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法律第七十一号(昭三二・四・二〇)

  ◎特定土地改良工事特別会計法

 (設置)

第一条 土地改良法「昭和二十四年法律第百九十五号。以下「法」という。)第八十八条の二の規定により国が施行するかんがい排水施設の建設の工事、埋立又は干拓の工事及びかんがい排水施設の建設の工事により建設した施設(法第九十四条の六の規定により管理させている施設を除く。)の災害復旧工事(以下「土地改良工事」という。)並びにこれらの工事の施行上密接な関連のある工事で国が委託に基き施行するもの(以下「受託工事」という。)に関する経理を一般会計と区分して行うため、特別会計を設置する。

 (管理)

第二条 この会計は、農林大臣が、法令で定めるところに従い、管理する。

 (歳入及び歳出)

第三条 この会計においては、第五条の規定による一般会計からの繰入金、土地改良工事に係る法第九十条の規定による負担金及びその利息、地方公共団体の負担金の納付の特例に関する法律(昭和二十八年法律第百十一号)第一項の規定により納付された地方債証券の償還金及び利子、受託工事に係る納付金、第十四条第一項の規定による借入金、法の規定に基き国が施行する埋立又は干拓の工事によつて生じた用地の売払代金及び貸付料並びに附属雑収入をもつてその歳入とし、土地改良工事に要する費用、受託工事に要する費用、同項の規定による借入金の償還金及び利子、当該埋立又は干拓の工事によつて生じた用地で売り払うものの法第九十四条の規定による管理及び処分のために直接要する費用、第六条第一項から第三項までの規定による一般会計への繰入金並びに附属諸費をもつてその歳出とする。

 (歳入及び歳出並びに資産及び負債の区分整理)

第四条 この会計においては、歳入及び歳出並びに資産及び負債を政令で定める土地改良工事及び受託工事の別(以下「工事別」という。)に区分して整理しなければならない。

 (一般会計からの繰入)

第五条 土地改良工事に要する費用で国庫が負担するものの金額は、政令で定める金額を除き、予算の範囲内において、一般会計からこの会計に繰り入れるものとする。

2 前項の規定により繰り入れる金額は、政令で定めるところにより、工事別に区分して繰り入れるものとする。

 (他会計への繰入)

第六条 土地改良工事で一般会計の負担において行つていたものが法第八十八条の二の規定の適用を受けるものに該当することとなつた場合においては、この会計において継続して行うこととなつたそれぞれの土地改良工事に係る法第九十条の規定による負担金の額は、当該負担金の収納後、遅滞なく、政令で定めるところにより、この会計から一般会計に繰り入れるものとする。

2 第十二条第二号の規定による繰入金に相当する額は、政令で定めるところにより、この会計から一般会計に繰り入れるものとする。

3 受託工事に係る納付金の額のうち、当該工事について一般会計において支弁した経費の額のうち政令で定める額に相当する金額は、当該納付金の収納後、遅滞なく、この会計から一般会計に繰り入れるものとする。

4 第十四条第一項の規定による借入金の償還金及び利子の額に相当する金額は、工事別に区分して、この会計から国債整理基金特別会計に繰り入れるものとする。

 (歳入歳出予定計算書等の作成及び送付)

第七条 農林大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書及び繰越明許費要求書を作成し、大蔵大臣に送付しなければならない。

2 前項の歳入歳出予定計算書には、次に掲げる書類を添附しなければならない。

 一 前前年度の事業実績表、借入金の借入及び償還実績表並びに受益者負担金に係る債権の発生及び回収実績表

 二 前年度及び当該年度の事業計画表、借入金の借入及び償還計画表並びに受益者負担金に係る債権の発生予定及び回収計画表

3 前項の添附書類は、工事別に区分して作成するものとする。ただし、同項第二号に掲げる書類で当該年度に係るものについては、この限りでない。

 (歳入歳出予算の区分)

第八条 この会計の歳入歳出予算は、歳入にあつては、その性質に従つて款及び項に、歳出にあつては、その目的に従つて、項に区分する。

 (予算の作成及び提出)

第九条 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、国会に提出しなければならない。

2 前項の予算には、第七条第一項に規定する歳入歳出予定計算書及び繰越明許費要求書並びに同条第二項各号に掲げる書類を添附しなければならない。この場合においては、同条第三項の規定を準用する。

 (予算の配賦)

第十条 この会計の歳入歳出予算の配賦は、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三十一条第二項の規定によるほか、工事別に区分して行うものとする。

 (収入金の使途)

