法律第百六十二号(昭三一・六・三〇)
◎地方教育行政の組織及び運営に関する法律
目次
第一章 総則(第一条)
第二章 教育委員会の設置及び組織
第一節 教育委員会の設置、委員及び会議(第二条―第十五条)
第二節 教育長及び事務局(第十六条―第二十二条)
第三章 教育委員会及び地方公共団体の長の職務権限(第二十三条―第二十九条)
第四章 教育機関
第一節 通則(第三十条―第三十六条)
第二節 市町村立学校の教職員(第三十七条―第四十七条)
第五章 文部大臣及び教育委員会相互間の関係等(第四十八条―第五十五条)
第六章 雑則(第五十六条―第六十一条)
附則
第一章 総則
(この法律の趣旨)
第一条 この法律は、教育委員会の設置、学校その他の教育機関の職員の身分取扱その他地方公共団体における教育行政の組織及び運営の基本を定めることを目的とする。
第二章 教育委員会の設置及び組織
第一節 教育委員会の設置、委員及び会議
(設置)
第二条 都道府県、市(特別区を含む。以下同じ。)町村及び第二十三条に規定する事務の全部又は一部を共同処理する市町村の組合に教育委員会を置く。
(組織)
第三条 教育委員会は、五人の委員をもつて組織する。ただし、町村の教育委員会にあつては、条例で定めるところにより、三人の委員をもつて組織することができる。
(任命)
第四条 委員は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学術及び文化(以下単に「教育」という。)に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する。
2 次の各号の一に該当する者は、委員となることができない。
一 準禁治産者又は破産者で復権を得ない者
二 禁錮以上の刑に処せられた者
3 委員の任命については、そのうち三人以上(前条ただし書の規定により委員の数を三人とする町村にあつては、二人以上)が同一の政党に所属することとなつてはならない。
(任期)
第五条 委員の任期は、四年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
(兼職禁止)
第六条 委員は、地方公共団体の議会の議員若しくは長、地方公共団体に執行機関として置かれる委員会の委員若しくは委員又は地方公共団体の常勤の職員と兼ねることができない。
(罷免)
第七条 地方公共団体の長は、委員が心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認める場合又は職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、当該地方公共団体の議会の同意を得て、これを罷免することができる。
2 地方公共団体の長は、委員のうち何人も所属していなかつた同一の政党に新たに三人以上(第三条ただし書の規定により委員の数を三人とする町村にあつては、二人以上)の委員が所属するに至つた場合においては、これらの者のうち二人(第三条ただし書の規定により委員の数を三人とする町村にあつては、一人)をこえる員数の委員を当該地方公共団体の議会の同意を得て罷免する。
3 地方公共団体(第三条ただし書の規定により委員の数を三人とする町村を除く。)の長は、委員のうち一人がすでに所属している政党に新たに二人以上の委員が所属するに至つた場合においては、これらの者のうち一人をこえる員数の委員を当該地方公共団体の議会の同意を得て罷免する。
4 地方公共団体の長は、委員のうち二人(第三条ただし書の規定により委員の数を三人とする町村にあつては、一人)がすでに所属している政党に新たに所属するに至つた委員を直ちに罷免する。
5 委員は、前四項の場合を除き、その意に反して罷免されることがない。
(解職請求)
第八条 地方公共団体の長の選挙権を有する者は、政令で定めるところにより、その総数の三分の一以上の者の連署をもつて、その代表者から、当該地方公共団体の長に対し、委員の解職を請求することができる。
2 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第八十六条第二項から第四項まで、第八十七条及び第八十八条第二項の規定は、前項の規定による委員の解職の請求について準用する。この場合において、同法第八十六条第三項中「自治庁長官」とあるのは「自治庁長官及び文部大臣」と、「都道府県知事」とあるのは「都道府県知事及び都道府県教育委員会」と、同法第八十七条第一項中「前条第一項に掲げる職に在る者」とあるのは「教育委員会の委員」と、同法第八十八条第二項中「第八十六条第一項の規定による選挙管理委員若しくは監査委員又は公安委員会の委員の解職の請求」とあるのは「地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)第八条第一項の規定による教育委員会の委員の解職の請求」と読み替えるものとする。
(失職)
第九条 委員は、前条第二項において準用する地方自治法第八十七条の規定によりその職を失う場合のほか、次の各号の一に該当する場合においては、その職を失う。
一 第四条第二項各号の一に該当するに至つた場合
二 前号に掲げる場合のほか、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者でなくなつた場合
2 地方自治法第百四十三条第一項後段及び第二項の規定は、前項第二号に掲げる場合における地方公共団体の長の被選挙権の有無の決定及びその決定に関する争訟について準用する。
