関係国に照会する手続をとり、これを明らかにしなければならない。
(病院移送)
第十条 刑務所の長は、在所者が精神病、伝染病その他の疾病にかかり、それが重病であつて刑務所において適当な治療を行うことができないと認めるときは、期間及び条件を定めて、その者を病院に移送することができる。
2 前項の規定により病院に移送した者は、在所者とみなす。
(善行特典)
第十一条 有期の刑について、在所者及び仮出所中の者が善行を保持していると認められる場合には、善行特典を与えるものとする。
2 善行特典は、左の各号の定めるところにより、刑期満了の日を繰り上げる。
一 刑期六月以上一年未満の者については、一月を経過するごとに五日
二 刑期一年以上三年未満の者については、一月を経過するごとに六日
三 刑期三年以上五年未満の者については、一月を経過するごとに七日
四 刑期五年以上十年未満の者については、一月を経過するごとに八日
五 刑期十年以上の者については、一月を経過するごとに十日
3 前項の規定により刑期満了の日が繰り上がるべき期間を計算する場合において、さらに一月を経過するも同項の規定により繰り上がるべき日数を余さないこととなつたときは、一月を三十日とみなして同項各号に定める割合で、刑期満了の日を繰り上げる。この場合において、繰り上げるべき期間に一日に満たない端数を生じたときは、これを一日に切り上げるものとする。
4 前二項の規定により刑期満了の日を繰り上げるべき期間が三十日以上となつたときは、三十日ごとにこれを一月とする。
5 第二項及び第三項の規定の適用については、継続して執行すべき二以上の刑があるときは、合算した刑期により、同時に執行すべき二以上の刑があるときは、最も長い刑期による。
6 善行特典は、戦争犯罪の嫌疑により抑留され、又は拘禁された未決の期間並びに連合国最高司令官又は関係国によつてなされた刑の執行の期間及び仮出所の期間についても与えるものとする。刑の軽減により有期の刑に変更された場合においては、変更前の拘禁又は刑の執行の期間についても、同様とする。
7 刑期が変更された場合においては、刑期満了の日が繰り上がるべき期間の計算については、さかのぼつて変更後の刑期によるものとする。
(善行特典のはく奪及び回復)
第十二条 刑務所の長は、在所者が刑務所の規則に違反したときは、その在所者につき前条の規定により刑期満了の日が繰り上がつた期間の全部又は一部をはく奪することができる。
2 刑務所の長は、前項の規定によりはく奪した期間について、その後の情状により、その全部又は一部を回復することができる。第二十二条第四項及び第二十七条第一項の規定により失つた期間についても、同様とする。
(執行に関する疑義)
第十三条 在所者は、刑の執行に関し疑義があるときは、法務総裁にこれをただすことができる。
(在所者の逃亡)
第十四条 在所者が逃亡したときは、刑務所の長は、収容状を発するものとする。
(収容状)
第十五条 収容状は、収監状と同一の効力を有する。
2 収容状の執行については、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)中収監状の執行に関する規定を準用する。但し、その執行は、刑務所の長が指揮し、法務府事務官が行うものとする。
3 警察官又は警察吏員は、刑務所の長の依頼により、収容状の執行をすることができる。
第三章 仮出所
(適格性)
第十六条 刑期のうち左の期間を経過し、且つ、刑務所の規則を遵守している在所者は、仮出所の適格性を有する。
一 刑期四十五年未満の者については、刑期の三分の一
二 刑期四十五年以上の者又は刑期が終身にわたる者については、十五年
2 前項の刑期については、第十一条第五項の規定を準用する。
(申請)
第十七条 仮出所の適格性を有する在所者が仮出所の審理を受けようとするときは、刑務所の長を経由して委員会に対し、その規則の定めるところにより、文書をもつて仮出所の申請をしなければならない。
2 前項の申請書には、左の事項を記載しなければならない。
一 帰住予定地、帰住した場合の同居者、その者との関係並びにその者の健康、職業及び経済状態
二 戦争犯罪にとわれた事実、共犯者との関係及びしやく量すべき情状
三 拘禁を受けた期間並びに施設の名称及び所在地
四 その他仮出所の審理に参考となるべき事項
3 在所者が心身の故障によりみずから仮出所の申請書を作ることができないときは、刑務所の長又はその指名する所属の職員は、委員会の規則の定めるところにより、これを代書することができる。
