法律第百六十五号(昭三一・六・三〇)
◎税理士法の一部を改正する法律
税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)の一部を次のように改正する。
目次中
「 |
第六章 雑則(第四十九条―第五十七条) |
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第七章 罰則(第五十八条―第六十四条) |
」 |
を
「 |
第六章 税理士会及び日本税理士会連合会(第四十九条―第四十九条の十九) |
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第七章 雑則(第五十条―第五十七条) |
||
第八章 罰則(第五十八条―第六十四条) |
」 |
に改める。
第二条中「、富裕税」を削る。
第四条第七号中「、税理士の登録を取り消され、若しくは税務代理士の許可を取り消され、又は税務代理士会から退会処分を受けた者」を「税理士の登録を取り消された者」に、「これらの処分」を「当該処分」に改め、同条第八号中「公認会計士」の下に「若しくは会計士補」を加え、「業務を禁止され、若しくはその」を削る。
第五条第一項第六号中「公認会計士」の下に「、会計士補」を加える。
第二十三条第一項中「認めたときは」の下に「、第二十一条第二項の規定により登録申請書の副本の送付を受けた日から一月以内に」を加える。
第二十四条第一号中「公認会計士」の下に「、会計士補」を加える。
第三十三条第一項中「所得説法(昭和二十二年法律第二十七号)」の下に「第三十一条、」を加え、「第二十六条の三」を「第二十六条の四から第二十六条の九まで」に改め、同条第五項中「第四十条」を「第七十二条の三十五」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(計算事項等を記載した書面の添附)
第三十三条の二 税理士は、所得税法第二十六条、第二十六条の二若しくは第二十九条第一項から第三項まで、法人税法第十八条若しくは第二十一条から第二十二条の五まで又は相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)第二十七条若しくは第二十八条の規定による申告書を作成したときは、当該申告書の作成に関し計算し、整理し、又は相談に応じた事項を大蔵省令で定めるところにより記載した書面を、当該申告書に添附することができる。
2 前条第二項及び第三項の規定は、前項の書面について準用する。
第三十四条第一項中「青色申告書の提出を認められている者」を「所得税法第二十六条、第二十六条の二若しくは第二十九条第一項から第三項まで、法人税法第十八条若しくは第二十一条から第二十二条の五まで又は相続税法第二十七条若しくは第二十八条の規定による申告書を提出した者」に改め、同条第二項を削る。
第三十五条中「(昭和二十五年法律第七十三号)」を削り、同条を同条第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。
第三十三条の二第一項に規定する書面が添附されている申告書について所得税法第四十四条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)若しくは第六項、法人税法第二十九条若しくは第三十一条若しくは相続税法第三十五条第一項、第三項若しくは第四項の規定による更正又は法人税法第三十条の規定による決定をすべき場合において、当該書面に記載されたところにより当該更正又は決定の基因となる事実につき税理士が計算し、整理し、又は相談に応じていると認められるときは、税務署長(当該更正又は決定が国税庁又は国税局の当該職員の調査に基いてされるものである場合においては、国税庁長官又は国税局長)は、当該税理士に対し、当該事実に関し意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、申告書及びこれに添附された書類の調査により課税標準、純損失の金額、雑損失の金額、欠損金額若しくは税額の計算について法令の規定に従つていないことが明らかであること又はこれらの額の計算に誤があることにより更正又は決定を行う場合には、この限りでない。
第三十五条に次の一項を加える。
3 前二項の規定による措置の有無は、所得税法、法人税法又は相続税法の規定による更正若しくは決定又は審査の決定の効力に影響を及ぼすものと解してはならない。
第四十二条を次のように改める。
(業務の制限)