(辞職)
第十条 委員は、当該地方公共団体の長及び教育委員会の同意を得て、辞職することができる。
(服務)
第十一条 委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
2 委員又は委員であつた者が法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、教育委員会の許可を受けなければならない。
3 前項の許可は、法律に特別の定がある場合を除き、これを拒むことができない。
4 委員は、非常勤とする。
5 委員は、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。
(委員長)
第十二条 教育委員会は、委員のうちから、委員長を選挙しなければならない。
2 委員長の任期は、一年とする。ただし、再選されることができる。
3 委員長は、教育委員会の会議を主宰し、教育委員会を代表する。
4 委員長に事故があるとき、又は委員長が欠けたときは、あらかじめ教育委員会の指定する委員がその職務を行う。
(会議)
第十三条 教育委員会の会議は、委員長が招集する。
2 教育委員会は、委員長及び在任委員の半数以上が出席しなければ、会議を開き、議決をすることができない。ただし、第五項の規定による除斥のため半数に達しないとき、又は同一の事件につき再度招集しても、なお半数に達しないときは、この限りでない。
3 教育委員会の会議の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
4 前二項の規定による会議又は議事の定足数については、委員長は、委員として計算するものとする。
5 教育委員会の委員は、自己、配偶者若しくは三親等以内の親族の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、その議事に参与することができない。ただし、教育委員会の同意があるときは、会議に出席し、発言することができる。
(教育委員会規則の制定等)
第十四条 教育委員会は、法令又は条例に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、教育委員会規則を制定することができる。
2 教育委員会規則その他教育委員会の定める規程で公表を要するものの公布に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。
(教育委員会の議事運営)
第十五条 この法律に定めるもののほか、教育委員会の会議その他教育委員会の議事の運営に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。
第二節 教育長及び事務局
(教育長)
第十六条 教育委員会に、教育長を置く。
2 都道府県に置かれる教育委員会(以下「都道府県委員会」という。)は、文部大臣の承認を得て、教育長を任命する。
3 市町村又は第二条の市町村の組合におかれる教育委員会(以下「市町村委員会」という。)は、第六条の規定にかかわらず、当該市町村委員会の委員のうちから、都道府県委員会の承認を得て、教育長を任命する。
4 前項の委員のうちから任命された教育長は、当該委員としての任期中在任するものとする。ただし、地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二十七条から第二十九条までの規定の適用を妨げない。
5 前項の教育長は、委員の職を辞し、失い、又は罷免された場合においては、当然に、その職を失うものとする。
(教育長の職務)
第十七条 教育長は、教育委員会の指揮監督の下に、教育委員会の権限に属するすべての事務をつかさどる。
2 教育長は、教育委員会のすべての会議に出席し、議事について助言する。
3 教育長は、自己、配偶者若しくは三親等以内の親族の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件についての議事が行われる場合においては、前項の規定にかかわらず、教育委員会の会議に出席することができない。ただし、市町村委員会の教育長については、当該市町村委員会の委員として第十三条第五項ただし書の規定の適用があるものとする。
(事務局)
第十八条 教育委員会の権限に属する事務を処理させるため、教育委員会に事務局を置く。
2 教育委員会の事務局の内部組織は、教育委員会規則で定める。
(指導主事その他の職員)
第十九条 都道府県委員会の事務局に、指導主事、事務職員、技術職員その他の所要の職員を置く。
2 市町村委員会の事務局に、前項の規定に準じて所要の職員を置く。
3 指導主事は、上司の命を受け、学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校をいう。以下同じ。)における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項の指導に関する事務に従事する。
4 指導主事は、教育に関し識見を有し、かつ、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項について教養と経験がある者でなければならない。指導主事は、大学以外の公立学校(地方公共団体が設置する学校をいう。以下同じ。)の教員(教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)第二条第二項に規定する教員をいう。以下同じ。)をもつて充てることができる。