4 刑務所の長は、仮出所の申請書が差し出されたときは、すみやかに、これに意見を附し、その者にかかる判決書の写及び在所中の成績その他刑の執行の経過の概要を記載した報告書を添えて、委員会に進達しなければならない。
(願出)
第十八条 仮出所の適格性を有する在所者の親族、知友その他の関係者は、委員会に対し、その規則の定めるところにより、文書をもつてその者の仮出所の審理について願出をすることができる。
2 前項の願出書が刑務所に差し出されたときは、刑務所の長は、直ちに、これを委員会に進達しなければならない。
(審理)
第十九条 委員会は、仮出所の申請書を受理したときは、まず、申請書及び第十七条第四項の書類を調査して、その在所者が仮出所の適格性を有するか否かを判別しなければならない。
2 前項の場合において、委員会は、在所者が仮出所の適格性を有しないと認めるときは、決定をもつて申請を却下し、仮出所の適格性を有すると認めるときは、審理を開始しなければならない。
3 仮出所の審理に当つて、申請書、願出書、報告書その他委員会に提出された資料のみによつては、当該事案につき判断の基礎となる事実関係を明らかにすることができないときは、委員会は、申請者、願出者その他の関係者について調査を行い、又は特に必要があるときは関係国に照会する等資料の補充に努めなければならない。
4 委員会は、審理の結果に基いて、当該事案が平和条約第十一条に定める勧告の手続をとることを相当とするか否かについて決定をしなければならない。
5 前項の場合において、勧告の手続をとることを相当とする旨の決定をしたときは、委員会は、これを法務総裁に報告しなければならない。
(処分)
第二十条 委員会は、平和条約第十一条に定める日本国の勧告及び関係国の決定によつて在所者の仮出所を許すことができるに至つたときは、すみやかに、委員会の規則の定めるところにより、仮出所の処分をし、その他これに必要な手続をとらなければならない。仮出所の処分をするに当つては、仮出所を許される者が仮出所中遵守すべき特別の事項を定めなければならない。
(保護監督)
第二十一条 仮出所を許された者は、刑期が満了するまで、委員会の監督の下で、保護監督に付する。
2 犯罪者予防更生法(昭和二十四年法律第百四十二号)第三十二条、第三十三条第二項、第三十四条から第三十六条まで及び第三十九条から第四十一条までの規定は、仮出所の処分の実施及び保護監督に準用する。
(処分の取消)
第二十二条 仮出所の処分は、仮出所中の者が逃亡し、又は遵守すべき事項を遵守しなかつたときは、取り消すことができる。その情状が重いとき、及び仮出所の処分が虚偽の陳述に基いてなされたことが明らかとなつたときは、取り消さなければならない。
2 仮出所の処分の取消は、委員会が審理し、決定をもつて行う。
3 前項の審理に当つては、仮出所中の者が逃亡した場合を除き、その者に委員会又はその指名する委員の面前で弁解する機会を与えなければならない。
4 仮出所の処分が取り消されたときは、その者は、善行特典の日数の全部を失うものとし、且つ、仮出所中の日数は、刑期に算入しない。
5 委員会は、仮出所の処分を取り消したときは、直ちに、その旨を刑務所の長に通知しなければならない。
6 刑務所の長は、前項の通知を受けた場合において必要と認めるときは、収容状を発するものとする。
(仮収容)
第二十三条 委員会は、仮出所中の者が前条第一項に該当することを疑うに足りる十分な理由があるときは、仮出所の処分を仮に取り消して、仮収容状を発することができる。
2 前項の仮収容状は、委員会の委員の指揮により、保護観察官又は法務府事務官が執行する。
3 警察官又は警察吏員は、委員会の依頼により、仮収容状の執行をすることができる。
4 仮収容状の執行を受けた者は、監獄その他適当な施設に収容することができる。但し、その期間は、十日をこえてはならない。
5 委員会は、前項但書に定める期間中であつても、収容の必要がないと認めるときは、直ちに、本人を釈放しなければならない。
6 仮収容の期間は、刑期に算入する。
第四章 一時出所
(事由及び期間)
第二十四条 委員会は、左の各号の一に掲げる事由がある場合において、特に必要があると認めるときは、決定をもつて、期間を定め、在所者の一時出所を許すことができる。但し、第一号又は第二号に掲げる者の危篤に際し一時出所を許された者の、その後六月以内における同一人の死亡又は危篤を理由とする一時出所は、この限りでない。
一 在所者の父母、配偶者又は子が死亡したとき、又は危篤であるとき。
二 在所者の未成年の子を現に扶養し、又は監護する者が死亡したとき、又は危篤であるとき。