第四十二条 国税又は地方税に関する行政事務に従事していた国又は地方公共団体の公務員で説理士となつたものは、離職後一年間は、その離職前一年内に占めていた職の所掌に属すべき事件について税理士業務を行つてはならない。但し、国税庁長官の承認を受けた者については、この限りでない。
第四十三条中「公認会計士」の下に「、会計士補」を加える。
第四十六条第一項中「この法律又は」を「第三十三条の二の規定による書面に虚偽の記載をしたとき、又はこの法律若しくは」に改める。
「第六章 雑則」を「第六章 税理士会及び日本税理士会連合会」に改める。
第四十九条を次のように改める。
(税理士会)
第四十九条 税理士は、国税局の管轄区域ごとに、一個の税理士会を設立しなければならない。
2 税理士会は、税理士の使命及び職責にかんがみ、税理士の義務の遵守及び税理士業務の改善進歩に資するため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。
3 税理士会は、法人とする。
4 税理士会は、その名称中に税理士会という文字を用いなければならない。
第四十九条の次に次の十八条を加える。
(税理士会の会則)
第四十九条の二 税理士は、税理士会を設立しようとするときは、会則を定め、その会則について大蔵大臣の認可を受けなければならない。
2 税理士会の会則には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 名称及び事務所の所在地
二 入会及び退会に関する規定
三 役員に関する規定
四 会議に関する規定
五 税理士の品位保持に関する規定
六 会費に関する規定
七 庶務及び会計に関する規定
3 税理士会の会則の変更は、大蔵大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(税理士会の支部)
第四十九条の三 税理士会は、国税局の管轄区域内の地域を管轄する税務署の管轄区域を地区として、又は国税局の管轄区域内の都道府県の区域を地区として、支部を設けることができる。
(成立の時期)
第四十九条の四 税理士会は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。
(登記)
第四十九条の五 税理士会は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(会員の資格)
第四十九条の六 説理士会の会員たる資格を有する者は、その税理士会の主たる事務所の所在地を管轄する国税局の管轄区域内に事務所を有する税理士とする。
(入会及び退会)
第四十九条の七 税理士は、税理士会に入会届を提出した時から、当該税理士会の会員となる。
2 税理士は、退会届を提出したとき、会員たる資格を喪失したとき、又は第二十六条第一項各号の一に該当することとなつたときは、所属説理士会を退会する。
(会則を守る義務)
第四十九条の八 税理士は、所属税理士会の会則を守らなければならない。
(役員)
第四十九条の九 税理士会に、会長、副会長その他会則で定める役員を置く。
2 会長は、税理士会を代表し、その会務を総理する。
3 副会長は、会長の定めるところにより、会長を補佐し、会長に事故があるときはその職務を代理し、会長が欠員のときはその職務を行う。
(総会)
第四十九条の十 税理士会は、毎年定期総会を開かなければならない。
2 税理士会は、必要と認める場合には、臨時総会を開くことができる。
3 税理士会の会則の変更、予算及び決算は、総会の決議を経なければならない。
(総会の決議等の報告)
第四十九条の十一 税理士会は、総会の決議並びに役員の就任及び退任を大蔵大臣に報告しなければならない。
(建議等)
第四十九条の十二 税理士会は、税務行政その他国税若しくは地方税又は税理士に関する制度について、権限のある官公署に建議し、又はその諮問に答申することができる。
2 税理士会は、その会員について、第四十五条第一項若しくは第二項又は第四十六条第一項の規定に該当する事実があると認めたときは、国税庁長官に対し、その者の氏名及び事実を報告しなければならない。
(合併及び解散)
第四十九条の十三 国税局の管轄区域が変更されたためその区域内にある税理士会が合併又は解散する必要があるときは、その税理士会は、総会の決議により合併又は解散する。
2 商法(明治三十二年法律第四十八号)第百条(債権者の異議)及び第百三条(合併の効果)の規定は、税理士会が合併する場合に、民法(明治二十九年法律第八十九号)第七十三条から第七十六条まで、第七十八条から第八十条まで及び第八十二条並びに民法施行法(明治三十一年法律第十一号)第二十六条及び第二十七条の規定(法人の清算)は、税理士会が解散する場合に準用する。