5 事務職員は、上司の命を受け、事務に従事する。
6 技術職員は、上司の命を受け、技術に従事する。
7 第一項及び第二項の職員は、教育長の推薦により、教育委員会が任命する。
8 前各項に定めるもののほか、教育委員会の事務局に置かれる職員に関し必要な事項は、政令で定める。
(教育長の事務局の統括等)
第二十条 教育長は、第十七条に規定するもののほか、事務局の事務を統括し、所属の職員を指揮監督する。
2 教育長に事故があるとき、又は教育長が欠けたときは、あらかじめ教育委員会の指定する事務局の職員がその職務を行う。
(事務局職員の定数)
第二十一条 第十九条第一項及び第二項に規定する事務局の職員の定数は、当該地方公共団体の条例で定める。ただし、臨時又は非常勤の職員については、この限りでない。
(教育長及び事務局職員の身分取扱)
第二十二条 教育長及び第十九条第一項及び第二項に規定する事務局の職員の任免、給与、懲戒、服務その他の身分取扱に関する事項は、この法律及び教育公務員特例法に特別の定があるものを除き、地方公務員法の定めるところによる。
第三章 教育委員会及び地方公共団体の長の職務権限
(教育委員会の職務権限)
第二十三条 教育委員会は、当該地方公共団体が処理する教育に関する事務及び法律又はこれに基く政令によりその権限に属する事務で、次の各号に掲げるものを管理し、及び執行する。
一 教育委員会の所管に属する第三十条に規定する学校その他の教育機関(以下「学校その他の教育機関」という。)の設置、管理及び廃止に関すること。
二 学校その他の教育機関の用に供する財産(以下「教育財産」という。)の管理に関すること。
三 教育委員会及び学校その他の教育機関の職員の任免その他の人事に関すること。
四 学齢生徒及び学齢児童の就学並びに生徒、児童及び幼児の入学、転学及び退学に関すること。
五 学校の組織編制、教育課程、学習指導、生徒指導及び職業指導に関すること。
六 教科書その他の教材の取扱に関すること。
七 校舎その他の施設及び教具その他の設備の整備に関すること。
八 校長、教員その他の教育関係職員の研修に関すること。
九 校長、教員その他の教育関係職員並びに生徒、児童及び幼児の保健、安全、厚生及び福利に関すること。
十 学校その他の教育機関の環境衛生に関すること。
十一 学校給食に関すること。
十二 青少年教育、婦人教育及び公民館の事業その他社会教育に関すること。
十三 体育に関すること。
十四 文化財の保護に関すること。
十五 ユネスコ活動に関すること。
十六 教育に関する法人に関すること。
十七 教育に係る調査及び指定統計その他の統計に関すること。
十八 所掌事務に係る広報に関すること。
十九 前各号に掲げるもののほか、当該地方公共団体の区域内における教育に関する事務に関すること。
(長の職務権限)
第二十四条 地方公共団体の長は、次の各号に掲げる教育に関する事務を管理し、及び執行する。
一 大学に関すること。
二 私立学校に関すること。
三 教育財産を取得し、及び処分すること。
四 教育委員会の所掌に係る事項に関する契約を結ぶこと。
五 教育委員会の所掌に係る事項に関する収入及び支出を命令すること。
(事務処理の法令準拠)
第二十五条 教育委員会及び地方公共団体の長は、それぞれ前二条の事務を管理し、及び執行するに当つては、法令、条例、地方公共団体の規則並びに地方公共団体の機関の定める規則及び規程に基かなければならない。
(事務の委任等)
第二十六条 教育委員会は、教育委員会規則で定めるところにより、その権限に属する事務の一部を教育長に委任し、又は教育長をして臨時に代理させることができる。
2 教育長は、前項の規定により委任された事務その他その権限に属する事務の一部を事務局の職員若しくは教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関の職員に委任し、又はこれらの職員をして臨時に代理させることができる。
3 都道府県委員会は、教育委員会規則で定めるところにより、その権限に属する事務の一部を市町村委員会に委任し、又は市町村委員会の任命に係る職員をして補助執行させることができる。
4 都道府県委員会の教育長は、その権限に属する事務の一部を市町村委員会の教育長に委任することができる。
(委任事務の指揮監督)
第二十七条 都道府県委員会又は都道府県委員会の教育長は、それぞれ、前条第三項若しくは第四項又は第五十八条第一項の規定により市町村委員会又は市町村委員会の教育長に委任した事務の管理及び執行に関し、当該市町村委員会又は当該市町村委員会の教育長を指揮監督することができる。
(教育財産の管理等)
第二十八条 教育財産は、地方公共団体の長の総括の下に、教育委員会が管理するものとする。
2 地方公共団体の長は、教育委員会の申出をまつて、教育財産の取得を行うものとする。
3 地方公共団体の長は、教育財産を取得したときは、すみやかに教育委員会に引き継がなければならない。
(教育委員会の意見聴取)
第二十九条 地方公共団体の長は、歳入歳出予算のうち教育に関する事務に係る部分その他特に教育に関する事務について定める議会の議決を経るべき事件の議案を作成する場合においては、教育委員会の意見をきかなければならない。
第四章 教育機関
