法律第百四十七号(昭二七・五・二三)
◎地方財政法の一部を改正する法律
地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
第四条第三項を削り、同条の次に次の一条を加える
(割当的寄附金等の禁止)
第四条の二 国(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条の規定に基き設置される機関で地方に置かれるもの及び同法第九条に規定する地方支分部局並びに裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第二条に規定する下級裁判所を含む。)は地方公共団体又はその住民に対し、地方公共団体は他の地方公共団体又は住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)するようなことをしてはならない。
第九条から第十一条までを次のように改める。
(地方公共団体がその全額を負担する経費)
第九条 地方公共団体又は地方公共団体の機関の事務(地方自治法第百五十三条第二項の規定により都道府県知事が市町村長に委任した事務及び同条第三項の規定により都道府県知事が市町村の職員をして補助執行させた事務を除く。)を行うために要する経費については、当該地方公共団体が全額これを負担する。但し、次条から第十条の四までに規定する事務を行うために要する経費については、この限りでない。
(国がその全部又は一部を負担する法令に基いて実施しなければならない事務に要する経費)
第十条 地方公共団体又は地方公共団体の機関が法令に基いて実施しなければならない事務であつて、国と地方公共団体相互の利害に関係がある事務のうち、その円滑な運営を期するためには、なお、国が進んで経費を負担する必要がある左の各号の一に掲げるものについては、国が、その経費の全部又は一部を負担する。
一 生活保護に要する経費
二 保健所に要する経費
三 結核、法定伝染病、性病、寄生虫及びらいの予防に要する経費
四 予防接種に要する経費
五 精神衛生に要する経費
六 身体障害者の更生援護に要する経費
七 妊産婦及び乳幼児の保健指導、母子手帳、児童相談所、児童一時保護所並びに身体障害児の保護に要する経費
八 職業補導所に要する経費
九 農業協同組合、森林組合及び水産協同組合の指導監督に要する経費
十 主要農作物の優良な種子の増産に要する経費
十一 農業委員会に要する経費
十二 植物防疫に要する経費
十三 農業共済団体の指導監督に要する経費
十四 協同農業普及事業に要する経費
十五 家畜保健衛生所に要する経費
十六 家畜伝染病予防に要する経費
十七 繭検定所に要する経費
十八 民有林の森林計画、保安林の整備その他森林の保続培養に要する経費
十九 林業改良普及事業に要する経費
二十 森林病害虫等の防除に要する経費
二十一 未引揚邦人の調査に要する経費
二十二 特定地域総合開発計画に要する経費
二十三 産業教育の振興に要する経費
(国がその全部又は一部を負担する建設事業に要する経費)
第十条の二 地方公共団体又は地方公共団体の機関が国民経済に適合するように総合的に樹立された計画に従つて実施しなければならない法律又は政令で定める土木その他の建設事業に要する左の各号の一に掲げる経費については、国が、その経費の全部又は一部を負担する。
一 道路、河川、砂防、海岸、港湾等に係る重要な土木施設の新設及び改良に要する経費
二 林地、林道、漁港等に係る重要な農林水産業施設の新設及び改良に要する経費
三 重要な都市計画事業に要する経費
四 公営住宅の建設に要する経費
五 児童福祉施設その他社会福祉施設の建設に要する経費
六 下水道の布設に要する経費
七 土地改良及び開拓に要する経費
八 失業対策事業に要する経費
(国がその一部を負担する災害に係る事務に要する経費)
第十条の三 地方公共団体又は地方公共団体の機関が実施しなければならない法律又は政令で定める災害に係る事務で、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)又は地方財政平衡交付金法(昭和二十五年法律第二百十一号)によつてはその財政需要に適合した財源を得ることが困難なものを行うために要する左の各号の一に掲げる経費については、国が、その経費の一部を負担する。
一 災害救助事業に要する経費
二 道路、河川、砂防、海岸、港湾等に係る土木施設の災害復旧事業に要する経費
三 林地荒廃防止施設、林道、漁港等に係る農林水産業施設の災害復旧事業に要する経費
四 都市計画事業による施設の災害復旧に要する経費
五 公営住宅の災害復旧に要する経費
六 学校の災害復旧に要する経費