第十一条 この会計の工事別の区分に応ずる収入金は、次条に定めるもののほか、当該区分に応ずる費用の財源に充てるものとする。この場合において、その収入金のうち当該費用の財源に充てる必要がない剰余を生じたときにおける当該剰余の処理については、政令で定める。

 (土地の売払代金等の使途)

第十二条 埋立又は干拓の工事によつて生じた用地の売払代金及び貸付料は、次の各号の順序に従い、当該各号に掲げる費用の財源に充て、なお残余があるときは、土地改良工事に要する費用で国庫が負担するものの財源に充てるものとする。

 一 当該用地の管理及び処分のために直接要する費用(当該費用の財源に充てるための借入金があるときは、当該借入金の償還金及び利子)

 二 第十四条第一項の規定による借入金の償還金及び利子並びに一般会計への繰入金で政令で定めるもの

 (予備費の使用)

第十三条 この会計の予備費は、当該年度の工事別の歳入予算の額をこえる歳入の収納済額に相当する額(当該年度において当該工事別の区分に応じ既に使用した予備費の額に相当する額を除く。)を限度として、工事別に使用することができる。

 (借入金)

第十四条 この会計において、土地改良工事に要する費用で当該費用の額から国庫が負担するものの額を控除した額に相当するもの並びに埋立又は干拓の工事によつて生じた用地で売り払うべきものの管理及び処分のために直接必要な費用の財源に充てるため必要があるときは、政令で定めるところにより、この会計の負担において、工事別に借入金をすることができる。

2 前項の規定による借入金の限度額については、予算をもつて、国会の議決を経なければならない。

3 法第九十条の規定による負担金及びその利息並びに第三条に規定する地方債証券の償還金及び利子は、第一項の規定による借入金の償還金及び利子の財源に充てなければならない。

 (借入限度の繰越)

第十五条 この会計において、借入金の借入について国会の議決を経た金額のうち、当該年度において借入をしなかつた金額があるときは、当該金額を限度として、かつ、歳出予算の繰越額の財源として必要な金額の範囲内で、翌年度において、前条第一項の規定による借入金をすることができる。

 (国庫余裕金の繰替使用)

第十六条 この会計において、支出のための支払上現金に不足があるときは、第十四条第一項及び第二項の規定により借り入れることができる金額に相当する額(既に借り入れている借入金の額に相当する額を除く。)を限度とし、政令で定めるところにより、国庫余裕金を繰替使用することができる。

2 前項の規定による繰替金は、当該年度の歳入をもつて償還しなければならない。

3 前項の規定による繰替金の償還の財源は、工事別の区分に応じてした借入金をもつて充てるものとする。

 (借入金の借入及び償還の事務)

第十七条 第十四条第一項の規定による借入金の借入及び償還に関する事務は、大蔵大臣が行う。

 (歳出の支出制限)

第十八条 この会計においては、工事別の区分による歳出の金額を支出するには、当該区分による歳入の収納済額(国庫余裕金を繰替使用しているときは、当該繰替金の額を加算した額)をこえてはならない。

 (歳入歳出決定計算書の作成及び送付)

第十九条 農林大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分によるほか、工事別に区分して、この会計の歳入歳出決定計算書を作成し、大蔵大臣に送付しなければならない。

2 前項の歳入歳出決定計算書には、工事別に作成した次に掲げる書類を添附しなければならない。

 一 当該年度の事業実績表

 二 借入金の借入及び償還実績表

 三 受益者負担金に係る債権の発生及び回収実績表

 (歳入歳出決算の作成及び提出)

第二十条 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、国会に提出しなければならない。

2 前項の歳入歳出決算には、前条第一項に規定する歳入歳出決定計算書及び同条第二項各号に掲げる書類を添附しなければならない。

 (剰余金の繰入)

第二十一条 この会計において、毎会計年度における歳入歳出の決算上剰余を生じたときは、当該剰余金は、工事別の区分により、翌年度の歳入に繰り入れるものとする。

 (余裕金の預託)

第二十二条 この会計において、支払上現金に余裕があるときは、政令で定めるところにより、資金運用部に預託することができる。

 (実施規定)

第二十三条 この法律に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則

1 この法律は、公布の日から施行し、昭和三十二年度の予算から適用する。

2 第六条の規定の適用を受ける土地改良工事に係る資産及び負債は、当該工事が法第八十八条の二の規定に該当するものとなつた時において、政令で定めるところにより、この会計に帰属する。

3 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。

  第九条第一項第八号中「及び開拓者資金融通特別会計」を「、開拓者資金融通特別会計及び特定土地改良工事特別会計」に改める。

(大蔵・農林・内閣総理大臣署名) 

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