三 震災、風水害、火災その他これらに類する災害により、在所者又はその近親の住居及び家財が破壊され、又は滅失したため、在所者本人が出向かなければその後始末ができない窮状にあるとき。
2 一時出所の期間は、目的地までの往復の日数を除き、五日をこえてはならない。
(願出)
第二十五条 在所者又はその親族、知友その他の関係者は、委員会に対し、その規則の定めるところにより、文書をもつて一時出所の願出をすることができる。
2 前項の願出書には、左の書類を添付しなければならない。
一 前条第一項第一号又は第二号の事由に基く願出については、その死亡又は危篤の事実並びにその状況(危篤の場合には、その症状及び回復の見込に関する意見を含む。)を記載した医師の診断書、検案書又は死亡証書
二 同項第三号の事由に基く願出については、その災害並びにこれによる住居及び家財の被害の状況を明らかにし、且つ、その後始末のために在所者本人が出向いて来なければならない窮状にあるか否かについての意見を附した当該市町村長又はその代理者の証明書
(誓約及び同伴)
第二十六条 委員会は、在所者の一時出所を許すときは、その者が一時出所中遵守すべき事項を定めて誓約させ、且つ、保護観察官及び法務府事務官のうちからその者の監督に適当な者を選んでこれに同伴させ、その他監督上必要な措置をとらなければならない。
(遵守事項違反等)
第二十七条 一時出所中の者が逃亡し、又は遵守事項を遵守しなかつたときは、委員会は、決定をもつて善行特典の日数の全部又は一部をはく奪するものとする。
2 委員会は、前項の決定をしたときは、その旨を刑務所の長に通知しなければならない。
3 第二十二条第一項、第二項、第五項及び第六項の規定は、一時出所の取消に準用する。
4 一時出所の処分が取り消されたときは、一時出所中の日数は、刑期に算入しない。
5 前条の同伴に当る保護観察官又は法務府事務官は、本人が逃亡しようとし、又は遵守すべき事項を遵守しなかつたことを疑うに足りる十分な理由があるときは、直ちにその者を刑務所に連れもどすことができる。
第五章 赦免及び刑の軽減
(適格性)
第二十八条 在所者及び仮出所中の者は、すべて、赦免又は刑の軽減の審理を受けることができる。
(申請及び願出)
第二十九条 在所者又は仮出所中の者が赦免又は刑の軽減の審理を受けようとするときは、在所者は刑務所の長を経由して、仮出所中の者は直接、委員会に対し、その規則の定めるところにより、文書をもつてその申請をしなければならない。
2 在所者又は仮出所中の者の親族、知友その他の関係者は、委員会に対し、その規則の定めるところにより、文書をもつてその者の赦免又は刑の軽減の願出をすることができる。
3 第十七条第二項から第四項まで及び第十八条第二項の規定は、赦免及び刑の軽減の申請又は願出に準用する。
(審理)
第三十条 委員会は、赦免又は刑の軽減の申請書又は願出書を受理したときは、審理を開始しなければならない。刑務所の長から文書をもつて申出があつたときも、同様とする。
2 委員会は、赦免又は刑の軽減について、申請、願出又は申出がない場合でも、必要と認めるときは、職権により審理を開始することができる。
3 同一の在所者又は仮出所中の者にかかる赦免又は刑の軽減について、申請、願出又は申出が二以上あるときは、なるべく、これを併合して審理しなければならない。
4 赦免又は刑の軽減の審理に当つては、委員会は、刑務所に照会して本人にかかる判決書の写及び在所中の成績その他刑の執行の経過の概要を記載した報告書を取り寄せるほか、刑務所の長の意見を徴し、且つ、本人の意向を確めなければならない。
5 第十九条第三項から第五項までの規定は、赦免及び刑の軽減の審理に準用する。
(処分)
第三十一条 委員会は、平和条約第十一条に定める日本国の勧告及び関係国の決定によつて在所者又は仮出所中の者の赦免又は刑の軽減を許すことができるに至つたときは、すみやかに、委員会の規則の定めるところにより、赦免又は刑の軽減の処分をし、その他これに必要な手続をとらなければならない。
第六章 雑則
(記録等の請求)
第三十二条 委員会は、この法律によつてその権限に属せしめられた事項の調査について必要があるときは、刑務所その他の公務所に対し、記録、書類、意見書及び報告書の提出を求めることができる。
(書類の整備及び連絡)
第三十三条 関係国に対する連絡通報を敏速且つ円滑に行うため、法務総裁は、刑の執行に関する書類を、委員会は、赦免、刑の軽減、仮出所及び一時出所に関する書類を常に整備しておかなければならない。
