法律第百十九号(昭二七・四・二八)
◎日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う地方税法の臨時特例に関する法律
(この法律の目的)
第一条 この法律は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定を実施するため、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の特例を設けることを目的とする。
(用語の意義)
第二条 この法律において左の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 合衆国 アメリカ合衆国をいう。
二 合衆国軍隊 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約(「安全保障条約」という。以下同じ。)に基き日本国の領域及びその附近に配備される合衆国の陸軍、海軍又は空軍をいう。
三 合衆国軍隊の構成員 合衆国軍隊に属する軍人で現に服役中のものをいう。
四 軍属 合衆国の国籍を有する文民(合衆国及び日本国の二重国籍を有する者については、合衆国が日本国に入国させた者に限る。)で、合衆国軍隊に雇用され、これに勤務し、又はこれに随伴するもの(通常日本国に在留する者及び第六号に掲げる者を除く。)をいう。
五 家族 合衆国軍隊の構成員又は軍属の配偶者及び二十一才未満の子並びに父母及び二十一才以上の子でその生計費の二分の一以上を当該合衆国軍隊の構成員又は軍属が負担するものをいう。
六 契約者 通常合衆国に居住する人(合衆国の法律に基いて設立され、又は組織された法人を含む。)及びその被用者(合衆国民に限る。)で、合衆国において合衆国軍隊のために合衆国政府と結んだ契約の履行のみを目的として日本国に滞在する者のうち、その身分について合衆国の権限のある機関の証明があるものをいう。
七 軍人用販売機関等 合衆国軍隊が公認し、且つ、規制する海軍販売所、ピー・エツクス、食堂、社交クラブ、劇場、新聞発行所その他の合衆国の歳出外資金により合衆国軍隊の使用する施設及び区域内に設置された諸機関で、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにその家族(「合衆国軍隊の構成員等」という。以下同じ。)の利用に供されるものをいう。
(地方税法の特例)
第三条 地方団体は、地方税法の規定にかかわらず、左の表の上欄に掲げる土地、家屋、物件、所得、行為及び事業又は業務等については、同表の中欄に掲げる者に対し、同表の下欄に掲げる地方税を課してはならない。
契約者が合衆国において合衆国軍隊のために合衆国政府と結んだ契約に基いて行う事業又は業務 |
契約者 |
事業税及び特別所得税 |
軍人用販売機関等が合衆国軍隊の構成員等及び契約者の利用に供するためにのみ行う事業又は業務 |
軍人用販売機関等 |
|
軍人用販売機関等で地方税法第七十五条第二項から第四項までに掲げる場所又は施設のうち合衆国軍隊の直接管理に係るものへの入場又はその利用 |
入場者又は利用者 |
入場税 |
軍人用販売機関等で地方税法第百十三条第一項に規定する場所のうち合衆国軍隊の直接管理に係るものにおける遊興、飲食及び宿泊 |
遊興し、飲食し、又は宿泊する者 |
遊興飲食税 |
合衆国軍隊の所有する自動車、自転車及び荷車 |
合衆国軍隊 |
自動車税、自転車税及び荷車税 |
合衆国軍隊の構成員等で左に掲げる所得以外の所得を有しないもの |
合衆国軍隊の構成員等 |
市町村民税 |
一 合衆国軍隊における勤務又は合衆国軍隊若しくは軍人用販売機関等による雇用に因り受ける所得 |
||
二 合衆国軍隊の構成員等として一時的に日本国に滞在するためにのみ日本国において有する資産(不動産及び不動産の上に存する権利並びに投資又は事業を行うために有する資産を含まない。)を他のこれらの者に譲渡し、贈与し、又は遺贈した場合において、当該譲渡、贈与又は遺贈に因り生ずる所得 |
||
契約者で合衆国において合衆国軍隊のために合衆国政府と結んだ契約に基いて受ける所得以外の所得を有しないもの |
契約者 |
|
合衆国軍隊が日本国において所有する固定資産 |
合衆国軍隊 |
固定資産税 |
契約者が合衆国において合衆国軍隊のために合衆国政府と結んだ契約の履行のためにのみ所有する償却資産で、合衆国軍隊の権限のある機関の証明があるもの |
契約者 |
|
軍人用販売機関等が所有する固定資産で合衆国軍隊の使用する施設及び区域内に所在するもの |
軍人用販売機関等 |
|
合衆国軍隊による電気及びガスの使用で合衆国軍隊又はその公認調達機関の証明があるもの |
合衆国軍隊 |
電気ガス税 |
合衆国軍隊の構成員等による電気及びガスの使用で合衆国がその料金を支払うべきもの |
合衆国軍隊の構成員等 |
|
合衆国軍隊が日本国において所有し、若しくは使用する財産又はその移転 |
合衆国軍隊 |
法定外普通税 |
合衆国軍隊の構成員等が合衆国軍隊における勤務又は合衆国軍隊若しくは軍人用販売機関等による雇用に因り受ける所得 |
合衆国軍隊の構成員等 |
|
合衆国軍隊の構成員等が当該構成員等として一時的に日本国に居住するためにのみ日本国において所有し、若しくは使用する動産(投資若しくは事業を行うために所有する財産又は日本国において登録された無体財産権を除く。)又はこれらの者相互の間における当該動産の移転 |
||
契約者が契約者として一時的に日本国に居住するためにのみ日本国において所有し、若しくは使用する動産(投資若しくは事業を行うために所有する財産又は日本国において登録された無体財産権を除く。)又は当該動産の契約者、合衆国軍隊、合衆国軍隊の構成員等若しくは軍人用販売機関等への移転で、合衆国軍隊の権限のある機関の証明があるもの |
契約者、合衆国軍隊、合衆国軍隊の構成員等又は軍人用販売機関等 |
|
軍人用販売機関等が合衆国軍隊の構成員等及び契約者の利用に供するために行う商品の販売及び役務の提供 |
軍人用販売機関等 |
(自動車税及び自転車税の徴収の方法等)
第四条 合衆国軍隊の構成員等、契約者又は軍人用販売機関等の所有に係る自動車に対する自動車税又はこれらのものの所有に係る自転車に対する自転車税の徴収については、地方税法第百五十一条又は第四百四十六条の規定にかかわらず、地方団体の条例で定めるところによつて、証紙徴収の方法によらなければならない。
2 合衆国軍隊の所有する自動車又は自転車のうち、もつぱら合衆国軍隊以外のものが使用するものについては、前条の規定にかかわらず、その使用者に対して、自動車税又は自転車税を課する。但し、公用又は公共の用に供するものについては、この限りでない。
(証明の様式)
第五条 第三条の表に規定する合衆国軍隊、その権限のある機関又はその公認調達機関の証明の様式は、地方財政委員会規則で定める。
附 則
この法律は、安全保障条約の効力発生の日から施行する。
(内閣総理・大蔵大臣署名)