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法律第三十六号(昭三二・三・三一)

  ◎特定多目的ダム建設工事特別会計法

 (設置)

第一条 特定多目的ダム法(昭和三十二年法律第三十五号。以下「法」という。)第二条第一項に規定する多目的ダムの建設工事及び当該工事により建設した施設で多目的ダムに属すべきものの災害復旧工事のうち国が北海道以外の地域で行うもの(以下「多目的ダム建設工事」という。)に関する経理を一般会計と区分して行うため、特別会計を設置する。

 (管理)

第二条 この会計は、建設大臣が、法令で定めるところに従い、管理する。

 (歳入及び歳出)

第三条 この会計においては、第五条の規定による一般会計からの繰入金、河川法(明治二十九年法律第七十一号)第二十七条ただし書又は公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和二十六年法律第九十七号)第五条の規定による都府県の負担金(以下「地方負担金」という。)及びその利子、地方公共団体の負担金の納付の特例に関する法律(昭和二十八年法律第百十一号)第一項の規定により納付された地方債証券の償還金及び利子、法第七条第一項の規定による負担金、法第九条第一項の規定により建設大臣が徴収する受益者負担金、第十四条第一項の規定による借入金並びに附属雑収入をもつてその歳入とし、多目的ダム建設工事に要する費用、事務取扱費、同項の規定による借入金の償還金及び利子、法第十二条の規定による還付金並びに附属諸費をもつてその歳出とする。

 (歳入及び歳出等の整理)

第四条 この会計においては、歳入及び歳出並びに資産及び負債を工事別その他の政令で定める区分(以下「工事別等の区分」という。)に従つて整理しなければならない。

 (一般会計からの繰入)

第五条 多目的ダム建設工事に関する費用で国庫が負担するものの額に相当する金額は、第十四条第三項の規定により国庫が負担する費用の財源に充てられるものその他政令で定めるものの額に相当する金額を除き、予算の範囲内において、一般会計からこの会計に繰り入れるものとする。

2 前項の規定により繰り入れる金額は、政令で定めるところにより、工事別等の区分に従つて繰り入れるものとする。

 (歳入歳出予定計算書等の作成及び送付)

第六条 建設大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書、継続費要求書、繰越明許費要求書及び国庫債務負担行為要求書(以下「歳入歳出予定計算書等」という。)を作成し、大蔵大臣に送付しなければならない。

2 前項の歳入歳出予定計算書等には、次に掲げる書類を添附しなければならない。

 一 前前年度の事業実績表、借入金の借入及び償還実績表並びに地方負担金に係る債権の発生及び回収実績表

 二 前年度及び当該年度の事業計画表、借入金の借入及び償還計画表並びに地方負担金に係る債権の発生予定及び回収計画表

 三 継続費についての前前年度末までの支出額、前年度末までの支出額及び支出額の見込、当該年度以降の支出予定額並びに事業の全体の計画及びその進行状況等に関する調書

 四 国庫債務負担行為で翌年度以降にわたるものについての前年度末までの支出額及び支出額の見込、当該年度以降の支出予定額並びに数会計年度にわたる事業に伴うものについてはその全体の計画及びその進行状況等に関する調書

3 前項各号の添附書類は、工事別等の区分に従つて作成するものとする。ただし、同項第二号に掲げる書類で当該年度に係るものについては、この限りでない。

 (歳入歳出予算の区分)

第七条 この会計の歳入歳出予算は、歳入にあつては、その性質に従つて款及び項に区分し、歳出にあつては、その目的に従つて項に区分する。

 (継続費の区分)

第八条 継続費は、工事の別に従つて項に区分し、各項ごとにその総額及び年割額を示し、かつ、その必要の理由を明らかにしなければならない。

 (国庫債務負担行為の区分)

第九条 国庫債務負担行為は、工事別に、その必要の理由を明らかにし、かつ、これをする年度及び債務負担の限度額を明らかにし、また、必要に応じてこれに基いて支出をすべき年度、年限又は年割額を示さなければならない。

 (予算の作成及び提出)

第十条 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、国会に提出しなければならない。

2 前項の予算には、第六条第一項に規定する歳入歳出予定計算書等及び同条第二項各号に掲げる書類を添附しなければならない。この場合においては、同条第三項の規定を準用する。

 (予算の配賦)

第十一条 この会計の予算でその項又は目が工事別等の区分によつていないものの配賦は、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三十一条第二項の規定によるほか、工事別等の区分により行うものとする。

 (収入金の使途)

第十二条 この会計の工事別等の区分に応ずる収入金は、第十四条第三項に定めるもののほか、当該区分に応ずる費用の財源に充てるものとする。この場合において、その収入金のうち当該費用の財源に充てる必要がない剰余を生じたときにおける当該剰余の処理については、政令で定める。

 (予備費の使用)

第十三条 この会計の予備費は、当該年度の工事別等の区分による歳入予算の額をこえる歳入の収納済額に相当する額(当該年度において当該工事別等の区分に応じ既に使用した予備費の額に相当する額を除く。)を限度として、工事別等の区分に従つて使用することができる。

 (借入金)

第十四条 この会計において、多目的ダム建設工事に関する費用のうち地方負担金の額に相当するものの財源に充てるため必要があるときは、この会計の負担において、政令で定めるところにより、工事別等の区分に従つて借入金をすることができる。