第一節 通則
(教育機関の設置)
第三十条 地方公共団体は、法律で定めるところにより、学校、図書館、博物館、公民館その他の教育機関を設置するほか、条例で、教育に関する専門的、技術的事項の研究又は教育関係職員の研修、保健若しくは福利厚生に関する施設その他の必要な教育機関を設置することができる。
(教育機関の職員)
第三十一条 前条に規定する学校に、法律で定めるところにより、学長、校長、園長、教員、事務職員、技術職員その他の所要の職員を置く。
2 前条に規定する学校以外の教育機関に、法律又は条例で定めるところにより、事務職員、技術職員その他の所要の職員を置く。
3 前二項に規定する職員の定数は、この法律に特別の定がある場合を除き、当該地方公共団体の条例で定めなければならない。ただし、臨時又は非常勤の職員については、この限りでない。
(教育機関の所管)
第三十二条 学校その他の教育機関のうち、大学は地方公共団体の長が、その他のものは教育委員会が所管する。
(学校等の管理)
第三十三条 教育委員会は、法令又は条例に違反しない限度において、その所管に属する学校その他の教育機関の施設、設備、組織編制、教育課程、教材の取扱その他学校その他の教育機関の管理運営の基本的事項について、必要な教育委員会規則を定めるものとする。この場合において、当該教育委員会規則で定めようとする事項のうち、その実施のためには新たに予算を伴うこととなるものについては、教育委員会は、あらかじめ当該地方公共団体の長に協議しなければならない。
2 前項の場合において、教育委員会は、学校における教科書以外の教材の使用について、あらかじめ、教育委員会に届け出させ、又は教育委員会の承認を受けさせることとする定を設けるものとする。
(教育機関の職員の任命)
第三十四条 教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関の校長、園長、教員、事務職員、技術職員その他の職員は、この法律に特別の定がある場合を除き、教育長の推薦により、教育委員会が任命する。
(職員の身分取扱)
第三十五条 第三十一条第一項又は第二項に規定する職員の任免、給与、懲戒、服務その他の身分取扱に関する事項は、この法律及び他の法律に特別の定がある場合を除き、地方公務員法の定めるところによる。
(所属職員の進退に関する意見の申出)
第三十六条 学校その他の教育機関の長は、この法律及び教育公務員特例法に特別の定がある場合を除き、その所属の職員の任免その他の進退に関する意見を任命権者に対して申し出ることができる。この場合において、大学附置の学校の校長にあつては、学長を経由するものとする。
第二節 市町村立学校の教職員
(任命権者)
第三十七条 市町村立学校職員給与負担法(昭和二十三年法律第百三十五号)第一条及び第二条に規定する職員(以下「県費負担教職員」という。)の任命権は、都道府県委員会に属する。
2 前項の規定による都道府県委員会の権限の一部の委任については、地方公務員法第六条第二項の規定にかかわらず、この法律第二十六条の規定によるものとする。
(市町村委員会の内申)
第三十八条 都道府県委員会は、市町村委員会の内申をまつて、県費負担教職員の任免その他の進退を行うものとする。
2 市町村委員会は、教育長の助言により、前項の内申を行うものとする。
(校長の所属教職員の進退に関する意見の申出)
第三十九条 市町村立学校職員給与負担法第一条及び第二条に規定する学校の校長は、所属の県費負担教職員の任免その他の進退に関する意見を市町村委員会に申し出ることができる。
(県費負担教職員の任用等)
第四十条 第三十七条の場合において、都道府県委員会は、地方公務員法第二十七条第二項及び第二十八条第一項の規定にかかわらず、一の市町村の県費負担教職員を免職し、引き続いて当該都道府県内の他の市町村の県費負担教職員に採用することができるものとする。この場合において、当該県費負担教職員が当該免職された市町村において地方公務員法第二十二条第一項の規定により正式任用になつていた者であるときは、当該県費負担教職員の当該他の市町村における採用については、同条同項の規定は、適用しない。
(県費負担教職員の定数)
第四十一条 県費負担教職員の定数は、都道府県の条例で定める。ただし、臨時又は非常勤の職員については、この限りでない。
2 県費負担教職員の市町村別の学校の種類ごとの定数は、前項の規定により定められた定数の範囲内で、都道府県委員会が市町村委員会の意見をきいて定める。
(県費負担教職員の給与、勤務時間その他の勤務条件)
第四十二条 県費負担教職員の給与、勤務時間その他の勤務条件については、地方公務員法第二十四条第六項の規定により条例で定めるものとされている事項は、都道府県の条例で定める。
(服務の監督)
第四十三条 市町村委員会は、県費負担教職員の服務を監督する。
2 県費負担教職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、当該市町村の条例及び規則並びに当該市町村委員会の定める教育委員会規則及び規程(前条又は次項の規定によつて都道府県が制定する条例を含む。)に従い、かつ、市町村委員会その他職務上の上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
3 県費負担教職員の任免、分限又は懲戒に関して、地方公務員法の規定により条例で定めるものとされている事項は、都道府県の条例で定める。