2 平和条約第十一条に定める勧告の手続をとるに当つては、委員会は、関係国に提出すべき書類として、左に掲げる書類で当該事案に関するものを、それぞれの事案ごとに整備しておかなければならない。
一 赦免、刑の軽減又は仮出所の申請書の写
二 赦免、刑の軽減又は仮出所についての願出書若しくは申出書の写又はその要旨を記載した書類
三 在所中の行状及び成績に関する刑務所の長の報告書並びに当該処分に関する刑務所の長の意見書の写又はその要旨を記載した書類
四 仮出所中の行状を明らかにする書類
五 仮出所の際に本人に誓約させるべき遵守事項及び本人に交付すべき仮出所証書案の写
六 医師の診断書又は公務所の証明書等本人又はその家庭の現況を明らかにする証明書の写又はその要旨を記載した書類
七 その他参考となるべき情報書類
3 法務総裁は、法務府令の定めるところにより、在所者にかかる左の事項を、一月ごとに取りまとめて、翌月初に関係国に通報しなければならない。
一 入所
二 出所
三 病院への移送及び病院からの復所
四 死亡
五 逃亡
4 委員会は、その規則の定めるところにより、仮出所中の者にかかる左の事項及び在所者にかかる第一号から第四号までの事項を、一月ごとに取りまとめて、翌月初に関係国に通報しなければならない。
一 赦免
二 刑の軽減
三 仮出所及びその取消
四 一時出所及びその理由並びに一時出所の取消
五 刑期の満了
六 死亡
七 逃亡
5 前二項の規定による場合のほか、法務総裁及び委員会は、関係国に対して、その要求にかかる事項を通報しなければならない。
6 刑務所の長は、在所者にかかる第三項各号の事項をそのたびごとに委員会に報告しなければならない。
(視察及び面接)
第三十四条 刑務所の長は、関係国から平和条約第十一条による決定のため申出があつたときは、その派遣する係官に対し、刑の執行の状況の視察及び在所者に対する面接を許さなければならない。
(政令)
第三十五条 平和条約第十一条に定める赦免、刑の軽減及び仮出所の勧告及び決定に関する連絡に必要な手続は、政令で定める。
(法務府令等)
第三十六条 第二章で定めるもののほか、第二章の規定の施行に関して必要な事項は、法務府令で定める。
2 刑務所の長は、法務総裁の認可を受けて、在所者の処遇に関する細則を定めることができる。
(委員会の規則)
第三十七条 この法律及び第三十五条の規定による政令で定めるもののほか、この法律によつて委員会の権限に属せしめられた事項に関する細則は、委員会の規則で定める。
附 則
(施行期日)
第三十八条 この法律は、平和条約の最初の効力発生の日から施行する。
(この法律の適用)
第三十九条 この法律は、この法律の施行後関係国から残刑の執行のため日本国の管理に移された者についても、適用があるものとする。
2 第九条及び第十一条の規定は、関係国の同意がないときは、当該関係国が設置した連合国戦争犯罪法廷によつて刑を科せられた者については、適用しない。
3 この法律中仮出所及び一時出所に関する規定は、この法律の施行の際連合国最高司令官又は関係国によつて仮出所又は一時出所を許されている者及びこの法律の施行後関係国から仮出所による保護監督の実施のため日本国の管理に移された者についても、適用する。この場合において、連合国最高司令官又は関係国が定めた仮出所の期間その他の事項で、この法律にこれに相当する事項に関する規定のあるものは、この法律によつて定められた事項とみなす。
(法務府設置法の一部改正)
第四十条 法務府設置法の一部を次のように改正する。
第一条第三項中「その他法務に関する事項、」の下に「平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律(昭和二十七年法律第百三号)の規定による刑の執行及び赦免等に関する事項、」を加える。
第七条第二項中第五号の次に次の一号を加える。
六 平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律の規定による刑の執行に関する事項
第十三条の六を第十三条の七とし、以下第十三条の十三まで一条ずつ繰り下げ、第十三条の五の次に次の一条を加える。
第十三条の六 極東国際軍事裁判所及びその他の連合国戦争犯罪法廷により刑を科せられた者を収容するため、法務総裁の管理に属する巣鴨刑務所を置く。
巣鴨刑務所は、これを東京都に置く。
巣鴨刑務所の内部組織は、法務府令でこれを定める。
第十七条中「第十三条の十三」を「第十三条の十四」に改める。
(内閣総理大臣・法務総裁・外務・大蔵大臣署名)