2 前項の規定による借入金の限度額については、予算をもつて、国会の議決を経なければならない。

3 地方負担金及びその利子並びに第三条に規定する地方債証券の償還金及び利子は、第一項の規定による借入金の償還金及び利子の財源に充てるものとし、当該財源に充てなお残余があるときは、その残余の額は、多目的ダム建設工事に関する費用のうち国庫が負担するものの財源に充てなければならない。

 (借入限度の繰越)

第十五条 この会計において、借入金の借入について国会の議決を経た金額のうち当該年度において借入をしなかつた金額があるときは、当該金額を限度として、かつ、歳出予算の繰越額の財源として必要な金額の範囲内で、翌年度において、前条第一項の規定による借入金をすることができる。

 (国庫余裕金の繰替使用)

第十六条 この会計において、支出のための支払上現金に不足があるときは、第十四条第一項及び第二項の規定により借り入れることができる金額に相当する額(既に借り入れている借入金の額に相当する額を除く。)を限度とし、政令で定めるところにより、国庫余裕金を繰替使用することができる。

2 前項の規定による繰替金は、当該年度の歳入金をもつて償還しなければならない。

3 前項の規定による繰替金の償還の財源は、工事別等の区分に応じてした借入金をもつて充てるものとする。

 (借入金の借入及び償還の事務)

第十七条 第十四条第一項の規定による借入金の借入及び償還に関する事務は、大蔵大臣が行う。

 (国債整理基金特別会計への繰入)

第十八条 第十四条第一項の規定による借入金の償還金及び利子の額に相当する金額は、工事別等の区分に従つて、この会計から国債整理基金特別会計に繰り入れるものとする。

 (歳出の支出制限)

第十九条 この会計においては、工事別等の区分による歳出予算の金額を支出するには、当該区分による歳入の収納済額(国庫余裕金を繰替使用しているときは、当該繰替金の額を加算した額)をこえてはならない。

 (歳入歳出決定計算書等の作成及び送付)

第二十条 建設大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分によるほか、工事別等の区分に従つて、この会計の歳入歳出決定計算書及び継続費決算報告書を作成し、大蔵大臣に送付しなければならない。ただし、継続費決算報告書については、当該継続費に係る事業が完成した年度のほか、この限りでない。

2 前項の歳入歳出決定計算書には、工事別等の区分に従つて作成した次に掲げる書類を添附しなければならない。

 一 当該年度の事業実績表

 二 債務に関する計算書

 三 地方負担金に係る債権の発生及び回収実績表

 (歳入歳出決算の作成及び提出)

第二十一条 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、国会に提出しなければならない。

2 前項の歳入歳出決算には、前条第一項に規定する歳入歳出決定計算書及び継続費決算報告書並びに同条第二項各号に掲げる書類を添附しなければならない。

 (剰余金の繰入)

第二十二条 この会計において、毎会計年度の歳入歳出の決算上剰余を生じたときは、当該剰余金は、工事別等の区分により、翌年度の歳入に繰り入れるものとする。

 (余裕金の預託)

第二十三条 この会計において、支払上現金に余裕があるときは、政令で定めるところにより、資金運用部に預託することができる。

 (実施規定)

第二十四条 この法律に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則

1 この法律は、法施行の日から施行し、昭和三十二年度の予算から適用する。

2 昭和三十二年度予算の国庫債務負担行為に関する第九条の規定の適用については、同条中「工事別に」とあるのは、「事項別に」とする。

3 この法律の施行の際河川法第八条の規定により建設大臣が直轄で施行中の次に掲げる工事に係るこの法律の施行の日以後の歳入歳出その他の経理は、第一条の規定にかかわらず、この会計において行うものとする。

 一 天龍川美和ダム建設工事

 二 荒川二瀬ダム建設工事

 三 肱川鹿野川ダム建設工事

 四 岩木川目屋ダム建設工事

 五 和賀川湯田ダム建設工事

 六 由良川大野ダム建設工事

 七 球磨川市房ダム建設工事

 八 淀川天ヶ瀬ダム建設工事

4 前項に規定する工事に係る資産及び負債は、政令で定めるところにより、この法律の施行の際、この会計に帰属する。

5 附則第三項第一号から第三号までに掲げる工事が完成した場合における第二十条及び第二十一条第二項の規定によるこの会計の継続費決算報告書の作成、送付及び添附は、当該工事に係る一般会計の継続費の昭和三十一年度までの分をも含めて行うものとする。この場合においては、当該工事に係る一般会計の継続費決算報告書については、財政法第三十七条第三項、第三十九条及び第四十条第二項の規定は、適用しない。

6 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部の次のように改正する。

  第三条中第八号の二の次に次の一号を加える。

  八の三 特定多目的ダム建設工事特別会計の経理を行うこと。

7 退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律(昭和二十五年法律第六十二号)の一部を次のように改正する。

  第一条中「及び失業保険特別会計」を「、失業保険特別会計及び特定多目的ダム建設工事特別会計」に改める。

  第二条の見出し中「公団等」を「公社等」に改め、同条中「法令による公団、」を削り、「、日本電信電話公社、復興金融金庫、国民金融公庫、商船管理委員会及び閉鎖機関整理委員会」を「及び日本電信電話公社」に改め、「公団等」を「公社等」に改める。

  第三条中「公団等」を「公社等」に改める。

(大蔵・建設・内閣総理大臣署名) 

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