4 都道府県委員会は、県費負担教職員の任免その他の進退を適切に行うため、市町村委員会の行う県費負担教職員の服務の監督又は前条若しくは前項の規定により都道府県が制定する条例の実施について、市町村委員会に対し、一般的指示を行うことができる。
(職階制)
第四十四条 県費負担教職員の職階制は、地方公務員法第二十三条第一項の規定にかかわらず、都道府県内の県費負担教職員を通じて都道府県が採用するものとし、職階制に関する計画は、都道府県の条例で定める。
(研修)
第四十五条 県費負担教職員の研修は、地方公務員法第三十九条第二項の規定にかかわらず、市町村委員会も行うことができる。
2 市町村委員会は、都道府県委員会が行う県費負担教職員の研修に協力しなければならない。
(勤務成績の評定)
第四十六条 県費負担教職員の勤務成績の評定は、地方公務員法第四十条第一項の規定にかかわらず、都道府県委員会の計画の下に、市町村委員会が行うものとする。
(地方公務員法の適用の特例)
第四十七条 この法律に特別の定があるもののほか、県費負担教職員に対して地方公務員法を適用する場合においては、同法中次の表の上欄に掲げる規定の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
規定 |
読み替えられる字句 |
読み替える字句 |
第十六条各号列記以外の部分 |
職員 |
職員(第三号の場合にあつては、都道府県教育委員会又はその権限の委任を受けた者の任命に係る職員及び懲戒免職の処分を受けた当時属していた地方公共団体の職員) |
第十六条第三号 |
当該地方公共団体において |
都道府県教育委員会(都道府県教育委員会から権限の委任を受けた者を含む。)により |
第二十九条第一項第一号 |
この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律 |
この法律、第五十七条に規定する特例を定めた法律若しくは地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号) |
第三十四条第二項 |
任命権者 |
市町村教育委員会 |
第三十七条 |
地方公共団体 |
都道府県及び市町村 |
第三十八条 |
任命権者 |
市町村教育委員会 |
2 前項に定めるもののほか、県費負担教職員に対して地方公務員法の規定を適用する場合における技術的読替は、政令で定める。
第五章 文部大臣及び教育委員会相互間の関係等
(文部大臣又は都道府県委員会の指導、助言及び援助)
第四十八条 地方自治法第二百四十五条の三第一項又は第四項の規定によるほか、文部大臣は都道府県又は市町村に対し、都道府県委員会は市町村に対し、都道府県又は市町村の教育に関する事務の適正な処理を図るため、必要な指導、助言又は援助を行うものとする。
2 前項の指導、助言又は援助を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 学校その他の教育機関の設置及び管理並びに整備に関し、指導及び助言を与えること。
二 学校の組織編制、教育課程、学習指導、生徒指導、職業指導、教科書その他の教材の取扱その他学校運営に関し、指導及び助言を与えること。
三 学校における保健及び安全並びに学校給食に関し、指導及び助言を与えること。
四 校長、教員その他の教育関係職員の研究集会、講習会その他研修に関し、指導及び助言を与え、又はこれらを主催すること。
五 生徒及び児童の就学に関する事務に関し、指導及び助言を与えること。
六 青少年教育、婦人教育及び公民館の事業その他社会教育の振興並びに芸術の普及及び向上に関し、指導及び助言を与えること。
七 体育の普及及び振興に関し、指導及び助言を与えること。
八 指導主事、社会教育主事その他の職員を派遣すること。
九 教育及び教育行政に関する資料、手引書等を作成し、利用に供すること。
十 教育に係る調査及び統計並びに広報に関し、指導及び助言を与えること。
十一 教育委員会の組織及び運営に関し、指導及び助言を与えること。
(基準の設定)
第四十九条 都道府県委員会は、法令に違反しない限り、市町村委員会の所管に属する学校その他の教育機関の組織編制、教育課程、教材の取扱その他学校その他の教育機関の管理運営の基本的事項について、教育委員会規則で、教育の水準の維持向上のため必要な基準を設けることができる。
(高等学校の通学区域の指定)
第五十条 都道府県委員会は、高等学校の教育の普及及びその機会均等を図るため、教育委員会規則で、当該都道府県内の区域に応じて就学希望者が就学すべき都道府県委員会又は市町村委員会の所管に属する高等学校を指定した通学区域を定める。ただし、一の通学区域内にある都道府県委員会又は市町村委員会の所管に属する高等学校に就学希望者が集中する等特別の事情がある場合においては、通学区域について必要な調整を行うことができる。
2 前項の場合において、市町村委員会の所管に属する高等学校に係る部分については、都道府県委員会は、あらかじめ当該市町村委員会の意見をきかなければならない。
(文部大臣及び教育委員会相互間の関係)
第五十一条 文部大臣は都道府県委員会又は市町村委員会相互の間の、都道府県委員会は市町村委員会相互の間の連絡調整を図り、並びに教育委員会は、相互の間の連絡を密にし、及び文部大臣又は他の教育委員会と協力し、教職員の適正な配置と円滑な交流及び教職員の勤務能率の増進を図り、もつてそれぞれその所掌する教育に関する事務の適正な執行と管理に努めなければならない。