3 税理士会が合併したときは、合併により解散した税理士会に所属した税理士は、当然、合併後存続し又は合併により設立された税理士会の会員となる。
(日本税理士会連合会)
第四十九条の十四 全国の税理士会は、日本税理士会連合会を設立しなければならない。
2 日本税理士会連合会は、税理士の使命及び職責にかんがみ、税理士の義務の遵守及び税理士業務の改善進歩に資するため、税理士会及びその会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。
3 日本税理士会連合会は、法人とする。
4 税理士会は、当然、日本税理士会連合会の会員となる。
第四十九条の十五 第四十九条の二(第二項第二号を除く。)、第四十九条の四、第四十九条の五、第四十九条の九から第四十九条の十一まで及び第四十九条の十二第一項の規定は、日本税理士会連合会について準用する。
(総会の決議の取消及び役員の解任)
第四十九条の十六 大蔵大臣は、税理士会又は日本税理士会連合会の総会の決議又は役員の行為が法令又はその税理士会若しくは日本税理士会連合会の会則に違反し、その他公益を害するときは、総会の決議についてはこれを取り消すべきことを命じ、役員についてはこれを解任すべきことを命ずることができる。
(一般的監督)
第四十九条の十七 大蔵大臣は、税理士会又は日本税理士会連合会の適正な運営を確保するため必要があるときは、これらの団体から報告を徴し、その行う業務について勧告し、又は当該職員をしてこれらの団体の業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定による報告の徴取又は検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(民法の準用)
第四十九条の十八 民法第四十四条(法人の不法行為能力)、第五十条(法人の住所)及び第五十五条(代表権の委任)の規定は、税理士会及び日本税理士会連合会について準用する。
(政令への委任)
第四十九条の十九 この法律に定めるものの外、税理士会及び日本税理士会連合会の設立、運営、合併、解散及び清算に関し必要な事項は、政令で定める。
第五十条の前に次の章名を加える。
第七章 雑則
第五十一条の次に次の一条を加える。
(公認会計士たる税理士の特例)
第五十一条の二 公認会計士たる税理士は、税理士会に入会していない場合においても、その行おうとする税理士業務について委嘱者の住所及び氏名又は名称を国税局長に通知することにより、当該通知した者に係る税理士業務を行うことができる。
第五十二条中「税理士でない者」を「税理士会に入会している税理士でない者」に改める。
第五十三条第二項及び第三項中「税理士会連合会」を「日本税理士会連合会」に改める。
第五十五条第一項中「若しくは税理士会、税理士会連合会その他の税理士の組織する団体若しくはその連合体」及び「これらの団体に対しその行う事業について勧告し、」を削る。
「第七章 罰則」を「第八章 罰則」に改める。
第六十三条第二号中「第五十五条第一項」を「第四十九条の十七第一項又は第五十五条第一項」に改める。
附則第三十項以下を七項ずつ繰り下げ、附則第二十九項の次に次の七項を加える。
30 昭和三十一年七月一日から五年間に限り、第六条の規定による税理士試験のほか、特別な税理士試験を行う。
31 次の各号の一に該当する者は、前項の規定による税理士試験を受けることができる。
一 もつぱら国税又は地方税に関する行政事務に従事した期間が通算して二十年以上で政令で定める行政事務の区分に応じ政令で定める年数以上になる者
二 計理士又は会計士補でこれらの者の業務に従事した期間が通算して十年以上になる者
32 第三十項の規定による税理士試験は、試験委員が、政令で定めるところにより、租税又は会計に関する実務について行う。
33 第三十項の規定による税理士試験の合格者を定める場合には、政令で定めるところにより、当該試験の成績によるほか、受験者の第三十一項各号に規定する事務又は業務に従事した年数を参酌して定めることができる。
34 第三十項の規定による税理士試験は、第三条第一項並びに第十三条第四項及び第五項の規定の適用については、第六条の規定による税理士試験とみなす。
35 第九条の規定は、第三十項の規定による税理士試験について準用する。
36 前五項に定めるもののほか、第三十項の規定による税理士試験の実施に関し必要な事項は、大蔵省令で定める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第五十一条の二及び第五十二条の改正規定は、公布の日から起算して四月を経過した日から施行し、第四十二条の改正規定は、国税又は地方税に関する行政事務に従事していた国又は地方公共団体の公務員でこの法律の施行後に離職したものについて、適用する。
