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法律第二百八号(昭二七・六・二三)

  ◎犯罪者予防更生法の一部を改正する法律

 犯罪者予防更生法(昭和二十四年法律第百四十二号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第四十二条」を「第四十二条の二」に改める。

 第二十九条の見出しを「(仮釈放の審理の開始)」に改め、同条第三項を削り、第三十条を次のように改める。

 (仮釈放の審理)

第三十条 前条の審理は、本人の人格、在監在院中の行状、職業の知識、入監入院前の生活方法、家族関係その他の関係事項を調査して、行うものとする。

2 仮出獄又は仮退院につき前条の審理を行う委員は、みずから本人に面接しなければならない。但し、本人が重病又は重傷である場合その他中央委員会の規則で定める場合であつて、仮出獄又は仮退院を許すことを相当と認めるときは、この限りでない。

3 委員は、審理のため必要があるときは、本人の収容されている施設の長又はその他の職員の意見を聞き、及びこれらの者に面接の立会その他の協力を求めることができる。

 第四十一条の見出しを「(呼出、引致)」に改め、同条第二項及び第三項を削り、同条に次の六項を加える。

2 地方少年委員会及び地方成人委員会は、左の場合には、裁判官のあらかじめ発する引致状により、保護観察に付されている者を引致させることができる。

 一 保護観察に付されている者が第三十四条第二項の規定により居住すべき住居に居住しないとき。

 二 保護観察に付されている者が遵守すべき事項を遵守しなかつたことを疑うに足りる充分な理由があり、且つ、その者が前項の規定にある呼出に応ぜず、又は応じない虞があるとき。

3 前項の引致状は、本人の居住すべき住居の地を管轄する地方裁判所、簡易裁判所又は家庭裁判所の裁判官が、地方少年委員会又は地方成人委員会の請求によつて発する。

4 第二項の引致状は、判事補が一人で発することができる。

5 第二項の引致状による引致は、保護監察官に行わせるものとする。但し、保護監察官に行わせることが困難であるときは、警察官又は警察吏員に行わせることができる。

6 第二項の引致状及び引致については、引致の性質に反しない限り、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第六十四条、第七十三条第一項前段及び第三項、第七十四条並びに第七十六条第一項及び第二項の規定を準用する。

7 第二項の引致状により引致された者は、引致された時から二十四時間内に釈放しなければならない。但し、その時間内に第四十五条第一項の決定がなされたときは、この限りでない。

 第四十一条の次に次の一条を加える。

 (関係人の調査、質問)

第四十一条の二 地方少年委員会及び地方成人委員会は、保護観察のため必要と認めるときは、保護監察官又は保護司をして、関係人について、必要な調査又は質問をさせることができる。

2 保護監察官又は保護司が前項の規定により調査質問をする場合には、その身分を示す証票を携帯し、且つ、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。

 第三章第二節中第四十二条の次に次の一条を加える。

 (保護観察の停止)

第四十二条の二 地方少年委員会及び地方成人委員会は、仮出獄中の者が第三十四条第二項の規定により居住すべき住居に居住しないため、保護観察を行うことができなくなつたときは、決定をもつて、保護観察を停止することができる。

2 前項の決定により保護観察を停止されている者につき、その所在が判明したときは、その所在の地を管轄する地方少年委員会又は地方成人委員会は、直ちに、決定をもつて、その停止を解かなければならない。

3 第一項の決定により保護観察を停止されている者が第四十一条第二項の引致状により引致されたときは、停止を解く決定があつたものとみなす。

4 刑期は、第一項の決定によつてその進行を停止し、保護観察の停止を解く決定の時からその進行を始める。

5 地方少年委員会及び地方成人委員会は、仮出獄中の者が保護観察の停止中に遵守すべき事項を遵守しなかつたことを理由として、仮出獄の取消をすることができない。

6 地方少年委員会及び地方成人委員会は、第一項の決定をした後、保護観察の停止の理由がなかつたことが明らかとつたときは、直ちに、決定をもつて、同項の決定を取り消さなければならない。

7 前項の規定により、第一項の決定が取り消されたときは、さかのぼつて、同項の決定はなかつたものとみなす。

 第四十四条第三項中「刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)」を「刑事訴訟法」に改める。

 第四十五条を次のように改める。

 (留置)

第四十五条 地方少年委員会及び地方成人委員会は、第四十一条第二項の引致状により引致された者につき、第四十三条の申請又は仮出獄の取消をするために審理を行う必要があると認めるときは、審理を開始する旨の決定をすることができる。

2 前項の決定があつたときは、引致状により引致された者は、引致後十日以内、監獄若しくは少年保護鑑別所又はその他の適当な施設に留置することができる。但し、その期間中であつても、留置の必要がないときは、直ちにこれを釈放しなければならない。

3 仮退院中の者につき前項の期間内に第四十三条の申請がなされたときは、同項本文の規定にかかわらず、その申請につき裁判所から決定の通知があるまで、継続して留置することができる。但し、留置の期間は通じて二十日を越えることができない。

4 仮出獄中の者が第二項の規定により留置されたときは、その留置の日数は、仮出獄が取り消された場合においても、刑期に算入する。

5 第一項の決定は、急速を要するときは、地方少年委員会又は地方成人委員会の一人の委員ですることができる。

 第五十五条の次に次の一条を加える。

 (決定の告知)

第五十五条の二 中央委員会、地方少年委員会又は地方成人会の決定は、本人に告知することによつて、その効力を生ずる。

2 前項の告知は、決定を本人に言い渡し、又は決定書の謄本若しくは抄本を相当と認める方法で本人に送付して、行うものとする。

3 本人が在監者又は在院者である場合において、決定書の謄本又は抄本を監獄又は少年院の長に送付したときは、本人に対する送付があつたものとみなす。

4 決定書の謄本又は抄本を、第三十四条第二項の規定により、本人が居住すべき場所に宛てて、書留郵便に付して発送した場合においては、その発送の日から五日を経過した日に本人に対する送付があつたものとみなす。

 第五十六条中「前条」を「第五十五条」に改める。

   附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。

2 この法律の施行前に、この法律による改正前の第四十五条第一項の規定により仮出獄を停止され、又は改正前の同条第二項の規定による引致状により引致された者については、この法律の施行後も、なお改正前の同条の規定による。

3 刑事補償法(昭和二十五年法律第一号)の一部を次のように改正する。

  第一条第三項中「犯罪者予防更生法(昭和二十四年法律第百四十二号)第四十五条の引致状」を「犯罪者予防更生法(昭和二十四年法律第百四十二号)第四十一条の引致状」に改める。

4 この法律による改正前の第四十五条の引致状による抑留及び留置は、刑事補償法の適用については、改正後の第四十一条の引致状による抑留及び留置とみなす。

5 平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律(昭和二十七年法律第百三号)の一部を次のように改正する。

  第二十一条第二項中「及び第三十九条から第四十一条までの規定」を「、第三十九条、第四十条及び第四十一条の二の規定」に改める。

(法務総裁・内閣総理大臣署名) 

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