(文部大臣又は都道府県委員会の措置要求)
第五十二条 文部大臣は、地方自治法第二百四十六条の二の規定にかかわらず、地方公共団体の長又は教育委員会の教育に関する事務の管理及び執行が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、教育の本来の目的達成を阻害しているものがあると認めるときは、当該地方公共団体の長又は教育委員会に対し、その事務の管理及び執行について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる。
2 文部大臣の前項の規定による措置は、市町村長又は市町村委員会の教育に関する事務の管理及び執行に係るものについては、都道府県委員会をして行わせる。ただし、文部大臣は、必要があると認める場合においては、自ら当該措置を行うことができる。
3 市町村長又は市町村委員会は、前項本文の規定による都道府県委員会の措置に異議があるときは、その措置があつた日から二十一日以内に、文部大臣に対し、その意見を求めることができる。この場合においては、文部大臣は、その意見を求められた日から九十日以内に、理由をつけて、その意見を市町村長又は市町村委員会及び関係都道府県の教育委員会に通知しなければならない。
4 文部大臣は、自ら地方公共団体の長に対して第一項の規定による措置を行おうとする場合においては、あらかじめ内閣総理大臣に協議しなければならない。
(調査)
第五十三条 文部大臣は、第四十八条第一項、第五十一条及び前条の規定による権限を行うため必要があるときは、地方公共団体の長又は教育委員会が管理し、及び執行する教育に関する事務について、必要な調査を行うことができる。
2 文部大臣は、前項の調査に関し、都道府県委員会をして、市町村長又は市町村委員会が管理し、及び執行する教育に関する事務について、その特に指定する事項の調査を行わせることができる。
(資料及び報告)
第五十四条 教育行政機関は、的確な調査、統計その他の資料に基いて、その所掌する事務の適切かつ合理的な処理に努めなければならない。
2 文部大臣は地方公共団体の長又は教育委員会に対し、都道府県委員会は市町村長又は市町村委員会に対し、それぞれ都道府県又は市町村の区域内の教育に関する事務に関し、必要な調査、統計その他の資料又は報告の提出を求めることができる。
(教育委員会が管理し、及び執行する国の事務の指揮監督)
第五十五条 地方自治法第百五十条の規定は、教育委員会が管理し、及び執行する教育に関する事務のうち、国の機関として管理し、及び執行するものについて準用する。この場合において、同条中「普通地方公共団体の長」とあるのは「教育委員会」と、「都道府県知事」とあるのは「都道府県教育委員会」と読み替えるものとする。
第六章 雑則
(学校給食用物資の取得のあつせん)
第五十六条 都道府県委員会は、都道府県内の学校の学校給食の普及を図るため、当該学校の学校給食用物資の取得に関し、必要なあつせんを行うことができる。
(保健所との関係)
第五十七条 教育委員会は、学校身体検査その他学校における保健に関し、政令で定めるところにより、保健所を設置する地方公共団体の長に対し、保健所の協力を求めるものとする。
2 保健所は、学校の環境衛生の維持、保健衛生に関する資料の提供その他学校における保健に関し、政令で定めるところにより、教育委員会に助言と援助を与えるものとする。
(指定都市に関する特例)
第五十八条 地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)を包括する都道府県の教育委員会は、第三十七条の規定にかかわらず、指定都市の設置する学校(大学を除く。)の県費負担教職員の任免、給与の決定、休職及び懲戒に関する事務を当該指定都市の教育委員会に委任する。
2 指定都市の県費負担教職員の研修は、第四十五条及び教育公務員特例法第十九条第二項の規定にかかわらず、当該指定都市の教育委員会が行う。
3 指定都市の教育委員会に置かれる教育長については、第十六条第三項の規定にかかわらず、当該指定都市を都道府県とみなして、同条第二項の規定を適用する。
(都に関する特例)
第五十九条 第三十三条の規定により教育委員会規則で定めるものとされている事項のうち、都の特別区の教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関の教育課程及び教材の取扱に係るものについては、都の教育委員会規則で定めるものとする。
(組合に関する特例)
第六十条 市町村が第二十三条に規定する事務の全部を共同処理する組合を設ける場合においては、当該組合を組織する市町村には教育委員会を置かず、当該組合に教育委員会を置くものとする。
2 市町村が第二十三条に規定する事務の全部又は一部を共同処理する組合を設けようとする場合において、当該市町村に教育委員会が置かれているときは、当該市町村の議会は、地方自治法第二百九十条の議決をする前に、当該教育委員会の意見をきかなければならない。
3 都道府県知事は、第二十三条に規定する事務の全部又は一部を共同処理する市町村の組合の設置について、地方自治法第二百八十四条第一項の許可の処分をする前に、当該都道府県委員会の意見をきかなければならない。
4 第二十三条に規定する事務の一部を共同処理する市町村の組合に置かれる教育委員会の委員は、第六条の規定にかかわらず、その組合を組織する市町村の教育委員会の委員と兼ねることができる。