2 国税又は地方税に関する行政事務に従事していた国又は地方公共団体の公務員でこの法律の施行前に離職したものの在職中に自己の関与した事件に係る税理士業務の制限については、この法律の施行後一年間は、なお従前の例による。
3 税理士は、この法律の施行の日から起算して四月以内に、改正後の税理士法(以下「新法」という。)第四十九条第一項の規定による税理士会(以下「新税理士会」という。)を設立しなければならない。この場合において、この法律の施行の際現に同一の国税局の管轄区域内に改正前の税理士法(以下「旧法」という。)第四十九条第一項の規定により設立された税理士会(以下「旧税理士会」という。)が二個以上存するときは、新法第四十九条第一項の規定にかかわらず、当該国税局の管轄区域内においては、その存する旧税理士会の個数以内の新税理士会を設立することができる。
4 前項の規定により同一の国税局の管轄区域内において設立された二個以上の新税理士会は、なお、存続することができる。
5 前項の税理士会は、いつでも、合併又は解散することができる。
6 新法第四十九条の十三の規定は、前項の規定により新税理士会が合併又は解散する場合に準用する。
7 この法律の施行の際現に存する旧税理士会は、この法律の施行の日から当該旧税理士会の主たる事務所の所在地を管轄する国税局の管轄区域内において附則第三項の規定により新税理士会が設立された日後六十日を経過する日までの間(同一の国税局の管轄区域内に存する二個以上の旧税理士会については、この法律の施行の日から六月間)は、新法第五十三条第二項の規定にかかわらず、なお従前の名称を用いることができる。
8 この法律の施行の際現に存する旧税理士会で前項の規定により従前の名称を用いることができる期間内に解散したものは、前項及び新法第五十三条第二項の規定にかかわらず、その清算が結了する日までは、なお従前の名称を用いることができる。
9 全国の新税理士会は、なるべくすみやかに、日本税理士会連合会を設立しなければならない。
10 この法律の施行の際現に存する旧法第四十九条第二項の規定により設立した税理士会連合会(以下「税理士会連合会」という。)は、この法律の施行の日から前項の規定による日本税理士会連合会が設立された日後六十日を経過する日までの間(その期間内に解散した税理士会連合会については、その清算が結了する日までの間)は、新法第五十三条第二項の規定にかかわらず、なお従前の名称を用いることができる。
11 新税理士会又は日本税理士会連合会が旧税理士会又は税理士会連合会から不動産を取得する場合における当該不動産の所有権の取得の登記については、政令で定めるところにより、登録税を免除する。
12 都道府県は、新税理士会又は日本税理士会連合会が旧税理士会又は税理士会連合会から不動産を取得する場合における当該不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。
13 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
14 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「日本赤十字社」の下に「、税理士会、日本税理士会連合会」を、「日本赤十字社法」の下に「、税理士法」を加える。
15 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第九号中「並びに弁理士会」を「、弁理士会並びに税理士会及び日本税理士会連合会」に改める。
16 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第五条第一項第二号中「並びに弁理士会」を「、弁理士会並びに税理士会及び日本税理士会連合会」に改める。
17 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第四条第二十一号中「並びに税理士の登録及び監督」を「、税理士の登録及び監督並びに税理士会及び日本税理士会連合会の監督」に改める。
第三十二条第十三号中「監督」の下に「並びに税理士会及び日本税理士会連合会の監督」を加える。
18 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第二号中「並びに弁理士会」を「、弁理士会並びに税理士会及び日本税理士会連合会」に改める。
(内閣総理・大蔵大臣署名)