七 社会福祉施設及び保健衛生施設の災害復旧に要する経費
八 下水道の災害復旧に要する経費
九 土地改良及び開拓による施設又は耕地の災害復旧に要する経費
(地方公共団体が負担する義務を負わない経費)
第十条の四 もつぱら国の利害に関係のある事務を行うために要する左の各号の一に掲げるような経費については、地方公共団体は、その経費を負担する義務を負わない。
一 国会議員の選挙、最高裁判所裁判官国民審査及び国民投票に要する経費
二 国がもつぱらその用に供することを目的として行う統計及び調査に要する経費
三 外国人登録に要する経費
四 検疫に要する経費
五 医薬品の検定に要する経費
六 健康保険、厚生年金保険、労働者災害補償保険、失業保険及び船員保険に要する経費
七 自作農の創設維持その他土地の農業上の利用関係の調整に要する経費
八 漁業関係の調整に要する経費
(国と地方公共団体とが経費を負担すべき割合等の規定)
第十一条 第十条から第十条の三までに規定する経費の種目、算定基準及び国と地方公共団体とが負担すべき割合は、法律又は政令で定めなければならない。
(地方公共団体が負担すべき経費の財政需要額への算入)
第十一条の二 第十条から第十条の三までに規定する経費のうち、地方公共団体が負担すべき部分は、地方財政平衡交付金法の定めるところにより地方公共団体に交付すべき地方財政平衡交付金の額の算定に用いる財政需要額に算入するものとする。但し、第十条の二第四号及び第十条の三第五号に掲げる経費については、この限りでない。
第十二条第二項第三号を同項第五号とし、同項第四号を同項第六号とし、同項第二号の次に次の二号を加える。
三 警察予備隊に要する経費
四 海上保安庁に要する経費
第十四条及び第十五条を次のように改める。
第十四条及び第十五条 削除
第十七条の見出しを「(国の負担金の支出)」に改め、同条第一項中「第十条第一項又は第十一条第一項」を「第十条から第十条の四まで」に、「第十条第三項又は第十一条第一項の規定により国が負担する金額及び第十四条第一項の規定により国が負担する金額」を「第十条から第十条の四までの規定により国が負担する金額」に改め、同条第二項を削る。
第十七条の二第一項を同条第二項とし、同条第二項を同条第三項とし、同条に第一項として次の一項を加える。
国が第十条の二及び第十条の三に規定する事務を自ら行う場合において、地方公共団体が法律又は政令の定めるところによりその経費の一部を負担するときは、当該地方公共団体は、その負担する金額(以下「地方公共団体の負担金」という。)を国に対して支出するものとする。
第二十六条の見出しを「(地方財政平衡交付金の減額)」に改め、同条第一項中「配付税」を「地方財政平衡交付金の額」に改める。
第三十四条を次のように改める。
第三十四条 地方公共団体又は地方公共団体の機関が行う事務に要する左の各号の一に掲げる経費については、第九条の規定にかかわらず、当分の間、国が、その経費の全部又は一部を負担する。
一 義務教育年限の延長に伴う施設の建設費
二 学校の戦災復旧に要する経費
三 引揚者の援護に要する経費
2 前項に規定する経費の種目、算定基準及び国と地方公共団体とが負担すべき割合は、法律又は政令で定めなければならない。
第三十五条中「第十条及び第十一条の規定」を「第十条から第十条の四までの規定」に改める。
第三十七条を次のように改める。
第三十七条 削除
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律施行の際、改正後の地方財政法第十条から第十条の三まで及び第三十四条第一項に規定する経費の種目、算定基準及び国と地方公共団体とが負担すべき割合並びに改正後の地方財政法第十七条の二第一項の規定に該当する場合において地方公共団体が負担すべき割合で法律又は政令で定められていないものについては、昭和二十八年三月三十一日までの間は、なお、従前の例による。
3 改正後の地方財政法第十条の四第七号及び第八号に掲げる経費のうち政令で定めるものについては、当分の間、同条の規定にかかわらず、地方公共団体の負担とする。改正後の地方財政法第十一条の二の規定は、この場合について準用する。
4 地方財政平衡交付金法の一部を次のように改正する。
第七条第三号イを次のように改める。
イ 国庫負担金(地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第十条から第十条の三まで又は第三十四条の規定に基いて国が負担するものをいう。以下同じ。)、国庫負担金に伴う地方負担額及び国庫負担金に基く経費の総額
附則第十五項を削る。
(内閣総理大臣・法務総裁・外務・大蔵・文部・厚生・農林・通商産業・運輸・郵政・電気通信・労働・建設大臣・経済安定本部総裁署名)