5 前四項に定めるもののほか、第二十三条に規定する事務の全部又は一部を共同処理する市町村の組合の設置、解散その他の事項については、地方自治法第三編第三章の規定によるほか、政令で特別の定をすることができる。
(政令への委任)
第六十一条 この法律に定めるもののほか、市町村の廃置分合があつた場合におけるこの法律の規定の適用の特例その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和三十一年十月一日から施行する。ただし、第二章、第五十八条第三項、第六十条第一項及び第四項並びに附則第二条から第十三条まで及び第二十五条の規定(以下「教育委員会の設置関係規定」という。)は、公布の日から施行する。
(旧法の廃止)
第二条 教育委員会法(昭和二十三年法律第百七十号。以下「旧法」という。)は、昭和三十一年九月三十日限り、廃止する。ただし、同法中教育委員会の設置関係規定に抵触することとなる部分は、同日前においても、その効力を失うものとする。
(委員の経過措置)
第三条 この法律(以下「新法」という。)中教育委員会の設置関係規定の施行の際、現に在任する旧法の規定による教育委員会(以下「旧委員会」という。)の委員(新法第四条第二項に該当する者を除く。以下「旧委員」という。)は、昭和三十一年九月三十日までの間(旧法の規定による選挙による委員(以下「旧公選委員」という。)としての任期又は旧法の規定により議会の議員のうちから選挙された者(以下「旧議員委員」という。)の議員としての任期が同日まで満了する場合にあつては、それぞれその任期が満了する日までの間)、引き続き新法の規定による教育委員会(以下「新委員会」という。)の委員(以下「新委員」という。)として在任するものとする。この場合において、新委員として在任する者の数が新法第三条に規定する定数をこえるときは、同条の規定にかかわらず、当該数をもつて、当該新委員会の委員の定数とし、これらの委員が欠けた場合においては、これに応じて、その定数は、同条に規定する定数に至るまで減少するものとする。
2 前項の場合においては、新委員会は、新委員として在任する者のうちから委員長を選挙するものとする。
第四条 教育委員会の設置関係規定の施行の際、現に在任する旧委員が旧議員委員のみである場合においては、当該旧議員委員は、旧法第八条第二項の規定にかかわらず、教育委員会の設置関係規定の施行の日に旧議員委員たる職を失うものとする。ただし、附則第七条の規定により選挙を行う場合は、この限りでない。
2 教育委員会の設置関係規定の施行の日から昭和三十一年九月三十日までの間において、旧公選委員の任期が満了し、又は旧公選委員がすべて欠けたため、旧議員委員のみが在任することとなつた場合においては、旧議員委員は、当該旧公選委員の任期が満了した日又は旧公選委員のすべてが欠けるに至つた日に新委員たる職を失うものとする。
第五条 教育委員会の設置関係規定の施行の際、現に在任する旧委員会の旧公選委員の数が一以上であつて、旧議員委員と合せても新法第三条に規定する定数に満たないときは、附則第七条の規定により選挙を行う場合を除き、地方公共団体の長が新法第四条の規定によりその満たない数の委員を任命するものとする。教育委員会の設置関係規定の施行の日から昭和三十一年九月三十日までの間において、附則第三条の規定により新委員として在任することとなる者が欠け、新法第三条に規定する定数に満たないこととなつたときも、また、同様とする。
2 前項の規定により任命された委員は、昭和三十一年九月三十日までの間(旧公選委員の任期が同日までに満了し、又は旧公選委員のすべてが同日までに欠けるに至つた場合においては、その任期満了の日又は旧公選委員のすべてが欠けるに至つた日までの間)、在任するものとする。
第六条 附則第三条の規定により新委員として在任することとなる者のうち旧議員委員である者については、新法第六条の規定にかかわらず、当該旧議員委員が新委員として在任する間は、なお、従前の例による。
(選挙期日が告示されている場合の経過措置)
第七条 旧法の規定による教育委員会の委員の選挙で、教育委員会の設置関係規定の施行の際、すでにその選挙の期日が告示されているものについては、なお、従前の例による。
2 前項の規定による選挙において選挙された委員については、その者を教育委員会の設置関係規定の施行の際現に在任する旧公選委員とみなして、附則第三条の規定を適用する。
(最初に任命される委員の任期)
第八条 教育委員会の設置関係規定の施行後最初に任命される新委員(附則第五条の規定によつて任命される委員を除く。)の任期は、新法第五条の規定にかかわらず、その定数が五人の場合にあつては、二人は四年、一人は三年、一人は二年、一人は一年とし、その定数が三人の場合にあつては、一人は四年、一人は三年、一人は二年とする。この場合において、各新委員の任期は、地方公共団体の長が定める。
(最初の教育委員会の招集)
第九条 前条の規定により新委員が任命された後最初に招集すべき教育委員会の会議は、新法第十三条第一項の規定にかかわらず、地方公共団体の長が招集する。
(教育長の経過措置)
第十条 教育委員会の設置関係規定の施行の際、現に在任する教育長は、新法第十六条第二項及び第三項の規定にかかわらず、昭和三十一年九月三十日までの間(旧法第四十一条第三項の規定による教育長の任期が同日までに満了し、又は旧公選委員のすべてが同日までに欠けるに至つた場合においては、その任期満了の日又は旧公選委員のすべてが欠けるに至つた日までの間)、引き続き新法の規定による教育長として在任するものとする。
第十一条 教育委員会の設置関係規定の施行の際、現に在任する教育長がない場合又は前条の規定により市町村委員会の教育長として在任することとなつた者が附則第八条の規定により新委員が任命される日までにその任期が満了し、若しくは欠けるに至つた場合においては、新法第十六条第三項の規定にかかわらず、市町村委員会は、都道府県委員会の承認を得て、委員以外の者のうちから教育長を任命することができる。
2 前項の規定により任命された教育長は、昭和三十一年九月三十日までの間(旧公選委員の任期が同日までに満了し、又は旧公選委員のすべてが同日までに欠けるに至つた場合においては、その任期満了の日又は旧公選委員のすべてが欠けるに至つた日までの間)、在任するものとする。
(事務局職員の経過措置)
第十二条 教育委員会の設置関係規定の施行の際、現に旧委員会の事務局の職員として在職する者は、別に辞令を発せられない限り、それぞれ現にある職務の級及び現に受ける給料をもつて、新委員会の事務局の相当の職員となるものとする。
(読替規定)
第十三条 新法第五十八条第三項中「指定都市」とあるのは、指定都市に関して定める地方自治法の一部を改正する法律が制定施行されるまでの間は、「地方自治法第百五十五条第二項の市」と読み替えるものとする。
(学校その他の教育機関の経過措置)
第十四条 新法(附則第一条ただし書に係る部分を除く。以下同じ。)の施行の際、現に設置されている新法第三十条に規定する学校その他の教育機関に相当するもののうち、その設置について条例に基かなければならないこととなるもので、条例が制定されていないものについては、新法の施行の日から起算して六月以内に、同条の規定に基く措置を講ずるものとし、それまでの間は、同条の規定による学校その他の教育機関として存続させることができる。
(学校その他の教育機関の職員の経過措置)
第十五条 新法の施行の際、現に設置されている新法第三十条に規定する学校その他の教育機関に相当するものの職員として在職する者は、別に辞令を発せられない限り、それぞれ現にある職務の級及び現に受ける給料をもつて、同条の規定による学校その他の教育機関の相当の職員となるものとする。
(恩給に関する経過措置)
第十六条 旧法第八十四条の規定により恩給法の準用を受けるものとされていた者の恩給法の準用については、なお、従前の例による。その者が新法の施行後引き続いて公立学校の事務職員又は技術職員となつた場合における恩給法の準用についても、また、同様とする。
(休職又は懲戒に関する経過措置)
第十七条 新法の施行の際、現に県費負担教職員である者で休職を命ぜられ、若しくは懲戒処分を受けたものの休職若しくは懲戒又は県費負担教職員に係る新法の施行前の事案に係る懲戒処分に関しては、なお、従前の例による。この場合において、新法の施行後懲戒処分を行うこととなるときは、当該懲戒処分に係る者の任命権者又はその委任を受けた者が新法の定めるところにより懲戒処分を行うものとする。
(不利益処分に関する経過措置)
第十八条 新法の施行前に県費負担教職員に対し行われた不利益処分に関する説明書の交付、審査の請求、審査及び審査の結果執るべき措置に関しては、なお、従前の例による。
(臨時待命)
第十九条 県費負担教職員について地方公務員法の一部を改正する法律(昭和二十九年法律第百九十二号)附則第三項の規定により条例で定めることができるものとされている臨時待命に関する事項は、都道府県の条例で定める。
(条例又は教育委員会規則の経過措置)
第二十条 新法の施行の際、現に効力を有する条例で旧法の規定に基いて制定されているもの及び現に効力を有する教育委員会規則で旧法その他の法令の規定に基いて制定されているものは、新法の規定に抵触しない限り、それぞれ新法その他の法令の各相当規定に基いて制定された条例及び教育委員会規則とみなす。
(旧委員会の処分等の経過措置)
第二十一条 この附則に特別の定があるものを除き、新法の施行の際、旧委員会が旧法その他の法令の規定に基いて行つた処分で現に効力を有するものは、それぞれ新委員会が新法その他の法令の各相当規定に基いて行つた処分とみなす。この場合において、当該処分に期間がつけられているときは、当該期間は、当該処分が行われた日から起算するものとする。
第二十二条 この附則に特別の定があるものを除き、新法の施行の際、旧法その他の法令の規定に基いて旧委員会に対してされている認可その他の処分の申請、届出その他の行為は、新法その他の法令の各相当規定に基いて新委員会に対してされた行為とみなす。
(教育委員会の事務の引継)
第二十三条 旧法の規定により教育委員会が管理し、及び執行していた事務で、新法の規定により地方公共団体の長が管理し、及び執行することとなるものについては、新法の施行後三十日以内に、教育委員会から当該地方公共団体の長に引き継がなければならない。
第二十四条 旧法の規定により市町村委員会が管理し、及び執行していた事務で、新法の規定により都道府県委員会が管理し、及び執行することとなるものについては、新法の施行後三十日以内に、市町村委員会から都道府県委員会に引き継がなければならない。
(政令への委任)
第二十五条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(内閣総理・文部大臣署名)